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ドラゴンクエストV 天空の花嫁 (PS2) - (2015/11/18 (水) 18:41:31) の編集履歴(バックアップ)


ドラゴンクエストV 天空の花嫁

【どらごんくえすとふぁいぶ てんくうのはなよめ】 

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション2
メディア DVD-ROM 1枚
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 アルテピアッツァ
マトリックス
発売日 2004年3月25日
定価 8,190円
廉価版 アルティメットヒッツ:2006年7月20日/2,940円
分類 良作
ドラゴンクエストシリーズリンク


概要

SFC版『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』のリメイク。グラフィックやサウンドの向上は勿論、一部システムの追加・変更等が行われている。

評価点

  • BGMはNHK交響楽団によるオーケストラを採用しているので、とても聴き応えがある。
    • 現在では廃盤となってしまっているN響のものも、今作発売と共に別の形で再販しており評価は非常に高い。
  • キャラの移動速度があがった。原作ではかなりもっさりした速度だった。
  • モンスターのグラフィックが3Dになり、モーションがつくようになった。
    • また会心の一撃(もしくは呪文)で倒されたときは雑魚のやられモーションが変わるなど、細かい部分もよく出来ている。
  • 戦闘テンポが劇的に良くなった。3Dにも関わらず、そのテンポの良さは歴代でも群を抜いている。
  • 味方の戦闘人数が4人になった一方で、敵の出現数及び能力値も上方修正。結果的に言えば難易度は上がっており、とり分けボスキャラは全体的に強化されている。特に目につくのが攻撃力で、守備力を上げる呪文スカラ、スクルトの弱体化と合わせて大きなダメージを受けるようになった。SFC版ではありえなかった場所で全滅することも。
    • 特に変更が分かりやすいのは「火炎の息」というブレス攻撃で、SFC版に比べダメージが10~20ポイント程上昇している。偽太后戦でヘンリーなどがあっさり死んで驚いたプレイヤーも多かっただろう。死の火山では炎の戦士×5などが平気で出る(SFCでは3匹までだった)上に前記の火炎の息を連発される恐れがある。またここのボスの溶岩原人×3も同様であり中盤の全滅ポイントとして名があげられるほど。
    • 偽太后やカンダタは何と攻撃力の数値自体が2倍になった。これほど極端ではないにしてもボスの基本ステータスは全般的に大きく引き上げられている。
    • SFC版のボスの多くが同じパターンの行動を繰り返す完全ローテーションだったのが、ランダム性も持たせたり不必要な行動を飛ばすなりして賢くなったのも一因(これはイブールとラスボスで顕著)。
    • しかし決して理不尽な難易度になっているわけではなく、歯ごたえの面では評価すべきである。むしろ元のSFC版の難易度自体が低過ぎたということもあり(歴代でも『DQIX』に次いで低いと言われている)、これでもまだ簡単な部類である。
  • キャラごとに作戦を指示できるようになった。
  • 袋システムの追加。道具をたくさん持ち運べるようになった。
    • 幼年期から使用できる為、青年期へのアイテム引継ぎがSFC版よりしやすくなっている。
  • ルーラの行ける場所、使える場所が増えた。
    • SFC版経験者からは特に評判で、とにかくわずらわしい移動時間を短縮できるようになっただけでもありがたい変更である。
  • ベホマラーが移動中に使えるようになった。
  • SFC版のバグが修正された。
    • 代わりに新しいバグが生まれてしまったのだが、プレイには支障がないためあまり問題にはなっていない。
  • 仲間モンスターの種類が増加し、それに伴い仲間モンスターの最大預かり数が実質無制限(199匹)になった(SFC版では通常は50匹、特殊な手順を踏んでも最大53匹)。
    • これにより、仲間モンスター全種類を限界数まで最大限に揃えることも可能になった。
  • モンスターボックス(いわゆるモンスター図鑑)の追加。
    • 獲得経験値やゴールド、落とすアイテムはもちろん、モンスター達のモーションも見られる。
      • モーションが見られるが、何故か効果音がなく味気ない。今作に限らず今後も全てこの仕様。
    • 『VII』やPS版『IV』と異なり同じモンスターを999匹倒しても、すべてのモンスターをコンプリートしても、報酬はない。また、アクションを閲覧する際に効果音がついていない。R1ボタンでモンスターの後ろ姿を見ることができるが、3Dである割りに、あらゆる角度から見ることができないが、冒険の思い出になることは確かである。
    • 尤も、モンスターボックスというアイテム自体はSFC版から没アイテムとして存在しており、今回具現化に漕ぎ着けたというところだろう。
  • サンチョの特技にくちぶえ、しのびあし、とうぞくのはな等が追加された。
    • これにより原作であまり活躍できなかったサンチョの株が一気に上昇した。
    • 後に出たDS版に比べマップが広く、エンカウント率は低めであるため、くちぶえはかなり有用な特技である。
  • 一部の例外を除き仲間にしたモンスターの名前の変更が可能になった(何故か「ふくろ」も変更できる)。
    • 「ああああ」のようなふざけた名前や下品な言葉をつけると呪われてしまい、再度変更するには多額のゴールドが必要になるのもSFC版『III』『VI』『VII』と同様。
  • 名産品が追加。手に入れた名産品は名産博物館に飾ることができる。
    • 単なるコレクション要素かと思いきや、実際に装備できる上に神秘の鎧のような効果を持つ「オラクル屋ののれん」など意外と実用性のある名産品もあったりする。
    • 『VII』やPS版『IV』の「移民の町」と似た要素だが、名産品を全部集めても500Gしか手に入らない。純粋にVの世界観を楽しむためのやりこみ要素といえる。
  • 仲間と会話できるシステムが追加された。これによりSFC版では影が薄かったサンチョ、ピピンの個性がより深く出るようになった。
    • 特にピピンは普通の生真面目そうな会話や顔グラから想像できないほど内容があまりにも現実的、俗物的であり、多くのプレイヤーの笑いを誘い、「会話のためだけにピピンを入れた」という人も出たほど。彼の容姿もSFC版よりかなり変わっている。
  • SFC版では戦闘画面が殆どであったパパスの死の場面の演出が大幅に変化。
    • PS2版のみ直接されるがままに甚振られ続ける悲惨なシーンになっており、死の瞬間も非常に壮絶なものとなっている。
  • パパスとマーサの過去話が追加された。こちらはファンの多くが涙した感動シーン。
  • 序盤の終わりで負けイベントとも呼べる戦闘があるが、敗北してもゴールドが減らなくなった。
    • 二度戦闘があるのだが、SFC版では通常と同じ全滅扱いで二回分…つまり所持金が4分の1にまで減ってしまっていた。

