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ペルソナ3 - (2019/05/19 (日) 07:48:53) の編集履歴(バックアップ)


このページでは『ペルソナ3』とそのアペンド版『ペルソナ3 FES』、またP3の移植版である『ペルソナ3 ポータブル』について紹介する。判定は全て良作。



ペルソナ3

【ぺるそなすりー】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 アトラス
発売日 2006年7月13日
定価 6,800円(税別)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
判定 良作
女神転生シリーズリンク

概要

  • アトラスの代表作ともいえるRPG『真・女神転生』からの派生作品の1つであるペルソナシリーズの3作目で『ペルソナ2 罰』から6年ぶりの新作。
  • 『真・女神転生III』の制作チームが中心となって開発した。そのためか同作品のシステムが踏襲されていたり、グラフィックモデルが流用されていたりする。
  • キャラクターデザインは金子一馬から副島成記へ変更*1され、世界観・システムもこれまでのペルソナシリーズのものとは一新、学園生活を送りながらイベントをこなしていくというものになっている。
    • 戦闘システムは『真・女神転生III』で採用されたプレスターンバトルの派生形である「ワンモアプレスバトル」を採用している。
    • 音楽のメインコンポーザーは、『真・女神転生III』のメインコンポーザーでもあり、『女神異聞録ペルソナ』でも一部作曲を担当していた目黒将司氏が担当している。

ストーリー(『P3P』ゲーム説明書より)

幼い頃に事故で両親を失い、親族に引き取られて郊外へ移り住んでいた主人公。
家庭の事情で高校を移る事になり、10年ぶりにかつて居た街を訪れる事になる。

だが、入居した学生寮が怪物の襲撃を受けた事で、図らずもペルソナを覚醒する。
その能力を見込まれる形で、同じくペルソナ能力を持つ仲間たちから、世界の裏に横たわる真実について知らされることになる。

世界の真実――
1日と1日の狭間に隠された時間が存在すること。
そこに棲むシャドウと呼ばれる怪物。
そしてシャドウが精神を食らうことによって、人間が次々と口も利けないほどの無気力状態にされてしまう事実。

実は、舞台となる“私立・月光館学園”の裏には、学園理事長である幾月修司の管理の下、ペルソナ能力者を1つの学生寮に集める形で特別課外活動部が結成されていた。
目的は「シャドウの被害から人々を守ること」。
主人公はその一員として戦いに参加していく事になる。


特徴

  • 雰囲気の一新
  • 概要の通り、『異聞録』『2』で見られたオカルト的でおどろおどろしい雰囲気は薄まっている。特に後述するコミュ育成に付随する雰囲気は、むしろ明るいくらいである。
    • ただし作品全体がライト方向にシフトしたわけではなく、ストーリー本編ではメガテンらしいダークで救いのない展開が待ち受ける。
    • 本作の敵は悪魔ではなく、「シャドウ」と呼ばれる仮面をモチーフにした怪物である。そのデザインはそれまでの悪魔とは違った不気味さを持ち、ダークな雰囲気を盛り上げる。
  • 全体的な雰囲気は変わったが、『罰』以前の作品を連想させる要素も随所に存在する。
    • 「タルタロス」という名のダンジョン、およびラスボスの元ネタは『女神異聞録ペルソナ』の「雪の女王篇」へのオマージュである。小さい点ながら「影人間*2」「シャドウ*3というキーワードも元々は『2』で作られた言葉である。
  • コミュニティシステム
    • 通称「コミュ」。主人公は毎日学校に通い、イベントをこなしてキャラとの好感度を上げて親交を深めていく。本作はどちらかといえば学園での日常生活に重点が置かれており、これにプレイ時間の大半を費やす事になる。
      • 平日と休日でキャラクターたちの生活パターンは異なるし、年中行事やテストといった時事イベントもある。
    • コミュにはランクがあり、交流を重ねると成長する。育っていくと、ランクに応じてRPGパートで使用するペルソナを作成した際に、経験値をボーナスとしてプラスしてくれる。
      ランクが最大になると、通常では作れない強力なペルソナを作る為のアイテムが手に入り、合体が解禁となる。
    • RPGというジャンルでこういったシステムを前面に押し出すのは異色であり、ときに「恋愛アドベンチャー」「ギャルゲー」と揶揄される事も。
      • しかしながら好評だったことも確かで、次回作『ペルソナ4』や、「コープ」と形を変えて次々回作『ペルソナ5』にも導入されている。

