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ウィザードリィ外伝III ~闇の聖典~ - (2020/10/03 (土) 05:32:49) の編集履歴(バックアップ)


ウィザードリィ外伝III ~闇の聖典~

【うぃざーどりぃがいでんすりー やみのせいてん】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 ゲームボーイ
メディア 4MbitROMカートリッジ
発売・開発元 アスキー
発売日 1993年9月25日
定価 5,150円(税別)
判定 良作
Wizardryシリーズ


概要

アスキー製作のウィザードリィ外伝シリーズの第3弾。
BCF(#6)以降の新規追加要素を、#5以前のシステムに上手く落としこんでいる。

ストーリー

とある王国の城下に、アガン・ウコーツという青年がいた。
才気にあふれた彼は将来を嘱望されていたが、ある日恋人のダリアが何者かによって殺害されてしまう。
蘇生の魔法でも彼女を復活させることができないと知ったアガンは絶望したが、
高位魔族の力を借りれば彼女を復活させられるかもしれないことを知り、苦渋の選択の末
禁断の技「魔族召喚」に手を染めた。
召喚の儀式は成功し、次元を超えて次々と魔族が押し寄せてきたが、彼の望む高位魔族は現れなかった。
王国は現れた魔族により地獄絵図と化し、アガンは負の力によって何処かへと飛ばされた。

それから十数年の時が経った。
異国に飛ばされたアガンは、そこで王となって君臨していた。才覚によって国を統一したアガンは
近隣諸国に手を伸ばし始めたが、そんな中彼は「莫大な財宝の眠る呪われた城」の噂を耳にする。
アガンは兵をまとめて呪われた城を目指したが、そこはかつてアガンによる魔族召喚によって
滅んだ王国の城であった。魔物の跳梁跋扈する様を見たアガンは、この地から魔族を一掃し、
自らが犯した罪を償うことを決意する。
アガンはこの地に拠点となる城砦都市を建設し、その都市にかつての恋人の名「ダリア」と名付けた。

城砦都市ダリアを拠点に魔族との戦いを続けていたアガンであったが、ある日旅の商人から贈られた
黄金の仮面を身につけたところ態度が豹変。一言も発せず部屋に閉じこもるばかりとなってしまった。
以降、「仮面の呪いを解き、アガン王を正気に戻した者には褒章が与えられる」というお触れが発せられ、
町には褒章目当ての冒険者が流れ込むようになった…。


