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スーパーマリオギャラクシー - (2016/08/22 (月) 10:45:28) の編集履歴(バックアップ)


スーパーマリオギャラクシー

【すーぱーまりおぎゃらくしー】

ジャンル 3Dアクション
対応機種 Wii
発売・開発元 任天堂
発売日 2007年11月1日
定価 5,800円(税5%込)
配信 【WiiU】2015年5月31日/2,700円(税8%込)
判定 良作
マリオシリーズ・関連作品リンク

プロローグ

その年のキノコ王国の空には、空をおおうほどの大きな「ほうき星」がありました。
百年に一度訪れるその「ほうき星」からは、たくさんの星くずが降りそそぎました。
大地に落ちた星くずは、キノピオたちによって集められ、とても大きなパワースターに、生まれ変わったといいます。
それは、王国にとって幸せなことのはずでした。

百年に一度、星くずの恵みをお祝いする「星くず祭」の夜のこと。

「マリオへ
星くず祭の夜にお城で待ってます
渡したいものがあるの……

ピーチより」

ピーチ姫からの招待状をにぎりしめ、マリオがお城に到着するとそこは、きらびやかに輝く星くず祭の真っ最中でした。
楽しげに踊るキノピオたちに迎えられ、幸せなひとときを感じるマリオでしたが……

(公式サイトより)


概要

Wii初のスーパーマリオシリーズとなる本作はテーマを「重力」とし、今まで以上に個性的なステージの数々が展開される。
それに加えて、Wiiの容量を活かした幻想的かつ現実的な質感の表現、横田真人氏と近藤浩治氏による高品質なオーケストラサウンドなど、様々な面で「任天堂の本気」が伺える。
まさに任天堂渾身の一作である。