評価点

  • コミュシステム
    • 親交度を上げると、度合いに応じてキャラクター達が悩みを打ち明けてくれるようになる。かなり突っ込んだところまで吐露してくれるので、よりキャラクター達に感情移入することができる。
    • コミュを育てる事は単なる寄り道やおまけ要素ではなく、上記のようにゲーム進行の助けになるシステムであるため、安心してのめり込める。
    • 特に女性キャラは恋愛に発展し、本編とは違った魅力的なしぐさをとってくれる。
  • キャラクター・シナリオ
    • キャラクターたちは、高校生という年代特有の未熟さや青臭さが前作以上に大きく演出されており、より人間くささが増している。
    • 仲間達には皆トラウマである暗い過去があり、時にはお互いへの八つ当たりや失言といった不安定さを見せる事もある。最初はそういったギクシャクとした関係が続いていくが、一人一人が次第にそれを乗り越えて心を開き成長し、団結してゆく姿は今作独自の魅力である。
    • 続編『4』は比較的和気藹々とした雰囲気であるが、本作『3』は仲間同士がトラウマをお互いにぶつけあい、傷つきながら前に進んでいくというもの。どちらが優れているということではなく、それぞれ異なる魅力を持っていると書くべきであろう。*4
  • シナリオも、トラウマを乗り越えて絆を深めたキャラクター達がいずれ人に訪れる「死」に立ち向かっていくという展開になっていく。
    • 特にラストバトル後~エンディングまでの展開は、上記のコミュニティシステムを最大限まで利用した演出が組まれている。
  • バトルシステム
    • 今作の「ワンモアプレスバトル」は、『真・女神転生III』に登場した「プレスターンバトル」をアレンジしたものである。
    • 真IIIの「プレスターンバトル」は敵の弱点属性を突いたりクリティカルヒットを与えたりすると味方チームとしての行動回数が増える(逆に無効化されたりミスしたりすると行動回数が減る)というものであった。今作の「ワンモアプレス」は、敵の弱点属性の攻撃やクリティカルヒットを与えるなどして敵がダウンするとダウンさせたキャラクター自身がもう1回追加行動でき、そこで再度他の敵をダウンさせればさらにもう1回行動でき…というものとなった。
    • うまく攻撃すればどんどん連続行動を繋いで敵を圧倒することができ、爽快感が高い。また敵を全員ダウンさせると耐性無視で大ダメージを与える「総攻撃」を行える。どのようにして総攻撃を狙うかという戦略性もある。
    • また味方にも弱点があり*5敵に弱点をつかれたりクリティカル攻撃をうけたりすると敵が追加行動を行えるようになってしまう。今作は主人公が戦闘不能になった時点でゲームオーバーのため、敵の追加行動による集中攻撃であっという間にゲームオーバーになることもあり得るなど、ほどよい緊張感ももたらしている。
  • 音楽
    • ポップ調のボーカル曲は、ゲーム音楽とは思えない斬新なもの。楽曲ひとつひとつの完成度も高い。
    • OPは「音楽PV」を意識したムービーでとてもスタイリッシュ、曲も好評。
    • 通常戦闘曲「Mass Destruction」は、Lotus Juice氏のラップと川村ゆみ氏のボーカルによるノリノリの曲で、ユーザーに大きなインパクトを残した。
    • 特にラストバトルで流れる「全ての人の魂の戦い」はベルベットルームのテーマのアレンジとなっており、非常に高い評価を得ている。
      • ゲーム全編を通してボーカル曲を用いるというのも当時としては革新的だった。このような方向性は『4』や『Persona』でも受け継がれた。
      • ボーカルは戦闘中に耳障りになることがない絶妙な音量バランスとなっている。
    • また日常生活の明るい雰囲気、ダンジョン探索時や敵との戦闘での雰囲気といったメリハリも付いており、演出面での評価も高い。
      • サウンドトラックもゲームのCDとしては多くの売り上げを記録している。
    • EDの「キミの記憶」も春と別れを意識した曲で物語の締めにぴったりで高評価。
  • ボイス
    • 女神異聞録ペルソナ』、『ペルソナ2 罪』、『ペルソナ2 罰』におけるボイスは、一部のイベント、ムービー、戦闘程度でしかなかったが、本作からイベントも含めてフルボイス化された。
      • その一方で、ボイスのエコー演出は廃止された。
  • 引継ぎ要素の豊富さ
    • 2周目以降に主人公のレベル、ステータス(学力、勇気、魅力)、所持金、ペルソナ全書、装備品などが引き継げ、強くてニューゲームが行うことができる。
  • モブキャラ・サブシナリオの豊富さ
    • モブキャラ達は単なる会話だけでなく、そのキャラクターのサブストーリーが一年に渡って語られる。
    • 「ストーカー女子」や「担任が嫌いな小学生6年生女子」などなかなか奥が深いサブシナリオとなっている。
  • 小ネタ
    • テレビの内容などに過去作のキャラと思わしき人物の様子が映し出されている。往年のファンにもニヤリとさせる描写がある。