特徴・評価点

  • ROM容量の増加に伴う、大幅なボリュームアップ。
    • 従来シリーズでは1つの迷宮を探索するのみであったが、今作は洞窟に限らず森、墓地、教会、山脈など、フィールドをすべて擬似3D形式で表現するという、本家#6以降に準拠したマップ構成となった。
    • それまでのウィザードリィ外伝をベースに、BCF以降追加された種族や職業、呪文を取り入れた。ただし容量不足だったのか、種族ではフェルパーが、職業ではサイオニックとモンクが漏れている。これらは後作の『外伝IV』までおあずけとなった。
      • アルケミスト呪文(『外伝IV』のサイオニック呪文も)はオリジナルでは英語であったが、外伝シリーズでは#5までの法則を使って命名され直されている。これらはエンパイアやエクスシリーズでも採用されている。
    • 性別の概念が追加。男性は力、女性は生命力にボーナスがある。女性が明らかに有利ということはなく、性別限定装備に関してはむしろ男性のほうが有利。
    • 死体回収屋の登場。一人につき10000G必要だが、迷宮で死んでしまった冒険者を探し出し、寺院まで送ってくれる。
  • 序盤は『外伝II』のように致死ダメージややクリティカルしてくる敵もおらず、冒険を始めてすぐ死者が出るという事故はほぼ起こらない。中盤以降の一部謎解きや凶悪なザコモンスター(後述)に泣かされることはあるかもしれないが…。
    • クリア後に侵入可能な隠しダンジョン「ドラゴンの洞窟」が登場。ここでは、敵の能力が凄まじいインフレを起こす。
      • 「ラスボスを上回る強さの敵」が「複数匹のグループを組んで」地下1階から出現する。全3階層だが、階層を降りる度に前の階の敵が赤子に見えるほどの敵が出現するインフレ具合。マップ構成もかなり極悪。
  • 裏ボス「ダイアモンドキング」が登場。由来は本家ウィザードリィ#2(FC版は#3)のサブタイトル「ダイヤモンドの騎士」より。
    • ダイアモンドキングは、最高のダメージ呪文の威力が最大150のウィズ世界においておよそ5000~6000のHPを持つ(まずありえない確率だが理論的な最大値としては1万を越える)、当時としては圧倒的なHPを持つ敵であった。
      • ただし攻撃力が同階層の他のモンスターに比べて低く(とは言えクリアレベル程度ならオーバーキル)、首刎ねやドレインといった致命的な攻撃も持っていないこともあって、ドラゴンの洞窟最下層で互角以上に渡り合えるレベルならば負けることはまずない。敵を瀕死にする呪文「ラバディ」も通用するなど対処がしやすいぶん、後のシリーズ(特に『ディンギル』)のインフレぶりよりはマシである。
    • 本作以降、「ダイアモンド○○」はアスキー製の外伝シリーズの裏ボスとして君臨し続けた。
      • 「ダイアモンドキング(外伝III)」→「ダイアモンドナイト(外伝IV)」→「ダイアモンドドレイク(ディンギル)」と進化を遂げていくこととなる。
    • また、アスキー製に限らず国産ウィズ、およびそれに準ずる作品において「クリア後の隠しダンジョン=インフレ」が定番となる。『外伝I』『外伝II』でもこの傾向は見受けられたが、『外伝III』以降その傾向が加速するようになった。
  • おまけ要素として、他プレイヤーとの対戦が行える「闘技場」が追加された。
    • 制限時間内に迷宮をクリアする「迷宮」および他のプレイヤーの冒険者と戦える「対決」モードが楽しめる。
    • 冒険者同士の対戦要素は今作が初。だが単純にプレイ時間が強さに直結するシステムであることもあってか、以降のシリーズでは搭載されていない。
  • 「アガン・ウコーツ」という人物を中心にしたシナリオも印象的。ただし初見者が高確率でバッドエンド(=裏ダンジョンへの移動が困難になる)になる最終部分は不評。
    • 拠点の町を出てすぐのところに冒険者の集まる場所があり、ここで聞けるヒントに従って進めればバッドエンドを回避できる。だがあくまでヒントなので、謎を解けなかったり、ヒントの内容が変わっていることに気付けなかった場合はバッドエンドに行ってしまいやすい。
    • バッドエンドを迎えたキャラには称号が付く。この称号がないキャラだけでパーティーを組めばラスボスに再挑戦が可能で、グッドエンドを迎えることもできる。バッドエンド称号はグッドエンド称号で上書きできる。
  • グッドエンディングは普通に見れば悪くないのだが、後述のプロデューサーへの批判のせいか一部には不評も。
    • そのため一部のファンからは「バッドエンドこそ真のエンディング」と揶揄され、中には意図的にバッドエンド(アガン埋葬エンド)の道を選ぶ者も(一応裏技で裏ダンジョンへは行けるため)。
      • もっと酷いプレイヤーはアガンを蘇生させようともせずに延々と殺し続けたり、ラストダンジョンでレベル上げ後にアガンを放置して裏ダンジョンへ赴く者も。
        「あんな、おうさまを てだすけする ひつようは ないじゃないの ほうっておいたら。」by宿の女将