特徴・評価点

  • 今までにない発想豊かなステージ
    • 本作では宇宙を舞台とした大冒険が展開される。丸い星や四角い星、ドーナツ型の星や星形の星(?)など、様々な星を駆け巡る。もちろんスーパーマリオ64のような箱庭ステージも健在。
    • 世界観も実に豊富。海の星やマグマの星、要塞の星にオバケの星などなど。
      • スタッフによると、色々なステージ案が出た際、「宇宙なんだから別の星ってことにすればいいよね」ということで豊富なアイデアを盛り込めたという。「宇宙の冒険」という発想の勝利と言える。
    • ゲームデザイン担当である宮本茂氏が徹底的にこだわった「球状地形」は、本作で遺憾なく発揮されている。
      • 自由に走り回っても壁にぶつからず、それでいて有限の大きさに収まるという本質的な利点は、本作における様々な点で活用される。キャラクターを追っかけ回したりとか、クッパを吹っ飛ばして反対側で待ち構えたりとか。
      • 平たい星なのに裏側にアイテムが隠されていた、なんてことも。
    • それに加え、本作を大きく特徴づけているのが、メインテーマでもある「重力システム」である。
      • 変な形の星に張り付いて歩き回ることもあれば、場所によって重力の向きが変わったり、さらに重力の向きを変える仕掛けもあったりする。それはもう色々なステージが待ち構えている。
      • 一部のステージは縦横のみに動ける2Dになる。これもこれで独特な楽しみがある。
    • 集めるべきスターは120個と非常に多いが、最後まで飽きさせないバランス調整が絶妙である。
      • エンティングを迎えるだけなら初心者でも難しくはないが、スターを全て集めようとするとだんだん難しくなってくる。
      • しかしサンシャインのような理不尽な難易度ではないので頑張れば誰でもスターはコンプリートできる。
      • 難易度調整こそないものの、初心者には優しく、極めたい人にはとことん歯ごたえのあるゲームバランスである。開発にとっては、難易度の調節をプレイヤーに任せるのは「逃げ」に該当するのかもしれない。
      • 本作の難しさはあくまでアクション要素そのものの難しさとなっている。64の気付かないと取れないスター、サンシャインの探すのが難しい青コインような、攻略本がないとわからないような要素等は基本的にはなく、隠しスター等も少し遠回りする程度で充分発見できる。
  • ステージを快適に駆け回れるように工夫されたシンプルな操作体系
    • 64では豊富に存在したジャンプアクションや攻撃アクションだが、今作ではかなり簡略化され、その代わりWiiリモコンの機能を生かした操作になっている。
      • リモコンを振ってマリオの周囲全体にスピン攻撃。大体の敵や仕掛けはこれでカタがつく。とは言っても一筋縄では行かず、ものによって使い方を考えたりヒントを集めたりしながら進むことになる。
      • ポインターでアイテムを集める。アイテムを取った時にリモコンから音がするのもまた楽しい。
      • これを導入した理由として、「球状地形だと遠近感がつかみ辛く、踏みつけアクションは難しいから」とのこと。そのため、快適かつヌルすぎない操作が出来る。
      • 否定意見もあるが、それについては後述。
    • また、アイテムによる変身アクションも多い。それぞれ操作方法が少しずつ異なっており、良く工夫されている。スーパーマリオワールドなどと違い、単純に有利になるだけではない変身もある。
    • 特殊な操作でマリオを動かすミニゲームのようなステージもある。一部はタイムアタック制なので、クリアするだけでなくタイム更新を目指すだけでも熱い。
    • 2人協力プレイに対応。リモコンが2つあれば、片方のプレイヤーはステージ内の敵や仕掛けの動きを止めたり、アイテムを集めたりしてもう片方を補助することが出来る。
      • 任天堂が永年の課題としてきた、「アクションゲームを2人同時に」という要望への一つの回答である。
  • その他、システム面での様々な工夫
    • 今までにない地形のステージのため、カメラワークは非常に工夫されている。プレイヤーがカメラを操作できる場所もあるがむしろ少数で、特定の場所に行けば自動でカメラも見やすい位置に移動してくれる。たまに意に介さない動きもあったりするが…。
    • 親切なチュートリアル。操作方法はステージにいるキャラが教えてくれる。初めての人でも説明書を読まなくていいくらいである。
    • 宮本氏による「簡単でも緊張感のあるゲームを」という考えのもと、最大ダメージが従来までの8から3へと大きく減らされた(アイテムで一時的に倍の6になることもある)。その代わり、1UPがしやすくなっている。
      • 中間ポイントも数多く設置されている。ミスしやすいけど復活もしやすいという仕様により、バランスを取っている。
      • これまでと違い、トラップや敵の攻撃によるダメージは全て1である。ドッスンなどに潰されたり、毒の沼やブラックホールに吸い込まれるとミスとなる。
      • 慣れてくると「復活もしやすい」の部分だけ残って、残機50を超えることも。
    • ロードやバグは全くといっていいほど気にならない。時間を短くする工夫と、うまくごまかす演出による結果であろう。任天堂の昔からの教訓「3秒で起動させろ」が、このゲームでも活きている。
  • 演出面
    • 音楽は「天文台のロゼッタ」と「エッグプラネット」の2曲(アレンジも含めると4曲)のみ近藤浩治氏による作曲、あとは横田真人氏による作曲もしくは編曲である。横田氏はこのゲームだけで50曲以上を担当したことになる。
    • 宇宙というテーマを表現するため、マリオシリーズとしては初めてオーケストラによる楽曲を使用。その他にも様々なステージに合わせた様々な楽曲が用意されている。
      オーケストラのほかにも、エスニックな雰囲気の曲やサンバのリズム、静かなアンビエントにノリのいいテクノポップまで、曲調は様々。そして過去のマリオシリーズのアレンジも入っている。
    • ゲーム内に登場する物体の質感の表現にもこだわっている。金属や水面、芝生やチョコレートに至るまで、まるでそこにあるかのようなリアリティな表現。
      • それまでのWiiに対する「グラフィックでは他の次世代機に遠く及ばない」という評価への、一つの反論とも言える。
      • キャラクターの毛並みの表現までリアルである。
  • 新キャラの「ロゼッタ」も好評。『テニス』『カート』『パーティ』でも登場し『スマブラ』でも参戦するなど、今ではすっかりマリオファミリーの一員に。