賛否両論点

  • 作風の従来作からの大きな変化
    • 先述の通り、『真・女神転生』ナンバリング作品や前作『2』までに見られたオカルト的雰囲気は鳴りを潜め、やや学園ファンタジー寄りの作風となった。また男女問わず友人との絆を深める「コミュニティ」がシステムの中心に据えられ、必須イベントではないものの女性キャラクターのお色気描写や男女関係の演出も含まれるなど、これまでの女神転生やペルソナとは異なる雰囲気が生じた。
    • 従来作のファンや恋愛描写が苦手な人を中心に、今作の作風は「同人ゲーム臭」「ライトノベル感」に溢れ断じて受け入れられない、という人は多かった。
      • 戦闘システムにおいても「敵が悪魔ではない(故に交渉も存在しない)」「ペルソナチェンジは主人公以外不可能」「主人公が死ぬと仲間が存命でもゲームオーバー*6」といった仕様に戸惑ったシリーズ経験者は多かった。
      • チュートリアルも『真・女神転生IIIマニアクス』の「ドSチュートリアル」*7から一転、オープニング~初期タルタロスはお節介な程丁寧に作られ良くも悪くも「万人向け」であり、訓練されたファンは「シリーズならではのセンスが無くなった」と嘆いたとか。
    • 一方、それまでのメガテンではありえなかった作風にシフトした今作、および今作の作風を正統に継承した後継作『4』によって新たな、そして大きなファン層を獲得したことは紛れもない事実である。以後ペルソナシリーズの販売は本家『真・女神転生』ナンバリングシリーズを超えるまでに伸び、アトラスの看板作品にまで上り詰めた。メディアミックスも非常に盛んになるなど、シリーズはおろかアトラス自体の新たな活路を見出すことにさえ成功したといえる。
    • 以上のように、本作における方針転換は「販売戦略」としては紛れもない大成功であったと言い切れるレベルのものだが、作風に関するプレイヤーからの評価は賛否両論分かれるところとなった。
    • なおこれを踏まえてか次作『4』では冒険が「オカルトな噂話」を直接の発端とするシナリオになっており、『2』を意識している節がある。
  • 『女神異聞録ペルソナ』『ペルソナ2』のシナリオライターを担当した里見直氏は降板している。そのため、ペルソナシリーズの立役者の一人であった氏が関わっていないことを惜しむ声も。
    • 一方で、すでにアトラスを退社して久しいこと*8や、本作がそれまでの作品から大きく方向転換していることから、あえて起用する意味は無いとする声もある。

