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トレード&バトル カードヒーロー - (2014/04/05 (土) 15:43:44) の編集履歴(バックアップ)


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トレード&バトル カードヒーロー

【とれーどあんどばとる かーどひーろー】

ジャンル トレーディングカードゲーム
対応機種 ゲームボーイカラー(全GB共通)
発売元 任天堂
開発元 インテリジェントシステムズ
発売日 2000年2月21日
価格 3,800円
配信 3DSバーチャルコンソール
2011年8月10日/600円
分類 良作


概要

  • 当時流行期であったTCG(トレーディングカードゲーム)をオリジナルルールでゲーム化されたソフト。
    • 一度お蔵入りになりかけたところを、ゲーム雑誌「ファミ通」の編集者が注目しバックアップ、発売までこぎつけたという経緯を持つ。

ストーリー

主人公「門マサル」が、カードバトルで悪者と戦うアニメ「カードヒーロー」。ひろしはこのアニメの大ファンだった。
そんな折、ひろしが生まれてすぐ渡米した祖父が、久しぶりに帰国。彼がお土産に買ってきたカードがきっかけで、ひろしはTCGとしてのカードヒーローにも興味を持つようになる。
友達のクミとカードヒーローを始めたひろしは、カードヒーロー同好会「クラマクラブ」に入会。果たして、ひろしはマサルのようにカッコよくカードバトルができるようになるのだろうか?

特徴

  • いわゆる『マジック:ザ・ギャザリング』型のカードゲーム。あらかじめ用意したデッキから手札を引き、「ストーン」というリソースを消費して「モンスター」を召喚して攻撃させたり「マジック」カードを使ったりして、最終的に相手「マスター」に攻撃を与えてそのHPを0にすれば勝利となる。
  • 本作でゲームで使うフィールドは以下のような構造になっている。他の同型のTCGに比べるとコンパクトな構造と言える。
      マはそれぞれのプレイヤーを模した「マスター」が配置されているマス。前・後は「モンスター」カードを設置できるマス。
    一人のマスターが2x2=4体まで自分のモンスターを設置できる。攻撃しない代わりに移動したり位置を交換したりもできる。
    通常攻撃では隣接している相手にしか攻撃できず、前衛は後衛の壁のようになっている。
    また、後マスにのみモンスターが設置されている場合、それを所有しているマスターのターンの始めに後マスから前マスに移動する。
     