問題点

  • 前作、前々作に比べ自由度が低下
    • 『64』『サンシャイン』では、スターやシャインはステージから「探し出すもの」という側面もあったが、今回は各ステージのゴールに置かれている「辿り着くもの」に統一されている。
    • 箱庭を探索する要素は、皆無ではないにせよ大幅に減らされた。このことが一部の人には「自由度がない」として不評。
      他のスターへのルートはご丁寧に封鎖されたり、選んだスターによってスタート地点やステージ構成が大きく変わったりする。
    • スターまでは基本的に一本道であるため、これを2Dマリオへの「原点回帰」と評する人もいる。
    • アイテムによる変身がやや不評。特にファイアマリオなど便利な変身は時間制限がついているため、あまり快適にならない。
      • 変身自体が半ば仕掛けを解く、あるいは目的の地点に到達するためだけの存在で、更に仕掛けの元に急いで向かう必要があったり、
        時間制限がない変身も「水に触れる」「光に触れる」等の条件ですぐ解除されるため、以前と違い変身の爽快感が薄い。
      • 今までのシリーズとは「変身」の存在意義が違う。今回は「武器」ではなくあくまで「道具」であり、前述したが単純に便利にはならないのである。
  • 操作性・カメラワークの問題
    • 操作が簡略化された。残されたジャンプアクションもあまり活用できないステージ設計を嫌う人もいる。
      • 特に、前述の「スピン」の存在が槍玉に挙げられる。当然ながら敵への向きを考えて攻撃を当てるといったことは省略されるため、64の熱心なファンにこれを否定する人がいる。
      • ただし体力回復やコイン収集の記録更新のために、ジャンプアクションを活用する場面もないわけではない(本作では敵をスピンで倒すとスターピースが出るが、一部の敵はジャンプで倒すとコインが出る。)。
      • 3Dでのジャンプは慣れないと思ったところに落ちるのが難しいため、初心者向け仕様と言える。
    • 球状地形をぐるぐると走り回るアクションは、合わない人には本当に合わない。カメラワークに関しても同様。
      • チュートリアルと最初のステージがそれであり、2面からは箱庭のようなステージも登場する。「最初がこれでなければ…」と評する人も。
        チュートリアルはなんと球状地形での追いかけっこ。苦手な人はとことん時間がかかり、酔うなどして諦めてしまうケースも。
    • ただ、「逆に箱庭型マップだと迷ってしまう」と言う人達の対策としての球状地形(=真っ直ぐ走っていれば普通に一周出来るので迷い難い)と言う意図もあったようで、迷ってしまう人達にとってはこれで良かったのかもしれない。
    • 水中の操作性が悪い、あるいは難しい。
      • カメラの自動的な切り替わりなども相まって、スティックを倒せばどちらに進むのかを掴むのが難しい。カメラが後ろからの視点になると以前に似た操作性になり操作しやすくなるが、ステージによっては勝手に視点を変えられるなどして、その視点になりづらいこともしばしば。
      • 甲羅を持つことでも比較的操作しやすくなるが、甲羅のない水中ステージもある。
    • 上記の通り、カメラシステムがプレイヤーに任せる方式からオート重視に変わっており、オートの想定に合うかによって極めてカメラに対する評価が変わる。
      • 左右へのカメラ移動は以前以上の制限がかかることがほとんどで、更に一切操作できない場面も意外と多い。
        また上視点も以前より少し周囲を見渡しづらくなっており、こちらも一部の場所では操作できない。
    • ミニゲームの、「エイ乗り」「タマコロ」などでのwiiリモコン独特の難しい操作性を批判する人もいる。
      • その操作を楽しめたという人も多いが、できない人にはとことんできない操作性。更にご丁寧にも、非常に難易度の高いバージョンまで用意されている。
        コース自体も以前のスライダーなど以上に緻密な操作を要求される設計。特に「エイ乗り」は壁が一切ない(その分特定の地点でショートカットもできるのだが)。
  • テンポが悪くなった部分
    • システム・シナリオ上仕方のないことだが、以前の3Dマリオに比べ落下などで即死するシーンが多くテンポが悪くなりがち。あと少しのところで落下しやる気を削がれることも。
      • 特徴の項にあるように中間ポイントが多いのが救い。ただし2Dステージなど場所によっては結構な距離を戻される。
      • またコメット系全てや一部のミニゲームはどれだけ進んでも最初からやり直しになる。
    • 「チコ」にスターチップを一定数与えることで、次のステージへ進めるという場面が多く、テンポが悪い。
    • また時間内に辿り着けないと(あるいは条件を満たせないと)やり直し(または死亡)の局面も少なくはない。特にスイッチや変身後の仕掛け解除に顕著。
      それ以外にもキラーを誘導するなどして、檻を破壊させるシーンなどもテンポを悪化させている。
    • 一部の演出をカットできない。例えばボスにダメージを与えた後の演出など。
      • 演出中に読み込みを行っている可能性もあるが、ボスの演出では総じて読み込みを行っている様子はなく、一部のボスは演出なしでパターンが変化するのでその可能性は低い。
      • 演出自体はあまり長くないのだが、本作にはデスコメット(体力が1に固定される)での高難易度のボス戦があるため何度もやり直すと気になってしまう。
  • 一部スターの難易度
    • 一部のスターの難易度が他に比べ異常に高い。よく言われるのは「パープルコイン オン ルイージ」のスターなど。
    • 「いたずらコメット」がやや不評。「いたずらコメット」では体力が1に固定、時間制限などの縛りが課せられる。一部は非常に難易度が高いうえ、追いかけっこをするシャドウコメットとクリア条件自体が大きく変わるパープルコメット以外は既存のコースの使い回しが多く水増し感がある。
      縛り自体も、熟練プレイヤーなら自分でやっているであろうレベルの要素で、特筆するほどの新鮮味があるわけでもない。
      • また、そのパープルコメットも時間無制限の探索系ステージは上記のBGMが流れてこないこともあり、人によっては探すことに単調だと感じるプレイヤーも。
    • ただし製作者からの挑戦状だと好意的に見るプレイヤーもまた多い。
    • 今作のスターは、ある程度がんばれば全収集できた前々作とは違い、全収集自体がやりこみ要素と言える。
  • ゲームオーバーになるとタイトル画面に戻される。天文台に戻される仕様の方がよかったのでは。
  • サウンドテストにあたる機能がない。
    • ちなみにサウンドトラックは現在絶版であり入手不可となっている。

