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ドラゴンクエスト・キャラクターズ トルネコの大冒険2 ~不思議のダンジョン~ - (2014/02/02 (日) 04:15:49) の編集履歴(バックアップ)


ドラゴンクエストキャラクターズ トルネコの大冒険2 不思議のダンジョン

【どらごんくえすときゃらくたーず とるねこのだいぼうけんつー ふしぎのだんじょん】

ジャンル ローグライク(ダンジョン)RPG
高解像度で見る 裏を見る
対応機種 プレイステーション
発売元 エニックス
開発元 チュンソフト、マトリックス
発売日 1999年9月15日
定価 6,800円
分類 良作
ドラゴンクエストシリーズ関連作品リンク

概要

ローグライクゲームというマニア向けのジャンルを世間一般に広めた『トルネコ』シリーズの2作目。
弟分である『風来のシレン』シリーズからのシステムの逆輸入や、ドラクエらしい要素の組み込みが行われている。



ストーリー

不思議のダンジョンの奥にあると言われていた「しあわせの箱」。

それを手に入れた人は、しあわせになると伝えられている不思議な箱。

かつて、多くの人がその箱を求めて不思議なダンジョンにもぐり、誰一人、その箱を見つけることはできませんでした。

だが、あるとき、世界一の武器商人をめざすトルネコが、ついにその「しあわせの箱」を探し当てたのです。

こうして、トルネコとその一家はもちろん、村の人も王様も、みんなしあわせになりました。

しかし、その平和でしあわせな日々も、長くは続きませんでした。

トルネコが「しあわせの箱」を持ち帰ってから半年、各地で様々な異変が起こり始め、地上にもモンスターの姿を見かけるようになったのです。

こうして、トルネコは、再び冒険に出かけるのでした。

特徴

  • 風来のシレン』で登場した合成やダンジョンの中の店などを取り入れるとともに、モンスターやアイテムの数を激増させ前作と比べて大幅にボリュームが増えた。
  • 『シレン』シリーズであった初心者への配慮のなさを反省したためか、他のシリーズと比べると難易度は低め。
    • 他のシリーズをプレイ済みのプレイヤーには多少物足りなさを感じさせる部分もあるが、初心者には本当にやさしいため、このシリーズを初めてプレイする人に特にオススメ。
    • ストーリーで挑むダンジョンは特定のアイテムや要素に重点を置いて作られている。そのため、ゲームの進行に応じてアイテムやお店の使い方を学ぶことが可能。
      • 例えば最初のダンジョンはこのゲームにおける基本中の基本要素、次のダンジョンでは矢、次のダンジョンでは杖、次のダンジョンでは草・種…といった感じ。
    • 未識別アイテムの識別方法やモンスターハウスへの対処、泥棒の方法などの覚えておくべき情報もゲームの進行につれて村人が教えてくれたり、最初のダンジョンで何度も倒れていると強力な装備をもらえたりなど救済策も多い。
  • セーブ仕様の変更と中断システム
    • PSはセーブデータのアクセスの仕様の性質上、前作のような1行動の度にセーブができないため、セーブするタイミングはダンジョン突入時とダンジョンの途中での中断と中断からの再開時となっている。
      • この為、ダンジョン突入後、中断を介さずにリセットすると失敗扱いになる。
      • なおPSのセーブデータ自体はコピーや移動禁止設定はないのでユーティリティ画面から他のメモリーカードへコピーは可能。
  • 冒険中に起きた珍しい出来事やダンジョンのクリア回数などを確認できる「冒険の記録」、お金を預けられる上に預けた金額が一定量になるたびにアイテムをくれる「銀行」など、後のシリーズでも欠かせないシステムも登場している。
    • この系統で最も重要とも言えるクリア後のお楽しみも多い。
  • トルネコ本来の職業である商人から、「戦士」「魔法使い」の二つの職業に転職できるようになった。
    • 戦士は多彩な「技」を会得・使用して戦う。また、指輪や杖、巻物といった魔法にまつわるアイテムは使えない。
      • 技は一定の条件下で修得できる。会得した技は武器や盾に「セット」し、満腹度を消費して使用する。
        一度習得した技は忘れないが、その分技が少ないと行動のバリエーションに乏しいため、地道な準備を要する。
        また、一度セットした技は冒険が終了するまで外すことが出来ず、技がセットされた装備は壊れる可能性があるので注意が必要。
    • 魔法使いは「呪文」を用いて戦う。また、指輪以外の装備品が使用できない。
      • 魔法はレベルアップするごとにランダムで修得し、HPを使用して唱えることが出来る。戦士と異なり、一度覚えた魔法でもダンジョンを出ると使えなくなってしまう*1
        ワナや状態異常にかかるとランダムで魔法を忘れてしまう。また、魔法を使用するモンスターには魔法のダメージが通らないため、大変危険。
    • それぞれの職業に専用のダンジョンがあるほか、転職した状態で共通のダンジョンに挑むこともできる。同じダンジョンでも職業によって難易度や攻略が大きく変わるので、一つのダンジョンで3度楽しむことが出来る。
  • 一度クリアした不思議のダンジョンは27Fから100Fに大幅拡大。
  • アイテムをいくらでも持ち込めるが、中ではほぼアイテムが出ないため持ち込んだアイテムで勝負する「試練の館」。これにより初代『シレン』で問題であった「強力な装備を作っても試す場所がない」問題を解決。以降、全てのシリーズでのこのタイプのダンジョンの基礎となった。
  • そしてこの系統のゲームの本編とすら言われる「もっと不思議のダンジョン」も、もちろん健在。
    • 他のシリーズと比較すると難易度の低い「もっと不思議」と言われているが、アイテムやモンスターの配置バランスは良く、「もっと不思議」の基礎を学べる。また特定のフロアには宝物庫があり、罠や仕掛けを解ければ強力なアイテムを入手可能。1個入手してもそれを捨てない限りは、同じ場所に別のアイテムが置かれるため、クリアしても何度も挑む気にさせてくれる。