  • 本作で用いるカードの種類は「モンスター」と「マジック」の二種類。
  • 「モンスター」はそのモンスターを場に召喚して攻撃を行ったりできるカード。モンスターを召喚するにはストーン1個と一緒に場に置き、次のターンまで待つ必要がある。
    • モンスターにはHPと通常攻撃*1が全カード共通して、一部カードには特殊攻撃・常に効果を発揮する特殊効果がそれぞれ設定されている。特殊攻撃は使用にストーンを消費するものもある。
      • HPと攻撃は1刻みの数値設定が行われており、モンスターのHPは最大でも6。HP1の差で命運が分けられていると言っても過言ではない。
      • 特殊攻撃は遠隔攻撃が可能なものが多いが、その攻撃できる場所はカードにより異なっている。1つ飛び、2つ飛び、どこでも、貫通、桂馬飛びなどなど。
    • モンスターには前衛向け・後衛向けという分類が行われており、どちらも前マス・後マスにも置けるものの、基本的には分類通りに設置したほうが良い。
      • 前衛はHP・通常攻撃の威力が高いが、1マス以上隔てた相手には攻撃できない・できても威力が低いことがほとんど。
      • 後衛はHP・通常攻撃の威力が低い(通常攻撃の威力が0の場合もある*2)が、高威力の遠隔攻撃が使える場合が多い。
  • 「マジック」はその場で効果を発揮するカード。ストーン消費数は各カードごとに異なり、マジックで消費されたストーンが戻って来ることは無い。
    • 一部の「マジック」カードは、シニア以降のルールにおいてはカード無しに使用することが可能である。詳しくは後述。
  • なお、スタックやカウンター、インスタントといった概念が存在せず、「全てのアクションは宣言即解決」「相手プレイヤーのターン中に取れる行動がない」という特徴もあり、この点でも非常に簡潔でまとまったルールとなっている。
  • 各プレイヤーには毎ターンにストーンを3個貰うことができ、そのストーンでモンスター召喚や魔法の発動といった行動が可能になる。
    • 本作最大の特徴と言えるのがこのストーンに関する扱いである。モンスターの召喚やレベルアップに使ったストーンは、そのモンスターのHPが0になると手元に戻る。また、マスターのHPはストーンで表され、マスターがダメージを受けた際には、受けたダメージ分のストーンを入手できる。
      • つまり、追い詰められるほどできることは増えていく。相手の残ストーンに注意を向けつつ攻撃する必要がある。
  • モンスターを強化するシステムとして「レベルアップ」と「気合い溜め」が存在する。
    • 相手モンスターを倒すとそのモンスターにレベルアップの権利が与えられる。
      • Lvが上がると、モンスターによっては技の攻撃力や効果範囲が拡大することがある。一部のモンスターはスーパーカードという進化系が用意されており、召喚が大変なぶん、強力な攻撃技や特殊効果を持っている。
      • レベルアップするには1レベルごとにストーンを1個消費する必要があり、レベルが上がったモンスターはHPを全回復できる。この回復がカードヒーローの勝敗の分け目になると言ってもいい。
      • マスターには攻撃2ポイント軽減するバリアーが常備されており、大抵のモンスターは初期状態で攻撃力2以下の技しか使えないため、レベルアップなどによる攻撃力の上昇やダメージ系の技の駆使が非常に重要となる。
      • なお、味方のモンスターを倒してレベルアップすることも可能だが、この場合自分のHPのストーンを支払うペナルティが与えられる。
    • モンスターに何も行動させずにターンを終了すると、モンスターは自動で「気合い溜め」を行い、吹きだしに[!]マークがつく。
      • 受けるダメージを1減らし、次の通常攻撃のダメージを1増やすという状態。1度でも攻撃を受けるか攻撃をすると解除される。1の差が命運を分けるカードヒーローではその意味はとても大きい。
  • ルールは以下の3種。
    • ジュニア
      • マスターの最大HPは5、デッキ枚数は20枚*3。最も基本的なルールであり、ゲーム開始からしばらくはこのルールでプレイすることになる。
    • シニア
      • マスターのHPとデッキ枚数はジュニアと同じだが、新たにマスター自身に特殊能力が付加されている。守り寄りのホワイト、攻撃特化のブラック、隠しマスターとしてテクニカルなワンダーの3種から選べる。
      • またマスターによるダイレクトアタックも可能。1ターンに何度でも使えるが、ストーン3個でパワー2という効率の悪さなので、メインの攻撃手段にはならない。
      • さらに、シニア以上では味方モンスターの「追放」(フィールドからの除去)ができるようになる。高レベルのモンスターを追放してストーン回収、敵にレベルアップの権利を渡さないために瀕死のモンスターを追放するなどの使い道があるが、一度実行するたびにマスターのHPが1減る。
    • プロ
      • HPは10、デッキ枚数は30枚に。単純に数が増えただけだが、取れる戦略の幅は大きく広がる。
      • プロ限定の特殊能力として、マスターのHPを2削ることでストーン1個を生み出す「メイクストーン」が追加されている。基本的には悪あがきの手段だが、思わぬ逆転の一手になることも。

評価点

  • 非常によくまとめられている完成度の高さ。
    • 仮にも第一作目であり、当時は続編を出す予定も無かったにも関わらずゲームルールが非常に良くまとめられている。
      • どのカードも一長一短の性能を持っており、HP1の差で命運が分かれるため、性能に負けてもHPの差で優位に立てることもある。一見「誰得」なカードにも、意外な使い道があったりする。
      • TCGによくあるような死にカードがほとんど無い。序盤から少数は完全上位クラスのカードが出てくるが、カードの新シリーズ発売のイベントの問題、カードのレアリティの問題や、HPが低く倒されやすいことをメリットとする考え(味方殺しやモンスターを倒された場合のストーン返還など)もあるため一慨に死にカードと言えない。
    • コンパクトな構成に反して、戦略の幅は広い。プレイヤーには前衛キャラクターと後衛キャラクターを巧みに使い分け、相手の攻撃を避けつつ敵側の陣営を崩すなどといった臨機応変な選択眼が要求される。相手の割り込み要素がないことから詰め将棋的とも評されている。
  • とても丁寧なゲーム説明。
    • 最初にプレイするときはクドさを感じることがあるが、非常に丁寧な操作説明で遊んでいくうちに完全にルールを把握することが出来る。
    • また、操作説明をちゃんと聞いていれば、それを応用したバトルイベントを容易に攻略出来るため、しっかり聞いておくことをオススメする。
  • 子ども向けながらも熱いストーリーや展開。
    • アニメでよくある「物語の世界で戦う主人公」ではなく「TVの影響でTCGを始めた主人公」なので、よりプレイヤーが感情移入しやすい。
    • 近所の友達とよく遊んだ光景を軸に物語が進み、後半では悪の組織的な集団も登場して終盤の盛り上がりっぷりは絵柄から想像出来ないくらい熱い。
    • 登場人物も個性豊か…というか、カオス。特にエンディング後の『バトルセンター』で登場する対戦者達はお笑いコンビ、ワラ人形を持った女性(その名も『 のろい ますよ 』)、関取、大阪のおばちゃん、 高い知能を持ったチンパンジー とクセモノ揃い。

