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Sa・Ga2 秘宝伝説 - (2018/01/31 (水) 21:00:25) の編集履歴(バックアップ)


Sa・Ga2 秘宝伝説

【さ・がつー ひほうでんせつ】

ジャンル RPG
対応機種 ゲームボーイ
メディア 2MbitROMカートリッジ
発売・開発元 スクウェア
発売日 1990年12月14日
定価 4,800円
プレイ人数 1人
セーブデータ 3個
判定 良作
サガシリーズリンク


概要

  • ゲームボーイ初のRPGソフト『魔界塔士Sa・Ga』に続く、サガシリーズの第2弾。
    • 前作と同じスタッフ(河津秋敏氏らのチーム)が開発を行っている。
    • 容量は前作の2倍である2メガビットと、当時のGBソフトとしては破格のものであった。
  • 続編ではあるが、他のサガシリーズ同様、基本的には前作とはストーリー上にも設定上にも繋がりはないため、単体でも全く問題なく楽しめる。

特徴及び評価点

  • 基本的なシステムは前作に準じているが、人間とエスパーの成長システムは変化している。
    • ファイナルファンタジーII』の熟練度システムに近いもので、戦闘中に使用したアイテムの系統によって能力がアップする。概ね力系武器を使えば力が、素早さ系武器を使えば素早さが、魔法を使えば魔力が上がるようになっている。
  • 新種族として、「メカ」が追加された。
    • メカは魔力が0で固定、マヒや毒などの状態異常が無効、装備品によって魔力以外の能力値(HP含む)が変動する、防具の装備制限が無くどんな装備部位の防具でも複数装備可能、武器やアイテムの使用回数が通常の半分になるが宿屋で休むと回数が回復する、という新機軸が搭載されている。
  • BGMは豊富で、評価も高い。前作同様サウンドテストもある。
    • タイトル画面でのサウンドテストのほかに、本作には「ジュークボックス」が登場。街中で好きなBGMが聞けるようになった。加えて本作にはジュークボックスを用いた必須イベントも・・・。
    • 本作からイトケンこと伊藤賢治氏が初参加。前作から引き続き植松伸夫氏も参加しているため、後にスクウェアを代表する作曲家2人が共作した初のゲームとなった。
  • パーティに一時的に加わるNPCも登場。また、移動中に話すと情報をくれる。
  • このゲームのサブタイトルである「秘宝」は単なるキーアイテムではなく、身につけて能力をドーピングさせたり強力なアイテムを使用したりといったことができる。
    • 秘宝の内容も、力や素早さを上げる物や使用回数無限の強力な武器や盾など様々。同時に装備可能なのは1種類だけゆえ、何を誰に装備させるかという戦略も生まれた。
  • 前作は4種類(+α)の世界を旅する内容だったが、本作は9種類(+α)の世界となっている。
    • 世界のバリエーションも富んでおり、普通の世界のほか、ジャングル・江戸時代・人間の体内・天界などが登場。
  • サガシリーズの例に漏れず本作もバグが多い。とはいえゴミ箱を使った能力ドーピングや、ドラゴン窃盗などのバグ技など、多種多様なバグ技のおかげで「プレイする度に新たな発見があるゲーム」という声もあった。
    • 前作の「有用、遊べるバグの多さ」は引き継いでいた(なおモンスターの「カウンター」を外して売って回復orセーブするとバグる、など一部笑えないバグもあり)。
  • 難易度はプレイスタイル次第で変わってくる。適当に進めるだけでは中盤以降のボス戦で詰まる可能性があるし、コツを掴めば楽に進行できたりする。
  • ストーリーのテーマは「親子」。暖かな雰囲気で、ストーリーのノリもコロコロやボンボンなど幼年誌のバトル漫画にかなり近い直球の熱さがある。
    • サガシリーズでここまで素直な作風は、極めて異色といえるだろう。

