「ピクミン」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
ピクミン - (2022/11/16 (水) 19:01:41) の編集履歴(バックアップ)
ピクミン
【ぴくみん】
Wiiであそぶ ピクミン
【うぃーであそぶ ぴくみん】
ジャンル
|
AIアクション
|
|
|
|
対応機種
|
ニンテンドーゲームキューブ Wii
|
発売・開発元
|
任天堂
|
発売日
|
【GC】2001年10月26日 【Wii】2008年12月25日
|
定価
|
【GC】7,140円 【Wii】3,800円(どちらも税込)
|
配信
|
【WiiU】2017年6月21日/2,700円
|
判定
|
良作
|
ピクミンシリーズリンク
|
概要
未開の地に降り立った主人公オリマーを操り、偶然出会ったその土地の生物「ピクミン」と共に星を探索するゲーム。
開発当初はN64で企画されていたのだが、ハード性能上たくさんのピクミンを連れて行けないということで、よりハード性能の高いGCに繰上げされたという経歴を持つ。
ストーリー
主人公オリマーは、会社の有給休暇を使って気ままな宇宙での一人旅を楽しんでいた。
しかし、宇宙船に隕石が激突するアクシデントが発生し、未知の星に不時着してしまい、
その衝撃で宇宙船のパーツが各地に散らばってしまう。
しかもこの惑星の大気ではオリマーは生きていくことができず、生命維持装置のバッテリーが切れるまでのわずか30日間で宇宙船のパーツを回収して脱出しなければならない。
途方に暮れるオリマーは、偶然その星の生物「ピクミン」と出会った。
なぜか自分に協力してくれるピクミンたち。オリマーは彼らの力を借り、宇宙船のパーツを集め脱出することを決意した。
シリーズ共通の特徴・評価点
-
直感的でありながら非常に奥の深いシステム。
-
この星唯一の協力者であるピクミンを指揮し、原生生物を倒させたり、宇宙船のパーツを運搬させるという単純なゲームシステムだが、これが本当に良く出来ている。
-
まずピクミンの融通の利き具合がすごい。壊せる壁(土壁)に押し付けるだけで壁を壊してくれたり、運搬物の近くで解散するだけで運んでくれるなど、プレイヤーのしてほしい事をそのまましてくれる。行動を決定するコマンドはなく、難易度こそややシビアだがかなりとっつきやすい。
-
敵がこちらより大きいことや、捕食、圧死、溺死などピクミンは簡単に死んでしまったり、特殊な攻略法が必要な場合があるなど、戦闘はなかなかの緊張感があり、ピクミンだけを放置すれば容易にクリアできるような生ぬるいものではない歯ごたえがある。
ピクミンは3色存在し、それぞれ違った個性を持っているのでうまく使い分けることが攻略のポイント。
-
赤ピクミン
-
火に強い。また、攻撃力が高いので戦闘や土壁の破壊で活躍する。シリーズ通して最初に出会うという特徴も。
-
黄ピクミン
-
高く飛ぶ。高所のアイテム回収で役に立つ。また、ピクミンにも破壊できない石壁を破壊できる爆弾岩を扱える。
-
青ピクミン
-
攻略の自由度の高さ
-
ピクミンを一匹も死なせない無犠牲プレイや最低匹数である85匹、最短日数である6日クリアや葉ピクミンのみと言った縛りプレイも可能。
-
発売から10年経過してようやく6日クリアが確立され、そのゲームバランスの緻密さが改めて証明された。
-
作業分担・色替えギミックなどをフルに使えば85匹縛り・ピクミン無犠牲・全パーツ回収・6日クリアすべてを満たした条件でのクリアも可能(実例)。
海外版の場合、最低匹数は50匹になるがそちらでも理論上クリアは可能とされている(人力では未達成)。
-
グラフィックは文句なしにGC最高レベル。下手なWiiのソフトよりハイクオリティであり探索意欲をこれでもかと沸き立てる。
-
背景は自然の美しさをほぼ完全に表現できており、その作りこみは文句なしの一言。キャラクターのグラフィックも小さいピクミンから巨大な生物に至るまで精密に作られている。
-
魅力的な世界観が丁寧に構築されている
-
本シリーズは物凄く設定が凝っている事でも有名で、ほぼ全ての生物に通称と和名と詳細な説明が設定されている。生物の外見も現実に登場する生物をモチーフにしたようなものから植物と融合したような生物や無機物のような生物まで豊富。ファンの間で様々な考察がなされている。
-
時間制限やピクミンという名前の由来についてもしっかりとした理由付けがなされている。
-
本作では一日を終える度にオリマーが書いた日誌を読める。この日誌も非常に凝っており、その日に起きた出来事、出会った生物、ピクミンについての考察、船の修理状況などをオリマーの目線から読むことが出来る。
-