問題点・賛否両論点

  • 操作とCPUの判断が非常に遅い。
    • 1つの操作を行うだけでも非常に遅い。選択を間違えてキャンセルするだけでも時間かかるため、ストレスが溜まりやすい。
    • 特にCPUの判断が非常に長く、カードヒーローを遊びながら他の作業をやるくらいでないと、とてもではないがまともに遊べない。
    • なおモノクロGBモードだとCPUクロック数がGBCの半分にもかかわらず、もっさり操作や思考時間が多少軽減される。GBC対応の際に最適化か何かを誤ったのかもしれない。
  • 滅多に発生しないがフリーズバグが存在する。
    • 対戦中、相手の「考え中」が表示されたまま動かなくなってしまうというもの。本作のオートセーブ機能が災いし、リセットしてやり直しても敵のターンから始まって、同様に固まるためなすすべがない。
    • 対策としては、公式サイトにあるように一度リセットし、特定のコマンドを入力すれば抜けることは出来る。が、その試合には負けたことになってしまう。
      • このゲームでは、降参するためにはカードの購入資金にもなる「メダル」を消費する必要があるが、このコマンドを使えば実質的に降参できてしまう。だからどうしたということではあるが。
  • キャラデザインが微妙。
    • 子ども向けを意識したデザインで描かれているが、当時のTCGは遊戯王やマジック・ザ・ギャザリングのようなリアルなモンスターのほうが好まれていた。
    • そのため、キャラデザインだけで敬遠した消費者も多く、実際にゲーム市場も遊戯王が常に上位にいるような事態になり、カードヒーローがメジャーになることは無かった。
      • 後述のDS版では万人受けしやすいデザインに描き変えられている。
  • ゲーム自体の問題ではないが、現在中古市場に流通しているソフトのほとんどはセーブできないと考えたほうがいい。
    • これはカートリッジ内に時間をカウントするための電池が内蔵されており、この電池が切れている場合はセーブができなくなるため。
    • 一応電池交換の方法がないでもないが、リスクを伴うため自己責任で。
      • その方法、あくまで自己責任で
      • 現在なら3DSバーチャルコンソールから買えば電池の心配は不要だが、通信ケーブル機能が未対応なため肝心の対人戦は出来ない。
  • 基本的にゲームバランスが良いが、やはりお手軽かつ強力なカード・コンボというものは存在する。
    • 例えばマジックカード「ジアーゲン」と「かげぬい」のコンボ。これらのカードは共に消費ストーンが1つ、計2つと少ない。
    • 「ジアーゲン」には「次のターンに対象のモンスターが別の場所に移動しなければ、そのターン終了時に除去される」という効果がある。実質的に敵モンスターを強制移動させるカードなのだが、これに「1ターンの間移動(と追放)ができなくなる」効果の「かげぬい」を組み合わせることにより、ストーン2つという低コストで、ほぼ確実に敵モンスターを除去することができるのである。
    • このコンボの強力な点は、対処法が非常に限られており、その分成功率が高いこと。具体的に言うと、状態異常を全て無効化する手段(マジックカード「ゆうだち」や後衛モンスター「クレア」の特技)か、モンスターを強制的に移動させる手段(マジックカード「ワープ」「ローテーション」など)しか対処法がない。
      • DS版でもこのコンボは可能だが、同効果の「ダークホール」や「呪縛」の消費ストーンがそれぞれ3つ、2つの計5つと消費ストーンが多く、実用的では無くなった。
    • 相手ストーンを奪ったり減らしたりするカードも強力。カードヒーローでは、基本的にピンチに追い込まれるほど手持ちのストーンが増え、反撃の手段もまた増えていく。しかしこういったカードは、大したデメリットも無くその反撃のチャンスを潰せてしまうのである。
    • この系列のカードで、特に問題視されるのが前衛モンスター「ヤミー」。消費ストーン1つで相手のストーンを最大2個奪う(もちろん奪ったストーンは自分のものにできる)という強力な特技を持っているにもかかわらず、戦闘能力も平均位はある。これと言った欠点も無く、速攻デッキなど特殊な構成のデッキでなければ3枚積み安定。
    • 「出せば勝ち」というような極端な性能ではないのだが、便利すぎるのは確かであり、強すぎるので通信対戦では禁止カードにすべきと主張する向きもある。最大の問題はこんなに強い「ヤミー」がレアカードでもなんでもないと言う事なのかもしれない。
      • 「相手のストーンを減らす・奪う」という要素は開発側では強力な戦法と認識されていないのか、DS版ではむしろその系統のカードが増えている。
  • パッケージやOPにタイトルで登場している「マサル」とその宿敵の「デロデーロ」の扱い。
    • 何も知らずに購入したプレイヤーはマサルが主人公だと思った人もいただろうし、主人公のひろしが何かしらの形で関わると思った人も多いだろう。…マサルとデロデーロはテレビ番組「カードヒーロー」に登場する架空の存在であり、ゲーム中にTV番組の中で何度か登場するだけである。
      • ちなみに主人公のひろしはパッケージの裏面や説明書の中身で初めてお目にかかれる。本主人公のくせに扱いが悪すぎる。
    • 一応『バトルセンター』のコンピューター*4で戦うことができるがあくまでシミュレーターなので自分と同じデッキしか使ってこない。
    • マサルの声優や、マサルのデッキを再現したプレイヤー等も出てこない。
  • ワンダーマスターの特技選択
    • 一度特技を決めてしまうと二度と変更できない。ワンダーマスターを入手できるのは最後も最後、特技の選択を誤った場合最初からやり直すことに……