印象あるキャラクターの名セリフ

  • 世界観とマッチした印象的なセリフは今作も多数見られる。
    • 初心者には心強い一言「やはり わたしも いっしょにいこう!」
    • 外面的な美しさこそが全てと考える中盤のボスの非道に対して「いまのあんたが いちばん みにくいぜ!」は有名*1
    • 悪徳商人が悪巧みしている所に乗り込むシーンでは突如BGMが勇ましいものに切り替わり、悪徳商人から「なんだ! このおんがくは!」とメタな発言が飛び出る。
    • BGMの切り替わりも相まって強烈な印象を残す「きたぞ きたぞ!」もファンは思わずニヤリ。
    • 「く・・そ・・・・ はかったな ・・・・たいさー」も名言の一つ。プレイヤーも完全に謀られました。
      + 上記に関係して本作の根幹に関するネタバレ
    • (説明書より)世界は、古き神々によって創られ、神々の遺産は、77個の秘宝として残されている。そして、その全ての秘宝を1つに合わせると「女神の像」になり、計り知れない力が蘇えるという。その強大な力を利用して自らを新しい神と名乗るものが現れ始め、世界は大きく動き出す…。
      • 秘宝が77個というのは、実は主人公の父親が属する組織「ガーディアン」によって流された偽情報。集めた秘宝を全て神・アポロンに奪われたあと、父親によって秘宝は78個あるという真実が明らかになる。
      • 終盤、77個の秘宝を発動させて強大な力を身につけたアポロンとの戦闘になるが、凶悪な強さの一方で不完全な発動で危険な状態となり、最終的に上記の断末魔と共に崩壊・自爆する。
        • 説明書の内容が真実とは限らない、まさに神をも騙すサプライズ。
        • 本作の宣伝広告にも「77個の秘宝を探しに行こう!」*2とあり、プレイヤーも完全に製作スタッフの掌で転がされるまさかの展開は、当時のプレイヤーを驚かせた。

