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SILENT HILL 3 - (2021/10/03 (日) 21:10:06) の編集履歴(バックアップ)


SILENT HILL 3

【さいれんとひるすりー】

ジャンル ホラーアドベンチャー
対応機種 プレイステーション2
発売元 コナミ
開発元 コナミコンピュータエンタテインメント東京
発売日 2003年7月3日
定価 7,329円
廉価版 コナミ ザ・ベスト:2004年7月1日/2,800円
コナミ殿堂セレクション:2005年6月9日/1,890円
判定 良作
SILENT HILLシリーズ


概要

『サイレントヒル』シリーズ第3作。本作は1999年に発売された初代『SILENT HILL』のストーリー上の続編である。
そのため、教団や遊園地など『1』をプレイした人には御馴染みの要素がたくさん登場する。

時系列的には『1』の17年後にあたり、『1』の主人公ハリーの娘ヘザーが主人公を務める。本シリーズでは非常に珍しい、10代の女性主人公である。
さらに、前作までは主人公達が不思議な力を持った街・サイレントヒルに向かうところから話が始まっていたが、本作では主人公がそこへ向かうのは物語中盤であり、サイレントヒルではない場所も異世界化しているという珍しい設定になっている。

ゲームシステムに関しては、「アイテムがあると主人公がそちらを向く」「アクション・謎解きのそれぞれの難易度を設定可能」など『2』から引き継がれたものも多い。
シリーズを通しての武器、鉄パイプも健在である。また、本作も他シリーズ作品同様マルチエンディングではあるが、1周目は必ず正規エンディングとなる。


ストーリー

ショッピングモールのなかでうたた寝してしまった少女・ヘザーは、真夜中の遊園地をさ迷うという奇妙な夢を見る。
家に帰ろうとした彼女の前に、恐ろしい世界へと変貌を遂げた現実が待ち構えていた。
クローディアと名乗る女がヘザーの前に姿を現し、告げる。「本当のあなたを思い出して」
私に何を思い出せと言うの?


評価点

  • ホラーゲーム屈指の恐怖演出
    • ホラーゲームとしての最重要要素である「恐怖」を純粋に追求した結果、シリーズ中最高の生理的嫌悪感・おぞましさを表現することに成功した。
    • 特に裏世界における「赤い肉が蠢く壁(火傷のイメージを髣髴とさせる)」などに表れており、プレイヤーに恐怖を刻み込んだ。「やりすぎ」の声もあるほど。
  • 山岡晃氏のBGM
    • 前作同様、音響に関しても気合が入っており、前述の「恐怖」を十分に盛り上げるだけでなく、シナリオ面を大きく印象付ける楽曲など、バリエーションも様々。鉄のぶつかり合う音とラジオのノイズが混ざったときの不快感と恐怖感は素晴らしい。
    • メインテーマソングである『You're Not Here』も印象的なイントロが主人公の心情にマッチし、この作品を代表する曲である。
      • ちなみにこの名曲、劇場版のエンドクレジットでも使用されており、ファンを大歓喜させた。
    • エンディングテーマは『1』のオープニングのボーカルバージョンである事にも注目。
  • 美麗なグラフィック
    • 当時ではかなりの技術レベルで、キャラクターの動き方や表情はもちろん、建物やそこら中に落ちている空き缶や着ぐるみ、ガラクタなども非常にリアルである。このグラフィックの良さが本作の恐怖を最大限に引き出している。
  • 「恐怖」の中に内包された、切ないストーリー
    • 主人公ヘザーがサイレントヒルに向かい戦うのは、父を思うがゆえ。また敵であるクローディアにも彼女なりの考えがある他、『1』の主人公ハリーの娘ヘザーへの思いも随所で知ることができ、物語に奥行きを与えている。
    • 恐怖に内包された形で散りばめられている本作のテーマである「親子愛」は、この作品の大きな魅力の一つである。
  • アクションレベル
    • アクション・謎解きそれぞれ難易度が設定されており、さらに今作には「ビギナーモード」も搭載されている。アクションレベルEASYで3回ゲームオーバーになるとプレイ可能で、アクションが苦手なプレイヤーに対しても優しい造りとなっている。
    • もちろんアクションが得意なプレイヤーにも対応しており、上級者向けの「アクションレベル Extreme」も搭載している。
    • リドル(謎解き)レベルは前作と違ってイージー・ノーマル・ハードの3種類までとなっている。
      • ちなみに、本作のリドルレベルハードにおける謎解きは、はっきり言って攻略本無しでは解けないレベルの難しさである。序盤の本屋の謎解き*1の時点で躓いたプレイヤーも多い。
  • 隠し要素
    • 隠し要素も多い。『2』のデータがあると見られる特殊なイベントも存在する。
      + ネタバレ注意
    • 条件を満たすと使用できる隠し武器もある。
      • 隠し武器は、かの有名なライトセーバーや主人公の目から放たれるビーム(その名もヘザービーム)などぶっとんだものも多い。
    • コスチュームは20~30種類と豊富だが、シャツの柄が違うだけで服装自体はどれも同じ。
      • …なのだが、一つだけ特殊なコスチュームがある。なんとそれを着るとムービー付きで魔法少女に変身するのである*2。さらにヘザービームがセクシービームにパワーアップする。
      • しかも隠しコマンドを入力すると、登場人物の一人である探偵・ダグラスがパンツ一丁でコートを羽織る変態と化す。前述の魔法少女と組み合わせて観るシリアスなイベントシーンは爆笑必至だろう。
  • マルチエンディングの中には定番のギャグエンディングも健在で、その衝撃はシリーズでも筆頭に挙げられることが多い。
    + ネタバレ注意
    • 恒例のUFOエンディングの正式なタイトルは「Revenge(仕返し)エンド」。一体何が仕返しなのかは是非自分自身の目で確かめてほしい。
    • 仕返しだけで驚くことなかれ、その後に始まる「サイレントヒルのうた」からが本番である。
    • なお、このUFOエンドは『1』と『2』のUFOエンドの続編であり、歴代主人公達にしてみればハッピーエンドらしい内容になっている。
    • あとこの「サイレントヒルのうた」はこのゲームをやっている人はクリアするまで絶対に見ないこと。なぜかというとこの歌はネタバレ要素満載のステキな歌であるから。