問題点

  • AIの性能の悪さ。
    • 今作は主人公以外はコマンド入力ができず、作戦指示を出して、その指示方針に従ってAIが独自に技を選択する形である。しかしAIの状況判断能力はかなり低く、的確に動いてくれない。
      • 特に問題とされたのが「意味も無く補助スキルを連発する」というパターン。その補助スキルの名前にちなんで「タルンダ*9先輩」「テンタラフー*10先輩」などといったアダ名まで生まれるほど。
        そんな頭の悪い戦いをする先輩に限って性能がいいため、活躍させるためには的確な作戦指示にこまめに変えることが必須。
    • 『FES』以降は調整されており、『ポータブル』では直接コマンド入力が可能になった。
  • 移動用AIの判断力も高くない。
    • ダンジョン内では仲間を引き連れて移動する事になるのだが、段差や障害物、壁や敵味方ユニットの認識が甘く、ちょっとした障害でしばしばつっかえて動かなくなる。しかも、後続の仲間があまりに離れすぎたまま戦闘に突入すると、その仲間が戦闘に参加できないこともままある。
    • また、プレイヤーの進行方向に立ち塞がったりして邪魔にもなる。押して動かしたりも出来ないので、敵シンボルをスルーしたい時や敵の先制を回避するためアクションする時などは困る。
      • このあたりは次回作『4』では改善されている。
  • 基本的に敵シンボルの移動AIも同レベルである。
    • プレイヤーが強くなってくると弱い敵シンボルはプレイヤーを避けるようになるのだが、その移動方向に不規則性が強く動きが予測できない。
      • そのため、むしろこちらを妨害するような方向に移動して来たり逆にこちらから戦闘を仕掛けようとしても、動きのランダム性が強すぎてなかなか捉まえられない事も良く起こる。
      • また敵シンボルが逃げる際に移動のたびに甲高い声で鳴くためうるさくもある。
  • 日常生活パートのテンポが良くない。
    • コミュ育成をメインとする学園生活で多くの時間を割くことになる今作だが、「寝て起きた」や「午前の授業を受けた」などといった描写をそこそこ時間かけて毎日やるせいでテンポが悪くダレやすい。
    • RPG部分に専念したいプレイヤーにとっては、日常生活パートの占める割合が大きいというゲームデザインゆえ、テンポの悪さが大きなマイナスになりうる。
    • この影響で、当初は50時間程度を想定していたとされるクリアまでのプレイ時間も下手をすれば100時間近くかかるほどになってしまった。
      • この点は『ポータブル』で改善され、『4』と同様特別なことが起きない場合は上記の描写がスキップされすぐ操作可能になるといった改善がなされた。
  • 戦闘演出の省略モードが無い。
    • 通常攻撃のみの高速モードも一応あるが、物理を無効ないし反射する敵もいるのでその場合は使えない。
      • だが演出は長くても5秒程度でそれ以上はかからない。これを長いと見るか短いと見るかは人による。
      • 余談だが、メガテンシリーズ全般においては何故か、戦闘演出の省略機能は搭載されないことが多い。
  • デザイン面
    • 敵である「シャドウ」は、(設定上仕方ないとはいえ)デザイン的には前作や前々作の悪魔達と比べてバリエーションが薄い。*11
    • 今作は月に一度のイベント戦闘以外は「タルタロス」というマップがランダムに生成されるダンジョンに行って探索を行いレベルを上げるといったキャラクターの育成を行うことになるが、上の階層に進んでも背景と敵の強さ以外はほとんど変化せず、特殊なギミックも無いため途中でダレやすい。
    • 「タルタロス」攻略中は疲労システムというものがあり、攻略時間が長いと主人公含むキャラクターが疲労して攻撃力が低下し、疲労状態でエントランスに帰還するとその日は出撃不能になってしまうという厄介なシステムがあり、それもダレやすい。
      • 疲労システムの問題点は『ポータブル』で改善され、『4』では疲労システムそのものが撤廃されている。*12
    • ムービー・2Dイラスト・3Dモデルのデザインが違いすぎる。特にムービーパートの作画は酷評されている。
    • 戦闘シーンのモーションもキャラクターによって格差が大きく、特にアイギスの戦闘シーン開始のモーションがロンドンハーツでの「巨乳走り」の様。
  • バトル面
    • 全体魔法を使う場合、攻撃した敵すべての弱点をつかなければ追加行動が行えない。ゆえに限られた場面(敵がすべて同じ、等)以外は使用価値が低い。
    • ゲーム全編を通して、物理攻撃が不遇。
      • 物理攻撃には武器を使ったアタックとペルソナの物理スキルの二種類があるが、双方とも致命的な欠点がある。
      • アタックはHPやSPを消費せずに攻撃できるものの、攻撃をミスした場合に転んでダウン状態になってしまう。特に主人公がダウンすると、立ち直るまで仲間だけに戦闘を任せる事になり非常に危険なため、基本的に主人公はアタック封印or弓装備一択*13になってしまう。
      • 物理スキルはHPを割合で消費するのだが、魔法スキルと比べて性能に対する消費量があまりに多い。また、仕様上レベルが上がるほど多くのHPを消費してしまうため、特定の状況を除いてほとんど利用価値がない。
      • 絶好調時に超高威力になる「空間殺法」、高クリティカル率+恐怖付与の「プララヤ」等、消費に見合う性能の物理スキルも存在する。が、使えるようになるタイミングが遅すぎて恩恵が薄い。
      • 敵の弱点を突くことが非常に重要な本作において、物理属性を弱点とする敵が少ないのも使いづらさの一因となっている。結果として、物理攻撃主体のメンバーは活躍できる機会が少なくなりがち。一応魔法攻撃ができる順平はまだしも、物理攻撃しかできないアイギス(およびスポット参戦の荒垣)は特に深刻である。*14
      • ただ、弱点のない敵に対しては物理攻撃のクリティカルしか1moreを取る手段がない。前述のアイギスは早い段階で全物理属性を扱えるようになるため、そういったケースでは小回りが利く。
  • シナリオ面
    • スケジュール進行の調整の甘さが、ストーリー進行にも悪影響を与えている。
      • 基本的に満月の日に大型のボスが現れ、それを倒すことでメインストーリーが進行する…という形が続くのだが、後半になるまで大きく物語の進展がおこらない為、上記の日常パートのテンポの悪さも合間ってダレてしまいやすい。
      • また、満月イベント中は詰み防止のためかセーブができない。うっかり敗北すると再び長いイベントを見るところからやり直すハメになる。
    • シナリオの中身に関しても、あまり褒められたものではない。
      • 青臭さ・人間臭さをやたらと強調され、見ていてイライラするという声も。元々ジュブナイルものとして発足したペルソナシリーズではあるが、本作の描写はあまりにくどい。
      • わかりやすい「くどさ」の例が、序盤でヒロインが主人公と会い話すシーン。話し終えた後に振り返り、一言二言話してまた出て行こうとして振り返り…といったシーンは、出来の悪い青春ドラマを見ているよう。*15
      • 台詞回しも、真Ⅲと同じスタッフが作ったのをウリにしているのが疑わしい程何かしら一言多い。真Ⅲの千晶や勇のやりとりの様な言葉少ないながらもキャラクターの味わいを出しているのと違い、どちらかといえば中学生がわちゃわちゃ会話しているかの様。
      • キャラクターをマイナス方向に掘り下げたまま、説得力のあるフォローをしていない・できていない事が多いのも問題である。中盤で順平が主人公に敵愾心を燃やす下りは悪い意味で有名。
      • 重要な立ち位置なのに唐突感のある「ストレガ」、見せ場なく終わる「荒垣真次郎」、しばらく邪魔でしかない「天田乾」等、登場人物の中には1年進行の為に無理矢理ねじ込んだ様なキャラも多い。また、友近やべべ等「他に友達いないのか?」なキャラ達等、行動制限の割を食っている様な掘り下げ具合が浅いキャラが多すぎる。
      • ラスボスに対して「倒せない」等の絶望感を煽るセリフが多数出てくるが、多くのRPGでは話を盛り上げる要素としてうまく使っているのに対し、本作は安易な「倒せない」アピールのゴリ押しばかりで、プレイヤーを萎えさせてしまう。
  • コミュシステムの不満点
    • S.E.E.Sメンバーとのコミュは女性メンバーを対象としたもののみ。そのため男性メンバーとのコミュが欲しかったという意見がある。
    • 特定の女性キャラクターはコミュニティのランクをある程度上げると、強制的に特別な関係に発展してしまう。システム上でも大きな問題があり、特別な関係になったキャラクターはリバース状態*16に陥りやすくなってしまう。
    • 全コミュのコンプリートは可能でこそあるものの、限りなく不可能に近いレベル。極めてシビアなスケジュール管理が要求され、自由度の欠片もなくなる完全な「やり込み」の領域になってしまう。*17
      • コミュ最大の目的であるランクMAXの特典は2周目プレイでも引き継がれるため、そもそもが「周回を重ね、コミュ特典アイテムだけをコンプリートする」という方向性なのだろう。が、「できれば1つのセーブデータで全コミュをMAXに(コンプリート)したい」と考えていたユーザーも当然ながら存在し、不満の声が上がっていた。
    • コンプリート難度については『FES』で改善が図られたものの、コミュ対象キャラや"特別な関係"については『ポータブル』でようやく、それも女性主人公の特権という中途半端な形でしか実現されなかった。
      • なお『4』においては、こういった問題点はまったく存在しない。
  • 売り出し方が「真・女神転生Ⅲマニアクスのスタッフが作った!」なのでハードルがかなりの高さになってしまっている。
    • 今作はそれでも良作なのだが、雰囲気や仕様が違いすぎて戸惑ったファンも多い。真Ⅲマニアクスの名を出したばかりに、まさかの「ときめきメモリアル」だと思わなかった難民を多数生んでしまった。この売り方だと「真Ⅲマニアクススタッフの作ったペルソナ罪/罰」の様なゲームと思われても仕方ない。

