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The Elder Scrolls IV: Oblivion - (2019/06/07 (金) 14:08:40) の編集履歴(バックアップ)


The Elder Scrolls IV: Oblivion

【じ えるだーすくろーるず ふぉー おぶりびおん】

ジャンル RPG




対応機種 Xbox360
プレイステーション3
Windows(英語版他)
発売元 スパイク(国内/通常版)
ゼニマックス・アジア(国内/GOTY版/廉価版/GOTY廉価版)
2K Games Bethesda Softworks(北米/PC パッケージ/Xb360/PS3)
Bethesda Softworks(PC Steam)
開発元 ベセスダ ゲーム スタジオ
発売日 【Xb360】2007年7月26日(国内)
【PS3】2007年9月27日(国内)
【PC】2006年3月20日(北米)
定価 8,190円
5,040円(GOTY版)
3,990円(通常版プラチナコレクション/PSベスト)
2,990円(GOTY版プラチナコレクション/PSベスト)
2,480円(PC GOTYDeluxe版 Steam)
1,980円(PC GOTY版 Steam)
【PCパッケージ版全バージョン/The Elder Scrolls Anthology*1】時価*2
プレイ人数 1人
レーティング レーディング審査団体により、年齢制限に大幅な揺れ(12~17)がある
判定 良作
PC版必須スペック Oblivion Wiki JP (避難所)より引用
OS: Windows XP, 2000, XP 64-bit
メモリ: 512MB (推奨1GB)
CPU: Pentium 4 の 2GHz 以上(推奨 3GHz)または似たスペックのCPU
VGA: VRAM 128MB, DirectX 9.0対応のVGA(推奨 GF6800, X800以上)
DVD: 8倍速 DVD-ROM drive
HDD: 4.6 GB 以上の空き容量
S/B: DirectX 8.1 対応のサウンドボード
特記事項 Windows 7/8/8.1は公式にはサポート外だが動作可能
Windows 10 Anniversary Updateは日本語化したsteam版が起動できない
日本語化MODの適応はUS/UK/アジア版(=英語廉価版)のみ実証済み
SteamでGOTY版を購入した場合GOTYDeluxe版が買えなくなるとの情報あり
The Elder Scrollsシリーズリンク


ストーリー

第3紀433年・収穫の月(Last Seed)27日。暗殺者が急襲し3人の帝位継承者が暗殺されたという報せを受けた皇帝は親衛隊「ブレイズ」を伴い、牢獄の奥の秘密通路を通って帝都を脱出しようとしていた。
その通路の牢獄には囚人であるあなたがいた。幸運にも皇帝はあなたを「夢で見た」といい、あなたもまた牢獄を脱することができた。
逃亡の最中にも暗殺者が襲いかかり最期を悟った皇帝は、その象徴である「王者のアミュレット」をあなたに託し、最後の帝位継承者になる隠し子を探すよう告げ、暗殺者の凶刃に倒れるのだった。
オブリビオンの侵攻を食い止めることができるという皇帝の隠し子を探し、アミュレットを届けるため、自由の身となったあなたは広大な大陸の中央部・シロディールの地へ足を踏み出す。


概要

  • 『The Elder Scrollsシリーズ』のナンバリング4作目。コンシューマー機へ本格的に参戦を始めた作品でもある。
    • 当初は日本語版の予定が無かったが、前作からの評判がクチコミで広がり「たのみこむ」で署名運動が行われた結果、スパイクが名乗りを挙げ家庭用ゲーム機(CS版)での日本語版の発売が実現した。
  • 舞台はタムリエル大陸の中心部にして帝国が都を構えるシロディール地方。メインストーリーは「オブリビオンの門」を介して攻め寄せる異界の住人を阻止するため、神々と契約出来る資格を持った帝国の王族を探し出し、「オブリビオンの門」を再び閉ざすのが目的となる。
    • メインクエストの他にギルドクエストを始めとしておびただしい数のクエストが用意されている。街中で呼び止められ助力を求められることもあれば、NPC同士の会話(うわさ話)を聞くことでクエストが始まることもある。
  • 41k㎡を実寸大でおこしたというマップは「旅している」という気分を満喫でき、その中で実に1000人以上のNPCがそれぞれの生活を送っている。
    • 一度行った場所へなら一瞬で移動可能な「ファストトラベル」機能も付いている。