賛否両論点

  • シリーズファンには衝撃の展開
+ 重大なネタバレにつき注意
  • 1作目の主人公・ハリーが物語中盤で死亡してしまう。しかも戦闘シーンもムービーもなく、出てきた時にはすでに死んでいる。
    • シリーズを通してのファンにとっては思い入れの強い初代主人公があっさりと死亡する、と言う展開は賛否両論。ハリーが死ぬことで主人公がサイレントヒルに向かうというシナリオになっているため、仕方の無いことではあるが……。
    • ちなみにUFOエンディングではハリーは健在である。これが理由で、本作のUFOエンドが好きという人もいるようだ。
  • スプラッター的なグロテスク感を強調した演出
    • 恐怖、嫌悪感を煽る演出としては最高レベルなのだが、霧と錆の寂々とした雰囲気が主な過去作とは異なり、過去作は平気でも今作は生理的に受け付けないという人もいる。
    • 病院の裏世界は本作でも最恐のダンジョンと化している。一方で視認性が悪く、一部のエリアは壁とドアの区別がつきにくいという欠点もある。

問題点

  • エンディングがあっさりし過ぎている。
    • 問題がすっかり解決して、ヘザーたちが会話するだけと実に簡素な終わり方であり、『2』のように余韻を残すこともない。
  • 『1』の続編に当たるため、そちらをプレイしていないとシナリオが解りにくい。
    • 一応とある人物が記した手記やマップ内に残されたメモという形でフォロー要素は存在しているが。
  • 本作ではショッピングモールや地下鉄といった様々な場所が舞台となるが、ストーリーにほとんど関わらず、別に無くてもいいような場所(ただの通過点)を進まされる場面が多い。
    • まるでゲームとしてのボリュームを増やしたり舞台に多様性を持たせるためだけに作ったかのようであり、悪く言えばプレイ時間稼ぎとも捉えられる。
      • 物語中盤まではヘザーは自宅への帰り道としてダンジョンを進むことになるのだが、地下鉄では奇妙な電車しか来なかったことが原因でわざわざ地下道を進む羽目になる。
      • 地上に出たかと思えばなぜかわざわざ工事中のビルと雑居ビルの中を探索し始める*3。雑居ビルをクリアすることでようやく帰宅となる。
      • 冒頭の遊園地も、目的地である教会に行くにはここを通るしかないという理由で訪れている。一体どういう街の作りになっているのだろうか。
    • シリーズ恒例の病院ステージもシナリオの本筋とはそれほど関係が無く、結果的にはほとんどが無駄骨に終わるので、シリーズ恒例だから申し訳程度にストーリーを付けて行かせただけ、という感じが強い。
  • 中盤から強力な武器「日本刀」を入手できるが、少女が刀を持って化物を斬るという構図がいかにもゲーム的であり、恐怖感を萎えさせる。
    • リアリティのある武器であるナイフや鉄パイプに比べるとなおさらである。もっとも、細かいことを言えばショットガンやサブマシンガンにも言えることではあるが。
    • 日本刀自体は『1』に登場しているためそれのオマージュであるといえるが、『1』ではクリア後の隠し武器であり、どちらかというとネタに近い要素であった。
  • 画面が暗く細部が見えにくい。人によってはそれが原因で酔いやすい。
  • 戦闘以外のシーンで即死する機会がそこそこ多い。