総評

シリーズにおいて大幅な方向転換を図った作品の常であるが、旧来の女神転生・ペルソナファンの中には路線変更に反発する者も見受けられ、賛否両論が巻き起こった。
事前情報の時点から発売に至るまでまさかの「ときメモ風」になった事に難色を示すファンもいたが、一方で新たなファンを獲得しシリーズが躍進する大きな転換点となる。 荒削りな点もありながらも高い独自性を持つコミュシステムややり込み要素、評判の高い『真・女神転生III』からより進化したバトルシステムなど、過去作とは違う新たな魅力を提示した作品である。
この独自性は後述の『FES』や『ポータブル』で更に完成度を高めていくこととなる。

続編『ペルソナ4』は国内外で人気を博し話題になった。『4』が『3』の路線を継承して作られた事もあり、あらゆる点でシリーズの転換点となった作品である。


その後の展開

  • 前述の『FES』『ポータブル』のほか、ケータイゲームやパチンコ、TCG、テレビアニメ*18など関連商品が多い。
    • 後述した本作を元にしたアニメである『PERSONA trinity soul』は製作されていたが、本作自体のアニメ化という形にはならなかった。しかし、次回作のアニメ版『Persona4 the ANIMATION(P4A)』の好評を受け、今作も『Persona3 the MOVIE(P3M)』として劇場アニメが製作されることが発表され、2013年から2016年にかけて全4部作が公開された。
    • また『PERSONA3 the Weird Masquerade』という名で舞台化もなされた。こちらはポータブルで登場した女性主人公も男性主人公とのダブルキャストという形で出演している。

余談

  • 今作のディレクター・橋野桂氏は前作から大きく路線変更した理由について、「『異聞録』と同じく新規ファンの獲得をメインターゲットとしたため、シリーズ未経験でも楽しめるものにした」と『ペルソナ倶楽部P4』で語っている。


ペルソナ3 FES

【ぺるそなすりー ふぇす】

ジャンル RPG
単独起動版

アペンド版
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 アトラス
発売日 2007年4月19日
定価 単独起動版:7,800円(税別)
アペンド版:4,800円(税別)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
判定 良作
女神転生シリーズリンク

概要(FES)

  • 『ペルソナ3』の好評を受けてアトラスが発売した『ペルソナ3』のアペンドディスク。
    • 大幅なゲームバランスの調整、さまざまな追加要素を加えて発売された。

特徴・評価点(FES)

  • 追加シナリオ・Episode Aegis
    • 2010年3月31日。閉鎖が決定した学園寮で過ごすことのできる最後の日、どことなくぎこちない空気の中、ささやかなパーティを開く特別課外活動部の面々。そしてその夜事件は起こった…。
    • 3EDのその後のシナリオであり、ワイルドの能力に目覚めたアイギスが主人公。機械の乙女。アイギスの妹を自称する新キャラ「メティス」と共に地下のダンジョンを攻略する新シナリオ。
    • 仲間の初期レベルは全員30。「しばらく闘っておらず衰えた」と最初の方で説明が入る。
    • 本編ではコミュを進行しないと入手できないペルソナもアイギスの場合は手に入れられる。
  • 本編の追加要素。
    • 新規追加は主に、新規イベント、イージー/ハードモード、新ペルソナ、新コミュ、武器合体システムの5つ。
      • 特に人気キャラクターであり、物語の中核に位置していた「アイギス」のコミュの追加と、サブキャラクターながら高い人気を誇っていた「エリザベス」とのデートイベントの追加はファンからの評判も良い。元々アイギスのコミュは無印で没になったという経緯があるので、ファン待望と言っていいだろう。
    • 彼女のコミュを進めることで起こる修羅場イベントや監視カメラの様子でメンバーの日常の様子が追加された。また、主人公との交流の少なかった荒垣もイベントが追加された。
    • OPはEDの「キミの記憶」のアレンジが冒頭にあり、『3』の続きを意識している。
    • 新規BGMも追加されており、そちらも好評。特に「Heartful Cry」はギターのテンポの良さとどこか悲しげなキーボードがキャラの心情をよく現していると高評価
  • ユーザーの要望が高かった、装備する衣装に合わせたグラフィックチェンジも実装された。
  • メイド服、水着などがバトルで使用できるようになった。
  • その他、ゲームバランスの調整。
    • 最大の特徴として、コミュの難易度の易化も行われた。上述した通り、無印ではコミュのコンプリートは非常に困難であったが今作以降では調整が加えられ、完璧なスケジュール管理でなくともコミュコンプリートが可能になった。
      • 頭が悪いと酷評されたAIの行動が改善され、戦闘でストレスを感じずに済む。俺たちのタルンダ先輩はもういない。
  • 無印セーブデータの一部継承が可能。
    • ある程度繰り返しになる部分はあるが、無印をプレイしたユーザーもストレスなく追加要素を楽しめる。
  • またロード時間の短縮なども行われ、細かい点にも手が入っている。
  • 単独起動版とアペンド版の二種類が用意されたこと。
    • 「もう一度フルプライスで買え」ではなく、前作のディスクを持っていれば比較的安価で購入することが可能だった。内容に差異はない。