評価点

高い自由度

  • 自由度が非常に高く、メインクエストを一切進めなくても問題はない。また、ストーリーが終了してもゲームは続行される。
    • あてもなくさまようもよし、どこかのギルドに所属するもよし、道端で困っている人を助けてもよし、逆に殺して金品を奪ってもよし(当然、犯罪行為は捕まる可能性があるが)。主人公が何者になるかはプレイヤー次第。
    • 大味な部分もあり、何かプレイする目的などが無いと楽しめない人にはあまり合わない。世界をただ放浪するのが好きだったり、自分の中で物語を作ってプレイできる人にはぴったりなゲーム。
  • 舞台となるシロディールの景色はとても美しい。
    • 北部では雪が降り積もっていたり、湿地帯はほぼ毎日雨が降っていたりと様々な表情を見せるフィールドは評価が高い。
  • メイン以外のサブクエストも豊富。
    • 依頼主も、道ばたの通行人や商人から、自分が所属する事になったギルド、地方の城にいすわる女騎士、歴史探索が好きな貴族、はては暇をもてあましているデイドラ王子達*3など、多岐に渡る。クエストに関与しないNPCも個性豊か。
  • ストーリーを一区切りする転換期とも言える作品であり、前作までのストーリーなどを知らなくても楽しめる。むしろ知らない方が楽しめる場合も。
  • 世界観設定の説明はその殆どが各街にある書店・各所の書籍や一部の偉い人との会話という形になっている。細かいことを抜きにしてプレイしたい人は無視することも可能。
    • 深く知りたい人はゲーム内書籍をつなげ合わせる事で理解を深める事ができるが、劇中書なので根幹の部分はぼかされている事が多い。悪く言えば投げっぱなし、良く言えばプレイヤーの考えに委ねている、と取る事も出来る。
  • ファストトラベルの実装
    • 3では削除されていたファストトラベル機能を実装。1・2ではファストトラベルの度に死の危険性があったりしたが今作では屋外にいればいつでもファストトラベル可能。
    • 基本的に一度訪れた場所のみだが、主要都市の入り口へは最初から移動できるようになっている。

豊富なキャラメイキング

  • 人間やエルフの他にも猫やトカゲの様な外見の亜人、オークを選ぶことができ、そこからさらに髪型・目の色はもちろん鼻の高さや顎のライン等々、実に細かい部分を調整することが可能。 また、職業を選ぶ事によって成長させやすい能力を選ぶ事ができるほか、オリジナルの職業を作ることも可能。
  • さらにスキルの分類も非常に多岐に渡るため、「自分だけのオリジナルキャラクター」が誇張抜きで作成可能である。
    • PC版では追加種族やMOD装備によるカスタマイズも有るため、有名職人による顔データ+定番MOD装備品と言った組み合わせ以外、他人のキャラクターと被ることがない。
      + 自分だけのオリジナルキャラクターのサンプル、6分40秒から本番

豊富なクエスト

  • クエストの発生条件にキャラクターの種族や職業で制限がかかるという事がないため、サブクエストも含め、開始時点で詰み状態になっている事はかなり少ない。
    • ギルドのクエストは、ギルド関係者への窃盗や殺傷を何度か繰り返すと追放されてしまうため、続行できなくなる。
    • クエスト関係者が死んでしまった場合や時間制限でクエストが無効化されてしまった場合、またはクエストアイテムを横流しした場合などは報酬の減少や悪名が増加し、続きのクエストが発生しない。
      • ある冒険者がヘマをやらかしたとNPC同士の会話でネタになる、などの形でペナルティーを受ける。
    • クエストの中には、あるアイテムをその道のマニアに直接売り込む事で開始するものもあれば、正規の開始手段がクエストアイテムの横流しと言う変則的な条件も存在する。

Radiant AIによる「生きている世界」の表現

  • 本作ではNPCがそれぞれAIを持ち、それにしたがって行動する。
  • 朝、自宅で起きると日中は畑や町で仕事をし、夜は酒場に寄るなどの行動をする。
  • 善良でないNPCは町中でスリを働き、衛兵に追い掛け回され挙句殺されるといった光景もまれに見られる。
  • NPCの周囲で戦闘が起こると、勇敢な者は武器を持って参加し臆病な者は衛兵を呼びながら逃げ惑う。