問題点

  • SFC版『III』にあったすごろくが追加されたが、難易度が極めて高い。
    • 特に隠しである謎のすごろく場はとにかく落とし穴や振り出しに戻るが多い、旅の扉に何度も入らないといけない、ゴール手前で落とし穴ラッシュと、難しいというよりもはや理不尽の域に達しており、いい加減に作成された厨二すごろくと批判されている。
      • そして苦労して手に入れる賞品は隠し仲間モンスターなのだが、呪文やブレスの耐性がない上にレベルが上がるのが非常に遅く*1、成長も典型的な大器晩成型であるため、苦労にまったく見合わない。
      • このような難易度になった要因としては、直前に何回でもすごろくが出来るパスが景品となっているすごろくがあるからだと思われる。しかしそれでもちょっと…。
      • またこの隠しモンスターを仲間にしていないと、もう1匹の隠しモンスターも仲間に出来ないようになっている。そちらだけ欲しい、ということもできない。そしてこの隠しモンスターも、前述のモンスターと同じくレベルが上がりづらい、耐性が全くない、どころか初期ステータスはスライムと同じ。前述のモンスターはヘルバトラーと同じステータスなのでかろうじて使えるが、こちらはレベル60を超えないと足手まといもいいところ。99まで上げれば両者ともステータスは全キャラ最強なのだが…。
      • 最強のステータスを持つ両者だが隠しボスなどの追加は無く、どうにも育てる意義の薄いものになってしまっている。
    • 隠しばかり問題にされるが、2番目のカジノ船のすごろく場もかなり嫌がらせな配置。
      • 最初の階層の階段の手前に落とし穴、振り出しに戻る、回数-3が連続で配置されており、次の階層は旅の扉に止まらないといけない。大体が最初の連続配置を抜けるためにサイコロの回数が減らされて回数が尽きる。
      • そして苦労してゴールして手に入るアイテムは市販品
    • DS版では1~6の好きな数字を出せるマスが追加され、ある程度は修正されている。
  • これまでのDQリメイクは追加ダンジョン・追加ボスがついていたのが恒例だったので、それらが存在しないのを残念がるプレイヤーは多かった。
    • 暗黒世界のすごろく場は、元々は新たなダンジョン(魔界の塔)になる予定だったらしい。納期の関係で実現しなかったらしいが、これを残念がるプレイヤーは多く、発売を遅らせてでも追加して欲しかったという意見も多い。
      • なお、DS版においても魔界の塔の追加は無し。
  • 戦闘に関するバランス調整が雑。
  • SFC版からAIが大幅に劣化。SFC版では優秀すぎるレベルだったが「いのちだいじに」ではHPが8割も切っていないのにベホマを使うほど過剰、「ガンガンいこうぜ」でMP満タンの状態でイオナズンも使えるのにマグマの杖(使うとイオの効果)を使う、変なケチり方をする、防御力の高い敵にいてつく波動を使いまくるなど、今度は極端に頭の悪いAIになってしまった。
    • そのため、ミニデーモンなどの敵が使う「主人公の声真似で作戦変更」がかなり嫌らしい攻撃と化した。
    • 「めいれいさせろ」だと当然AIは関係ないので、自分で命令するのが好きな人はあまり気にはしなかった。というかそうしないことで縛りプレイの一種と認められるようになっている。
    • 残念ながら命令できないキャラ(ベラなど)はどうしようもない。
    • ちなみに、堀井雄二氏がVジャンプのインタビューで「今作のAIは賢いですか?」と質問を受けたことに対して「賢いというか、仲間らしさを表現しました」と答えている。
  • 「まんたん」コマンドも酷い。消費MP5で85回復するベホイミを覚えているにも関わらず、消費MP3で30回復するホイミを2回掛けたりする。誰が見ても一目で分かるほど馬鹿である。
  • レベルアップ時のステータス上昇が、SFC版では固定だったものが、PS2版ではランダム上昇に変更された。
    • やり込み派のプレイヤーにとっては、吟味に莫大な時間がかかるので、レベルアップ時のステータス上昇のランダム化は評判が悪い。
