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不思議のダンジョン2 風来のシレン - (2016/10/08 (土) 22:59:27) の編集履歴(バックアップ)
不思議のダンジョン2 風来のシレン
【ふしぎのだんじょんつー ふうらいのしれん】
ジャンル
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ローグライクゲーム
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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32MbitROMカートリッジ
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発売・開発元
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チュンソフト
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発売日
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1995年12月1日
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定価
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11,800円
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配信
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バーチャルコンソール 2007年7月24日/900Wiiポイント
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判定
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良作
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風来のシレンシリーズ関連作品リンク
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概要
『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』に続くローグライクゲーム。
チュンソフトオリジナルの和風世界の中、「風来人」と呼ばれる旅人のひとり・シレンを主人公とし、黄金のコンドルが棲むと言われるテーブルマウンテンの頂上を目指す。
『ドラクエIV』の世界観を流用した前作とは世界観・シナリオ的な繋がりは全くないが、新しい世界観と新システムのもたらす新たな面白さが人気を博し、続編が何本も製作され、『シレン』シリーズは名実共に不思議のダンジョンシリーズの代名詞となった。
『不思議のダンジョンシリーズ』の2作目、ということで『2』の文字を冠している。以後シリーズ双方が独立したため、このタイトル表記は本作のみとなっている。
特徴
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基本システムは前作とほぼ同じだが、様々な要素が追加されている。
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これらのシステムは独自に開発されたシステムかというとそうでもなく、「キャラクターの同行」「窃盗可能な店」「モンスターへの変身」「ボス」などの新要素の多くはローグライクの傍流である『NetHack』の影響が大きい。
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前作『トルネコの大冒険』がRPGの始祖の一つに数えられる作品である『Rogue』の影響が強いのと同様、本作もその傾向を遵守しているといえる。
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ダンジョンの中に店が登場するようになった。
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単にアイテムを売買するだけではなく、未識別のアイテムを売値から大まかに識別するというテクニックも存在。
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店の登場に合わせ、「不要なアイテムだが売却のために保管しておく」「欲しいアイテムが高くて買えないので泥棒をする」といった戦略的な行動も取れるようになった。
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泥棒(お金を払わずに店を出る)するとフロア内に超強力な敵が大量に出現するが、店主の習性や持ちアイテム、さらにシステムと判断力を駆使して次の階層に行ってしまえばあとは何のデメリットもない。ハイリスクハイリターンな選択肢として、ユーザーの楽しみの一つとなった。
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一方で、間違えて買い物中にワープしてしまう、商品を消滅させた上に所持金が足りないなどの理由で不本意ながら泥棒状態になってしまい、結果死ぬという理不尽要素も加わったが、本シリーズのファンにはその駆け引きを楽しむプレイヤーも多い。
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特に店主が異常なまでに強いというぶっとんだ設定は、不思議のダンジョンの名物となり、この店主を倒すことをゲームのやりがいとするプレイヤーさえいる(これでも、後々のシリーズの店主に比べればはるかに弱いのだが…)。
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前作では単なるスコアでしかなかった所持金が、店での売買という非常に重要な意味を持つようになった。
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また、お金については通常拾うとアイテムとは別にカウントされていくのだが、投げると金額に応じてダメージを与えることができる。壺などに保管もできるので戦略的に大きな意味を持つ。
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新種のアイテムとして、中に複数のアイテムを入れられる「壺」が登場し、持ち歩ける総アイテム数が飛躍的に増えた。
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ただし、「保存の壺」以外は任意で取り出すことができない(投げたり、「すいだしの巻物」を使う必要がある)、転んだり投げると壺が割れてしまって消失する、モンスターに盗まれたときの被害が大きいなどと単にやさしくなったわけではない。
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入れたアイテムが分裂する「分裂の壺」や装備を強化できる「強化の壺」などゲームバランスを一変させるものもあれば、入れたアイテムの取り出しに難儀する「割れない壺」「うっぷんばらしの壺(割れると爆発する)」など当然デメリット持ちの壺もある。
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一部の壺は「入れる」ことができない代わりに回数分「押す」ことが可能なものもある(「押しつぼ」と掛けたもの)。一捻り加えることでアイテムにさらなるバラエティを持たせている。
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武器・盾・杖の「合成」ができるようになった。
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「合成の壺」にアイテムを入れて合成することにより、複数の能力を併せ持った武具を作れる。
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たとえば、先に入れた武具をベースとし、後から入れた物の特殊能力や補正値が加算される。「カタナ+3」「つるはし+4」がある場合、前者を先に入れると「つるはしの能力(壁を掘れる)を持ったカタナ+7」に、後者からだと「つるはし+7」となる。
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これに合わせて、武器や盾の種類も大幅に増加した。特定の種類のモンスターに大ダメージを与える武器や、特定の攻撃に強くなる盾など。
