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ゼノギアス - (2023/10/24 (火) 09:16:51) の編集履歴(バックアップ)
ゼノギアス
【ぜのぎあす】
ジャンル
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新世代サイバネティックRPG
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対応機種
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プレイステーション
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発売・開発元
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スクウェア |
発売日
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1998年2月11日
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定価
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7,140円(税込)
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レーティング
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CERO:D(17歳以上対象) ※ゲームアーカイブスで付加
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廉価版
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スクウェアミレニアムコレクション 2000年11月30日/3,800円 PS one Books 2001年12月20日/2,500円(共に税抜)
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配信
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ゲームアーカイブス 2008年6月25日/628円
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判定
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良作
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ポイント
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ゼノシリーズの起源 重厚かつ良質なシナリオ ギアによるロボット戦闘 Disc2がノベル形式 FFシリーズの姉妹的作品
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ゼノシリーズリンク
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ストーリー
宇宙を行く超巨大移民船を、異変が襲った。
積荷の1つである「それ」は突如として覚醒し、艦の中央コンピュータへ侵入を開始したのだ。
驚異的な侵攻速度の前にブリッジクルーはなすすべなく、ワープ機能を掌握した「それ」は「本星」への侵攻を行おうとする。
艦長は全乗組員の避難命令を発するが、離脱するシャトルは火器管制系をも支配した「それ」によって次々と撃ち落とされていく。
とうとう、艦長は自爆――艦体の整備用分解コードを強制入力する。いくつものブロックに分かれながら崩壊する艦体は、
近くの惑星へと引き寄せられていった。
墜落し炎上する艦の残骸。その傍で、一人の女性が目覚める――。
時は流れ、北東のイグニス大陸では、砂漠の国アヴェと北部の大国キスレブが300年にも渡る戦争を続けていた。
戦いの中で、両国は過去の遺跡から「ギア・アーサー(ギア)」と名付けられた500年前の大戦で使用された戦闘用ロボットを発掘し、
これを主力兵器とするようになる。
遺跡資源が豊富なキスレブ優位に進む戦争を憂いたアヴェ国王は和平を考えるも、宰相シャーカーンのクーデターによって殺害されてしまう。
シャーカーンの背後には「ゲブラー」と呼ばれる正体不明の軍事組織が付き、彼らから兵力の提供を受けたアヴェは戦況を五分まで回復させ、戦いは混迷を深めていった。
キスレブ国境にほど近い、戦争とは無縁の農村・ラハン。3年前に重傷を負ってここに担ぎ込まれた記憶喪失の青年・フェイは、
今では村の一員としてのどかに暮らしていた。
ある日、フェイは友人の結婚式の準備のため、山頂に住む博識の医者・シタンを訪ねるが、その帰り道にキスレブのギア部隊を目撃する。
シタンと共に村へ戻ったフェイが見たのは、何故か同じキスレブ製のギアを攻撃するギア部隊と、火の海と化した村だった。
シタンと手分けして避難誘導を行うフェイは、凄惨な光景に思わず立ちすくんでしまう。
その時、操縦士を失った一機のギアが彼の前にうずくまった。途端、フェイは何かに魅入られたようにそのギアに乗り込む。
一度も乗ったことが無いはずの軍用ギアでキスレブ部隊を退けようとするフェイだったが、異様な雰囲気を漂わせる漆黒のギアが降り立ったことで、フェイのギアに異変が――
それは神と人の未来と1万年の歴史を巡る物語の、「終わりの始まり」を告げる先鞭だった。
概要
ファイナルファンタジーシリーズや聖剣シリーズと並んで大作RPGとして人気を博したSF RPG。
キャッチコピーは「聖剣伝説が出ない理由、ファイナルファンタジーとは異なる可能性、そして ゼノギアス」。
没になった『FF7』の企画案の1つ「プロジェクト・ノア」を元としている。(考案者はFFシリーズや『クロノ・トリガー』などでグラフィッカーを務めていた高橋哲哉氏)
開発部門のトップである坂口博信氏が別作品として没案を採用、企画は『クロノ・トリガー2』の為に発足していたチームに宛がわれ『クロノ・トリガー』の元々の発案者であり聖剣伝説シリーズを担当していた田中氏をプロデューサーに据え、スクウェアを代表するRPG作品群に肩を並べるシリーズにしようという意気込みの元で開発された。
そのため、後に改めて『クロノ』を作るために制作された『クロノ・クロス』とは、制作スタッフの重複が多く、雰囲気や一部設定も酷似している。
また、上記の経緯や同時期に開発がスタートしたことから、「裏FF7」とも呼ばれる。
特徴・評価点
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SF、オカルト、神話、聖書といった元ネタから、心理学や哲学といった学問、果ては特撮やアニメなどのサブカルチャーといった概念を組み合わせ、隙なく練り上げられた独自色の強い世界観。
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こんなことまで理由付けされているのか、と思わず感嘆するほど設定は綿密に組まれており、公式設定資料集でその内容が事細かく記されている。
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プレイステーションの容量を利用したアニメーションやキャラクターボイスといった演出。