問題点

システム面

  • 全体的に処理スピードが遅くなり、ゲームテンポが悪化。特に戦闘開始時と逃走時は1秒ほどの「間」が毎回発生する。慣れれば気にならない程度の遅延ではあるが…。
  • 前作までと違い、戦闘画面の敵グラフィック表示欄の色がグレーになったが、敵グラフィックが見辛くなったとの意見も。
    • 敵グラフィックそのものも、前作までの元デザインをGBの低い解像度でも忠実に再現していた美しいグラフィックに比べると、モンスター総数がかなり増えているということを考慮に入れたとしても、元デザインもゲーム上でのグラフィックもかなり見劣りしてしまう。
  • 今作では『外伝II』のマニアモードクリア特典である「くらましのケープ」のようなアイテムは存在しないので、逃走するにはそれなりのリスクを伴う。
    • ただし、死体回収屋ができたので、これまでよりも全滅のリスクは減ったと言える。
  • 前作までは(ごく一部だが)敵のクリティカルに抵抗するアイテムがあったが、今作では完全になくなったので、高レベルキャラでもあっさり死亡する可能性がある。
  • 『外伝II』同様マニアモードが搭載されているが、マニアモードでクリアしても何も特典がなく、完全に自己満足でしかなくなってしまった。
  • 『外伝I』『外伝II』で育てたキャラを転生・転送で使用できるが、能力値が種族初期値に戻ってしまうため、元世界でいくら強化していようと何の意味もない。
    • 初期年齢も高いため、新規キャラを作成したほうが強い。有利な点と言えば初期所持金が多いことくらい。
      • 上級職のキャラも転生できるが、成長の遅い上級職を能力ボーナス無しでいきなり投入しても、序盤では非常に使い勝手が悪い。
      • 当然、新種族を転生してくることはできない。
      • 初期装備として店で扱っていない古代装備を持っている。しかし性能は店で売られている最下級の品とほぼ変わらない。
    • 転生・転送したキャラには称号がつくが、それが有利に働くことは一切ない。『外伝IV』に転生すると、その称号も消えてしまう。
      • 『外伝II』をマニアモードでクリアした称号も、転生してくると何故か通常モードクリアの称号に変化してしまう。
    • 本作に転生してきたキャラは性別がランダムで決まる(外伝I・IIには無かった項目なので)。目当ての性別でなかった場合、キャラを削除してパスワードを再度入れ直しになる。

