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ガンダム無双 Special - (2013/11/05 (火) 20:16:39) の編集履歴(バックアップ)


ガンダム無双 Special

【がんだむむそう すぺしゃる】

ジャンル タクティカルアクション
対応機種 プレイステーション2
メディア DVD-ROM 1枚
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 コーエー(オメガフォース)
発売日 2008年2月28日
定価 6,800円
プレイ人数 1~2人
セーブデータ 644KB以上
周辺機器 PlayStation BB Unit対応(HDDインストールのみ)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
廉価版 PlayStation2 the Best:2008年10月23日/3,800円
ポイント PS3用ソフトのまさかのPS2への追加要素込み移植
コーエー(現・コーエーテクモゲームス)によるスペシャル商法の開祖?
十分に頑張っている移植
無双シリーズリンク


概要

2007年3月1日にプレイステーション3(PS3)に発売された『ガンダム無双(以下一部除いて「PS3版」と表記)』に追加要素を加えたプレイステーション2(PS2)への移植作品。

本作の発表直後はPS3用ソフトの完全版がPS2に出るとあって、特にPS3版を購入したユーザーからの不満が爆発していた。
また、2007年12月27日にはPS3版に英語音声を追加した*1Xbox360用ソフト『ガンダム無双 International』が発売されていたこともあり、販売手法に対する批判意見も出ていた。


追加要素

オリジナルモードのストーリー追加

PS3版では基本は敵としての登場であるものの、特定条件を満たすと搭乗することが出来た「武者ガンダム」に「オリジナルモード*2」のストーリーが追加された。

『ガンダム無双』に登場する武者ガンダムは意志を持ち、パイロットが不在でも自律稼働が出来るという設定になっており、そのため成長システム上、便宜的にパイロットと搭乗しているモビルスーツ(以下「MS」と略記)がそれぞれ武者ガンダムであるものとして扱われ、パイロットとしての成長とMSとしての成長がそれぞれ別に扱われる。

このストーリーの追加を受けてか、本作ではPS3版と異なり、初期状態からオリジナルモードで使用可能となっており、武者ガンダムのストーリーをクリアした後はMS乗り換え可能となっているキャラクターであれば武者ガンダムに搭乗することが可能となる。
ただし、ストーリーをクリアしたキャラクターは本来、他のMSに乗り換え可能になるが、武者ガンダムは前述の通り、設定を受けての便宜上の扱いとしてパイロットとMSがそれぞれ別として扱われているだけなので、武者ガンダムのストーリーをクリアしても他のMSにパイロットとしての武者ガンダムを乗せることは出来ない。

新規モビルスーツの追加

PS3版からの純粋な追加MSとして「武者ガンダムMk-II(以下、ゲーム中の表記に倣い「武者Mk-II」と表記)」が追加され、オリジナルモードにストーリーが用意されている。
ただし、既存のストーリーには変更が加わっていないので、既存のストーリーにおいて武者Mk-IIが敵として出てくることは無い。
なお、武者Mk-IIは武者ガンダムのオリジナルモードのストーリーをクリアすることでプレイアブルキャラクターとして解禁される。

武者ガンダム同様に武者Mk-IIも意志を持ち、パイロット不在でも自律稼働ができるという設定があるため、オリジナルモードで使用する際は武者Mk-IIがパイロットでありMSでもあるものとして扱われ、成長システム上もそれぞれ別に扱われる。

なお、オリジナルモードの武者Mk-IIのストーリーをクリアした後は武者ガンダム同様にMS乗り換えが可能となっているキャラクターであれば、武者Mk-IIに搭乗させることが出来る。
ただし、武者ガンダム同様にストーリーをクリアしてもパイロットとしての武者Mk-IIが他のMSに搭乗することは不可能となっている。