物理エンジン「Havok」搭載

  • 今作から物理エンジンを搭載。物を掴んで投げる、坂道では転がっていくといったリアルな描写がされるようになった。
    • とはいえバグの宝庫であり、プレイヤーから「Havok神のいたずら」といわれる現象が多く起こる。

奥が深いクラフト要素

  • 魔法に関連するギルドのクエストを進めていくと「構呪」と「付術」ができるようになる。多種多様な要素や範囲、持続時間を自分で設定可能で、低コストで強力な実用魔法や、強力なエンチャントが施された武器や防具、使いどころに悩むネタ武器・魔法なども製作可能。
    フィールドで採取できる植物や食品、さらには人の死体などを調合することで、薬品を製作可能。効能は調合する素材で変わり、効果はプレイヤーのスキルと調合器具の質で大きく変化していく。
  • 武具は使っていくごとに摩耗し、耐久値が0になると破損する。修理用ハンマーで修理することで再度使用可能となるが、『Skyrim』のように装備の製作はまだ実装されていない。
  • 各街に自宅を所有することが可能で、物の配置レベルだが今まで手に入れたお宝を自由に飾ったりできる。

豊富なMOD

  • 開発のベセスダソフトワークスはMOD製作ツール『TES Construction Set』を無料で公開しており、ゲーム性そのものを変化させるようなシステムを作ることもできる。これらの自由度は『RPGツクールシリーズ』や『Half-Life』派生のSource Engine MODに比肩する。
    • これらの結果として最終版でも残った多数のバグを修正する『UOP』、ゲームバランスの適正化を目指した『FRAN』、ゲームの高難易度化を目的にした『OOO』や『MMM』、都市やフィールドを大幅に変更する『BC』や『UL』、
      果ては本編の後日譚を扱った『Andoran』、世界を根本から作り変えた超大型MODゲーム『Nehrim』までが作り出された。
  • 野暮ったいデザインの装備品が気に入らなければ、実在する歴史的な武具や他のゲームやアニメの二次創作装備、和ゲーやアジア産MMOのようなデザインの装備品などもまたMODという形で導入することができる。

賛否両論点

違和感の残る公式日本語化

  • 本も含めて全て日本語に翻訳済みだがテキスト量の多さから、一部のNPC名などは原文とかけ離れた訳がされていたり、通常版とGOTY版で固有名詞の訳が統一されていなかったりと賛否両論でもある。
  • また、汎用セリフの原文は言葉づかいに男女で区別がないため、翻訳時に扱いが混乱したのか、しばしば性別と逆の口調のテキストが表示されるNPCがいる。
  • 誤訳で有名なのが「トビウオ師匠」というアルゴニアン。英語での名前は「City-Swimmer」という名前。世界観に詳しくないとわかりづらい名前のため仕方ないが別に泳ぎが得意なわけではない。
  • 「デイドラの王子」や「黒檀」など、次回作まで引きずる誤訳も登場している。

