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スーパーマリオギャラクシー - (2017/11/13 (月) 16:28:50) の編集履歴(バックアップ)
スーパーマリオギャラクシー
【すーぱーまりおぎゃらくしー】
ジャンル
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3Dアクション
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対応機種
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Wii
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発売・開発元
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任天堂
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発売日
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2007年11月1日
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定価
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5,800円(税5%込)
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配信
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【WiiU】2015年5月31日/2,700円(税8%込)
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判定
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良作
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ポイント
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3Dマリオの正統進化 球状ステージはやや慣れが必要 コースは一本道に ロゼッタ初登場作
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マリオシリーズ・関連作品リンク
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概要
『スーパーマリオ64』『スーパーマリオサンシャイン』に続くマリオシリーズの正統派3Dアクション。
本作のメインテーマは「宇宙」と「重力」。様々な銀河を舞台に、無重力空間を飛び回ったり、球状のフィールドを走り回るなど、これまでのシリーズにないダイナミックなアクションと個性的なステージが楽しめる。
プロローグ
その年のキノコ王国の空には、空をおおうほどの大きな「ほうき星」がありました。
百年に一度訪れるその「ほうき星」からは、たくさんの星くずが降りそそぎました。
大地に落ちた星くずは、キノピオたちによって集められ、とても大きなパワースターに、生まれ変わったといいます。
それは、王国にとって幸せなことのはずでした。
百年に一度、星くずの恵みをお祝いする「星くず祭」の夜のこと。
「マリオへ
星くず祭の夜にお城で待ってます
渡したいものがあるの……
ピーチより」
ピーチ姫からの招待状をにぎりしめ、マリオがお城に到着するとそこは、きらびやかに輝く星くず祭の真っ最中でした。
楽しげに踊るキノピオたちに迎えられ、幸せなひとときを感じるマリオでしたが……
(公式サイトより)
特徴・評価点
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宇宙を舞台にした世界観と球場地形のシステム
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本作のステージは広大な宇宙に浮かぶ星々。丸い星や四角い星、ドーナツ型の星や星形の星(?)など個性的な形をしているだけでなく、海の星やマグマの星、要塞の星にオバケの星など世界観も様々。
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スタッフによると、色々なステージ案が出た際、「宇宙なんだから別の星ってことにすればいいよね」ということで豊富なアイデアを盛り込めたという。
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小惑星を舞台にした球状の地形になっている場所も多く、本作の目玉要素の一つになっている。この球状地形というアイデアはゲームデザイン担当である宮本茂氏肝入りの要素。
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重力は常に惑星の中心に向かって働いているため、カメラに向かって逆さにマリオが立っているような新鮮な光景が多く見られる。
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自由に走り回っても壁にぶつからず、それでいて有限の大きさに収まるという球状地形の特徴は、もちろんアクション部分に大きく取り入れられている。キャラを追い回してグルグル星を回ったり、ボスをふっ飛ばして反対側で先回りするなど。ステージによっては重力を切り替えるギミックも存在する。
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ただし全てが球状地形なわけではなく、従来と同様の平面地形を舞台とした箱庭ステージも存在する。
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スター集め
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『64』と同じく、各ステージ(ギャラクシー)を巡ってスターを集めるのがゲームの目的。スターは全部で120個とボリュームも十分。
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1つのステージ(ギャラクシー)ごとに複数のコース(シナリオ)があるのも同様。しかし今回はギャラクシーごとに手に入るスターの数には差がある。
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『64』『サンシャイン』では明確なゴール地点は1つとは定められておらず、箱庭ステージのあちこちに存在するスターやシャインの中から任意でいずれかを探し出すという探索要素が強かったが、今回はシナリオごとに用意されたルートを進んでいきゴール地点のスターを目指すという、ステージクリア型に近いゲーム性になっている。
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シナリオごとに入手できるスターは基本的に決まっている。選んだシナリオによって、他のシナリオのスターへのルートはご丁寧に封鎖されたり、スタート地点やステージ構成自体が大きく変わったりする。
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新アクション