評価点

PS3用ソフトの移植としては十分に頑張っている

  • 元々がPS3ソフトであることを考えれば、十分に健闘している移植度である。
    • 逆に、相応に劣化していれば、まだPS3版ユーザーも納得(もしくは我慢)出来たのであろうが、それなりの移植度があるため、救いが無くなってしまっているとも言えてしまうのだが。
  • PS3版のそれを再現するのは無理でも、敵も十分に群がるし、処理落ちやステルスといった要素はひとりでプレイする分にはあまり気にならないと思われる。
    • さすがに2人プレイだと処理落ちやステルスも見られるが、ハードのスペックを考えれば仕方ないと納得出来る範囲だろう。
      • 少なくとも同じような経緯を持つ移植作品である『真・三國無双5 Special』とは比べものにならない質を保っている。
  • ゲーム中のローディングも本作はPlayStation BB UnitのHDDインストールに対応しており、これを利用することでロード時間の短縮を図れるが、この機能を用いなくてもストレスを感じることはほとんどないだろう。
    • ミッション(ステージ)を選択すると最初にインターミッション*3のロードが挟まれ、インターミッション後はそのまま戦闘準備に移行出来、戦闘準備も即終了させない限りは戦闘開始前のロード時間はほぼ皆無である。
      • 戦闘準備を即時終了させてもロード時間はほんの数秒程度で、その他、戦闘中には度々ムービーが挿入されるが、ムービー再生前・再生後のロード時間も短いので、前述の処理落ちやステルスの少なさも含めて、なかなかに快適なプレイができる。

追加要素

  • 前述の『真・三國無双5 Special(PS2版)』のように根幹がガタガタではいくら要素が追加されても意味が無くなってしまうが、本作の場合は純粋に追加要素を歓迎出来るのも大きい。
  • 追加MSの武者Mk-IIは武者ガンダムとは異なった味付けをされており、性能面でしっかりと差別化されている。
    • ストーリーも一部は武者ガンダムと武者Mk-IIで被るステージはあるが、それぞれ単独のストーリーが用意されているのも評価出来るだろう。
      • 武者Mk-IIのキャラクター付けもおおむね好意的に受け止められており、このキャラクター性だからこそエンディングが映えるという意見もある。
+ 武者ガンダム・武者Mk-IIのストーリー。ネタバレ注意

地球に迫る小惑星があった。
その惑星を調査し、そして地球への衝突を防ぐために各時代・各世界のガンダム、そしてパイロットが時空を超えてその惑星に集う。

そんな中、その小惑星の一角、地下礼拝堂の最深部で2体のMS、武者ガンダムと武者Mk-IIが目覚めた。
そしてそれに合わせるかのように地下礼拝堂に攻め込んできた多数のMS。
彼らはひとまず地下礼拝堂に攻め込んできたMSの迎撃に当たることにする。

+ 武者ガンダムのストーリー、エンディングまで。ネタバレ注意

武者ガンダムは争い・力こそが人類を更なる高みへと導き、地球の永遠の繁栄に繋がると考えていた。
元々武者ガンダムは強者と戦うことでリアルタイムで戦闘能力を強化、能力を高める事が出来る。
そうして自らが地球を支配し、人類がその自分を倒そうとすることで結果として更なる進化を促すことが出来る。
それこそが己の宿命であると。

それ故に地下礼拝堂に攻め込んできた者達を退けたあと、従者となった武者Mk-IIには自らが地球へと降り立つ上で障害となり得る者の排除を命じた。
その一方で武者ガンダム自身は自らの能力を高めるために各地に赴いて戦闘を繰り返していく。

武者Mk-IIと合流し、いよいよ地球降下を開始せんとしたところで、それまで自らに従っていたはずの武者Mk-IIが反旗を翻す。
武者ガンダムがしようとしていることはただ人類の持つ未来を、その可能性を奪い取ってしまうだけでしかないと。
そうして武者Mk-IIに地球降下ための軌道エレベーターを奪取されるも、もはや武者ガンダムにはそんなものはあっても無くても変わらなかった。
エレベーターが使えないのであれば、そのまま直接地球へ降り立つのみ。