総評

システム、ステージ、演出と、全てが非常に高いレベルでまとまっている、まさに任天堂の傑作である。
当時の任天堂は『Wii Sports』や『Wii Fit』などの、いわゆるライトユーザー向けソフトの印象が強かった。しかし、そういったソフトでゲームを始めた人に親しみやすく、かつ昔からのゲームファンも満足する内容、2つの相反する要求に見事に応えたのは流石と言える。
「マリオ」という重い看板を背負い、彼の誕生から25年目にして「マリオとは何か」を改めて問うにまで「マリオ」にこだわった開発スタッフの本気が詰め込まれた充実の一作である。


余談

  • 本ソフトを起動している場合『マリオカートWii』に登場する隠しキャラ・ロゼッタの条件が緩和される(無条件にはならない)。
    • ただし起動せずにセーブデータを入れただけでは、この要素は機能しないので注意。あくまで"起動"したかを認識をするからである。

その後の展開

  • 初週販売は約25万本と、マリオシリーズにしては売上が伸び悩んでいたが、長期にわたるジワ売れを見せ、2010年1月には100万本を突破した。
  • 2010年には続編『スーパーマリオギャラクシー2』が発売。ヨッシーの登場やアシストプレイの強化を初め、正統進化した内容になっている。
    • 北米で先行販売、絶賛された。IGN、GAMESPOTなどの大手ゲームサイトで満点評価を受け、その他多くのレビューサイトでも満点、またはそれに近い評価を受けた。