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本作の独特な3Dアクションの難しさを補助するため、マリオが回転する「スピン」というアクションが登場。
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Wiiリモコンを軽く振ることでスピンを行う。回転を敵キャラに当てれば攻撃することができ、ジャンプで敵を上手く踏みつけなくとも敵を倒せる。空中でスピンすると少しだけ上昇するため高さを稼いだり着地のタイミングを調整したりできる。また大抵の仕掛けは近くでスピンすることで利用できるため、攻撃・空中制御・ギミック起動と様々なアクションをスピン一つで行うことができ、シンプルな操作と幅広いアクションの両立を可能にしている。
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スピンは一度使うと再発動可能になるまでに少し時間がかかるので連発はできず、使い所が重要である。
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敵を踏みつけやヒップドロップで倒すと、ライフ回復アイテムでもあるコインが出現するため、敵を踏んで倒す意義も失われてはいない。
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空中スピン中にヒップドロップを行うと、落下地点付近の敵に自動で向かっていく「ホーミングヒップドロップ」になる。
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またWiiリモコンのポインターを画面上のスターピースというアイテムに合わせることで入手することができ、打ち出すことで敵を攻撃できるというシューティング要素もある。
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コインと同様、スターピースを50枚集めるごとに1UPする。
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アイテムを取ったときにはリモコンのスピーカーから音が出る。
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2人同時プレイで、1Pがマリオの操作、2Pがポインタを使った補助という協力プレイも可能。任天堂が永年の課題としてきた、「アクションゲームを2人同時に」という要望への一つの回答である。
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また『64』以来となるアイテムによる変身システムも復活。
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3Dシリーズでは初登場となるお馴染みのファイアマリオや、空中を一定時間移動できるハチマリオ、常に自動でジャンプするので高い場所にも行けるが操作が難しくなるバネマリオなど種類も豊富。いずれも2Dマリオのように単純なパワーアップではなく、ステージ攻略に必須なギミックの1つという扱いである。
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新キャラ「ロゼッタ」
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今回もストーリー自体は「クッパにさらわれたピーチ姫を助ける」という定番のものだが、その中でキーパーソンとなるのが新キャラクターの「ロゼッタ」。
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それまでのマリオキャラとは一線を画した「ミステリアスな美女」という新鮮なキャラクターであり、ピーチ姫とはまた違った魅力を持つヒロインとして存在感を示している。国内外問わず人気も高い。
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またロゼッタが連れている星の子「チコ」の力によってマリオはスピンしているという設定である。
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ロゼッタの素性はストーリー上ははっきり明かされないものの、幕間の「ロゼッタの絵本」で断片的に知る事が可能。ファンの間では盛んに考察が行われていた。
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その他システム
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今までにない地形のステージのため、カメラワークは非常に工夫されている。プレイヤーがカメラを操作できる場所もあるがむしろ少数で、特定の場所に行けば自動でカメラも見やすい位置に移動してくれる。たまに意に介さない動きもあったりするが…。
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親切なチュートリアル。操作方法はステージにいるキャラが教えてくれる。初めての人でも説明書を読まなくていいくらいである。
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宮本氏による「簡単でも緊張感のあるゲームを」という考えのもと、最大ライフが従来までの8から3へと大きく減らされた(アイテムで一時的に倍の6になることもある)。その代わり、ミスしやすいけど再挑戦もしやすいという仕様により、バランスを取っている。
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今作は全体的に1UPしやすいバランスになっている。
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『64』『サンシャイン』には存在しなかった中間ポイントも、今作ではステージクリア型に近いシステムになったためか数多く設置されている。
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これまでと違い、トラップや敵の攻撃によるダメージは全て1である。ただしドッスンなどに潰されたり、毒の沼やブラックホールに吸い込まれると即ミスとなる。
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高難易度だった『サンシャイン』に比べると全体的な難易度は抑えられ、初心者でもエンディングを迎えるのはさほど難しくなくなった。
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一方でスターのコンプリートを目指す場合は、シリーズファンでも中々歯ごたえがある難易度となる。マリオシリーズらしい万人向けの絶妙な難易度と言える。
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しかし本作の難しさはあくまでアクション要素そのものの難しさで、64の気付かないと取れないスター、サンシャインの探すのが難しい青コインような面倒な隠し要素は基本的に無く、隠しスター等も少し遠回りする程度で充分発見できる。
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ロードやバグは全くといっていいほど気にならない。時間を短くする工夫と、うまくごまかす演出による結果であろう。