DLC

  • 北米等で配信されたDLCについて、当初は全て出すと発表していたが、日本でのリリースはCS版に最初から付属している『Knights of the Nine』と、GOTY版で搭載された『Shivering Isles』の二つのみとなった。
    • CS日本語版では、『Shivering Isles』のリリースが、代理店の変更と重なった事で何度も発売延期になった挙句、技術的に無印版とのセーブデータと互換を持たせることが出来なくなったという理由から、DLCとしての配信が結局中止になった。
  • 海外でもPS3版は『DLC8 Knights of the Nine』と『Shivering Isles』しか存在しない。『DLC6 Fighter's Stronghold』の様にダウンロード販売専用、PC版は現在は単品での入手が不可能となっている。*4
    • 日本で未配信のDLCの中には「手紙で呼び出されて、呼び出した人物の所に行ったら、馬に装備させる鎧のモニターにされた。しかもバグ付き」と言う悪い意味で奇妙な内容の物もあり、海外ではユーザー製MOD以下の内容で$2.50も取る問題DLCの代表作と言う不名誉な称号を得てしまった。*5
      + DLC紹介
      • DLC1:Horse Armor Pack
        • 前述の馬鎧DLC。鎧は2種類しかない。そしてバグ付き。
        • ベセスダソフトワークスが人員規模の小さなスタジオである事が幸いしてか、このDLCへの批判をもとに、後期のDLCは方向性を転換することができた。
          • 現在では公式すら定期的にネタ扱いするほどの地位を得た(?)伝説的なDLCである。
      • DLC2:Orrery
        • 前作や続編では見飽きるほど存在したが、本編では武器/防具でしか登場しないドワーフ分を補充する有料MOD。
        • いつの間にか荷物に紛れ込んでいた手紙は、帝都の大学にある天球儀の修理に必要な部品を盗賊から取り返して欲しいと言う物であった。
      • DLC3:Wizard's Tower
        • 存在を忘れかけていた親族から相続した塔の手入れがメインとなるもの。ただ、既存住宅の利便性向上や立地の良いユーザー製家追加MODの存在を考えると無駄に広かったり立地条件やらでかなり微妙な内容。家を追加するDLCは総じて評価が悪い。
      • DLC4:Spell Tomes
        • 各地のダンジョンや敵対NPCの所持品に、魔法を覚える事ができる巻物を追加する有料MOD。
        • プレイヤーをライバル視し、決着をつける為追い掛け回すAIを持ったNPCも登場するが、クエストダイアログや専用会話が無い上、全てのNPCと敵対する設定のせいでいつの間にか死んでいることも多い。
      • DLC5:The Vile Lair
        • 暗殺者向けの家をシロディールに追加する。非常に困難な、吸血鬼から人間に戻るクエストを簡易化するものという側面が強い。
      • DLC6:Battlehorn Castle
        • 西部山岳地帯の城の噂を聞きつけ、その地を訪れたプレイヤー。数百年前の戦争で敗北し逃れて来た騎士達が作った城を引き継いで欲しいと言う申し出を受けるが……。
        • このDLC最大の被害者は、ある人物と名前と種族が被ってしまった、他のクエストで共闘するオブリ裏三大美人。
      • DLC7:Thieves Den
        • シーフ向けの拠点をシロディールに追加。海賊船が入手できるがプレイヤーは乗り回せない。
      • DLC8:Knights of the Nine
        • ある町の教会が何者かによって襲撃されたのとほぼ同時に、終末をもたらす古代エルフ帝国の王と、救世主となる古の聖騎士が蘇ると言う噂から始まる物語。
        • 世界のRPGよ、これが王道展開だ!』といった内容。伝説の騎士の装備入手やプレイヤーを頂点とする組織の誕生、ラストバトルの演出や低レベルでクリアーした場合のアフターフォローまで準備されている事から、本編はサブクエストでこちらがメインクエストとまで言い切るプレイヤーも。
          • その人気故か、この大規模なDLCの続編として大型MOD『Knights of the Nine Revelation』も作られていたりする。
      • DLC9:Mehrunes' Razor
        • Oblivion最大規模のダンジョンが追加。敵の落とすアイテムはエンチャント矢を中心にかなり豊富。名前からしてメインクエストクリア後の攻略を念頭に置いていると思しき内容。
        • 近年まで所在不明だった遺跡を舞台に、皇帝暗殺による政変のどさくさに紛れてモロウィンド(前作の舞台)全土の支配を目論む豪族と、デイドラアーティファクト争奪戦を繰り広げる。
      • 公式拡張:Shivering Isles
        • 前作の拡張パック『Tribunal』『Bloodmoon』と同様、ディスクパッケージでも販売されたマップ追加アドオン。
        • 『ある町の沖合いにいつの間にか謎の島が出現。多数の冒険者が足を踏み入れたが、島から戻ってきた人物は全員が狂っていた』と言う噂から始まる。
        • 年齢制限の引き上げもあってか、前作に負けず劣らずえげつない空気が濃縮された内容。ファンから「ガクブル島」と通称されるオブリビオンの領域「シヴァリング・アイルズ」を統べるデイドラロード・シェオゴラスのクレイジー度合いは凄絶の一言。