キャラクター・呪文等

  • BCF(#6)の「器用さ」「魅力」のパラメータが無くなり、#5までの形式の「素早さ」と「運」に統一されたが、その影響で種族間のバランスがかなり狂ってしまった。
    • 呪文の扱いが下手だったリズマンの欠点がなくなり、呪文の覚えこそ悪いものの覚えてしまえば普通に使えて身体的には最強という、ぶっちぎりの強種族になってしまった。
    • 旧種族で素早かったノームの素早さがガタ落ちし、盗賊に向かない種族に変わってしまった。ホビットも素早さが落とされ、#6での器用さの高さも素早さに反映されていないため罠外しが下手になってしまった。
      • 素早さに優れた種族としてフェアリーがいるが、フェアリーの素早さが14もあるのに対して他の種族は9以下のダンゴ状態。はっきり言ってフェアリー以外の種族の罠外しは信用ならない。せめてフェルパー(基本値12)が実装されていればバランスも取れていたと思われるが…。
  • 今作登場の種族の一つ、ドラコンはなぜか逃走できない逃げるコマンドがない。
    • この種族のみブレス攻撃が可能という特徴があり、おそらくこのコマンドの追加のために逃走が削られてしまった為だと思われる。『外伝IV』ではきちんと別々のコマンドになった。
    • システム上は「誰か一人が逃げるを選べば即座に全員で逃走する」方式なので、全員ドラコンパーティーでも組まない限り逃走不可になったりはしない。
  • 職業の使い勝手の差が激しい。前項の通り破綻してはいないのだがやはり今作も職業の差がある。
    • BCF(#6)にて「ロードの存在価値を奪う」と問題視されていたバルキリーの強さは相変わらず。ただし性格が中立に限定され、女性なら誰でもなれるわけではなくなった。
      • 作りやすいうえに僧侶よりも成長が早く、専用装備もあるので使い勝手がより一層増している。ただし、本作ではロードにも専用装備があり、十分強い。
    • BCF(#6)にて弓の攻撃回数1回固定等のシステムの不備があったレインジャーはさすがに修正され、実用に耐えうるくらいには強化された。
      • それでも弓の射程距離が槍と同じになる、力の強い種族は最強の弓を装備できないなど、使いづらい部分も多い。
    • バードは楽器(バードのみが使えるマジックアイテム)を演奏でき、盗賊の技術と魔法使いの呪文を使え、成長も早い。しかし楽器がイマイチなものが多く、盗賊の技量も未熟なので後半は息切れする。
    • ビショップはBCF(#6)にて識別特技が削除され、呪文の覚えも非常に遅い地雷職業になってしまったが、今作では識別特技が復活し、レベルさえ上げれば呪文も錬金術以外の全てを覚えるようになった。
      • しかし錬金術に鑑定呪文が登場してしまい、錬金術の使い手がいれば無理に入れる必要もなくなってしまった。
      • 前作までに比べてアイテムの識別難度が上昇しており、失敗して恐怖状態になったり、呪いアイテムを勝手に装備してしまう確率が上がっている。鑑定呪文なら失敗しないし、別キャラの所持アイテムも識別できてしまう。
  • 盗賊技術を持った職業は増えたが、結局は盗賊を使うことになりがち。
    • 今作の盗賊技術(宝箱の罠鑑定)の技量は盗賊>忍者>レインジャー=バードとなっている。なお宝箱の開錠率には影響しない。
      • 元々盗賊前提で宝箱の罠鑑定率が設定されていたので、忍者より低い新職業では罠鑑定の成功率はお察し。
    • シークレットドアの感知能力は盗賊と忍者にしか無く、バードやレインジャーでは感知できない。
    • 更に、ダンジョン内の施錠された扉を解錠する適性も盗賊と忍者にしか無い。しかも呪文による開錠もできない。
      • 説明書にも「鍵のこじ開けは盗賊や忍者が得意」と書かれており、バードやレインジャーが得意とは書かれていない(適正を得るのは『外伝IV』以降)。
      • 忍者も序盤で作るのは難しいため、適正レベルでその場所にたどり着いた時、盗賊でないとほとんど開けられない事になる。ちなみに盗賊や忍者ならレベル10前後で開けられる扉も、他の職業だと15ほど必要になり、経験値に直すと約10倍もの差になる。
    • 上記の理由により、結局クリアの効率面を考えると「盗賊を加える」又は「開錠用に盗賊を育てる」といった展開になりがち。
  • アルケミスト呪文はカルドゥ・モルフィスなど便利なものもあるが、やはり魔法使い・僧侶の呪文よりは重要度が低い。
    • リクレアなどの雲系攻撃呪文は効果発動が唱えたターンの最後である為、基本速攻重視なウィザードリィの戦闘においては相性が非常に悪い。
      • その一方で敵に唱えられた場合は戦闘が終了したターンでも効果が発動する為、やっかいな呪文と化している。
    • フォフィックは長時間パーティ全員の呪文無効化率を上昇させる常駐型呪文だが、バグで敵の呪文無効化率が上昇してしまう。
    • BCF(#6)同様、使い勝手は悪いが、無ければ無いでいざという時に困るといった位置にあると言える。

