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エースコンバット・ゼロ ザ・ベルカン・ウォー - (2012/02/24 (金) 18:18:15) の編集履歴(バックアップ)


ACE COMBAT ZERO THE BELKAN WAR

【えーすこんばっとぜろ ざべるかんうぉー】

ジャンル フライトシューティング
対応機種 プレイステーション2
メディア DVD-ROM 1枚
発売・開発元 ナムコ
発売日 2006年3月23日
定価 7,140円
プレイ人数 1~2人
備考 PlayStation2 the Best:2006年12月7日発売/2,800円
エースコンバットシリーズリンク


<<よう、相棒。まだ生きてるか?>>


ストーリー

ベルカ公国―かつての雄武国家。
1980年代、行き過ぎた国土拡張政策は公国を経済危機へと陥れる。

連邦法改正による国土縮小計画をもってしても未曾有の経済恐慌が収束することはなく、混乱に乗じて正統国家復古を掲げる極右政党が政権を獲得する。

1995年3月25日、元ベルカ自治領ウスティオ共和国に眠る膨大な天然資源発見の報を機に、ベルカ公国は周辺国への侵攻作戦を開始する。

「ベルカ戦争」の開幕である。

準備不足の各国は、伝統のベルカ空軍の前に敗走。隣接するウスティオ共和国は、数日でほぼ全土を占領下におかれる。

ウスティオ臨時政府は、残された第6航空師団を外国人傭兵航空部隊として緊急再編。オーシア連邦、サピン王国との連合作戦に一縷の望みをかける。
この戦乱化、あなたはウスティオ傭兵部隊へ入隊。そこで、「片羽の妖精」の名を持つ腕利きパイロットと出会う。
彼のTACネーム、"ピクシー"。

入隊間もない、1995年4月2日1249時、ウスティオ最後の砦、ヴァレー空軍基地にスクランブルが響く。
基地管制塔はベルカ爆撃機編隊の接近を確認。

要撃任務を託された二つの翼が今、戦線に舞い上がる。

※取扱い説明書より。


概要

  • 『04』『5』に続いて発売されたPS2三部作最後の作品。『5』作中において登場した“ベルカ戦争”を舞台としている。すなわち時系列としては前作、前々作よりも過去に位置している。プレイヤーはウスティオ空軍の傭兵パイロット“サイファー”となってベルカ戦争を体験することになる。
  • 作中に登場する単語には一部共通項があり、ベルカ絶対防衛戦略空域B7R、通称「円卓」、防衛型化学レーザー兵器「エクスキャリバー」、Wizard、Pixyといった各機のコールサインなど、アーサー王伝説が隠れたモチーフとなっている。

システム

  • ミッションは全18ステージ。『04』と同じぐらいである。
    • ASG(エーススタイルゲージ)という指標が導入されている。これはプレイヤーの戦闘に対する志向をあらわすもので、必要最低限度の攻撃目標のみ撃破、救援要請の完遂、傷ついた敵機を見逃すなどのプレイスタイルをとれば“ナイト”、容赦なく片っ端から撃破していけば“マーセナリー”、どちらもほどほどに抑えれば中庸の“ソルジャー”と変化する。またASGの度合いによって一部ミッションの内容が変化するようになっている。
  • 撃破したエースパイロットのプロフィールを閲覧できるアサルト・レコードというモードが実装されている。人柄、国籍や、作中のみならずその後の歩みまでもうかがい知ることができる。その総数、実に168機。これを集めるのも楽しみの一つ。
  • 前作と違い今回の僚機は“ピクシー”ことラリー・フォルクが乗るF-15一機(後半にはピクシーに代わりPJが乗るF-16が僚機となる)。ただし2連続でミサイルを撃つようになり、敵の撃破率は上昇している。
    • 僚機に対する指示も改善されており、分散行動時に対空、任意、対地と細かく行動が指定できる。
  • いくつかのミッションは『5』と同じ場所を舞台としている。前作をプレイした人間には嬉しい演出。
  • また、セーブデータのオートロード機能が実装されたのも本作から。

エースパイロット

  • 今作には超兵器以外にもボスクラスの敵が登場する。それが数々の敵エース部隊である。今作を象徴するこれらの敵は『04』『5』と比較して空戦機動がかなり改良されている上特殊兵装も使ってくる為、過去作と同じ感覚で戦うと苦汁を舐める事になる。空戦の歯ごたえではシリーズ屈指の出来。
    • 歯ごたえがありすぎて、初めて敵エース部隊と戦うことになるミッション3で(低難易度にも関わらず敵エース部隊を倒せず)詰まったというシリーズ初心者の声が聞かれたほど。
  • ミッション間に挿入されるムービーはすべて実写となっている。外国人俳優が演ずるエースパイロットに当時の思い出をインタビューという形で語ってもらう方式である。主人公との戦いが人生の転機となった者、追われる身となった者、ただ空を愛する者とエースたちの実情も様々。感動間違い無しの最後は一見の価値在り。
    • ボーナスステージでは特定の条件を満たすことで04に登場した『MOBIUS』の駆るF/A-22Aと戦うことができる。その機動たるや人外の域に達しており、やり込みの相手として申し分ない強さを誇る。
      • 前述の強い敵エース達が子供に見えてくるレベルのとてつもない超機動は必見。