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演出面
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音楽は「天文台のロゼッタ」と「エッグプラネット」の2曲(アレンジも含めると4曲)のみ近藤浩治氏による作曲、あとは横田真人氏による作曲もしくは編曲である。横田氏はこのゲームだけで50曲以上を担当したことになる。
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宇宙というテーマを表現するため、マリオシリーズとしては初めてオーケストラによる楽曲を使用。その他にも様々なステージに合わせた様々な楽曲が用意されている。
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オーケストラのほかにも、エスニックな雰囲気の曲やサンバのリズム、静かなアンビエントにノリのいいテクノポップまで、曲調は様々。そして過去のマリオシリーズのアレンジも入っている。
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また本作ではマリオのアクションやゲームの状況によってBGMのアレンジがシームレスに切り替わるという凝った仕様になっている。例えば水中に入ると、メロディーは同じながら穏やかなアレンジになったり、ボス戦で攻撃のチャンスになると盛り上がる曲調になったりするため、プレイの没入感を更に高めてくれる。
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スペック面では他の次世代機に劣るWiiであるが、金属や水面、芝生やチョコレート、キャラの毛並みといった質感が非常にリアルに描写されており、グラフィックのレベルは他機種作品に決して劣っていない。
賛否両論点
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ステージの箱庭感が減り一本道に
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前作までにあった、ステージを探索するしたり攻略ルートを考える自由度は失われてしまい、そこに魅力を感じていたプレイヤーからは失望の声が大きい。
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一方で「どこに進めばいいかわからない」と言った問題は起こりづらくなり、特にライトユーザーにとってはとっつきやすくなったのは評価点とも言える。
問題点
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人を選ぶ球状地形コース
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本作の目玉要素であるが、上下が反転した状態での操作や特殊なカメラワークなどクセが強い要素が多く、人を選ぶ。最後までどうしても馴染めなかったというプレイヤーも。
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チュートリアルと最初のステージがこの球状地形であり、さらにチュートリアルでは操作に慣れていない状態で逃げるウサギを捕まえるという難易度の高い追いかけっこを強要される。苦手な人はとことん時間がかかり、酔って冒頭でプレイを諦めてしまうというケースも。
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2面からは従来の平面地形の箱庭コースも登場するが、「すべてが球状ステージ」だと誤解して敬遠されることもある。
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球状地形は、『64』や『サンシャイン』からの課題である「箱庭型マップだと3Dゲーム初心者が迷ってしまう」という問題を解消するために採用された(=真っ直ぐ走っていれば必ず元の場所に戻ってこれるので迷い難い)という意図もあったらしいのだが、むしろ球場地形の方が全体の構造や現在位置を把握しにくく迷いやすい面もあり、特殊な操作感が取っ付きづらくしている面は否めない。
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操作性の問題
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水中の操作性が悪い、あるいは難しい。
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カメラの自動的な切り替わりなども相まって、スティックを倒せばどちらに進むのかを掴むのが難しい。カメラが後ろからの視点になると以前に似た操作性になり操作しやすくなるが、ステージによっては勝手に視点を変えられるなどして、その視点になりづらいこともしばしば。
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甲羅を持つことでも比較的操作しやすくなるが、甲羅のない水中ステージもある。
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上記の通り、カメラシステムがプレイヤーに任せる方式からオート重視に変わっており、オートでの視点が合うかどうかでカメラに対する評価が極端に変わる。
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左右へのカメラ移動は以前以上の制限がかかることがほとんどで、更に一切操作できない場面も意外と多い。
また上視点も以前より少し周囲を見渡しづらくなっており、こちらも一部の場所では操作できない。
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ミニゲームの「エイ乗り」「タマコロ」などではwiiリモコン独特のモーションセンサーを使った操作が必要。
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マリオをスティクで操作するのとは別種のもどかしい操作感なので、イライラさせられるだけという意見も。追い討ちとばかりに全ミニゲームで高難易度バージョンが用意されている。
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コース自体も以前の3Dマリオにおける「スライダー」「蓮の葉・泥舟」以上に緻密な操作を要求される設計。特に「エイ乗り」は壁が一切存在せず、操作ミス=落下。特定の地点でショートカットもできるが、そんなものを活用できる程度に操作可能であればそもそも苦戦しないという…。
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スピンによる攻撃は、リーチが短く持続時間も短く連発もできない上、(触れればダメージを受けてしまう)敵に横から近付く必要があることから、基本攻撃手段としてはリスクが高い面もあり、今作の難しさの一因となっている。
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テンポが悪くなった部分
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システム・シナリオ上仕方のないことだが、以前の3Dマリオに比べ落下などで即死するシーンが多くテンポが悪くなりがち。