2体の武者はそれぞれの手段で地球のジャブローに降り立つ。
そこで人類を巻き込んで繰り広げられる武者同士の最終決戦。

様々な小細工を弄する武者Mk-IIを文字通り力でねじ伏せる。
しかし、武者Mk-IIも力では及ばずともまた一機の武者、活動を停止させる前に武者ガンダムに致命の一撃を与えていた。
そして、そこに迫るエゥーゴの大部隊。
武者Mk-IIの致命の一撃を受けた武者ガンダムもまた、仁王立ちのまま、未だ見ぬ強者に自らの宿命を継ぐことを託して活動を停止したのだった。

  我は力もて己を高める…。我に挑むものはまた、己を高みへと導く…。
   宿命終わるとも…安寧を貪らぬ猛き魂…。未だ見ぬ強者…我が志…継がん…。

+ 武者Mk-IIのストーリー、エンディングまで。ネタバレ注意

表向きは武者ガンダムの従者として振る舞う武者Mk-IIだが、彼には「自らに搭乗する優れたパイロットを探す」という目的があり、あくまで武者ガンダムはそのための仮の主でしかなかった。
幸いにして、すぐに単独での行動を許された武者Mk-IIは武者ガンダムがやろうとしていることには付き合いきれないと、命令に従いつつも自身の目的のための活動を開始した。

道中、能力よりも女性であることがパイロット選定のより高い優先順位としてプログラミングされていることにぼやいたりなどしつつも、パイロット選定のための戦いを繰り返していく中で、武者Mk-IIは明確に人類の可能性を感じていた。
人類は宇宙に出たことで確かに進化を遂げている、だが、それまでずっと地下礼拝堂で眠りについていた自分、そして武者ガンダムは進化などしていない。
武者ガンダムの目的には付き合いきれないが、地球に降り立つこと自体には価値があると感じた武者Mk-IIは武者ガンダムと合流の後、反旗を翻す。

武者Mk-IIはパイロット選定を行っていく中で、自分が造られた理由を見出していた。
もちろん「自らに乗る優れたパイロット探し」も重要であるが、それ以上に「そのパイロットを生み出す可能性を秘めた地球という星、そして可能を秘めた人類を武者ガンダムから守る」ことこそが自分の造られた理由であると。

地球降下のための軌道エレベーターを制圧するも、それに動じることなく単独で地球降下を始める武者ガンダム。
武者ガンダムの出鱈目さに呆れつつも、武者Mk-IIも軌道エレベーターで地球への降下を開始した。

ジャブローに武者ガンダムよりも先に降り立った武者Mk-IIは直接対決では分が悪いと、様々な策を弄していた。
それが見事にはまり、なんとか武者ガンダムを活動停止に追い込むも、武者Mk-IIもまた武者ガンダムの最期に放たれた執念の一撃を受け、活動限界が近付いていた。
だが、自分にはまだ為すべきことがあり、それを果たせていない…そんな武者Mk-IIの元に迫るエゥーゴの大部隊。
交戦も、離脱もかなわず、ついに力尽きて武者Mk-IIは膝をつき、そして最後の力を振り絞ってコックピットを開け、そして仰向けに倒れる。
上を向いてコックピットさえ開けていれば、誰かがきっと乗り込んでくれる…望みを託してそのまま活動を停止したのだった。

  そうだ…上を向かなきゃ…誰も乗り込めなくなっちまうからな…。
   乗り込んでくるパイロットは…どうせなら…かわいい女の子が…いい…な…。

※余談になるが、武者Mk-IIが登場する以降の作品のWikiなどでちょくちょく「パイロットは女性にしてあげよう」などといったネタが見られるのも、武者Mk-IIの活動停止直前の最期の台詞が原因だったりする。
 ストーリー中でも女好きを思わせる発言が度々見られることも追い打ちになっていると言えるだろう。


不満点・問題点

『ガンダム無双』の欠点未改善

  • PS3版の時点から「敵有名パイロットの乗るMSが異常に固い」「成長システムが練り込み不足、作業化著しい」「雑魚MSが棒立ち」といったものを筆頭にゲームシステムやバランス面の不満点は多く出ていたのだが、残念ながらその辺は改善されていない。