機体

  • F-2、F-15、F-22、Su-37などといった基本どころは引き続き登場。今回はF-1、J-35Jといった玄人好みの機体が追加されている。また『04』『5』のデータがあるメモリーカードを使用すると隠し機体である『04』のX-02、『5』のADF-01が最初から使用可能(データが無くても条件を満たせば使用できる)。
  • 機体・特殊兵装は恒例の通りミッションで稼いだ資金で購入する。今回は『2』以来久々の“傭兵”という設定なのでシステムとも上手くマッチしていると言える。

ミッション

  • 『04』の“ソラノカケラ”にも引けを取らない大空戦“B7R制空戦”など評価の高いミッションが多い。
  • 最終ミッションの演出は、BGM、シチュエーションの相乗効果もありシリーズ屈指の出来と称えられている。

BGM

  • 『04』以降のフルオーケストラも健在だが、今作ではフラメンコの要素が取り入れられている。熱く掻き鳴らされるギターと激しくビートを刻むカスタネットのパーカッションがストーリーに情熱的な色取りを添えている。
    • 特に最終ステージのBGM「ZERO」は『5』の「The Unsung War」や『6』の「Liberation of Gracemaria」と並んでシリーズ中トップクラスの人気を誇る。メインテーマ曲となっておりアレンジされた曲が本作のあちこちで流れる。
    • また、ラストミッションで流れる「ZERO」のコーラス部分は前作の「The Unsung War」を使用してる、一部のコーラス歌詞は違うのだが。
  • これをプレイしてから『5』のラストミッションThe Unsung Warをプレイするとコーラスの歌詞の意味が理解できる。

問題点

システム関連

  • 僚機の機体選択はできない。特殊兵装を選べる分目を瞑る事はできるか?
  • PJが異様なまでに対地攻撃をしない。無抵抗の地上目標の上を5往復して一射もしないなんて事もザラである。大抵はプレイヤーが先に潰すだろうが…。
    • あろう事かPJの固定乗機であるF-16の特殊兵装3つの内2つは対地兵装である為、実質PJがまともに使える特殊兵装は1つだけと言う事になる。逆に言えば「空に集中してくれる」ので、この特性さえ分かっていれば「空は任せて自分は対地」という戦術をとるのもよいだろう。

ミッション関連

  • 一定時間内に得点を稼ぐタイプのミッションでは、得点数が一定以上で即クリアとなる仕様となっている。目標達成・殲滅完了後も待つ事がなくなりスピーディーになった反面、「制限時間内にどれだけ撃破するか」といった遊び方ができなくなっている。
  • シリーズお馴染みの超兵器があんまり活躍していない印象。最後のボスを除いてエクスキャリバーは見せ場がある方で、フレスベルクなんてミッションの初めでプレイヤーの基地を奇襲したと思ったらそのミッションであっさり撃破される。もう少し猛威を振るっている描写があっても良かった所。
    • 前述の通り今作には超兵器以外にもエース部隊が多数登場し、フレスベルク戦でもその内の1つが猛攻を仕掛けてくるため、と考えると少しは納得できる。

ストーリー関連

+ ネタバレ
  • ラリー・フォルクの行動に説得力が欠ける。彼はストーリー後半で反体制テログループ「国境なき世界」に加担しプレイヤーと敵対する。以前は<<血で血は止められない。理想で空を飛ぶと死ぬぞ>>とPJをたしなめておきながら、自分は「国家という枠組みを消し去り全てをゼロからやり直す」という理想を掲げて敵対するので矛盾が否めない。
    • まあ最初から「自分が理想を掲げている事に気付いていないピクシー」を狙って描いたのかもしれないし、ゲームクリア後にアサルト・レコードを見ると彼が他ならぬベルカ出身である事が分かり、故郷が蹂躙される事に心を痛めていた心情も理解できる所はある。
      • 実際、ベルカ都市部での戦闘を経ておかしくなり始めるので、色々察することはできなくもない。
  • ベルカ戦争が舞台という事で『5』で語られていたバートレットや「おやっさん」ことウォルフガング・ブフナーのエピソードが語られる…と見られていたのだが殆どストーリーに関わらず、ステージ上のユニットとして登場するだけである。「ベルカがいかにして自国内で核を起爆させるという凶行に至ったのか?」という経緯もゲーム上では殆ど分からない。
    • 只、今までの作品では終盤の目的だった「首都奪還」が序盤で行われ、以後プレイヤーに与えられる任務は核兵器査察と称したベルカへの侵攻・破壊となるなど、ラリーの「国境なき世界」加入やベルカの自国内各起爆の理由について察する材料は皆無ではない。

総評

あらゆる面で一定以上の水準を満たしており、問題点も無視できるレベルである為十二分に良作といえる。ファミ通ではプラチナ殿堂入りまでしている。