賛否両論点(FES)

  • 追加版のFESで用意された新規シナリオ「Episode Aegis」の内容が賛否両論で、大きな議論を巻き起こした。
    • 議論の的となる点は大まかに分けて二つあり、一つは主人公の扱いについて。
+ 賛否両論である点その一。ネタバレ要素を多く含むため注意。
  • 最大の論点は、主人公が死亡していること。製作サイドとしては本編のエンディングとして主人公が死んだと表現したつもりだったが、ハッキリと明言する形ではなかった為プレイヤー側は「どちらとも取れる演出をして、生死はプレイヤーの判断に委ねた」と判断した人が多かった。
    • 制作サイドは、後日談の目的の一つとしてその辺をはっきりさせるという点があることを否定していない。
      • もっともどちらとも取れる演出とは言っても、最終決戦の演出やエピローグなどでは明らかに「死」よりの描写(最後のイベントバトルで使うことになるスキルの使用コストが「HP100%」、最終決戦前に死を暗示されるなど)である。発売以後も死んでいるという推測のほうが主流だったことは明記しておく。生死そのものよりも、公式が確定させてしまったという点において批判が集まったということである。
    • 主人公の名前は特に決まったものは無く好きな名前をつけることが出来るので、プレイヤーの分身としての意味合いでプレイしていた人や、純粋に主人公を好きだった人、プレイヤー生存説を取っていた人は追加版の『FES』で死んでいたことが確定したことにショックは隠せなかっただろう。
      • この点についてプロデューサー兼ディレクターの橋野桂氏は「主人公が最高の充実の中で事切れるというハッピーエンド」、「ペルソナ3は死の疑似体験ができるゲーム」と発言している。
      • 橋野氏の発言についてはこちらのページにまとめられている。
+ 賛否両論である点その二。こちらもネタバレ要素を多く含むため注意。
  • 新規シナリオの終盤で、主人公がいなくなった後残された仲間同士が戦いを始める。
    • 内容としては、大雑把に言えば「過去に戻って主人公を救う」か「主人公が自分自身の意思で生命を賭して世界を守ったことを尊重し、今を生きるか」で仲間同士の意見が真っ向から対立したため。
    • この争いの際、感情のままに言葉をぶつけ合い争うため、「仲間に暴言を吐いていて、本編でのキャラの成長が感じられない」、「キャラの言動がひどすぎる」などといった批判が相次いだ。
    • またバトル面も、敵対する仲間が覚えてないスキルを使ってくる、弱点が無くなっているなど矛盾が起こっている。
  • キャラクターの描写に関しては、「変だ」とする声もあれば「感情が昂っている場面が多いだけで、おかしいとも思わない」との意見もある。
    • ゆかりは主人公を救う為にアイギスに辛く当たり批判されるが、彼女のコミュを進めればどれだけ主人公に依存してその喪失を埋められないか、また世界の破壊すら厭わない行動を取るが彼女のキャラクター性なら十分に考えられる。また、主人公がいない世界で主人公の死を1ヶ月たらずで脱却できる方がおかしい、彼の死から脱却できないゆかりとアイギスの二人の主人公に対する思いが伝わって来たという意見もある。
    • 成長に関しても主人公が居て乗り越えた部分もあり、主人公が喪失した世界で成長した自分を保てていないだけと解釈できる。
    • 悪い評価だけでなく、仲間の順平は本編で主人公に辛辣な態度を取るため嫌っていたプレイヤーもいたが、FESでの順平は仲間割れを仲裁するなど本編から見ると成長しており、FESで評価が変わったという意見が多い。
  • シナリオライターが変わったわけでもないのに、仲間の描写に関しては賛否が真っ二つである。
  • また、そのラストも完全にすっきりとは感じられないもの。特に「今の段階では主人公を救えない」という点に対してはよく批判される。
    • よく誤解した意見などが散見されるが、「仲間たちが主人公を見捨てた」などは誤解である。
      • 現段階での救出を諦めざるを得ない理由は作中できちんと述べられているし、それでも主人公を救うために行動を開始していこう、という意思はしっかりと示され、「希望のある終わり」を意図して描かれている。
    • ……ただ、その方法が「困難すぎる」「具体的でない」ことがまた批判される点。
      • 「仲間たちが主人公を救うために俺たちなりに戦おう!」というエンディングを描こうとして、具体的な改善案を作中で示さなかったことがこの賛否両論の原因であろう。
  • また、無口無個性ないわゆるプレイヤーの分身型主人公(FESではタイトル画面において本編を「episode Yourself」と表記するなど主人公=プレイヤー自身であることを公式に示している)でありながら、後日談では仲間たちの口を通して本編における主人公の考えや想いについて「シナリオ担当者の考える主人公像」を勝手に押し付けてくるような傾向がみられる。
    • 「シナリオ担当者の考える主人公像」を基に「主人公の遺志を無駄にする気か」等発言する仲間もいるため、自分の分身として主人公を操っていたプレイヤーにとっては「自分はそんなこと考えてないのに」と違和感を生じさせている原因となっている。
      • 逆に主人公にそこまで感情移入していなかったり主人公を一人のキャラとして自分とは切り離してプレイしていた層はそれほど違和感を覚えていないためプレイヤーのプレイスタイルによって賛否両論を招きやすい。
  • 「後日談なんてなかった」とする批判的なファン、「面白かった、本編の深みが増した」とする擁護的なファン、「批判するにしても擁護するにしてもそこまでいかない」というの中立的な視点などがどの層もそれなりの数存在しているため、議論になると荒れやすいため注意が必要。
  • ちなみに続編である『ペルソナ4』においては
    • 1:上記の仲間以外で『3』の主人公を救出すべく行動している人物がいることが明かされる。
    • 2:『4』の主人公と仲間の仲の良さが強調されて、いざこざがあまり起こらない。
    • 3:主人公がプレイヤーの分身として最後まで機能する
      • 等上記で上げた点が全て解消されている。
    • さらに1で挙げた人物は当初『4』にも続投するはずだったが直前で別キャラクター*19に差し替えられたという経緯があったことが制作サイドから明かされている。
      • これらを鑑みると、後日談への批判的意見が制作サイドになんらかの判断を下させた可能性もある。
  • また、後日談はやや難易度が高い。
    • エンカウントバトルは属性が同じキャラが出てくることはなく、一斉攻撃が使えない為攻略に時間がかかっている。
    • 特にシナリオ終盤に出てくるとあるキャラの初見殺しぶりはただごとではない。
    • 後日談はストーリー中心にみたいからサクサク進ませてくれ、という声も多くあがっていた。難易度上昇に関しては本編のハードモードがあるのも一因。