その他評価点

  • 再挑戦機能が実装された。
    • これは「ダンジョンに失敗した後に選択肢で『はい』を選べば再挑戦できる」という仕様であり、一々ダンジョンの入り口に戻る手間が省けるようになった。
    • 便利な仕様だが、のちの一部シリーズでは何故か採用されていない場合が多い。
  • あきらめるコマンドが逆輸入された。
    • 選択すればその冒険は失敗、いつでも最初に戻れるようになる。
    • 序盤でいい装備が欲しい時に使える便利なコマンドであり、硬派なユーザーからは喜ばれた。
    • あきらめるを選んだ後にも再上記の再挑戦機能が使えるという仕様も嬉しいところ。
  • BGMがすぎやまこういち氏自身のアレンジによるトルネコの大冒険~音楽の化学~のCDから採用されている。
    • 聴き応えはあるのだが、曲が終わると数秒間無音の後、最初から始まる。

問題点

  • 若干テンポが悪い。特に魔法使いの一部呪文エフェクトなど。
  • 村や倉庫では一切道具を使えない。保存の壺の中身を取り出すこともできない。
    • 中身ごと壺を預けることもできない。
    • バイキルトの巻物などを使ったり壺から中身を取り出したいときは、リレミトの巻物を持ってダンジョンに入って道具を使うしかない。
  • 壁を壊せる上に壊れない能力を持つ「黄金のつるはし」が、実際には何の能力もない剣になっているバグがある。少々手間だが、これを倉庫に入れてあるデータが入ったメモリーカードをチュンソフトに送れば(現在でも)修正して貰える。
  • 額面としての攻撃力は198(ロトの剣+99)まで上げられるが、実際は敵ごとにダメージ上限値が設定されており、ある水準以上にダメージを与えることはできない*2
    • おかげで武器を鍛える楽しみが微妙になったほか、ある程度武器を鍛えると会心の一撃のダメージが通常攻撃より下なんてこともままあるため、会心の一撃が出やすくなる「エリミネータ・デスストーカの斧」が完全に空気になってしまった。
  • 戦士にはバランスが大きく崩壊する強力なコンボがいくつかある。
    • 詳細は記さないが本当に強力。ただし習得の難しい技が必要だったり、知っていても使わなければいいだけである。
  • 中断仕様の問題
    • 中断するために「中断の巻物」か「白紙の巻物*3」が必要。一応ダンジョンでは巻物を読まなくてもランダムで中断ポイントが登場するのだが、もっと不思議のダンジョンではランダム出現もない。ダンジョン突入時に中断の巻物が1つだけ支給されるが、もっと不思議のダンジョンの100Fまで到達するには数時間を要するので巻物1つでは足りないことも多く、それ以降は現地調達しなくてはならない。しかし、中断や白紙の巻物の入手率は決して高くなく、更に白紙の巻物はダンジョン攻略面でも非常に重要であり、中断に使うにはもったいない。ゲーム時間の限られている子どもや、社会人泣かせのシステムになってしまっている。
      • そして戦士だと巻物を読むことができないため、もっと不思議のダンジョンでは一切中断ができず一発クリアが必要になっている。
    • またPSのセーブデータ自体はコピーや移動禁止といった制約がなく中断したデータを保持したまま他のメモリーカードにコピーできてしまうため、失敗したらすべて失うというローグライクの仕様に反しているのでは?という問題もある。
  • 一部の色違いモンスターの色や序列が原典と違っている。
    • "バズズ"と"デビルロード"などが該当する。"ガニラス"と"ぐんたいガニ"と"じごくのハサミ"はガニラスの色以外のほとんどがおかしくなっている*4
  • 一部敵の経験値がおかしい。下位の"じごくのハサミ"と上位の"ぐんたいがに"の経験値が同じな他、"ヘルゴースト"と"メトロゴースト"に至っては下位のメトロゴーストの方が経験値が100高いという謎仕様。
    • シレンGB2のやみかむろ・ようまかむろのようにほとんど実力が同じ*5でも、シレン2のンドゥバのように特殊な例*6でもなく、これらのモンスターは純粋な強化種である。明らかに設定ミスと言えよう。