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『ブシドーブレード』『トバルNo.1』『双界儀』『ブレイヴフェンサー 武蔵伝』と並びにスクウェアがゲームに声優を起用した初期の作品であり、人選も非常に豪華。
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ただし、ボイスは多少のイベント、戦闘、アニメーションムービー、カードゲームの勝敗の4つのみ。
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ちなみに以前に発売された『ブシドーブレード』『ブシドーブレード弐』、のちに発売される『双界儀』『ブレイヴフェンサー 武蔵伝』ではフルボイスであった。
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アニメーションは合計で30分を超え、クオリティも高い。
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アニメパートの演出・絵コンテは後に『NOIR』などを手掛ける真下耕一氏が担当している。
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世界観のベースはSFで、人型兵器『ギア』が非常に重要な位置に置かれている。パーティーキャラクター一人一人に専用のギアがあり、戦闘にはキャラクター本人の生身の戦闘と、ギアに乗っての戦闘が存在する。
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配信時にCERO審査で付けられた対象年齢はD:17歳以上(暴力マーク)。
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劇中にベッドシーンがあったり、OP・EDのアニメムービーでキャラが全裸で登場したりなどあるが、「セクシャル」には引っ掛かっていない。
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『ファイナルファンタジーVII』とは対照的かつ緻密なグラフィック。
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『FF7』は背景が2D(プリレンダCG)でキャラクターが3Dだが、逆にゼノギアスはキャラクターが2D(ドット)で背景が3D(ギア戦など一部は完全3D)で画面が構成されている。これは技術的蓄積を目的として意識的に行われた。
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これによって荒削りではあるものの、デモムービー等に頼らない、俯瞰やあおり・ズーム・パンなど、カメラワークを使った映像演出が様々な場面で用いられている。
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生々しく動くグロテスクなモンスターたちやダイナミックにアクションを行うギアやマシンといったドットのきめ細やかな表現を最大限に生かしている。
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キャラクターやギアのデザイン自体も世界観に溶け込んでおり、また純粋にかっこよかったりして秀逸。
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FFシリーズのムービーのような派手さとはまた違ったグラフィックの丁寧さが地味ながらも演出を引き立てている。
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魅力的な登場キャラクター
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操作可能キャラクターだけでなく、町や村の人々や、戦艦ユグドラシルのクルーなど、ギャグテイストなキャラから伏線を思わせるキャラまで隙が無く魅力に溢れている。
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アクション要素の多さ
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RPGではあるが、町やダンジョンが3Dで作られているため「ジャンプ」操作があったり、水路を泳ぐ場面もある。
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戦闘システム
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基本的なシステム
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3人パーティー。通常サイズのキャラクターと、ギアなどの巨大サイズが存在する。
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基本的にどちらもコマンド戦闘であり、○△□の三つのボタンの組み合わせだけで様々な攻撃ができ、それぞれ□の弱攻撃、△の中攻撃、○の強攻撃に対応する。
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すばやさに応じてゲージが溜まりキャラのターンが回ってくるタイプのターン制。
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通常サイズキャラクターの戦闘
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キャラは最大毎ターン7P使えて、□の弱攻撃は1P、△の中攻撃は2P、○の強攻撃は3Pを消費する。
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キャラクターの生身でのバトルでは上記の三つの通常攻撃を特定の組み合わせで押すことで、キャラクター固有の必殺技を使用できる。(なお必殺技は全て、最後が強攻撃になる組み合わせ)
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キャラクター戦の通常技や必殺技のモーションは凝られておりきびきびと細かく動き、特に必殺技はとても豪快に表現されている。
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ギアに乗れる場所なら戦闘中でも自機に搭乗可能。
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ギア戦闘
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HPのほかに燃料の概念があり、なくなると行動できなくなる。一時的に燃費が悪くなるが能力を上げる、大量消費して大技を使う、などの燃料運用が重要になる。
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ブーストをONにすると毎ターン燃料をがんがん消費する代わり、回避率が上がり、すばやさが倍になって手数が倍に増える。
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特にギア戦で顕著だが、ボス戦などでは多様な装備(各ギアはパーツを3つ装備できる)をどう組み合わせるかで難易度が大きく変化する。また生身キャラの装備品にはギア戦でも効果を発揮するものもある。