総評(FES)

賛否両論な点は多々あるものの、無印と比べれば純粋なアップデート版と捉えて良い出来。 今現在は『FES』をベースとして、移植度も上々な『ポータブル』も発売しているので、購入の際は要検討。
ただ、PS2で無印か『FES』か……ということであればこちら一択だろう。
後日談「Episode Aegis」も賛否はさておき、プレイできるのは本作のみ。『ポータブル』には移植されていない。


余談(FES)

  • 『FES』追加ペルソナの一つである「オルフェウス・改」を作成するためには、「同一周回内で全コミュニティをMAXにする」ことによって手に入るアイテムが必要。
    前述の通り一部の女性コミュではランクを上げると自動的に恋人関係になってしまうため、二股どころか五股をかける浮気プレイをしないとオルフェウス・改の作成及びペルソナ全書のコンプリートは不可能となっている。
    何股かけようがシステム上影響はないのだが、雰囲気重視の人にとっては頭の痛い点であろう。


ペルソナ3 ポータブル

【ぺるそなすりー ぽーたぶる】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売・開発元 アトラス
発売日 2009年11月1日
定価 5,980円(税別)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
廉価版 PSP the Best:2011年8月25日発売
UMD版:2,800円 / DL版:2,200円(各税別)
判定 良作
女神転生シリーズリンク

概要(ポータブル)

  • 今作のPSP移植版。新たに女性主人公の追加や『ペルソナ4』からのキャラのゲスト出演、『4』のバトルシステムに変更といった多彩な追加、変更がなされている。
    • ただし、『FES』で描かれた後日談「episode aegis」は容量などの問題もあり収録されていない。

特徴・評価点(ポータブル)