  • オリジナル版に比べ仲間にできるモンスターが増えたが、使えないモンスターが増えている面が多い。
    • 仲間モンスターの強弱の差が酷く、仲間に出来ると言っても使えない数増しモンスターが殆ど。これによって、誰を仲間にするか?で難易度が激変し、仲間と言っても本当に使えるモンスターは殆ど原作同様の固定メンバーである。ここら辺のバランス調整はある程度意図的なものであることは伺えるのだが、それに加えてリメイク版では下記の問題点が指摘されている。
    • ほとんどの新仲間モンスターは既存の仲間モンスターの成長率、経験値テーブルを流用し適当に組み合わせた物。それだけならまだしも、上限レベルや特技・耐性までも適当に決められたとしか思えないような雑な設定が多いので、ろくに使いどころのないモンスターが何体も。
      • 下手に装備グループを流用したため、炎の戦士が水の羽衣を装備できたり、ブリザードマンが炎の鎧を装備できたり(しかも逆ができない)という謎な設定になっていたりもする。
    • 加入時期が遅すぎてまったく使い道がないモンスターもいる。特におおねずみ、おばけキャンドル、ガップリン、ゴーストの4匹は「今更四天王」として名前が挙げられる。
      • ステータスから推測すると、層の薄い序盤の即戦力として追加された様子だが、序盤どころか中盤でも出会えず、終盤呆れるようなタイミングでようやく登場する。
      • これらはまだモンスターを仲間にできない幼年時代で初登場するモンスター。モンスターを仲間にできるようになる頃を境にそれまでと出現する敵が一部変更されるのだが、その変更によって上記のモンスターは序盤~中盤のフィールドからきれいさっぱり消えてしまう。つまり、このことを忘れて新仲間モンスターを決めていたとしか考えられない、なんともお粗末な話である。ちなみにこれはDS版でも修正されていなかった。
      • 一応ゴースト(最大LV99)など、終盤加入でもしっかりと育てれば結構強いモンスターがいないわけではないのだが…。序盤に仲間になればもっと役に立てていただろう。
    • PS版『IV』と同様、『VII』からモンスターが輸入され、それらを仲間にできるが、強力な呪文を覚える割にMPが非常に上がりにくくすぐガス欠になるなどの理由で使いづらい仲間となっている。
    • 念のため言っておくと使えない仲間しか増えなかったわけではなく、ちゃんと序盤の即戦力として活躍できるエビルアップルやおばけキノコ、なかなか起き上がらないが耐性もステータスも仲間になる時期に反して強い炎の戦士、序盤運よく仲間に出来れば最後まで活躍できるメタルスライム*2、育ち切ればエスターク戦で一線級の活躍が期待できるさまよう鎧など、強い仲間モンスターもちゃんといる。
    • 追加された仲間モンスターの名前(特にデフォルトに当たる1匹目)は安直なものばかり。
      エビルマスターが「エビルマ」、コロファイターが「コロファ」等、種族名から4文字取って語感を合わせただけ、というのが大半を占める。
      特にひどいのはおばけキャンドルの「おばドル」。不自然だとは思わなかったのか。
      • 一応、エンプーサの「キャシー」、さまようよろいの「サイモン」などフルアレンジもあるにはあり、またリメイク版では名前を変更可能であることは追記しておく。
    • また、既存のモンスターでもHPが飛躍的に底上げされて使いやすくなったはぐれメタル等、マイナス方面にばかり働いている訳でもない。
  • 「かしこさ」「うんのよさ」がほぼ無意味な死にステと化している事、敵に与える「どく」状態が無意味なこともSFC版から改善されていない。*3*4
  • キャラもフル3Dになったのだが、立ち止まっているときの足踏みにはかなり違和感がある。
    • シリアスなイベント中でも主人公たちがずっと足踏みをしているところを見ると、かなり滑稽である。立ち止まっているときは、足踏みさせずにキャラを静止させたほうが良かったのではないだろうか。