全くパーツを集めずに日数を進めた時のみ見られる専用のテキストまであり、オリマーが精神的に病んで行く様が生々しく語られる。興味本位で何もせずに一日を終え続けた結果、遭難28日目の日誌に唖然としたプレイヤーも…。
-
音楽は『スターフォックス64』などで有名な若井淑氏が担当。世界観に合った環境音楽となっている。
-
独特なサウンドが特徴で単体で聞いても中々味があり、完成度は高い。
-
さりげなく原生生物に接近するとBGMが異なるアレンジに自然と切り替わったり、日没が近づくとBGMも哀愁を漂わせるアレンジがかかるなど、雰囲気に合わせた仕掛けも施されている。
-
やりこみ要素「チャレンジモード」
-
本作のチャレンジモードは、本編で攻略したステージで制限時間以内にどれだけピクミンを増やせるかという一風変わったスコアアタックとなる。
-
ペレット草や原生生物の配置は異なっており、ボスも少ないため、本編より楽になっている。
-
極めればマップ上のすべての原生生物を無犠牲で回収することも可能。ただし、「大水源」のみ乱数の問題もあり人力では困難となっている。
-
キャラクターも非常にかわいい。主人公のオリマーやピクミン、敵キャラのチャッピーなどはかなり愛嬌のあるデザイン。フィギュアも発売されていた。
賛否両論点
-
CMの親しみやすさやかわいらしいキャラクターとは裏腹に高い難易度。
-
ストーリーの都合上時間制限があるため、ピクミンの増殖・マップの把握・原生生物の撃破・オブジェクトの破壊・パーツの回収などを上手くやりくりする必要がある。
-
もっとも、慣れれば一日に複数のパーツを回収することも容易であり、一日一個ペースでも全回収可能ではある。
-
ピクミンの異常な死にやすさ
-
ちょっと目を離した間にあっけなく捕食されてしまったり、溺れたり燃えてしまうとすぐに呼びかけないと死んでしまう。さらに、ピクミンは水辺を避けたり、間欠炎の火が止まるまで待つという危機管理能力がないため、仮に時間制限が無くともかなりの難易度。
-
一方でただキャラ萌えできるゲームでは終わらせないやり応え満点なゲーム性からユーザー層を問わずハマる人が続出。簡単に死なないピクミンはピクミンじゃないと言われることも。
-
ステージ数が少ない。
-
5ステージしかない上、うち2ステージは狭めでパーツも原生生物も少ないため、人によっては物足りなく感じる。
-
ただし、ステージ自体は十分に作り込まれており、攻略の自由度の高さや残りの3ステージには十分なボリュームがあるため、気になりにくい。
-
オリマーやピクミンといったキャラクターが可愛い反面、原生生物はチャッピー系とダマグモを除いて奇怪でグロテスクなデザインが多くて人を選ぶ。
-
フタクチドックリは外見が黒光りしていて、赤く生々しい内部構造を晒す上に、倒すとひっくり返って脚を畳むなどリアルな虫の気持ち悪い要素が詰め込まれている。クリアする為には避けては通れないボス敵なのも厄介。
問題点
-
ピクミンのAIに粗がある
-
ゲームの都合もあるので一概に問題ともいえないが、『2』以後や移植版との違いを考えるとスタッフが問題と判断したらしいピクミンの行動例。
-
勝手に物を拾う(Cスティック操作や投げを一切しておらず、ただ通り過ぎただけで運べるものを見つけると運んでオニヨンに持っていこうとする)
-
橋で広がったまま渡る(大人数で渡ると端の個体が水にそのまま入って溺れてしまう)
-
実がなってないペレット草も攻撃(特にオニヨン周辺にある初期の補給用に配置されているものを出てきた直後に攻撃して枯らすなど)
-
いずれもWii版では『2』の仕様になっており操作性は改善された。
-
一応、公式攻略本のインタビューによれば「ある程度勝手なことをさせた方が便利では無くとも面白くなる」とのことで、ある程度調整をした上で融通を効かなくしていると見て取れる。
-
ピクミンの死亡に関するバグが多い。
-
チャッピー系やイモガエル系辺りの生物にCスティックで突撃した際に、死亡判定の出る攻撃を受けていないにもかかわらずいつの間にか死んでしまっている、という現象が頻繁に発生する。
-
ピクミンを投げて攻撃させた場合はほぼ発生しないが、(ピクミンの数次第とはいえ)これらの生物はピクミンを投げるよりもCスティックで一気に囲む方が圧倒的に早く対処できるため、やり込み勢からは不評を買っている。
-
一部の橋やスロープの下に潜り込むと、連れていたピクミンが死んでしまうことがある。後述のWii移植版が特に顕著。
-
カメラワークが少し緩慢。
-
ワンボタンで設定はできるものの、進行方向に追従させることにコツがいるため、慣れるまで調整に時間がかかる。
-
また、オニヨン周辺でピクミンを引き抜こうとすると勝手にズームアップされる。この状態では引き抜き終えるまでカメラを操作できない。
-
これらについては『2』で改善された。
Wii移植版について
-
変更・改善された点
-
