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ドラえもん3 のび太と時の宝玉 - (2019/05/31 (金) 16:09:48) の編集履歴(バックアップ)


ドラえもん3 のび太と時の宝玉

【どらえもんすりー のびたとときのほうぎょく】

ジャンル アクション
対応機種 スーパーファミコン
メディア 12MbitROMカートリッジ
発売元 エポック社
開発元 エイム
発売日 1994年12月16日
定価 9,500円
判定 良作
ドラえもんシリーズリンク


概要

  • SFCで展開されたエポック製ドラえもんゲーの第3弾。前作前々作とは開発元が変わっており、グラフィック、演出、システムなどが大きく異なっている。
  • 今回のテーマは「時間」。タイムマシンで幾つもの時代を股に掛けた冒険を繰り広げる。

ストーリー

ある日、またまたドラえもんに泣きついてきたのび太。
なんでもスネ夫に恐竜の化石を自慢されていたのび太だったが、その化石をよく見せてもらおうとして、もみくちゃになった末、
落とした化石が車にひかれて粉々になってしまったのだ。
責任をとらされる事になったのび太は、「スネ夫に四次元ポケットを預ける」という条件付きでドラえもんと共に原始時代へ化石を探しに向かう。

そこで出会った未来人の青年・ジェロ。
ドラえもんとのび太は彼から、4つ集めると歴史を改変できてしまうという「時の宝玉」を未来の犯罪組織「ジョーカー団」が発掘している事を知る。
もし時の宝玉が4つ全部ジョーカー団の手に渡ってしまえば、歴史は全てジョーカー団のボス・ダウトの思いのままになってしまうという。
ジョーカー団を止めるため、ドラえもん達は時空を超えた冒険に旅立つ。

特徴

前2作に比べて大幅な変更が行われている。特にRPG要素の大幅な追加が特筆すべきポイント。

  • 今作ではタイムマシンを使って各時代を行き来しながらゲームを進めていく。
    • のび太の町(20世紀)を除く各時代は横スクロールのアクションステージになっており、ボスを探し出すのが目的となる。
    • この仕様のため、前作までと違ってキャラクターは宿屋でチェンジするように変更。また、最初から全員が使えるわけではない。
  • 各キャラはそれぞれ特殊能力をもっており、特定のキャラでなければ進めないステージも用意されている。
    • 「もぐらてぶくろ」を使って特定の地面を掘り進めるドラえもん。
    • 「らくらくシャベル」で特定の地面を掘れるのび太。真下にしか掘れないというドラえもんとの決定的な違いがある。
    • アクションステージで唯一「タケコプター」を使って飛べるしずか。
    • しゃがんだまま移動でき、ツタなどに掴まることが出来るスネ夫。
    • 攻撃で音符ブロックを破壊できるジャイアン、といった具合。
  • 武器は全5種類に減ったが、店で購入できる上位レベルのものを使うとパワーアップするようになった。
    • また、各キャラは特定の「得意武器」を持っており、基本的に最初から装備されている。
    • 他の武器も使えるが、レベル1の威力しか発揮できないという制約がある。マイクに至ってはジャイアン以外はそれ未満のスズメの涙ほど。
    • また使用回数に制限のある「お助けアイテム」が登場。
    • 他にも店では、残り人数に相当する「おいしゃさんかばん」や防御力・移動速度を上げる防具(の効果を持つ秘密道具)、サポートアイテムの購入が可能。前作までのライフアップのための収集アイテムであった「ジュエル」がお金扱いとなる。
  • 他にもゲームを進めるため、のび太の町を探索してスネ夫がドラえもんに無断で貸し出して散逸しまったドラえもんの道具を集める必要がある。
    • 道具以外にも、のび太の町や各ステージのどこかに隠された「ハートの器(ライフアップ)」を探索する要素もある。