前作との比較

  • 日本でも『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』の続編が出るたびに物議をかもすように、4作目であるこの作品でも色々問題を上げられた。
  • 前作と今作を比べたある海外ゲーマー曰く「Oblivionは遊び場、Morrowindは故郷」。それほど前作の与えた衝撃が大きかったのだろう。とは言え前作はかなり古い作品であるため、PCのスペックに余裕があってもフィールドで頻繁にロードが発生する等、今からプレイするのは厳しい。しかも日本語化も頓挫してしまったため、メインクエスト以外は日本語化されていない部分が多い。
  • 前作では通常の服の上に鎧や小手、グリーブやブーツを装備していたが、本作では服も鎧も着衣として、同じスロットに装備する形に簡略化。
  • 前作はダークファンタジーが売りの一つで、人によっては拒否反応しか出ない展開が多々あった。それに比べて本作は舞台が帝国の「文化的な」首都とその周辺が舞台な事もあってかあまりそういう暗さがない。ストーリー展開も、ダークファンタジーらしさが大きく薄れてしまった。
    • しかしそれはあくまでも本筋だけ。帝都の人間が書く帝都周辺の街のガイド本や帝都で暗躍する汚職衛兵、小さな子どもの骨と魂を入れるマジックアイテム、クエストで絶対に助けられない登場人物など、容赦のないポイントは多々ある。過去作に比べればおとなしめだが。
  • 特にシナリオについては以前の雰囲気が好きなファンから微妙判定を受けている。海外ユーザーの中にはFF的な一本道になったと大きく批判する者もいた。
    • これについては開発スタッフも本意ではなく、CS版を本格的に販売*6しようとした結果、プレイヤーの低年齢化に合わせて分かりやすくしたらああなった、とのこと。
    • 他にもハードの限界に合わせたため、入れる予定だったシナリオが削られ、規模が縮小されてしまった。意味ありげなのに何も起こらない場所や、設定上は存在しデータもある程度作られているが使われなかった町などがある。
  • フィールドもギネス級の広さを持っていた過去作『Daggerfall』どころか、先発してサービス開始したMMO『World of Warcraft』と比べても狭い事が不評の一つになっている。フィールドを現実換算した面積は『Daggerfall』がイギリス本土の2/3にあたる161600km²、『World of Warcraft』が207km²で四国の2割増、『Oblivion』が山手線の内側の2/3に当たる41km²である。
    • ただし『Daggerfall』までのマップはほとんど自動生成された平坦な土地が続くばかりで、本作のような作り込みとは程遠い点に注意。前作『Morrowind』は25km²ほどなので順当にパワーアップしてるとも言える。
  • 担当デザイナーが1人だけということもあり、どのダンジョンも似たような構造で変化に乏しい。このため探索できる場所の数は多いが、クエストに関係ないダンジョンを探索する楽しさが薄い。
  • 前作では店毎に所持金額が設定されており、その設定金額までの物しか売れないようになっていたが、本作に限り、取引のたびに商人の所持金がリセットされ、高価なアイテムが商人に設定された特定の金額で売れ続けるという仕様になっている。
    利便性が増した反面、多額の資金を持っている特定の商人以外との取引を一切しなくなるという問題もある。

問題点

バグと読み込み遅延

  • 大抵はゲーム進行に影響がないものだが、中には深刻な影響をもたらすものも存在する。特に盗賊ギルド関連のバグは公式パッチで修正し切れていないものも多く、CTD(アプリケーションの強制終了)を起こしたり、バグの発生から実害が起きるまでの時間差が長いために気が付いた時点ではすでに手遅れと言うことが起きたりもする。
    • 一例をあげると、フィールドを旅しているNPCが死亡することでクエストが進行不能になるというものがある。該当NPCには不死属性が無いうえに死体が残らず、さらに死亡していた場合の展開が用意されていないためクエスト失敗扱いにすらならない。更にそのキャラと場所は2つの重要クエストに関わっており、2つともNPCのルーチンに永続的な影響を及ぼすため、同時に発生させると進行不能になる。
  • DVDやHDDの読み込みの遅さから、フィールドの読み込み中にfps低下が頻繁に発生する。PC版なら描画クオリティを抑える、メモリー開放系MODを入れると言った方法や、PCのハード強化などの対策を取ることが出来るが、CS版では対処のしようがない。
    メインクエストを進め、各地に異界とつながる「オブリビオンの門」が開きだすと、ゲートのエフェクトの処理や敵NPCが増えて更に重くなる。
  • PS3のGOTY版は、吸血鬼治療クエストで薬を用意する人物が必要なアイテムを受け取らないという固有のバグが存在するが、このクエストのバイパスルート色の強いDLCが配信されていない為、吸血鬼の治療は不可能。
  • プログラムのコア部分は『Fallout3』や『Fallout: New Vegas』でも使用されているが、開発側がバグを潰しつつやれることを拡張した結果、さらにバグが増えると言う悪循環に陥っている。