  • 女性主人公の追加。
    • 今作は上記『FES』の「episode yourself」をベースにしており、男性主人公は『FES』のシナリオの再現となっている。
    • 女性主人公でプレイするとコミュニティの一部が新キャラクターを交え、新規のものになっている。ストーリー上のキャラクター達の反応もギスギスとした描写が減っており、男性主人公と比べて柔らかく表現されたことで違った視点で楽しめる。
      • 女性主人公では男性のパーティーメンバーともコミュニティを築く事ができ、これによって全SEESメンバーのコミュを発生させることが可能になった他、男性編とは違うキャラの一面を見ることができる。またコミュニティのランクによっては男性編では死亡するキャラを生存させることができるなどシナリオにも小さいながら変化がある。強制的に二股以上になるという点もP4に続いて改善されている(もちろんあえて二股以上にすることも可)。
      • また女性主人公限定で次回作『4』の舞台である八十稲羽へ行くことができ、そこで『2年前』の4の主要キャラクターがゲストで登場したり、音楽も4の音楽に切り替わる。4をプレイしたプレイヤーならにやりとできる要素である。
      • 一方で男性主人公編でもとあるイベント中に『4』のサブキャラクターが登場する。
  • バトルシステム
    • 『4』におけるワンモアプレスバトルの改善点が反映されており、複数対象の攻撃でも敵を一体以上ダウンさせれば追加行動が行えるようになった。
      これにより全体攻撃の使用価値が大幅に向上している。
      • ただし、敵側にも同じことが言えるため特定の場面で運ゲー化しがち。特に物理攻撃主体の相手で顕著。
    • AIの性能も向上しており、仲間の行動をコマンドで指定できるようになったためより戦略的に戦える。
    • パーティメンバーが主人公へのダメージを肩代わりする「かばう」、HPが0になる攻撃を受けても一度だけ踏みとどまる「食いしばる」、属性攻撃によるダウンを一度だけ防ぐ「防御」が『4』から逆輸入された。
    • PS2版での主人公の武器はプレイヤーが任意に選ぶことが出来たのだが、今作では男主人公が「片手剣」*20、女主人公が「薙刀」で固定になった。
      • 本作は見た目がユニークな武器も多いため自由度の低下を嘆くプレイヤーも多いが、戦闘面では相対的に物理スキルの価値が上がったとも言える(また物理スキル自体の性能も全体的に上がっている)。
  • 日常パート
    • 『無印』『FES』は3D空間でキャラクターを操作してNPCと会話したりする方式であったが、今作はマップに表示されるカーソルを動かしキャラクターにポインタを合わせ会話する、というようなものに変更。
      またイベントシーンもキャラクターの一枚絵が表示されて進行するといった形になり、テキストアドベンチャーに近い形式となった。
    • これにより日常生活でのテンポが大幅に向上。□ボタンでのショートカットマップ移動も追加され、移動の冗長さも無くなった。
  • その他要素
    • タルタロス内で失踪者を捜索する「失踪者探索」が追加され、タルタロス探索のダルさの緩和が図られた。
      • 失踪者の中にはコミュ対象者もおり、救出するまでは該当コミュが中止となってしまう。期限を過ぎて救出失敗となるとその時点で永久に終了となってしまうため要注意。
    • 疲労システムも、その日のタルタロス内では疲労せず翌日に疲労するように改善された。
      • その代わりなのかエントランスに戻ってもHP・SPが回復せず、時計にお金を払わないと回復できなくなった。
    • ベルベットルームの受付担当にエリザベスの弟「テオドア」が追加され、女主人公の本編序盤でエリザベスとの選択を迫られるが、ストーリーに変化はないので好みの方を選べる。ちなみに男主人公はエリザベスで固定。
    • バトルに関するさまざまな問題を解く、強化されたストーリーボスと再戦する「ヴィジョンクエスト」追加。進行は『4』のマーガレットが担当する。
    • パーティメンバーとのコミュニティレベルをMAXにした際のイベントにボイスが追加され、キャラへの感情移入度が高まった。
    • スキルカードシステム
      • 新たにスキルカードが追加され、これを消費することでペルソナに好きなスキルを覚えさせることができるようになった。
        自分好みのペルソナを作りやすくなったため高い評価を受けたシステムで、『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』でも導入されている。
        なおスキルカードは神社で複製が可能だが、『P4G』と違い無料ながら日数がかかる上1回につき1枚なので注意。
    • 難易度選択にイージーより優しいビギナー、ハードより難しいマニアクスが追加。
      • マニアクスモードは難易度のさらなる上昇の他、前周からの引き継ぎプレイが不可能となっている。
    • 『4』から4体のペルソナが逆輸入された他、コミュや総攻撃の演出が『4』に合わせた仕様となっている。

問題点(ポータブル)

  • イベント面
    • 上記のようにテキストアドベンチャーに近い形になったことで、『FES』等であった3Dキャラの人形劇イベントやアニメムービーは無くなった。このためイベント面が少しさびしいといわれることも。
    • 本作はUMD1.7GBのうち、約1.2GBの容量を使用している。残りの容量でムービーは何とかなったのではないかと惜しむ声もある。
      • ただこのあたりの容量がUMDの一層目と二層目の境であるため、これ以上入れるとローディングへの悪影響が懸念されるため仕方ない事ではある。また上記のようにテンポの向上やロード時間短縮のメリットもあり一概に否定も出来ない。
      • また、PS2版でのムービーはそのほとんどに主人公の姿が写っているため、女主人公が追加された本作では女主人公用の新規ムービーを用意しなければならないというのも、ムービーが削除された一因であろう。
  • 戦闘など
    • 追加された要素や変更点、それらと元々のシステムとの組み合わせなどで戦闘バランスが大きく変わっているにもかかわらず、敵ステータスなどが調整不足なのか難易度を最高にしても『FES』『4』などと比べてヌルい。*21
      • 慣れると真後ろから攻撃→先制→アナライズで弱点探知→全体魔法から総攻撃で終了→戦闘後一定期間敵に見つからないためゴリ押しで後ろに回り先制→以下ループ、SPが尽きたらエントランスで回復…といった具合になる。疲労システム変更でいくらでもタルタロスに登っていられるようになったのも難易度低下の一因。
  • 男性主人公の扱い
    • 男性主人公はあくまで『FES』の部分の再現といった形であり、追加要素が女性主人公と比べてとても少ない。
    • その為既にPS2版をプレイ済みの人の場合、男性主人公を選ぶメリットがあまり無い。これを利点と取るか、欠点と取るかは人によるだろう。

総評(ポータブル)

PS2版からさらに完成度が高まっており、多くの要素が追加された良移植である。システムの格段な進化、テンポの向上などの理由から、今から『P3』をプレイする場合はこちらでも良いかもしれない。
演出面に不満があったり、後日談をプレイしたいなら『FES』を購入するのもいいだろう。上記変更点と併せて要検討である。