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パーツには重さがあり、装備するとギアのすばやさが下がる。逆に特定の地形でスピードアップするようなパーツもある。
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またギア戦はHPの回復手段が限られていて、自己回復用ギアパーツを装備して回復には大量の燃料を消費する。自己回復なので全員回復したければ3体ともそれぞれ装備しておく必要あり。一応、味方ギアを回復できるキャラもいる。
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武器の概念
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主人公であるフェイ、リコ、マリア、チュチュ、エメラダの5名は素手で戦うが、エリィはロッド、シタンは途中から刀、バルトは鞭、ビリーは銃という武器を使用して戦うという構成となっている。
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隙がなく完成されたシナリオ
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現在をもってスクウェア作品史上最高ともいわれるほど完成度が高い。海外SFの影響を受けており、序盤から伏線が多く、複雑な人間・組織関係や様々な専門用語はあるが、最終的には作中の全ての謎がラストまでに解き明かされる。
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序盤のラハン村での惨劇や「RPG史上屈指のトラウマ」ソイレントシステム、突如怪物へと変貌していき殺し合う人間などの生々しく陰惨な描写、人間弾頭バントラインやゼプツェン起動などの熱い展開など、ストーリーのボリュームが破格なだけあって多様なイベントがむせ返るほどに詰められている。
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おまけ要素
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非常に長いRPGだけあってサブイベントも豊富。1周目で全て発見するのは難しい。
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ミニゲームも多く、場に置かれた2枚のカードと隣り合った数のカードを出していき先に手札を0にした方の勝ちのカードゲーム「スピード」や、おまけとは思えない程に作りこまれているギア同士の格闘ゲーム「バトリング」など。
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3Dで立体的に造形された町で、小さな子供を探すかくれんぼ。
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物語進行に関係ないアイテム収集が多い。
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声優が豪華かつ、非常に時代を感じることが出来るメンバー。
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主人公のフェイを演じる緑川光氏や、ヒロインのエリィを演じる冬馬由美氏と主人公とヒロインの2名を始めとして、仲間キャラクターにもシタンを演じる田中秀幸氏や、バルトを演じる関智一氏などといった80年代、90年代アニメで活躍した豪華なメンバーで構成されている。
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光田康典氏による繊細な音楽
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戦闘曲も好評だが特にイベント曲が高く評価されており、「風が呼ぶ、蒼穹のシェバト」「飛翔」「夜空一杯の星を集めて」など心に染みる印象的な名曲が多い。何よりも曲が流れるイベントそれぞれの雰囲気を十分に引き立てていたり、山場を盛り上げたりと演出効果としての面が非常に優れている。
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ゲーム発売から13年も経過した2011年2月にフルオーケストラで演奏されたアレンジアルバムが発売されていることからも、その人気の根強さがうかがえる。
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「small two of pieces~軋んだ破片」はスクウェア作品として初めてゲーム内でのボーカル付き楽曲となった
賛否両論点
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Disc2の作風
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Disc2のストーリー進行はほとんどがテキストを読み進めるオートイベント状態になってしまっている。
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それまでしっかりした好演出、名シーンの山だったのにいきなり背景真っ暗なサウンドノベルのような世界に放り出されてしまったうえに、サウンドノベルとして見ても作り込まれているとは言えず、一部の重要なシーン以外はダイジェスト版のような内容になっている。
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ただDisc2を作り込んでしまった場合、プレイ時間がエライことになってしまうのは想像に難くない。作風の変化に面食らい、このような手法を受け容れられないか、これはこれで有りと思うかは個人の嗜好によるところが大きいため、まさに賛否両論。
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普通に作ってあればダンジョン攻略の過程があったと思われる複数の箇所が、最深部でのイベントだけだったり、ボス戦直前からの操作だったりと、ダンジョン自体が省略されている点のみについては、ありとする意見も多い。Disc2でラストダンジョンとメインストーリー外の場所を除けばダンジョンは2つだが、省略されなければ他にも4つくらいはあったと思われる。
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後のインタビューで「当時のスクウェアは納期絶対主義でずるずる延期しても完成の目処が立たないならFF本編でも開発中止にする」と言われており、中止になるよりはDisc2を現在のものにして出す選択をしたという趣旨の発言をしている。
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また別のインタビューにて、開発チームが若く新しいスタッフで構成されており、当時は2年間で開発を終わらせる予定だったが、3Dなどの新しい技術を学び、社員を育成しながら進めなければいけなかったので、スケジュールに遅れが出てしまった…という都合が明かされている。
同時にDisc1で終わる可能性もあったが、Disc1だけで終わらせるのは粗っぽいということで、開発費やスケジュール等を維持しながらDisc2を作って終わらせる判断を取った…との証言もある。
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シナリオ