自由度が高いがゆえに難易度が高いキャラクターメイキング(主に顔)

  • 種族ごとに身長と肩幅は設定されているものの、CS版では体型の調整が不可能。PC版でも身長を弄りたい場合はMOD製作ツールを使用する必要がある。
    • PC版は、体系変更MODやリプレイサーMODを別に導入するのが定番。しかしプレイヤーやMODコンパニオン(仲間)だけ体型を変えようとするとさまざまな弊害が発生するため、事実上ほぼ顔しかいじれない。
  • 顔の製作は項目が多数あり、しかもそれらが連動して動くため、よほど美的センスと慣れが無い限り、いわゆるクリーチャー顔しかつくれない。このため、発売直後にゲーム専門誌でネタにされたり、ユーザーからは顔の製作がメインクエストと言われるほど難易度は高い。
    • その扱いづらさはカジート(ネコ系)やアルゴニアン(トカゲ系)と言った亜人種やオークで顔を作った方が愛着がわいてしまうと言われるレベル。

三人称視点時にぬるぬる動きすぎるカメラワーク

  • バニラの状態では視点移動を止めた後でもカメラが微妙に動いたり、でこぼこした場所を移動するときに独特の動きをしたりと、かなりカメラワークが悪い。
    • PC版では何はともあれ「Chase Camera Mod」と呼ばれるカメラワーク改善MODの導入だけは必須とまで言われている。

浮遊感の強い重力設定

  • 本作の重力はまるで月面のような弱さで、後発作の『Fallout3』『Skyrim』と比べてかなり浮きやすい。
    • マップ上にも急勾配が多く、坂道を走っただけで空中に飛び出して落下ダメージを受けてしまう。不用意にジャンプしようものなら大ダメージはほぼ確定。
      • 低レベル時の運動系スキルや体力が低い状態だと死因にもなるため油断ならない。「坂道で転落死」はオブリあるある。

癖のあるキャラクターの成長方法

  • スキルを上げることで経験値を獲得しレベルアップする。一見単純に見えるが……。
    • キャラ作成時に全スキルから7つの「メジャースキル=得意分野」を決定、残りは「マイナースキル」となる。メジャースキルを上げることでキャラレベルの経験値を取得し、マイナースキルは成長ボーナスに関わる。
      • ここで罠になるのが、種族や星座が得意とするスキルをメジャースキルに設定すると、スキルの初期値が高くなること(詳細は後述)。
      • メジャースキルに選んだスキルは成長速度にもボーナスが付く。これも罠になる。
    • レベルアップが正式に行われるのはベッドで寝た時。この際に3つのステータスを選択し成長させられるが、それまでに上げたスキルの量によってステータスの増加量も変わってくる。
      • 一度に上げられる値は最大5。育てすぎた分のボーナスは次のレベルアップに引き継がれるが、それにも限界があるためスキルを一度に極端に上げすぎると後悔することに。
    • スキル上げは反復作業。幾つかはかなり使い込まないと成長しない。例えば「運動スキル」は延々と走る、ジャンプなどして上げなければいけない上に成長が極めて遅い。
    • 逆に隠密スキルは上がり易すぎてステルスプレイしていると序盤でカンストしてしまう。メジャースキルに設定していようものなら、とても多くの成長ボーナスを無駄にすることに。
    • 敵も主人公のレベルと共に強くなり、装備も高性能になるため、スキルの成長が十分なままレベルアップを繰り返したり、あるいは戦闘に直接かかわりの無いスキルの成長だけでレベルアップを続けたりすると、その辺の賊にも苦戦する事態が起きうる。
    • システムの仕様上、全メジャースキルのカンスト=レベルの上限となる。メジャースキルの初期値が高い程、レベル上限が低くなるわけである。そのため種族や星座のボーナスが仇になっており、下手に得意なもの同士を組み合わせると最終的にレベル上限が低く成長ボーナスが不十分な不器用キャラが出来上がってしまう。
    • 運動スキルは上げすぎると移動速度とジャンプ力が異常なことになるため速度抑制のMODも出ている。
    • 逆に言えば、計画的にプレイすれば全能力をカンストし驚異的な身体能力のキャラを作ることが可能だが、そのためには恐ろしく作業的なプレイを強いられる。単に上げればいいといものでなく、あらゆる行動で何かしらスキルが上がってしまうため縛りプレイも求められる。
      • 雑魚を相手にダメージを食らい続けつつ回復スキルや武器系スキルにも気を付ける、鍛冶スキル上げで延々修理or上げすぎないように修理封印、被ダメで防御スキルが上がらないように弓で攻撃しつつ隠密と弓スキルも上げすぎないようにする、鍵開をわざと失敗し続けるor上がりすぎないように開錠を要するクエストを避ける、といった具合。