総評

前作や『風来のシレン』シリーズで培ったものを存分に生かし、進化させた作品。
難易度こそマイルドであるが、その分初心者にもなじみやすいので、ローグライク初心者にもお勧めである。

余談

本作のOPムービーは3Dグラフィックではなく、クレイアニメが用いられている。
異変の原因を突き止めるべくダンジョンに挑んだトルネコがモンスターに追いまわされるというコミカルかつ温かみのあるムービーになっている。

その後の展開

  • アメリカでも「Torneko: The Last Hope」として発売され、チュンソフトの不思議のダンジョンシリーズとしては初めて海外でリリース(そして、トルネコシリーズとしては唯一海外で発売)された作品になった。
  • 「トルネコの大冒険」シリーズでトルネコの息子・ポポロの名前が確定したためか、後のPS・NDSでの『ドラゴンクエストIV』リメイクではトルネコの息子の名前はポポロに変更された。ついでにトルネコの妻・ネネの見た目が大幅に若返った。
    • 続編がPS2で発売され、トルネコの息子・ポポロを操作できるようになった。作品としては非常に難しいゲームである。

ドラゴンクエストキャラクターズ トルネコの大冒険2 アドバンス 不思議のダンジョン

【どらごんくえすときゃらくたーず とるねこのだいぼうけんつー あどばんす ふしぎのだんじょん】

ジャンル ローグライクゲーム
対応機種 ゲームボーイアドバンス
発売元 エニックス
開発元 チュンソフト
発売日 2001年12月20日
定価 6,279円
分類 良作
ドラゴンクエストシリーズ関連作品リンク

概要

GBAで発売された移植作。追加シナリオやダンジョンはないが、全体的なバランスとバグの修正を行っている。
スタッフ曰く「PS版のディレクターズカットバージョン」であり、その名に恥じない出来になっている。

特徴

  • オリジナルで問題になったバグ(無料店利用バグ、黄金のつるはしバグ、「だっしゅつ」バグなど)が修正されている。他にバグらしいバグも存在しない。
  • 分裂の壺、吸い出しの巻物、やりなおしの巻物といった、いわゆる「バランスブレイカー」アイテムがなくなっている。
  • 中断方法の改善。「中断の巻物」は廃止され、各フロアの階段で中断出来るようになった。
    • いつでもどこでも可能な1作目のような中断には劣るが、PS版の「中断の巻物」による中断システムよりは格段に手軽になった。また「スリープモード」が搭載され、稼ぎプレイの途中などで次のフロアに進みたくないときにゲームを一時停止しなくてはならないときに活用できる*7
  • その他モンスターのステータスや出現ダンジョン&範囲、アイテムの値段や出現ダンジョン&範囲、魔法の消費HP、技の消費満腹度などが徹底的に調整された。全体的に難易度は難化しているが、決してバランスの悪い調整の仕方ではないため、純粋にPS版よりやり応えがある。
    • 最強武器であるロトの剣の攻撃力はPS版の99から50に減少した。が、PS版にあったダメージ上限値が撤廃されているため相対的なダメージ量はかなりの上方修正を受けたことになる。PS版で希薄になってしまっていた武器を鍛える楽しみも、こちらなら存分に味わえる。
  • PS版では入れ替わってしまっていた一部モンスター(「ぐんたいガニ」と「じごくのハサミ」など)の色が、本家ドラゴンクエストシリーズに準じたものに修正された。
    • しかし、正しい配色だった「ゆうれい」と「死神」がなぜか逆になっている。