評価点

  • 前2作からグラフィックが変更され、よりアニメ版に近い絵柄になった。
    • とある場面ではビジュアルシーンも用意されており、アニメーションまでする。スタッフの力の入れ具合が半端ではない。
      • しずかちゃんの入浴シーンもバッチリ収録。乳首も一瞬出る(!)
    • また、アニメ版の声優陣による音声が初めて付いた。ダメージを受けた時や特定の場面でセリフを喋ってくれる。ドラえもんに至ってはイベント用の道具を使うたびに喋ってくれる。
      • スネ夫の「ママ~!」やジャイアンの「心の友よ」と言ったお馴染みの台詞も声付きである。
  • 武器は店売りのアイテムで強化できるため、アクションが苦手な人でも安心。
    • 防御力や移動速度の上昇も可能。純粋な防御性能が劣る代わりに物語序盤からトゲ床を無効化できるようになるひみつ道具の購入機会もある。ただし、該当装備を購入するには入手時期の所有ジュエル量に対してかなりの額のジュエルが必要になる事が多く、ボーナスステージなどで 「金ジュエル(1つで500ジュエル相当)」 収集などの金策行為が要求される。
    • 一切購入しなくてもクリアは可能だが。全くの無強化状態では結構な難易度になる。
    • 一部を除き、サポートアイテムを駆使すれば全キャラでステージを攻略できる。
  • 原作のキャラクターを大量に散りばめるなど、ファンサービスが満載。
    • のび太のママ、先生、出木杉、ジャイ子などの準レギュラーから神成さん、小池さん、伊藤翼、フニャコフニャ夫などのおなじみのキャラ。果ては『ドラミちゃん』のスネ夫枠だったズル木に、1話限りのムス子さんやあばらやくんなど、よほどのマニアでなければ分からないキャラまで多数。しかもこれら殆どのキャラに顔グラフィックが用意されている*1
    • 後述の問題点にあるようにドラミちゃんは使用不可になったが、宿屋には登場している。更に同ポジションにはセワシやホテルつづれ屋のオーナーと言ったキャラまで。
    • ステージ4のアトランティスは大長編『ドラえもん のび太の海底鬼岩城』をモチーフとしており、同作に登場した鉄騎隊やポセイドンが敵として登場する。但し、このステージは別の問題が(後述)。
  • ストーリーもシリーズ屈指の出来。本作を名作たらしめているのはこの部分である。
    • 様々な時代を又にかけるタイムトラベルもののストーリーで、歴史を支配しようとする時間犯罪者集団との戦いを描くというストーリーである。前2作のようなメッセージ性こそ無いものの、その完成度は大長編シリーズにも劣らない程である。
    • ラスボスを倒してめでたしめでたし。では終わらず、「時間」という題材ならではの切なくも余韻を残す結末は必見。ファンなら是非、その目で確かめて頂きたい。
  • 音楽もほとんどが新規曲。出来も良い。
    • ステージ音楽は各時代に一種類のみと前作よりバリエーションが減ったが、いずれもその時代をこの上なく表現した良曲である。
    • ステージ間のイベントシーンの曲や各時代の最後に戦う大ボスの曲などはドラえもん作品である事を忘れるほど格好良い。
  • 前2作から操作性が改善されており、わずかな調整ミスで穴へ落下する事等が減った。
  • これまでと大きく様変わりした本作だが、ラストバトルでは全員が順番にラスボスと対決する前2作の熱い演出を受け継いでいる。勿論、トリを飾るのは主人公であるドラえもんである。

賛否両論点

  • 屈指の出来栄えのストーリーだが、全体的に重く、暗い点は賛否両論といったところか。
    • 「時間」がテーマの話よろしく存在が消えたりするキャラがいる。また描写は無いものの明らかに死亡しているキャラも。
  • 難易度が低い点に関しても賛否ある。
    • キャラゲーの宿命的な部分なので、この点に関しては個人で判断していただきたい。
    • 前2作が高難易度だったため、肩透かしを食らったプレイヤーもいただろう。
    • 一応、装備品を強化しない、(かなり限定的だが)ステージに性能が向かないキャラで攻略する、と言った縛りは可能。
    • ただし後半になると厄介なボスも出てくるようになる。特に終盤にドラえもん固定で戦うとあるボスはそれまでのボスと比較して異常に強い、ラスボスより強いのではと言われることもある。行動パターンが厄介で、アクションゲームが苦手なプレイヤーは苦戦を強いられる。
    • また、武器を全く強化しないと敵に与えるダメージが低く、体力ゲージが最大のボスは64回も攻撃しなければ倒せない。しかも形態変化するボスや連戦*2もあるので、難しいと言うよりは面倒。
      • かと言って、強化し過ぎると異様に強くなり、ゲーマーならあっさりクリアできてしまう。強化は自分のプレイスキルに合わせて計画的に。