戦闘の大味さ

  • 敵の攻撃をガードし数回斬りつつ隙を見て回復魔法を使う等の繰り返しであることや、最終的にナイフに強力なエンチャントを施して手数で押し切ることが最適解*7であることなど、プレイヤーの技術的な介入余地が少ない。
    • 前作『Morrowind』の、敵に攻撃を命中させてからスキルによる判定を経て攻撃の成否とダメージ量が決まるという悪い意味でTRPG的なシステムから見れば大幅に改善されたが……
  • 弓と魔法も存在するが、弓は入手できる矢の数が少なく、魔法は初期習得している魔法の威力が低い上にマジカ(MP)が少ないため、どちらも序盤は使いこなす事が難しい。また、中盤以降は特定の有効な戦術に偏りマンネリ化しやすく、戦闘の作業化に拍車がかかってしまう。
  • 難易度調整機能も付いているが、これは与ダメージ・被ダメージの倍率が変動するのみで、AIの行動や敵の配置に一切変更はない。
    • 通常値と比較すると、最低難度は被ダメ1/6と与ダメ6倍、最高難度はその逆、とバランスも極端。その落差は実に36倍にも達する。
  • TPS視点もあるにはあるが、照準が表示されない上にキャラクターの真後ろから前方を映すため、遠距離戦では使い物にならない。
    • PC版ではTPS視点でのカメラ位置を変更するMODも存在するが、ユーザースクリプトの存在で実用化できたシールドバッシュ機能追加MODでモーションが再生されない、カメラ位置変更MOD対応モーションの少なさがネック*8になっている。
  • もっとも、この大味さのおかげで隠密プレイや魔術師プレイが面白くなっている一面もあるが。

レベルによって性能が変わるクエスト報酬アイテム

  • 一部クエストのクリア報酬のアイテムが、入手時のレベルで性能が決まってしまう。そのため、低レベルのうちに入手すると低性能になってしまう。
    クエストによってはレベルが上がると報酬獲得が厳しくなるものもあり、「低レベルでクリアし、報酬受け取りはレベルを上げてから」という妙な進め方をした方が得する場合もある。
    ほかにもアイテムの上限レベルが低いせいで、レベルを上げてから入手すると結局使い物にならない場合も。

Mod製作者に頼りすぎる面があるメーカー

  • 星の数ほど存在するMODの中には、公式パッチで修正しきれないバグやエラーを修正する物などもある。CTD回避スクリプトやユーザー製修正版コードが存在すると言うのは、MODを容認しているゲームではよくある話ではある。
    • とはいえ、コンシューマ版ユーザーがCTD回避方法をメーカーに問い合わせたら、PC版への移行とバグ回避MODの導入を薦められたり、初期の『Shivering Isles』で発生した時限バグ*9を解消するために、ユーザーが製作した修正スクリプトを製品に組み込んだ*10と言う、笑えない逸話もある。
    • しかしながら非公式パッチの導入によって新たなバグを引き起こしたり、MODによっては相性が悪いということもあったりするので導入の際には検討が必要。