問題点

ゲームバランス

  • モンスターについて
    • モンスターは一部の種族以外はあまり役に立たず、モンスター間の格差が大きい。
      • とりわけ妖精は魔力・素早さに優れ、複数攻撃や回復までこなせるため敵出現数の多い本作では非常に有利。この種族を基本にしていけば攻略が非常に楽。
      • オープニングのキャラクター選択で選べるミニドラゴンは全体攻撃が非常に便利で、しばらくはこれだけで進めていける。逆にいえばミニドラゴン以外の種族を最初に選択する利点があまりない。また序盤のモンスターは肉を食べても強化どころか弱体化するケースがほとんどである。
    • 最上位クラスのモンスターになるためには、ラストダンジョンで計2回しか戦えない中ボスがランダムで落とす肉を食べる必要がある。
      • このことを知らず、不運にも中ボスが肉を落とさずそのまま先に進めてしまったら、最上位モンスターになる機会を永久に失いラスボス戦の難易度もやや上がってしまう。
      • またモンスター3名以上のパーティでは、パーティ内のモンスターの誰かは絶対に最上位クラスになれず割を食うことになる。それを嫌ってパーティのモンスターは1~2名に留めるプレイヤーもいるなど、パーティメイキングの自由度にも影響している。
      • 前作ではラストダンジョンにて中ボスから4つ(すなわち人数分)手に入れることができたため、全員を最高レベルに上げることができていた。
  • メカが強すぎる。
    • 戦闘や食肉で成長させる必要がなく、手に入れたアイテムを装備していくだけで簡単に強くなる。
      • 装備するとアイテムの使用回数が半減するとはいえ、宿屋で使用回数を回復できる。入手に個数制限のあるレアな武器などもメカに持たせれば実質無制限に使い続けられる。
      • アイテムを装備するとHPの現在値と最大値が変動するため、回数制限のない防具などを着脱を繰り返すだけでHPを全回復できる。宿代は減ったHP量に依存するためメカ1人分の宿代を浮かすことが出来るどころか、HPが減ってもポーション不要でその場で回復できる。
    • 「銃・兵器系の武器のランダムダメージ幅が2倍になる」という性能により、初期装備からして命中率こそ低めだが威力が段違いに強い。命中率の低さも「銃系の武器は力のステータスの高さによって命中率が上がる」という特性があるため、力の上がる武器を装備すれば補うことが可能になる。さらにグループ攻撃可能な重火器系の武器を手に入れた後は特性上必中攻撃となり、ザコを一人で一掃なんてこともザラにある。銃・兵器系の武器の威力は能力値に依存しないため、手に入れた時点で最高のパフォーマンスを発揮することができる。
    • 終盤では力が上がる装備をつぎ込んでグングニルのヤリなどグループ攻撃の力依存武器を使えば、恐るべきダメージを叩き出すようになる。
    • 防具を重ね着できるため手に入れた防具をつぎ込んで先頭にすればダメージ0も珍しくなくなる。さらに状態異常にも強い。ただし魔力0のため魔法等には弱く、魔法攻撃を使う敵が増えるようになる頃からは通用しなくなる。被魔法回復量も低い。
      • HPと防御を上げやすいことからメカはパーティの先頭に配置して盾役にしやすく、マップ移動時には先頭キャラであるメカばかりを見続けるパターンになりやすいという弊害も。
    • いるかいないかで難易度が大きく変わるが、魔法攻撃に弱く魔法回復量も低いことやアイテムをつぎ込む必要性から何体も入れられないこと等でバランスを保っている。
  • 人間・エスパーの成長が遅く、じっくり育てなければ足を引っ張ってしまう。早解きの場合は入れないほうがよくなってしまう。
    • 本作では任意のステータスを上げて自分好みのキャラを作ることができるが、この成長の遅さのため一つ上げるだけで手一杯となる。ステータスは同時期のモンスターと比べると大きな格差ができてしまう。
    • 魔法等によるグループ攻撃でザコを一掃できたり、武器ダメージ半減効果を受けず、全体回復もできる魔力や後述の素早さを優先的に上げたほうが有利となり、自分好みにカスタマイズしにくい。
    • エスパーの特殊能力は敵のレベルに応じて覚えられるものが増えていくシステムになっているため、「サイコブラスト」などの終盤に覚える高位の能力は取得確率が極端に下がってしまう。
    • ストーリー設定上主人公も仲間も種族は最初に決める必要があるため、前作のように適宜入れ替えて攻略をすることはできない。前作ではある程度成長した人間や、有用な特殊能力を最初から持っているエスパーを後から入れることで攻略に役立てられたが本作では地道に育てるしかない。
  • 素早さは重要なパラメータだが、まともに戦えなくなるまでそれに気づきにくい。
    • 一部の武器を除くほとんどの武器の命中率および回避率、逃走率は素早さに依存(正確には敵の素早さと味方の素早さの差に依存)する。
    • 一番オーソドックスな剣が「力依存、使用で力が成長」なので、このタイプだけを使っていると、力(攻撃力)は上がるが素早さ(命中率)は上がらない。
      • その為、同じタイプの力依存武器を買い替えて(すばやさが初期値のまま)進めていくと、中盤から目に見えて雑魚敵に武器攻撃が当たらなくなり、逃げることもままならなくなる。
      • しかも一度に登場する敵数が多いため、素早さが低いままだと終盤の戦闘はこちらが動く前に敵の総攻撃を受けて何も出来ず全滅することにもなりかねない。
      • とはいうものの、敵の攻撃を受けて仲間の人数が減れば逃走できやすくなるシステムになっており、慎重に進めれば満身創痍ながらいけないこともない。
    • ただし最後の世界では「エクスカリバー」という、力依存・必中・同種の敵グループへの同時攻撃が可能・使用回数無限 という最強武器が入手できるので、力特化の育て方をさせたキャラでも「エクスカリバー」を使用すれば活躍できないこともない。
      • とはいえエクスカリバーは隠し通路の奥で入手できるので、人によっては存在に気付かない可能性もある。また力が低いキャラが使ってもそこそこのダメージを与えられる*3ので、力特化キャラに装備させないという選択肢もあり得る。
    • また、素早さが低いのを利用し、魔力を上げて相手の攻撃の後に全体回復を行う役にすることも可能ではある。
      • 魔法は基本的に必中でグループ攻撃・全体攻撃も可能なので、相手の攻撃に耐えられるなら素早さが低くても割とどうにかなる。
      • 素早さ依存の武器は単体攻撃しかできず、敵の数が多い本作では攻撃面では不利となる、さらにラスボスなど武器ダメージ半減効果有りの敵に対して極端に弱くなってしまう。対して魔力はグループ/全体攻撃・全体回復の利点の他に魔法防御・回復量にまで関わっている重要能力となる。
      • とりわけ全体回復の手段があることは人間・エスパーの大きな強みであり、ボス戦では安定した戦いをすることができる。
  • 味方側が使用した際の石化攻撃が強力。
    • 命中率の計算式の関係で、メカの敵など魔力0に設定されている敵には100%効く上、一部のボスにも効いてしまう。前作の「ラスボスにチェーンソーが効く」のセルフパロディのような仕様になっている。
      • 但し効かない敵も多く、成功率も多少魔力に依存しているため、これだけやってれば・・・という訳ではないことも付記しておく。