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特徴の項にあるように中間ポイントが多いのが救い。ただし2Dステージなど場所によっては結構な距離を戻される。
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またコメット系全てや一部のミニゲームはどれだけ進んでも最初からやり直しになる。
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「チコ」にスターピースを一定数与えることで、次のステージへ進めるという場面が多く、スターピース集めの作業を強いられる。
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また時間内に辿り着けないと(あるいは条件を満たせないと)やり直し(または死亡)の局面も少なくはない。特にスイッチや変身後の仕掛け解除に顕著。
それ以外にもキラーを誘導するなどして、檻を破壊させるシーンなどもテンポを悪化させている。
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一部の演出をカットできない。例えばボスにダメージを与えた後の演出など。
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演出中に読み込みを行っている可能性もあるが、ボスの演出では総じて読み込みを行っている様子はなく、一部のボスは演出なしでパターンが変化するのでその可能性は低い。
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演出自体はあまり長くないのだが、本作にはデスコメット(体力が1に固定される)での高難易度のボス戦がある。何度もやり直すと流石に気になってしまう。
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一部スターの難易度
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一部のスターの難易度が他に比べ異常に高い。よく言われるのはルイージのドット絵をかたどったステージとなっている、
トイボックスギャラクシーのパープルコメット「パープルコイン オン ルイージ」のスター。
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そのステージ構成について
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右足の部分にあたる茶色いブロックの上からスタートするのだが、その先の服、目、髪、ヒゲ、左足の部分にあたる緑のパネルは一度乗ると消滅してしまうため、もう一度足を着けようとすれば下に落ちて即死。オーバーオールや帽子にあたる深緑の部分は底なし沼なので一度でも足を踏み入れれば沼に飲み込まれて即死。そして肌やボタンの部分にあたる黄色いパネルは一度乗るとゆっくりと回転するようになり、長居したり再度乗るタイミングを間違えると下に落ちて即死。
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そんな条件の下でパープルコイン150枚あるうちの100枚を集めてスターを手に入れるというのを3分以内に行わなければならない。しかしそのうちの何枚かは空中に浮いているため、幅跳びや空中でスピンをして取るという精密な動作を要求され、BGMと合わせて急がされる。そして焦って操作をミスると即死。かといってのんびりしすぎてもギミックや時間切れで即死。
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何とかパープルコインを100枚入手してもスターの出現位置がスタート地点のため、緑のパネルを消しすぎるとスタート地点に戻る足場がなくなって詰んでしまう。スターを取るまでがミッションである。
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以上の理由から
スタート地点以外にまともな足場がない状況で精密かつ素早い動作を要求される
ため、本作で1,2を争う難関ステージとなっている。
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「いたずらコメット」がやや不評。
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「いたずらコメット」では体力が1に固定、時間制限などの縛りが課せられる。一部は非常に難易度が高いうえ、追いかけっこをするシャドウコメットとクリア条件自体が大きく変わるパープルコメット以外は既存のコースの使い回しが多く水増し感がある。
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縛り自体も、熟練プレイヤーなら自分でやっているであろうレベルの要素で、特筆するほどの新鮮味があるわけでもない。
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また、そのパープルコメットも時間無制限の探索系ステージは上記のBGMが流れてこないこともあり、人によっては探すことに単調だと感じるプレイヤーも。
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サウンドテストにあたる機能がない。
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ちなみにサウンドトラックは現在絶版であり入手不可となっている。
総評
任天堂の看板シリーズ「スーパーマリオ」のメインとなる3Dアクションの最新作という重い看板に恥じない、システム、ステージ、演出といったすべての要素が非常に高いレベルで完成されている作品である。
当時の任天堂は『Wii Sports』や『Wii Fit』などの、いわゆるライトユーザー向けソフトの印象が強かった。しかし、そういったソフトでゲームを始めた人に親しみやすく、かつ昔からのゲームファンも満足する内容という、2つの相反する要求に見事に応えたのは流石と言う他無い。
『64』『サンシャイン』のような箱庭要素が薄れた点は従来の自由度の高さを求めるファンからの不満も存在するが、路線は違えど3Dアクションとしての質は前2作と比べても全く劣っていない。
従来からのゲームファンが求める「ゲームらしいゲーム」を高いレベルで体現した、まさに「任天堂の本気」というべき良作である。
余談
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本作で登場した「ロゼッタ」は上述した通りの人気から、『マリオカートWii』においてプレイヤーキャラに大抜擢されたのを皮切りに他のパーティーゲーム作品にも登場するようになり、今では立派なマリオファミリーの一員として扱われている。
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本ソフトを起動している場合『マリオカートWii』に登場する「とある隠しキャラ」の出現条件が緩和される(無条件にはならない)。
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ただし起動せずにセーブデータを入れただけでは、この要素は機能しないので注意。あくまで"起動"したかどうかを識別するからである。