オリジナル版では対応していなかったワイド画面に対応し、視野が広くなった。
-
ピクミンや笛の射程範囲が大幅に伸びた。
-
日付を巻き戻し、そのデータで進めた場所以前であれば好きな日数をプレイできるようになった。
-
運搬先のオニヨンの数字の色が変わったり、ピクミンを投げる際に十字ボタンで色替えができるようになったりと『2』での改良点が一部フィードバックされている。
-
バクダン岩が大型になり視覚的に分かりやすくなった他、バクダン岩の爆風が他のバクダン岩、およびバクダン岩を持った黄ピクミンに触れても誘爆しなくなり危険性が低下した。
-
新たに発生した問題点
-
精密な操作が難しい
-
Wiiリモコンを用いたピクミンの投げつけや隊列移動は直感的に行えるがブレが大きく、ある程度の正確さが要求される場面で暴投しやすくなった。GCコントローラにも対応していないので慣れるには結構な時間がかかる。
-
仕様変更により、GC版での「高速投げ」を始めとする一部のテクニックが使用不能、あるいは使いづらくなった。
-
特にバクダン岩を持った黄ピクミンを笛で呼んでもバクダン岩を置かなくなった点に関しては、取り扱いが簡略化され事故を起こしにくくなった反面、任意のタイミングで処分したり設置して攻撃に利用することが困難になりGC版の既プレイ者からは不評。
-
バクダン岩は後に「3」にもピクミンが扱える武器として再登場しているが、そちらではバクダン岩を持ったピクミンを投げた際、対象物の有無を問わずその場で置いて逃げ帰ってくるように変更された。
-
原生生物の鳴き声やSEが機械的
-
寝息や悲鳴などがチープになっており、GC版と比べると生物感が薄れている。
-
Wiiリモコンでの操作は、照準を合わせるのに時間がかかるため、無犠牲プレイや低日数クリアを目指す場合、GC版より遥かに難易度が上がっている。
-
上記のため、やりこみプレイや生物感を重視する場合はGC版の方が適していると言える。
総評
『ピクミン』シリーズの原点となる本作。
その直感的かつ奥深いゲーム性は1作目からすでに完成されており、宣伝も功を奏したこともあり、一躍人気シリーズとなった。
難易度こそ高かったものの、未知の惑星として好奇心を存分に煽る世界観や、自然豊かなステージの数々、三種のピクミンを活かしたギミック、緻密に練られたオリマーや原生生物の設定などが評価されやり応えの向上に貢献した。
大きな問題点も見当たらず、グラフィックなど他の要素も非常に洗練されており、間違いなくGCというハードを代表する傑作である。
WiiUのVCが配信されているため、一度手にとって遊んでみるべき作品といえよう。
余談
-
よく本作の誕生秘話のひとつで「宮本茂が自宅の庭の蟻を見て思いついた」というものがあるが、実際は宮本氏がゲーム雑誌等のインタビュー向けに分かりやすく言い換えた表現である。
-
本当は自身が作っているものを整理するうちに、「これは蟻として作るのが一番良い」と考えたから、と上記の対談で明かされた。
-
本作はGCの最初期に発売された作品であり、ユーザーに対してGCの性能を見せ付けるという役割を見事に果たした。無論今見ても決して見劣りしない。
-
ちなみに後日ピクミン1匹に使われているポリゴンの数は『スーパーマリオ64』のマリオのポリゴンより多いという衝撃の事実が発覚している。
-
本作のCMソングとして流れた「愛のうた」はテレビニュース等でも取り上げられた。聞いたことだけはあるという人も多い。
-
基本的にはピクミンの気持ちを歌った歌だが、独特の哀愁漂う曲調や歌詞が日々働くサラリーマン達の気持ちにシンクロしていたこともあり、サラリーマン達の間でCDシングル版が飛ぶように売れたという逸話がある。
-
なお、テーマ曲とはいえ、あくまでCMソングであり本編では一切流れない。(Wii版ではタイトルデモで流れるようになっている。)
-
『2』では5色全てのピクミンを各20匹ずつ連れ歩くことでこの曲を口ずさむという小ネタがある。
-
Wii Uやニンテンドー3DSの引越しツールでピクミン達が登場する。この時のピクミン達は本体データを運ぶという役割を担っている。
-
スマブラ関連
-
メモリーカードに本作のデータが存在すると『DX』で「キャプテン・オリマー」のフィギュアを入手できる。
-
『X』に「ピクミン&オリマー」が参戦。近年の新作からは唯一の参戦で、同作屈指の癖のある性能を誇る色物キャラとなっている。
-
『for』『SP』にも登場。オリマーの色替えで、続編『ピクミン3』の主人公の一人、アルフも選択できるようになった。
-
BGMもいくつかアレンジされている。ただし、ステージBGMを始め、スマブラの世界観にそぐわない物が多いためかほとんどアレンジされなかった。
-
ちなみに「愛のうた」も収録されている。何故かフランス語バージョンもある。