その他の問題点・不具合

  • 電源入力直後、必ずザコとエンカウントする仕様になっている。
    • エンカウントなどの乱数開始位置がハードに依存しているので初代GB以外ではこの現象は起こらない。他のハードを使うとセーブ→電源断→敵と会う歩数を覚えておいて一度リセット→敵に会う一歩手前でセーブ→電源断→以下略で敵とエンカウントせずに移動…という事も可能。
    • 電源投入→リセット を繰り返すと4回目のエンカウントで必ず出現率が低いグループの敵が選ばれる(4回目なのは初代GBのみ)など利用価値もある。
  • セーブはどこでもできるのだが、それ故にセーブ場所によっては詰む危険性もある。特にラスボス撃破後もセーブできるため、うっかりセーブしてしまうとそのデータではエンディングを見る以外何もできなくなる。
  • 「珊瑚の剣」という武器は、前作同様水棲生物の敵に効果がある…という触れ込みだが、プログラムミスにより虫型の敵に有効な武器となってしまっている。殺虫剣?
  • ラストでは展開の都合からフィールド画面が常に揺らいでいる状態になってしまい、見づらくなる。さらにこの展開後敵が強くなったり、強力なNPCが加わったりと終盤の育成がしやすい状況になってしまうため厄介。

総評

前作から順当に進化した続編としてよくできた1作。
サガシリーズ特有の取っつきにくさやゲームバランスの問題もあるが、成長システムや味方のメンバー構成等によりゲームのプレイ幅も広く、一度クリアしてからも色々な遊び方ができた。
シナリオ面でも特徴的なイベントが多く、システム・シナリオ両面で長年に渡ってファンに愛されている。

本作は非常にシンプルな作品であり、やろうと思えば短時間でクリアすることもでき、タイムアタックに向いた作品としてプレイされることも多い。
ただその意味でいえば人間・エスパーの成長が遅いことは大きな足かせとなっている側面があり、前作にはない欠点となってしまっている点は残念ではある。


その後の展開

  • アメリカでは『FINAL FANTASY LEGEND II』のタイトルで発売された(前作とは違い『THE』が付かない)。
  • 2009年、『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』として、ニンテンドーDSにて3Dリメイクされた。
    • オリジナルのプレイ感覚を重視したリメイクであり、おおむね好評。詳しくはリンク先で。

余談

  • ゲーム内で登場する『いじわるなダンジョン』には、その名前と発生するイベント、そしてダンジョンに登場する天使のセリフから、プレイヤーに強烈なインパクトを残した。
    • 後に台詞やダンジョンの仕様はユーザーの間でネタにされるようになった。何が「いじわる」なのかは実際に遊んで確かめてほしい。
  • ラストダンジョンにおいて、超低確率で「はにわ」というモンスターが出てくることがある。このモンスター、名前や容姿はかわいいがとんでもなく強く、ラスボスよりも遥かに厄介である。
    • ただし所詮はザコ扱いなので、ザコ敵を全滅させる「はどうほう」を使えば一撃で倒すことが可能。「はどうほう」は非売品で使用回数も3回だけだが、メカに装備させれば回復させることで何度でも使用可能。ほかに特殊能力の「じばく」や「クリティカル」(こちらは必中ではない)で一撃で倒せるほか、メカの力を強化すれば「チェーンソー」でも倒せる。
      • ちなみに本作は「ラスボスよりも強いオメガ・神竜」がいることで有名な『ファイナルファンタジーV』よりも、発売が2年早い。
    • ラストダンジョンの敵は基本的に逃げられないが、はにわからは逃げることが可能なのが救いか。
    • はにわを倒すとレアなアイテムを落とすなど、やり込み向けの隠しボスのような存在となっている。
      • ちなみにこの武器、複数回攻撃するのだが、攻撃力は力依存で命中率は素早さ依存のため、使いこなすには力と素早さをいずれも高くしないといけないという入手するのも大変だが入手した後も大変な武器である。
  • 『SaGa2 秘宝伝説 基本データー編』には、BGM集のCD(ED未収録)が付いたバーションが存在する。
  • 同社作品『ライブ・ア・ライブ』SF編のおまけゲーム「キャプテン・スクウェア」にて、本作ラスボス最終形態唯一の攻撃と同名の超強力な攻撃を放つ敵が登場する(ただしキャラに合わせて技名はひらがなになっている)。また、幕末編には本作からの装備「悪のそろばん」が同じく悪徳商人が落とすレアアイテムとして登場している。
  • 主人公の父親は昔「4つのクリスタル」を守っていたという情報を聞くことが出来る。この「4つのクリスタル」というのはファイナルファンタジーではなく前作『魔界塔士Sa・Ga』であるとする説が有力である。
    • また主人公一家はED後に三種の神器を探しに行くと言って親子3人で旅に出る描写がある。
    • 次回作『時空の覇者 Sa・Ga3 [完結編]』では三種の神器を探す3人家族が登場する。家族の少年によると「昔は僕も悪者退治をしていた」とのことである。