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杖の場合は効果を合成するのではなく、同種の杖の使用回数を増やすことができる。ふきとばしの杖[5]+ふきとばしの杖[3]であれば、ふきとばしの杖[8]になるなど。
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モンスター関連
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前作はドラクエのモンスターが出ていたが、本作のモンスターはすべてオリジナル。しかし、特徴的なデザインや行動のインパクトでどれもが印象深い。
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モンスターのレベルによって名前や外見、特殊能力が変化するようになった。前作ではスライムLV.1→スライムLV.2→スライムLV.3…とレベルアップしたのが、本作ではマムル→あなぐらマムル→どうくつマムルのように変化する。
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たった3段階しか存在しないが、多くの場合はレベル上昇による特殊能力やステータスの強化が大きい。その分見返りも大きかったり。
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一部のモンスターはレベルの概念を持っていなかったり、姿は変わらないが際限なくレベルアップしたりする。
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前作にないような性質を持ったモンスターも大量に登場。
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特に印象深いのは「ゲイズ」系の催眠攻撃。これを受けると1ターンの間でたらめな行動をとってしまい、装備をモンスター投げて消滅させたり、倒れた時に復活できる復活の草を意味もなく飲ませてきたりと印象深い死を発生させてきた。
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また、臭い息で所持アイテムをおにぎりにしてしまうシュールな「妖怪にぎり変化」系も特徴的な存在。特技を駆使して食料稼ぎに使うことも、貴重品をおにぎりにされて泣くこともある。
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数やレベルの追加により、エクストラダンジョンの敵の面子が中盤からまったく変わらないなんて事態もやや解消された。
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前作ではとにかく最下層にまで行くことが目的だったが、本作ではボスモンスターも登場する。ただし……
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ダンジョンの基本攻略法を学べる「フェイの問題」が登場した。
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詰め将棋のように、決められた場面のお題を解いていくというもの。初心者にとってはプレイしながらテクニックを覚えられるし、クリアごとにアイテムをもらえるので有用。
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悪用?すれば大量の道具を稼げるような問題も存在する。
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クリア後に行けるエクストラダンジョンが3つ登場。
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「ワナ師の腕輪」を装着することで、敵をワナに掛けて進められる「掛軸裏の洞窟」。
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普段は厄介な罠も今回は助けになるのだが、宙に浮いているモンスターは罠にかからなかったり、序盤の敵がやや強めなど簡単なダンジョンではない。
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「食神のほこら」では、支給される武器「ブフーの包丁」で敵を倒すとその敵が「(敵名)の肉」を落とすことがある。
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肉を食べるとモンスターに変身し、モンスターの特技が使用可能になる。肉を投げると相手がそのモンスターに変身するというテクニックも。
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ここで登場する2つの特殊アイテムは他のアイテムと同様にランダムで入手できる予定だったが、あまりにも個性すぎたために特殊アイテムの効果を利用したダンジョンという形で実装するに至ったと述べている。両方とも途中にいるNPCに話しかければクリアできるが、99Fまで潜ることが可能。
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上記の2つのダンジョンをクリアし、かつフェイの問題を全50問解いていると、前作の「もっと不思議のダンジョン」にあたる「フェイの最終問題」がプレイできる。
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ほぼすべての敵とアイテムが出現し、アイテムはすべて未識別状態。あらゆるテクニックを総動員して攻略する必要がある。
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メインダンジョンの途中に町や村が登場するようになった。
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本作は全30階のダンジョンを制覇することが目的だが、その最中にある村には宿屋・店・鍛冶屋・倉庫などが存在し、冒険の中継地点として役立つ。
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ちなみに武器・盾を鍛えてくれる「鍛冶屋」の登場も本作から。
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こういったダンジョン外の地点でも道具を使えるようになっている。これにより、倉庫内でも武具を強化することなどができるようになった。
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1フロアに長く留まり続けていると、前作の地震で下の階に落とされるのではなく、突風に飛ばされて冒険失敗になるように変更された。
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これにより、満腹度対策をして同じフロアに留まりレベル上げやアイテム収集を続けることのデメリットが大きくなった。
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滅多に発生しないが、町などの中継地点でも長時間いれば突風が吹く。
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町や村だけではなく、ダンジョンにもNPCキャラクターが登場するようになった。
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旅に役立つ助言を与えてくれる者、シレンをサポートしてくれる者など様々である。中にはシレンの仲間になるものもいる。
評価点
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前作からの正統進化
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上記にある数々の新要素は今でこそ当たり前のことばかりに思えるが、その後の不思議ダンジョンシリーズの骨格部分が今もほとんど変化していないことを考えれば、本作がいかに完成されたゲームであるかがわかる。
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自由度・やりこみ性の高さ
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代表的なのが、ラスボスに肉化以外のあらゆる状態異常が通用すること。