    • 特に地下鉄と遊園地は初見殺しと即死トラップの山である。また、後者のマップはゲーム難易度によっては理不尽なほどの凶悪なトラップが待ち構えている。
    • そのかわり戦闘での即死はまずない。トラップ以外での死亡条件は「体力が限界まで低下している状態で、何らかの攻撃を受ける」となっていて、即死攻撃は最初のボスの鈍間な即死攻撃しか存在せず、実質的に即死攻撃は無いも同然。あえて言うなら、ヘザーの体力が低い・敵の攻撃力が高い・ダウンおよび拘束時間が長い隠し難易度Extremeで、一定時間ダメージを与え続ける攻撃が即死攻撃と言えるかも。
    • 過去作でも即死要素はいくつかあったが、それらの大半は一部のボス敵の攻撃であり、戦闘における緊張感と恐怖感を持たせていた。
      • 今作では、マップを探索していたら唐突にイベントが入り即死するというパターンが多く、何度も繰り返されるとウンザリしてくる。

総評

恐怖演出を追求した作品としてはシリーズ内にとどまらず、ホラーゲーム屈指と言える。
前作『2』ほどではないとはいえ、シナリオ面もホラー要素に深みと切なさを持たせることに成功している。
衝撃的な隠し要素も含めて、多くのプレイヤーの印象に残る作品となった。ホラーゲームファンなら一度はプレイして頂きたい名作である。


その他

  • 海外ではPC(Windows)版もリリースされている。高解像度化に伴い、グラフィックがディテールアップしており、一部の壁の質感もPS2版とは異なっている。
  • ときめきメモリアル4』の隠しキャラ・大倉都子がかばんに付けている「うさぎさん」は本作に出てくる「ロビー君」をアレンジしたもの。
    スタッフに『サイレントヒル』シリーズのファンがいたため作品を越えて登場することになった。
    その「うさぎさん」は、都子が友好(ヤミ)状態になってからは他の女の子とのデートや下校時の声掛けの際に襲い掛かってきたりとやりたい放題である。
  • 2012年下旬に、劇場作品第2段となる『Silent Hill: Revelation 3D』が公開された。
    • 前作の『Silent Hill』は初代をベースにしたのに対し、この3Dは本作をベースにしている。
      • 前作は監督が『Silent Hill』が好きすぎて『Silent Hill』の映画を作りたいが為にコナミに直筆の嘆願書という形のファンレターをしたためたというエピソードからして紛うことなき『Silent Hill』を映像化した傑作だったが、今作は悪い出来では無いのだが監督が変わった影響が大きく「Silent HillのタイトルをつけたBIOHAZARD?」と揶揄される始末。やはり、「(原作)愛」は必然だった…。
    • 余談だが、3Dの公式サイト右上に謎のカウントダウンが存在する。これが0になると…ここから先は自分の目で確かめてほしい。
  • 2020年には『Dead by Daylight』とのコラボレーションにより、本作主人公のヘザーが 本名の「シェリル・メイソン」名義で (ネタバレ)同作への参戦を果たした。また、前作から登場の人気クリーチャー「三角頭」も「エクセキューショナー」名義で参戦している。
    • 更にヘザーの姿を『1』に登場したアレッサやリサと言った別キャラのものに変えられるスキンも用意されている。
    • ちなみに設定上はこちらのヘザーは本作の悪夢がようやく終わったと思いきや、然程経たずに巻き込まれたらしい。なんとも不憫な境遇である。