ダンジョン・モンスター

  • 『外伝I』『外伝II』同様、相変わらず敵が強め。加えて本作には各ダンジョンに明らかに場違いな強さの地雷モンスターが登場している。
    • 序盤のフライングティースや中盤のジャイアントクラブ・終盤のブロブアイなど。特にジャイアントクラブはHPと守備性能が異様に高く一度に大量に登場する上、行動が「クリティカルヒットを伴う打撃」もしくは「仲間呼び」の2択しかないため、裏ダンジョンを除くと事実上の最強モンスターである。そのあまりに場違いな登場はwizファンの語り草となっている。
      • これらのモンスターは攻撃呪文を高確率で無効化するが、状態異常呪文は通用するため、行動を封じて1体ずつ倒すなり、逃げるなりするという対処法はある。他の敵よりもランクが高めなので、撃破できればそれなりに良いアイテムが手に入る可能性もある。
    • また本作ではシリーズの常連モンスターが変な強化をされているケースが散見される。ラダルトを唱えるレッサーデーモン、ティルトウェイトを唱えるスクライルなど。
  • マップの大幅な追加によるバランス調整の為なのか、終盤まで敵から獲得出来る経験値が低いうえ、アイテムもロクなものが出ない。特に経験値の低さは前述の鍵付き扉とシステム的に噛み合っておらず、行き詰まった時のレベル上げがとにかく大変。
    • 一方で終盤のダンジョン「山脈」まで来れば敵の経験値が大幅に上昇しこの問題はほぼ解消されるが、その頃にはもはや鍵付き扉など存在しないのであった。
      • マスターレベル(Lv13)程度では非常にダンジョン攻略が心もとないため、山脈の前に行けるフィールド「市街地4」のダンスホールでピーコックなどを相手に経験値稼ぎと装備集めがほぼ必須。
  • 『外伝II』で存在していた「HP自動回復が敵のレベルアップとして働く」「状態異常呪文に対する無効化能力が働いていない」といったバグが直っていない。
    • 状態異常呪文の無効化能力が機能していないため、逆に前述のジャイアントクラブ等の強敵に対処しやすくなっているのも事実ではあるが。
  • ドラゴンの洞窟以降のゲームバランスは決していいとは言えない。
    • エンディング後すぐにドラゴンの洞窟に乗り込むと、たいていは返り討ちにあう。
      • ラストダンジョンでもそこそこの経験値が入手可能で、そこで経験を積んでから訪れれば互角に渡り合えるようにはなるのだが、かなりダレやすい。
    • ドラゴンの洞窟では攻撃呪文がほとんど役に立たない。
      • ドラゴンの洞窟に出現する雑魚敵はだいたい100~300、トップクラスの敵は数百ものHPを有しており、呪文無効化率もそれなりに高い。一方最強攻撃呪文「ティルトウェイト」で与えられるダメージは大体100前後で、それも呪文が無効化されずに通ったら、の話。攻撃呪文は前述のラバディや即死呪文以外ほとんど役に立たない(即死呪文もレベル100程度にならないとイマイチ効いてくれない)。

賛否両論点

「アガン・ウコーツ(=徳永剛氏)」への賛否

このゲームのキーパーソン「アガン・ウコーツ」は、このゲームのプロデューサー・シナリオ担当の徳永剛氏の苗字をアナグラムしたものが由来(「Tokunaga」→「Agan ukot」)。これは本家1作目から存在する、ウィザードリィ伝統の言葉遊びに准えたものであり、「アガン=徳永氏」を意味する暗喩ととらえられなくもない。しかし、一部のプレイヤーからはアガン(徳永氏)は批判の対象となっている。以下にその批判の一部を挙げる。