問題点

  • アクションゲームとしての出来は微妙。地形や敵配置などはあまり練られておらず、ゲーム慣れしている人にとっては退屈かもしれない。
    • 体力が無くなっても残機(おいしゃさんかばん)が残っていれば即復活。穴に落ちてもそのマップに入った地点からペナルティ無しで復帰。と言ったように、システム面でも難易度を下げる要因が多い。
    • 多くのボスにもダメージ時の硬直時間があるので、割とハメ殺しやすい。
  • 前作でプレイヤーキャラに昇格したドラミちゃんが使えなくなった。
    • ただし、ストーリー的には特に出てこなくとも問題はない。原始時代の宿屋でちゃんと登場している。
  • 前述の通り、通常武器が5種類しかなくなったため、前作までのような戦闘の多様性は薄れている。
    • さらに得意武器以外はパワーダウン等ペナルティがある為、実質一人一武器。最も性能の悪い武器を持つジャイアンは別だが。
  • キャラ間の性能差が激しい。そのキャラでないと進めない専用ステージがある為全員に見せ場はあるが、共通ステージではやや優遇不遇が大きい。
    • 「タケコプター」を手に入れたあとのしずかが便利すぎる。天井のないステージでは大抵敵や地形をガン無視して飛行できる。得意武器のスモールライトもやや威力は低いものの、攻撃範囲が大きくて扱いやすい。
    • 逆に天井のある狭い道を進んでいくタイプのステージは、素早くてツタ上りやしゃがみ移動ができるスネ夫一択。共通ステージでも彼専用のショートカットがあるステージもあるなど優遇気味。得意武器のコエカタマリンは弾速は遅いが狭い場所だと反射して攻撃範囲が広がる。
    • ジャンプ力とスピードが高水準のドラえもんも悪くない。空気砲は弾速が早くクセのない安定した性能。
    • 逆にのび太はスピード・ジャンプ力ともに最低で、スピードを上げる「イナズマソックス」や「たいふうのよろい」等を常に装備していないとまともに運用できない。得意武器も原作と縁のないブーメランで、初期性能が非常に低い*3。ただし、レベル3のブーメランは射程が大きく伸びる上に3連射可能なので、終盤のボス戦などに強い。
    • 一番悲惨なのがジャイアン。ジャンプ力・スピード共にのび太よりマシ程度で、得意武器のマイクがとにかく扱いづらい。自分の周りをエフェクトで攻撃するのだが、短射程かつ足元の攻撃判定がなく、接地時に動けないので距離調整が難しい。
  • セーブ機能がなくパスワード制を採用しているが、そのパスワードが5・7・5・7・7のひらがな31文字(現代和歌のスタイル)と非常に長い。
  • 中盤の未来世界までは自由に時代を行き来出来るのだが、後半のアトランティスにまで行くと他の時代に一切行けなくなる。
    • さらにその次の最終ステージには宿屋しか無く、アイテム・武器・防具の購入が一切できず「おいしゃさんかばん」等の補給ができない。装備品のコンプリートを目指す際は気をつけたい。*4
  • 恐竜の「化石」を取るためにわざわざ「恐竜の生きていた時代」に行ったり、そこで恐竜時代にはいないはずの「人間(原始人)」が暮らしてたりなど矛盾がある。
    • 他にも、ひみつ道具はスネ夫が「友達に貸した」と言っている割には有り得ないような人物の手に渡っていたりする*5。西部開拓時代の敵のアジトが何故か雲の上。上述したアトランティスについて全くと言っていいほど説明が無く、『海底鬼岩城』を知らない人には謎のステージでしかない。 しずかちゃんの家に入るといきなり浴室に出る など、細かい疑問点は多々ある。あくまで子供向けのゲームなので細かいことは目をつむるべきか。
    • ちなみに攻略本巻末に記載されている漫画では「既に恐竜が絶滅した時代」に行ったところ何故か本物の恐竜がおり、後にそれらがジョーカー団の仕業であることがわかるという展開になっている。

総評

SFCドラえもんシリーズ屈指の名作。ドラえもんファンなら、まず持っていて損はない。
惜しむらくはキャラゲーゆえ、VCなどでの配信も絶望的なところか。