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前述の通りシナリオは非常に奥深く完成度の高い評価点だが、その難解さゆえに万人に受け入れられた訳ではない。
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数多くのSFや古典、宗教・文化・価値観まで練り込まれた内容のせいでプレイヤーに求められる予備知識があまりにも多く、こういったジャンルに多少なりとも触れていないと理解は困難。
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多彩な専門用語も手伝って、結果的に周回プレイや考察、設定資料の助けを借りないと「なんとなく壮大な物語」としか伝わらない事もしばしば。
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時系列や設定資料などできちんと順を追っていけば決して理解の困難なシナリオではないのだが、一度経過したイベントはほとんど説明を端折ったまま省みられず、そのため明らかになる要素と時系列の摺り合わせが非常に難しい。
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伏線に至ってはイベントを跨いで大量に分散配置されており、イベント自体に濃密な展開が続く事も手伝って1周しただけで全てを把握するのはまず不可能。また、それらの伏線も物語の全容が明らかになってから初めて意味を理解できるケースが大半であり、難解さを後押しする一因になってしまっている。
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また、上述の理解できる構成になっているのはメインのストーリーラインであり、サイドやバックボーンなどはゲームで提示される情報が断片的過ぎてゲームのみで理解しきることが不可能な部分も多い。
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緻密で深い設定は魅力である一方、膨大すぎてゲームに収まりきらず外部資料に頼らなければならなくなっているのは、手放しに褒められるものでもない。
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この時期のスクウェアの作品はこういった傾向の作品がよく見られたが、今作はその最たるものである。
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結果として「人を選ぶ」のは避けられない。総評でも述べているが、ゲームを遊ぶ層にもセールス面で若干の不利を背負った遠因と言えるかも知れない。
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BGM
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どれも名曲ぞろいなのは確かだが、総数は40曲程度とゲームの規模に対して明らかに少ない。
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もちろん数が多ければ無条件に良いわけではないが、本作ではイベント曲の使い回しが非常に多く、人によっては気になるポイントとなっている。
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人気高い『飛翔』も初登場時のインパクトは凄まじく、悲壮と勇壮の入り混じったイベントと相まって本作でも指折りの名曲ではあるのだが、ゲームが進行し二度目三度目まではまだしも、四度目以降となるとさすがに食傷気味になってくる。
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「連殺」システム
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必殺技を使わずにポイントを溜めて、複数の必殺技を一度に繰り出すシステム。普通に必殺技を出すほうが強いため意味の薄いシステムだが、敵に回避されないため一部のボス攻略に役立つ。
問題点
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アクション性の高いマップデザインとランダムエンカウントの相性が悪い。
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エンカウントの直前にはロードが入るのだが、その間は歩けるのにジャンプはできない。わずかな時間とはいえ、ジャンプしようとした直前にこんなことになれば、もちろん落下事故が起きる。
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中盤のダンジョン「バベルタワー」
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数多くのジャンプアクションを要求されるダンジョンであり、アクションが苦手なプレイヤーにはきつい。
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後半は縦スクロールのマップになっており、落下する度にかなりの距離をやり直す羽目になる。
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このダンジョンは一部のマップを除き、特定の地点を通過すると強制エンカウントする形式であり、戦闘からも逃げられない。
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ジャンプ移動の妨げにならないようにランダム式ではなく固定式のエンカウントにしたのだと思われる。
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読み込み音に注意したプレイでもしていない限り、ジャンプしようとして戦闘になり落下する事態をもたらす。
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キャラクター戦は「必殺技を使う過程で必要な通常攻撃がほぼ意味なし」等と、攻撃面での戦略性の薄さ・単調さが批判されることもある。
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この批判点は後にゼノサーガのキャラクター戦で改善されていくこととなる。
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後半のストーリー進行上の戦闘はギア戦ばかりなので、生身のキャラを強化する意義が薄い。
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取得期間限定のレアアイテムが多い。
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序盤に手に入る「ジャンケンバッジ」はミニゲームのジャンケンで5回連続で勝たないともらえず、更にイベントで貰えるキャラクターがすぐいなくなってしまうため、後から回収ができない。
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32分の1と、何時間もかかるほどの確率ではないが、単調作業であるうえにテンポが悪い。しかも一回負けるごとに50Gの賭け金が必要なので負けが重なると金欠にも悩まされる。