賛否両論点

  • ゲマの設定改編
    • 地上世界に君臨する「光の教団」の幹部でパパスを殺害し、主人公の人生をも大きく狂わせた怨敵。SFC版ではその長のイブールに忠誠を誓っているという設定だったが、今作ではミルドラースに忠誠を誓っている。
      • 青年時代前半の終盤、部下のジャミが主人公と妻を石化させるイベントがあるが、PS2版ではゲマ本人が行うようになっている。しかしそのせいで多数のツッコミどころが生じてしまっている。(参考
      • イブール戦後、唐突に現れてイブールを始末する。その後、エビルマウンテンで新規追加の戦闘をすることに。またマーサ殺害をゲマが行うことになったため、ミルドラースの貴重な見せ場が奪われてしまった。
      • しかしSFC版ではボブルの塔の途中で待ち構えてそのまま倒されて終わり、と重要なポジションにも関わらず中ボスのようなあっけない死に様であった*5が、本作では相応の報いを思わせる壮絶な最期となっている。
    • 「主人公の因縁の敵役としてキャラが立った」という意見もあれば「無理に登場させたせいで物語に矛盾が生じてる」という意見もあるなど、様々である。
  • 結果的に『嫁論争』を煽るような結果となった追加要素
    • SFC版では、フローラは青年期前半*6の間、レベル制限(10まで)と戦闘中命令不可の制限がかかっていたが、これが無くなった。
    • フローラとの結婚時、ルドマンから貰えるアイテムに、神秘の鎧、5000Gが追加された*7
      • 一方でシナリオ的には、SFCの頃はビアンカの方が優遇されており、ビアンカに比べて会話イベントが大幅に少なく、堀井雄二が「『DQV』発売当時はほとんどの人はビアンカを選ぶと思っていた」と語っているほど。
      • これに関して、「フローラに関する新規イベントが追加されこれまで以上に嫁選びに苦労するかも」との触れ込みだったが、肝心の新規イベントは、オープニングの船での僅かな交流のみであり、ビアンカに用意された既存のイベントとは比べるべくもない。
    • 逆にビアンカに関してはそもそもイベントや要素が一切追加されていない。
  • ビアンカファンにとってはフローラとのシステム的格差がさらに増加、フローラファンにとっては最も期待していたイベントの追加があまりに乏しくイベント格差がまるで是正されていないと、どちらにとっても中途半端な追加要素であり、SFC時代から続いていた不毛な嫁論争をさらにネガティブに煽る事になってしまった。
  • 「やまびこのぼうし」と「ときのすな」が入手不可能になってしまった。
    • いずれもSFC版ではかなり便利であった道具であり、これらを削られたことに不満を持つプレイヤーは多い。山彦の帽子に関しては強力すぎたから削除されて当然じゃないかという声もあるが、山彦の帽子以上に壊れた性能を引き出す「たたかいのドラム」という全員にバイキルトの効果を発揮するアイテムは続投している。
      • SFC版で既に打撃・特技偏重のバランスが批判されていたにも関わらず、打撃・特技偏重を加速させるような調整には疑問が残る。
      • やまびこのぼうしについては攻撃呪文の増幅ばかりが有用なわけではなく、スクルトやベホマラーなどといった回復・補助呪文の増幅も有用であった。とりわけ山彦ベホマラーは今作のダメージバランス的に非常に燃費が良いため、参加人数が4人に増えた今作で廃止された事には同意する意見が無いわけではない。ただ、それならば攻撃呪文の方も削除に見合った調整をして欲しかった所。
  • グラフィックは今までのドラクエとは違って完全3Dとなった。しかしその質に関しては「綺麗になった」と感じる人もいれば「安っぽいグラフィックになってしまった」と感じる人もおり、プレイヤーの感性によって評価は分かれる。