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モンスターハウスの巻物を読んだりジェノサイドの巻物を投げると消滅する。エーテルデビルやカラクロイドの肉を食べると一方的に倒せたり、逆に弱いモンスターの肉を投げつけると瞬殺できる。
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このボスとは思えない情けない存在感から、後の作品ではボスが状態異常耐性を持つのが当たり前になった。
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ただし、小細工抜きに真っ向から殴り合うと強い。ステータスの上ではレベル3モンスターより攻撃力が低いがHPの高さや雑魚やワナでの妨害で苦しくなる。
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町もダンジョン扱いになっているため、後発の作品とは異なり、住民を矢で殺したりモンスターにさせたり、果てはアークドラゴンの肉を食べて全員焼き殺すなんてことも可能。しかし、店の中で泥棒しない限りは怒られないので「殺人無罪窃盗死罪」というワードが生まれた。
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書き込んだ巻物の名前に応じた効果を発動する「白紙の巻物」でしか発動できない効果があったり、最強の武具を製作するという裏技的要素も存在。
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前者のうち1つは「ストーリーダンジョンを倉庫なしでクリアする」という縛りプレイに近いクリアで得られる。このほかにも本作では縛りプレイが熱い。
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仕様の穴を突いた要素だが、「フェイの問題を全部クリア(=冒険回数50回以上)しないと行けないフェイの最終問題を冒険回数1回の状態でクリアする」という特殊なやりこみも存在する。
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特別なエンディングが存在。仲間キャラを連れたままラスボスを倒すと、エンディングの風景が変わる。
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その動画はこちら。
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のちのちのシリーズと違い、仲間キャラはLVが上がらないので後半が非常に厳しい。ラスボスは復活しないので見れる機会も一度きり。それでもやってのける人を想定して、このようなエンディングを作っておいたチュンソフトには感服するばかりである。単に3人同時に仲間にするだけなら、イベントの時期を調整することで簡単にできる。ぜひ挑戦してみてほしい。
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BGMは前作『トルネコの大冒険』と同じくすぎやまこういちが担当。和風テイストの楽曲はいずれも名曲揃いで、トルネコシリーズと同じく、一つの曲をベースにアレンジを加えて、様々なメロディを奏でていくのは本作独自の要素。
問題点
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前作に比べると理不尽かつ大味なゲームバランスになっている。
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モンスターが大幅に強化されている。
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上のゲイズ系を筆頭に、アークドラゴン、イッテツ戦車、ガイコツまおうなど対処を見誤れば確実に死ぬようなモンスターが多く、理不尽な死に方が大幅に増えている。
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エクストラダンジョンは35階まではそれなりにバランスがとれているも、36階から敵の攻撃力が一気に最大値の255に達するためにまともな手段ではまずクリア不可能。下のテクニックなしでは相当なプレイヤースキルがないとクリアはまずない。
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ゲームバランス崩壊級の技も存在。
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白紙の巻物か吸い出しの巻物が計2枚と容量4の分裂の壺があればアイテムの無限増殖が可能。無限ドーピングや無限落とし穴などでカタルシスもなにもない冒険ができる。
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強化の壺も強力。本作以降では弱体化したのもうなずける性能。
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ただし、掛軸裏と食神では両方とも使うことができず、最終問題でしか使用することができない。
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後のシリーズと比較してもバランスは大味気味だが、その大味さの波に真っ向からぶつかって進むもよし、反則テクニックで狡賢く進むもよし、あえて便利な手段を縛って進むもよし、普段何気なくやっていることをしないで進むもよし…と、裏を返せばプレイヤー自身の好みを反映させやすい自由度の高さをも持ち合わせているのである。
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バグも結構多い。
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意図してやらない限り発生しないが、詰んでしまうような重大なバグがいくつか存在。
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1フロアに長くとどまって中断→再開すると読み込む内容の多さからロード時間が異様に長くなる。あまりに長くとどまっていると、データ消去やバグの発生につながってしまうことも。
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後のシリーズと異なる点として、冒険ごとに倉庫にあるアイテムの識別がリセットされているという点がある。おそらくストーリーの道中にある預かり場(中継点にある倉庫)の影響だろう。
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この作品だけをやっているならあまり気にならないが、シリーズ全体と比較してしまうとやや不親切。
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一方で識別後のアイテムを覚えていれば杖の回数以外を識別した状態で冒険に臨めるが、アイテムを持ち込めるストーリーマウンテンでしか使えないのでクリア後だとありがたみはほとんどない。
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回想システムの仕様
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前作に存在した「倒れた(脱出した)フロアでの死因や動き等をリプレイし、研究して次の冒険の役に立てたり、コピーして珍プレー好プレー動画として残したりする」という回想を使ったテクニックが、本作では若干活用しづらくなっている。
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前述の通り、町もダンジョンとして扱われている。そのため、ダンジョンで倒れて町に戻ると新たなフロアに行った扱いになり、ダンジョン(前のフロア)での行動は消されていく。
つまり、倒れてからスタート地点の町に戻されるまでに急いで本体の電源を消さないと回想として残されなくなってしまう。
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前作では町がダンジョンとして扱われていなかったために発生しなかった。
総評
『不思議のダンジョンシリーズ』の基礎を完成させ、シリーズの土台を築いた画期的な作品。
本家チュンソフトのシリーズだけではなく、他社のローグライクゲームにすら影響を与えている。
大味かつ絶妙に計算されたゲームバランスは後続作品では味わえない今作独自の魅力でもあり、プレイヤーのセンスと腕次第で自由な遊び方が可能。
日本においてローグライクというジャンルを決定づけるようになった作品だろう。
その後の展開