追加要素に対する不満

  • 武者Mk-IIも好意的に受け止められているのも嘘ではないのだが…。
    • PS3版の時点で登場作品の少なさを指摘されており、無双オリジナル設定*4の武者ガンダム関連に追加要素が偏っていることに対する不満意見も出ている。
      • 武者ガンダムのバリエーションよりも『逆襲のシャア』や『ガンダムSEED(およびDestiny)』、『ガンダムF91』などといった作品からMSを追加して欲しかったとする意見が少なくない。
  • ちなみに、追加要素がある代わりにメディアの容量の問題もあるのか、既存シナリオの一部イベントの削除が確認されており、その点の批判意見もある。

商法

  • やはり、PS3用ソフトに要素を追加した作品を「PS2」へ出したことへの不満はかなり強い。
    • PS3版が出た当時のPS3本体はPS2互換があったとはいえ*5、簡単に手が出せない価格であったこともあり、PS3を持っていない・買えなかった人など、より多くの人にプレイしてもらいたいといったメーカーの思惑も解らないでもないが、逆にPS3版ユーザーを馬鹿にしていると見られても仕方ないだろう。
      • 安価もしくは無料で本作の追加要素を追加出来るDLCなどの形でのアフターケアがあれば、不満意見は出てもまだPS3版ユーザーも納得出来たであろうが、それすらもなかったため、完全にPS3版を買ったユーザーにしてみれば馬鹿を見たと言わざるを得ない形であることも大きい。
    • そのためか、amazonなどではゲーム内容以前にメーカーの商法を理由とした最低点評価での投稿が大量にされていたりする。
      • もっとも、そうしたくもなる気持ちは解らないでもないが、その行為の是非はまた別問題であるのは言うまでもないのだが。
  • 余談になるが、本作はバンダイナムコゲームス側の要請を受けて開発を行った旨の発言が開発者インタビューで行われていたりする。
    • しかし、その後コーエーおよびコーエーテクモゲームスは前述の『真・三國無双5 Special』やそれ以降もPS3向けに発売したソフトに追加要素込みでPSPへの移植を繰り返しており、前述の発言の信憑性すら疑われている状態であったりする。

総評

元となるPS3版由来の部分もあるが、粗が少なくないため、少なくとも良作とはおよそ言い難い作品だが、無双シリーズのひとつとしては遊べる作品に仕上がっている。

だが、邪推になってしまうが、この作品の登場によって『ガンダム無双』自体が「最初からPS2で出せる程度の作品を無意味にPS3に出していた(あるいは「最初からPS2に出すことを前提で作っていた」)」という見方が出来てしまうこと、また、PS3本体が今と違って購入の敷居が高い状況であり、それでもなお本体含めてPS3版のソフトを購入するとなれば、無双シリーズもしくはガンダムシリーズの言わば熱烈なファンであるという見方も出来、結果としてそんなファンを嘲笑うかのような売り方になってしまった事もあり、本作の場合は内容以前の部分で批判をされてしまっている。
当然と言えば当然だが、PS3版と比してゲームの部分の劣化や削除された要素も存在はしているのだが、トータルで見た場合はPS3版の完全版と位置付けることが出来る仕上がりになっていることもPS3版ユーザーをの不満を煽ってしまっていると言える。

本作の質を悪くして出せば…とするのはさすがに歪だが、せめて本作の要素を追加出来るなどの形でPS3版ユーザーに対するフォローがあれば、既存ユーザーも(当時の)次世代機の高性能を活かした環境で武者ガンダムや武者Mk-IIを動かせ、追加ストーリーも楽しめる。
当時PS3を購入出来なかった層もPS3版に比してPS2のスペック相応に劣化はするが、『ガンダム無双』という作品を楽しめる。
そうなれば、メーカーの思惑ももう少し受け入れられ、この作品も必要以上に批判意見に晒されずに済んだと考えれば、どうしても販売手法に問題があったと言わざるを得ず、勿体ない作品であるとも言えよう。