総評

美しい景色と本物の建築様式に範をとった町並みを擁し、とても素晴らしい出来映えで表現されたシロディールを自由に探索するゲーム。
メインストーリーは、勧善懲悪を基礎としながらも寂寥感を感じさせ心に残るほろ苦いエンディングのシナリオである一方、サブクエストでは人道的にまずい選択肢も許容する自由度がある。
しかし、バグの多さに加え、旧作ファンからはシリーズが持つダークファンタジーな展開がマイルドになった事への不満も語られている。*11
自由度ばかりが注目されがちだが、シリーズを通しての細かい世界観も評価が高く、世界に散らばる石像や組織ひとつとっても深く細かい設定がある。
神様ひとつとっても曲者ぞろいであり、それを知っているとサブクエストでニヤリとすることも。気になる人はまとめサイトもあるので検索してみよう。


その他

  • 開発側も豊富なMODを評価しており*12、次回作『The Elder Scrolls V: Skyrim』では、MOD作者の一部が開発に携わっている。また、今作のMODで人気の高い、採取した植物の一部が消える『Harvest FLORA』や、戦闘のダイナミズムを追及した『Deadly Reflex』等のシステムがいくつか取り入れられている。
    • 余談ではあるが、日本人製作のMODの中には、対応装備MODの多さから女性用体系変更MODのデファクスタンダードになったばかりか、『Fallout3』や『Skyrim』では派生移植版同士でシェア争いをする事になった『HGEC』や、『MBP/MBP++』と言った種族/キャラメイク用パーツ統合MOD、女性キャラクター向け装備品が多数追加される『Tona's Mods Store』や『Apachii Goddess Store』等、PC日本語版が存在しないわりに絶大な人気と実績を残したMOD製作者が多い。
  • XBOX360版は実績に対応しているが、PS3版はオリジナル版、GOTY版ともにトロフィーに未対応である。
    • 後に本編+DLC8『Knights of the Nine』と『Shivering Isles』を同梱したGOTY版が発売されたが、CS版では別のゲーム扱いであるため、無印版からのセーブデータの引き継ぎはできない。
  • ゲームエンジンが古いため、PC版を購入する場合はゲーマー向けのクアッドコアCPUとハイエンドGPUにメモリーを多めに載せれば良いというものでもない。このため、PCの導入から始める場合、家電量販店ではなく複数の洋ゲーに強いPC専門店に相談した方が良い。
  • 本作から公式に日本語がサポートされたが、テキストのみの翻訳で音声は英語となっている。
  • PC版を日本語化する場合、販売形態(パッケージ版とSteam版)により、日本語化MODの導入手順や必須ファイルが異なる。
  • ドラゴンクエストシリーズ』の生みの親である堀井雄二氏がこのゲームのファンであることを公言している。
  • 本作の製作終了後、リードデザイナーのKen Rolstonが38 Studiosに移籍し、『Kingdoms of Amalur: Reckoning』の開発に参加している。
  • アメリカ本国では、ソフトの発売後、あるクエストで死亡するキャラクター専用の死体が、ベセスダからESRBに提出された資料より部位欠損等がひどかった事、PC版のMOD製作者向けに用意されていた上半身裸の女性用3Dモデルのユーザーによる発見が欧米圏で問題視された。折り悪く『Grand Theft Auto: San Andreas』のHotCoffee問題が発生していたことから、懲罰的な意味合いでESRBの年齢制限が当初の「T」から「M」に引き上げられたが、上半身裸の女性用3Dモデルは仕様ではなくデータを呼び出すMODを要した事、アメリカとヨーロッパの判断基準の違い(成人向け暴力描写は北米と同じレベルの表現が認められているが、低年齢で許される暴力描写はヨーロッパ圏の方が緩い部分がある)からか、一部を除いたEU加盟国の基準であるPEGI(16+)やイギリスのBBFC(15)、虐殺に関してはCEROより厳しいと言われるドイツのUSK(12)と言ったヨーロッパ圏のレイティングに年齢制限に変更は無かった。
  • ボイスアクター(声優)は人数こそ少ないが、英語版ではストーリー上の重要人物にパトリック・スチュワート、テレンス・スタンプ、ショーン・ビーンを起用し、ある種族の音声をリンダ・カーターが演じるなど、少数精鋭ともいえる人選だった。
    • ちなみにショーン・ビーンは洋画版「歩く死亡フラグ」として知られていたため、彼が担当した人物についてはゲーム発売前からストーリー上で死ぬのではないかと噂されていた。
  • 洋ゲーメインのPCゲーマーにはおなじみとなった大手MOD配布サイトNexus Mods and Communityは、本作とMorrowindのMOD配布サイトが出発点であった。