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SILENT HILL 4: THE ROOM
【さいれんとひるふぉー ざ・るーむ】
ジャンル
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ホラーアドベンチャー
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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コナミ
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開発元
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コナミコンピュータエンタテインメント東京
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発売日
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2004年6月17日
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価格
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7,329円(税込)
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廉価版
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コナミ ザ・ベスト:2005年6月9日/2,800円 コナミ殿堂セレクション:2010年1月28日/1,890円
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配信
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ゲームアーカイブス:2012年10月17日/1,234円(税込)
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判定
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良作
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SILENT HILLシリーズリンク
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概要
サイレントヒルシリーズ4作目。
シリーズのマンネリ化を防ぐため、舞台設定や戦闘システムなど、様々な面で大幅なモデルチェンジが図られた作品。
因縁の地であるサイレントヒルを舞台としない、いわば外伝的な作品ではあるが、シリーズが培ってきた世界観は保持されている。
ストーリー
サウスアッシュフィールドハイツ302号室の住人、ヘンリー・タウンゼントに異変が起きる。
毎晩悪夢を見るようになり、そして部屋から出られなくなってしまった。
ドアが開かないのはもちろん、窓や壁さえも壊すことができず、電話も通じない。
部屋から出られなくなって5日目、浴室の壁に突如巨大な穴が開いた。
ヘンリーはこの穴を通じて、部屋からの脱出を試みるが……
シリーズ他作品との相違点
世界観
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舞台がサイレントヒルの街ではなく、主人公ヘンリーもシリーズ作品の主人公たちと関連を持っていない。これにより外伝的な位置付けが明確にされている。
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ただし、『2』に名前のみ登場したウォルター・サリバンが物語のキーパーソンである、サイレントヒルを支配する「教団」の存在が物語の根幹にあるなど、過去作で築いたサイレントヒルの世界観はしっかりと受け継がれている。
システム
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シナリオ構成が一種の「面クリア型」になった。部屋の穴から異世界へ侵入し、そこでの出来事を切り抜けて自室へ帰還、また別の異世界へ……という流れでゲームが進む。
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異世界の随所に横穴が存在し、そこからいつでも自室に戻る事が出来る他、再度異世界へ侵入すると横穴に入った地点から再開となる。時には探索を進める為に自発的に自室に戻る必要もある。
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移動操作が2Dで固定。過去作までは基本的に3Dの移動操作(いわゆるラジコン操作)であり、オプションで2Dに変更可能だった。
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アイテム所持数に上限がある。すぐに使わないアイテムは、自室のアイテムボックスに保管する必要がある。
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回避動作の追加。プレイヤーキャラの向きを固定したまま、ステップで素早く移動できるようになった。
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無敵時間を持つ攻撃の追加。打撃武器は攻撃ボタンを長押しすることで溜め攻撃ができ、そのモーション中は無敵になる。これを利用して敵の猛攻をごり押しで突破することも可能。
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ヘンリーが過去作の主人公より軽快に動けることも手伝って、「一般人が不慣れな武器で異形のクリーチャーに立ち向かう」という、サイレントヒルならではの戦闘の苦しさ・重さはかなり軽減されている。シリーズ作品のプレイヤーならばすぐに体感できる変更点であり、軽快なステップから無敵の打撃で怪物を叩きのめす主人公をどう見るかで、賛否の分かれやすい点でもある。
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ノイズで敵の存在を知らせる携帯ラジオの削除。もっとも幽霊など危険な敵が近くにいるとBGMが変化するのであまり問題はない。
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携帯ライトの削除。ステージそのものが比較的明るく、真っ暗闇の中を探索することがあまりないため。
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拠点となる自室では主観視点での操作となる。セーブポイントやアイテムボックスもここに存在する。中盤までは自室に戻れば体力が徐々に回復する。
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ストーリー進行に応じてイベントも発生する。また、玄関の覗き穴や窓から外の様子が見られる他、壁に開けられた穴からヒロインの部屋を覗き見する事も出来る。
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後半には体力が回復しなくなり、怪奇現象が発生するようになる(後述)。
敵
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絶対に倒せない敵「ゴースト」の追加。
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本作の異変の元凶である儀式の犠牲者たちが亡霊となったもの。うち4人は特に強力な悪霊と化しており、ボスゴーストと通称されている。
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接近されるだけでダメージを受け、逃げても壁や床を抜けて追いかけてくる。
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他のクリーチャーとは違い、HPをゼロにしても一時的に行動不能になるだけで、しばらくすると復活する。ダウンさせて封印アイテム「帰服の剣」を使うと床に刺し止めておくことができるが、「帰服の剣」は5本のみと数が限られている。
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ゴーストは物語にも密接に関わる。主要な人物の多くは、異世界でヘンリーの前に現れては怪死を遂げ、ゴーストとなって立ち塞がる。新たなゴーストが生まれるごとに、物語は終極へと近付いてゆく。
評価点
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ストーリーがかなり奥深い。他のシリーズ作品にも負けず劣らずの奥深さで、演出も良好。