バグ

SFC版にあった数々のバグは修正されたが、新たなPS2版独自のバグが存在している。
中にはバグを利用して遊びの幅を広げられる有用なものもあり、SFC版共々バグ技を含めてドラクエ5と評されることも。

  • 本作で有名なバグはやはり、発売から程なくして見つかったオープントレイの裏技(通称:OT技)だろう。
    • 原理としては、PS2の蓋を途中で開けてそのままフィールドを移動すると、先のマップが読み込まれないため地形を無視して暗黒空間を移動し、本来ならその段階で行けない場所に行けてしまう、というものである。蓋を閉めると再びマップが読み込まれゲームに復帰できる。
    • 明らかにプレイヤーが意図的に行わないと発生しない現象なので、そこまで問題視はされなかった。というか、むしろそのようなバグのおかげで重婚が出来たり、パパス・ベラ・ヘンリーを最後まで使用できる、種を増殖して弱いモンスターをドーピングして最後まで連れ回せるなど新しい遊び方が出来てしまったため、現在ではひとつの遊び方として定着している。
      • ただし当然ながら本来想定されていないプレイ方法であるため、場合によっては変な場所でハマって動けなくなったり、イベントフラグの異常でゲームがフリーズしてしまうことも多々ある。だが発見直後からこの技に魅せられたプレイヤー達によって地道に研究が重ねられ、現在はフリーズしないためのイベント進行手順やキャラ増殖など、OT技に合わせた各種攻略ルートまで確立されている(勿論本来のストーリーの流れはぶち壊しに)。
    • このオープントレイ技を使用することで幼年期にもモンスターを仲間にすることが可能になるのだが、これにより本来のプレイでは加入時期が遅すぎて「今更四天王」などと呼ばれた弱小追加モンスターが、このプレイに限っては一転強力な仲間モンスターとして大活躍できる事態となる。特におおねずみは序盤のエースとなりうる性能。妖精の世界で加えられるガップリンもその時点ではかなりの強さを誇る。
      • この奇遇にも噛みあってしまった幼年期新仲間モンスターの配置から、OT技が意図的に仕込まれたものではないかと言われることもあるが、真相としては、前述のように幼年期と青年期のモンスター出現テーブルが異なる事に起因するものであろう。幼年期にモンスターが仲間に出来れば、この問題点が解決する訳である。
    • このOT技を応用し、スティックバグ(地形すり抜けショートカット)や、内部データに残されたデバッグモードに行く方法なども発見されている。ついには幼年期のままエンディングに向かうルートまで発見された*8
  • ふくろのカーソルずれを利用したアイテム増殖技やアイテム空売り(金増殖)が存在する。
    • こちらも意図的に実行するとゲームバランスを激しく損ねるが、操作が簡単なため意図しなくても稀に事故で起こることがある。
    • ゲームが有利になるものの、本来1つしか取れないはずの重要アイテムを増やすとやはり進行不能に陥る場合もある。
  • オラクルベリーで「セーブデータ再開からカジノの台にたどり着くまで最短距離で移動する」ことで、スロットの出目をある程度固定し、カジノの大当たりを意図的に狙うことができる(いわゆる電源パターン)。
  • ダンジョンでトヘロスを唱えても「こうかがなかった」と出るが、実際には効いている。
    • ただし効果があるのかどうかはレベルによるので、レベルが足りていない場合は本当に「こうかがなかった」。
  • 毒の沼地対策等の移動中に使うトラマナが、戦闘に入ると効果が消えてしまう。その為、使用直後にモンスターに遭遇した場合など、完全に意味がなくなってしまう。
  • ある毒の沼地で、沼地から移動すると、フィールド、海の移動中にも毒のダメージ音が鳴る。