  • 批判1:ストーリー上でウィザードリィでは御馴染みの舞台「リルガミン」を壊滅させた。
    • 『外伝III』の段階でははっきりと壊滅させた都市の名前は示されていない。だが曖昧な表現ではあるものの、この時点でリルガミンに関わるアイテム、キャラなどが配置されている。そして『外伝IV』の展開と照らし合わせると、この都市がリルガミンであることが明白となる。
    • 特に腐った杖やドラゴンゾンビ、魔法の魔除け等(どれも旧作のシナリオの鍵を握る存在だった物と思われる存在)の設定は今までのシリーズに思い入れのある人には冒涜とさえ思えるだろう。
    • 滅んだ故郷をリルガミンにする必要性が見つからない事も批判に拍車を掛けている。前作もリルガミンが関与するような描写はなく、今作に関しても城下町が失った恋人の名前でリルガミンと関連性がないように見えるので、滅んだ故郷も架空の設定で出しても特に問題は無かった筈。
      • 結果的にシリーズのファンを取り込む為にリルガミンと思わせる描写をしたとしか捉えられず、しかも亡国と言う扱いではファンは首をかしげるのは当然である。
        過去の設定に頼りながらそれらを新設定で塗りつぶす、崩壊させる原作レイプ続編やリメイクの元祖とも呼べなくもない。一応設定上は矛盾が無い*1事とシステム面での骨組みが良い分マシなほうだが…
  • 批判2:シナリオの中核が徳永氏の自己満足ではないか?
    • 若かりし頃のアガンの目的は、死んだ恋人を蘇らせることであった。前述のリルガミン崩壊もその影響である、と描かれており、一部からはウィズの世界観を巻き込んで自分の世界に浸るな、という批判もあった。
      + ただし、シナリオ上でのアガンの扱いはというと…(ネタバレ注意)
      • シナリオ上でアガンは「恋人のダリアがアンデッド化(しかもミイラのような姿)」「冒険者と戦って殺され、その後のシナリオ進行によってはロスト(消滅)してしまう」など散々な目に合う。trueエンドでは「アガンとダリアが再会してハッピー?エンド」となるが、決して手放しで喜べる状況とは言い難い。
      • 『外伝IV』の描写を見るとリルガミン崩壊に関しても仕組まれた物であり、それによって恋人を殺された挙句故郷の崩壊の原因を作ってしまい、別の国に飛ばされ、呪いもかけられる等経緯も決して良いとは言えない。
      • また、故郷を滅ぼした事による罪悪感はあり、復興させようと努力しているので「アガンに関しては」情状酌量の余地はある。
  • 批判3:ウィザードリィに過剰なインフレを持ち込んだ。
    • 敵のHPと攻撃ダメージ増加、そして高い呪文無効化率を敵が備えるようになり、事実上攻撃魔法はドラゴンの洞窟では無意味。完全に物理攻撃偏重のバランスとなっており、「Wizardry(魔法)」というタイトルにそぐわない、という声もある。
    • ただし敵のパワーインフレは既に『外伝II』の時点で現れており、『外伝II』の実質的な製作者のベニー松山も「敵の強さが足りなかった」という旨の発言をしている。
  • 批判4:ペーペーの時に(Wiz界では著名な)ベニー松山氏をコキ使い、『外伝II』の成功をさも自分の功績のように振る舞った。
    • 詳細は『外伝II』の「余談」参照。
  • とは言え、本来『外伝II』で終わってしまうかもしれなかった国産ウィザードリィに新たな風を吹き込み、現在に至るまで日本においてウィザードリィという作品を存続させるきっかけを作った功績は評価すべきであろう。
  • 『外伝III』以後、アスキー製の外伝シリーズでは、アガンが何らかの形でゲスト出演している。
    • 『外伝IV』のスタッフロールでは徳永の部分だけが「アガン・ウコーツ(阿癌雨香津)」名義となっており、以後徳永はファンからは「アガン先生」、アンチからは「阿癌」「癌」などの俗称で呼ばれている。

総評

シナリオ#5以前とは異なる方向へと進化していった本家シリーズとは違い、この作品は本家を含む色々な要素を取り入れながら#5以前のシステムを伝統として残していく、という和製ウィズの方向性を決定付けた。
『外伝I』が和製ウィズの先駆者、『外伝II』がそれまでの日本におけるウィザードリィの集大成とするならば、『外伝III』は和製ウィズに新たな血を取り入れた作品と言えるのではないだろうか?


余談、その後に与えた影響

  • ウィザードリィ外伝IV ~胎魔の鼓動~』が後に発売された。ハードをSFCに移したおかげで全体的にボリュームアップされたが、東洋を舞台とした独創的世界観は評価が分かれた。
  • 『外伝III』以降のゲームバランス(特にインフレ要素)、リルガミンの歴史に対する後付は、他社製のウィザードリィにも少なからず受け継がれている。
  • 本作は、かつてゲームボーイ用ソフトの中で最もプレミアのついたソフトであった。定価を超えることはザラ、時には2倍近い値がつくことさえあった。この状況は1999年に復刻版が発売されるまで続き、それ以降はそれなりの値段に落ち着いた。