問題点

  • セーブデータが1つしか作れない。
  • 持ち込みありのダンジョンに潜るとき*8に強制セーブが入るようになった。
    • 結果、井戸や試練の館などの高難易度持ち込みダンジョンが非常にストレスフルに…
    • 強制セーブをされた状態で中断せずに電源を切ると死亡扱いにされるため、ダンジョン内で死亡したときに電源を切ることで全てをなかったことに出来る技が使えない。ゲームの趣旨的にはこれでも問題ないのだが、ハードのバッテリー切れなどでも「電源を切った」扱いになるため、不慮のシャットダウンに弱い。
      • 後の携帯機シリーズでは、バッテリー切れ前に警告文が表示されるようになった。
  • マップの常時表示が出来ない。
    • しかしPSとGBAでは解像度が全く違うのでGBAでは逆に画面が見づらくなる可能性もあり、実際『トルネコの大冒険3』のGBA版では常時表示が搭載され、便利だと評価された一方で「画面が見づらい」という意見もあった。
    • ただマップを表示する頻度を考えれば煩わしいのは事実である。
  • 全体的にやや「調整されすぎ」感があり、自由度が下がったという意見も少なくない。
    • 一部の敵の経験値や出現分布が見直された。
      • 必勝法があるものの、かなりの強敵である「ひょうがまじん」の経験値がPS版の1/10である70に減らされた*9、もっと不思議のダンジョンでベビーサタン系が一切出なくなったなど。
    • 魔法使いの消費HPや戦士の消費満腹度が大幅に増加しているものがあり、実戦で活用しづらくなってしまったものがある。
      • 特に、満腹度消費が「10ターンで3」から「1ターンで5」と実に16倍に跳ね上がった戦士の「きえさり」などは全く使われなくなるほど。
      • またこの調整によって戦士の強力なコンボの多くが大きく弱体化された。却って容易になったものもあるが。
    • 魔法使いの切り札「メガンテ」で経験値が入らなくなるなどの調整も賛否がある。
    • もっと不思議のダンジョンでは、PS版では低確率ながらも出現した、様々な有用アイテムの入手が不可能になっており、それらのアイテムが入手できたときのワクワク感がなくなったという意見も。
    • 無限増殖セット*10が使用できなくなったことにより、戦士の一部技の習得が困難になった。
      • 特に「ザキの杖」をモンスターに投げて覚える「ひっさつ」は、ザキの杖の入手の難しさに杖を投げたときに技を覚える確率の低さが加わり、覚えるのは凶悪な難易度となっている。
      • しかし、裏を返せばこれらのアイテムや技は「それだけ強力すぎた」ということでもある。これらの調整は同時に評価されている部分でもあるため、改悪と言うよりは賛否両論点と言えるだろう。ただ、「ひっさつ」等の、自身は調整を受けていないがその煽りを受けて結果的に不遇となってしまった技に関しては問題点と言えるかもしれない。
    • 吸い出しの巻物だけは残してほしかったという声が多い。「矢を変化」「合成の壺再利用」などのテクニックまで封印され、「われない壷」や「火薬壷*11」に入れてしまったアイテムを冒険中に取り出せなくなってしまった*12のはかなり辛い調整。
    • もっと不思議のダンジョンに眠っているあるレア武器の入手が非常に難しくなっている。具体的には、本来なら上述の「もっと不思議では出ない有用アイテム」を利用することが前提に近い罠の配置を抜ける必要がある。
      • ただし、別の(邪道と思われる)方法を利用すると、比較的簡単に入手できる。
  • 持ち物や倉庫の1ページ当たりのアイテム数が10個から8個になった。
    • これはGBAの画面が小さいことによるもの。結果、持ち物(20個)や倉庫(280個)を表示する際に端数のページが生じるようになってしまった。

総評

据え置き機から携帯機への移植でありながら、極めて再現度の高い移植となっている。
一部の仕様変更には賛否あるものの、全体的に質は向上し、よりやりごたえのある作品となった。