総評

ゲームとしては充分良作だが、前述の問題点がSFC版への思い入れが強い人に抵抗を与えるなどの賛否を招いてしまっている。
とはいえ総合的なリメイク作品としての品質は十分であり、とりわけ原作で問題とされていたビジュアル面の強化による恩恵はとても大きい。
またやりこみ要素はかなり増えており、肝心の戦闘テンポも良いため、やりこみプレイヤーや新規ユーザーからも好評である。
結果としては原作の粗の多さをほどよく無くし、完全版として生まれ変わった良リメイクと言える。

その後の展開

  • スクエニに合併してから初のドラクエという事も影響したのか、今作はリメイク作品としては異例ともいえる161万本の売り上げを記録した。
    • 発売当時は前時代的なグラフィックなどが原因となり今一つ人気を得られなかった原作の評価が、時間が経つにつれ見直されていったことを裏付ける記録となった。
  • 2008年、DSで2回目のリメイクが行われた。
    • AIの改善や時の砂の復活、一部難易度調整や嫁の追加等が行われたが、基本的にはPS2版と変わらない。
    • ただし、旧作のバグはほぼ全て修正され新たなバグもほぼ無いため、SFC版やPS2版のようなバグを利用した奇怪なプレイはできなくなっている。
    • SFC以来のプレイヤーは追加要素に驚いたものの、PS2版をプレイしていたり山彦の帽子復活を期待していたプレイヤー等は肩透かしを喰らう事に。上記の謎の塔のダンジョンも結局追加されなかった。
    • だがこのベースとなったPS2版自体が既に十分な出来であるため、実際のところ評価は引き続きかなり高いものとなっている。
    • すごろくは好きな目が出るマスの追加、落とし穴や振り出しに戻るの減少など難易度が下がったが、「元々が極悪すぎた」と批判があったため、むしろ当然と言われた。
    • また新しい嫁キャラであるデボラは、その容姿と発売前情報での言動などから、「堀井がついに狂った!」と騒ぎになったほどで、購入当初も拒否反応を起こすプレイヤーが多かった。しかし現在では会話の中でその魅力がいかんなく発揮されていること判明し、名キャラクターとして知られている。
      • 基本的にはどちらも一長一短なので、プレイヤーの好みによって選ぶといいだろう。
  • 続編のIXでV主人公の姿になることが出来る装備品が登場している。

余談

  • 本作品と無関係の浅野智也氏はこれに感銘を受け、『FFIII』のリメイクを製作することとなった。そちらも本作と同じくマトリックスが担当している。こちらも良リメイクと評判である。
    • しかし2010年にDSでリメイク発売された『ドラゴンクエストVI』では「やまびこのぼうし」は消去されなかったが、別件でのユーザー不満を生み出した。
  • PS版DQ4と同様に、ストーリー・キャラ設定にアクのある変更や追加等がされた、DQとしては異質なリメイクであり、ファン同士の議論になりやすい。