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過去作と同様に、陰惨で狂った世界の根源には、悲しみに満ちた真相がある。
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秀逸な恐怖演出。
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作中共に行動することになる隣室の住人アイリーンは、攻撃を受けたり敵のいる部屋に放置されることで「浸食」が進む。浸食が進むに連れてアイリーンの姿は痛々しく変わってゆき、ヘンリーを叩く、意味不明な言葉を口走るなど、行動にも狂気が増してゆく。浸食が最終段階まで進むと、体はうごめく血糊のようなアザに覆われ、近くにいるだけでヘンリーがダメージを受けるほどに汚れてしまう。
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ヘンリーと共に行動することで浸食度が低下する。
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『2』のマリアとは違い、ライフが尽きても一時的にダウンするだけで死亡する事は無いが、「浸食」が大きく進んでしまう。この辺りもゴースト化しつつある事を伺わせる。
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唯一の安息の場所である自室も、物語の進行につれて浸食されていく。後半からは体力の自動回復が出来なくなり、「壁からゴーストが現れる」「窓を見ると人の生首が落下する」「ソファーに血がつく」「時計の針が高速で回る」「蛇口から血が流れる」などの様々な怪奇現象が起きるようになる。
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発生している怪奇現象に近づくと嫌なBGMと共に少しずつダメージを受けるが、特定のアイテムを使うことで除霊することが可能。
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モンスターのデザインも過去作に負けず劣らず。
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特に水牢で登場する「ヴィクティム07+08」は評価が高い。二つの頭を持ち黒い布に身を包んだクリーチャーで、足はなく長い両手で素早く移動する。なお、二頭の顔が子供のものであることが暗示するように、悲劇的な出自を持つ。
不評点
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初見殺しの要素があまりにも多い。
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ストーリー中で入手するあるアイテムは、持っていても何の効果も無いが、アイテムBOXに入れると怪奇現象発生時にアイテムを収納できなくなる。そのため常に持ち歩くことが必要とされる(必然的に持てるアイテム数が減る)。
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最初から入手しなければ後々悩まされる事も無いのだが、初見ではそんな事など判りようも無く、事前情報が無ければキーアイテムかと思ってまず入手してしまうだろう。
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アイリーンや自宅の浸食は一見何の意味があるのか分かりにくいが、実はエンディング分岐に関わっている。
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ボスゴーストは「帰服の剣」で封印しておかないと後のエリアにまで出現する。特に「ヴィクティム16」の出現頻度は執拗の一言。
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知らずにボスを放置したり、適当なザコゴーストに「帰服の剣」を使ってしまうと後で泣きを見る事に。場合によっては複数のボスに袋叩きにされると言う目も当てられない惨状になりかねない。
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「帰服の剣」は5本中2本はボスゴースト登場前の物語前半で入手する為、後に強力なボスが居る事を知らなければザコ相手に使ってしまう可能性は十分ある。
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また、「帰服の剣」も判りにくい場所に配置されているものもあり、十分な数が集まらない可能性も。
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銃が役立たずになっている。
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まず、本作は打撃武器が銃に比べて強い。
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さらに、銃の弾丸が1マガジン分で一枠使うようになってしまっているため、銃を用いると持ち物を圧迫する。
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1マガジンで倒せる敵はせいぜい2~3匹であり、持ち物枠全てを弾丸で埋めてもあっという間に弾切れになってしまう。
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また、登場する銃器は全て拳銃であり、銃に「遠くから攻撃できる」以外のメリットがないのも拍車をかけている。
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アイリーン専用武器としてサブマシンガンは存在するが、高評価のクリア報酬である隠し武器であり、しかも使うと「浸食」が進んでしまう代物。
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ただ、「銀の銃弾」はボスゴーストすら一撃でダウンさせるほどの高威力を誇る。2発しか存在しないが。
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前半は栄養ドリンクやアンプルといった回復アイテムが少ないため、苦戦しがち。一方で後半はかなり多く配置されているため、バランスが悪い。
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前半では自室に戻れば体力が回復する為だが、その説明は無い。
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ギャグエンドが一切存在しない。
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これまでのシリーズでは「UFOエンド」を始めとする世界観無視のギャグエンドが隠されている事がお約束となっていたが、本作には無い。その為に本作に低評価をつけるプレイヤーも多いほど。
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その理由かは不明だが、前作『3』のUFOエンドで「もうUFOエンディングとか飽きちゃってるんじゃないのかい」と言う台詞があった。
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それに対し、スタッフ達は「飽きたー!」と叫んでいたが、実際のプレイヤーの方は飽きるどころか更に求めていた訳である。
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この反省からか、本作以降のシリーズ作品には(アーケード版も含めて)例外なくギャグエンドが収録されている。
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なお、没データの中には過去シリーズでUFOエンドのフラグとなっていたアイテムデータの存在が確認されている。
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マップの代わり映えがしない。
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ゲーム序盤に訪れたマップをゲーム後半に再び訪れることになるため、新鮮味にやや欠ける。一応、アイリーンと同行、部屋の侵食、ボスゴーストの存在など、飽きさせない工夫をされてはいるのだが。
総評
マンネリ打破のために様々な部分を改変した作品だが、シリーズファンの一部からは新要素を主な理由とする低評価を下されている。
とはいえ、単独のゲームとしては良作と呼べる仕上がりで、シリーズの他作品と比べても見劣りするものではない。