総評

  • ゲームシステム的には傑作と言える高い完成度を誇っていたが、ポケットモンスターの影に隠れたせいか、動作の遅さとキャラデザが原因か、多くのファンを獲得出来なかった隠れた名作となってしまった。

余談

  • ゲームの発売後、実際にカードゲーム化されて販売されたが、シェアを獲得出来なかったのか数年後には消えた。
    • またゲーム自体も出荷し過ぎたらしく、発売約2ヵ月後にはワゴン入りしてしまい、激しい値崩れを起こした。
  • アドバイザーとして、ファイアーエムブレムシリーズ生みの親である加賀昭三氏が参加している。ディレクターの坂本賀勇氏曰く、ストーリー本編を全てチュートリアルにしたのは氏から提案されたのがきっかけであったと、当時のファミ通のインタビューにて語っている。
  • このゲームに登場する主人公「ひろし」は、当時任天堂社長であった「山内溥」氏から名前を取られている。
  • ストーリー上のラスボスに負けると、既存のカードゲームにありそうでなかった衝撃の展開が待っている。
    + ネタバレ注意
    • バトルに負けると、使用しているデッキ内のカードすべてを燃やされる。一応戦いの前に宣言された通りであるが…。
      • しかし、直後に仲間たちが駆け付けてきて、「さっき使っていたのと全く同じデッキ」「ラスボスと同じデッキ」「ラスボス対策を施したデッキ」の3つを持ってきてくれるという熱い展開が待っている。
      • もちろん燃やされたカードはラスボスに勝つと全て弁償してもらえる。
  • オープニングのクオリティが地味に高いが、このBGMに歌詞があることは意外と知られていないようだ。

高速カードバトル カードヒーロー

【こうそくかーどばとる かーどひーろー】

ジャンル 高速カードバトル
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 任天堂
開発元 インテリジェントシステムズ
発売日 2007年12月20日
定価 4,800円
分類 良作

概要(高速)

7年の時を経て発売された実質的な続編。
上記の不満点を解消しつつ、新カードや新システム、DSならではのタッチペン操作やWi-Fi対応といった改良が色々と行われている。

特徴(高速)

  • 新ルール「スピードバトル」の追加
    • 今作で新たに導入されたバトル方式。他のバトルと違ってマスターはおらず、相手のモンスターを先に5体倒したほうが勝利というルール。
    • デッキはモンスター10枚にマジック・スーパー4枚で固定。マジック・スーパーの4枚は最初から手札にあり、モンスターカードは最初に3枚引き、以後1体やられる毎に1枚ドローする。
      • 最初の手持ちストーンの最大数は一個。一体倒れるたびにこの最大数が増えていき、1ターンにできる行動の数も増えていく。ストーンの最大数が6個に達すると負け。
    • 設置できるモンスターは前衛・後衛の2体のみで、気合だめ、準備中などの概念は存在しない。
      • ゲーム開始時は、しばらくこのスピードバトルでゲームが進み、ゲーム中盤辺りで本来のカードヒーローのバトルルールが解禁される。
  • プロルールにおける「メイクストーン」がHPを削ってカードを一枚ひく「メイクカード」に変更された。

評価点(高速)

  • GB版でまとめた問題点が解消されている。
    • 「高速カードバトル」を題している通り、本当にスムーズにゲームが進む。CPUの思考能力もGB版より短く判断してくれるため、GB版のような遅さが原因でストレスが溜まることがない。
    • モンスターも万人向けにアレンジ。特にダインは勇者の名に相応しい容姿を持ち、ルージュやジャレスも今風のデザインに改良されている(一部性転換したモンスターもいるが…)。
      • 中には容姿そのものが変わったモンスターもいる。例を挙げるとGB版のガスキンは格闘家のような容姿だったが、DS版は鉄拳シグマという虎+武闘家といった容姿に変わっている。
  • 「スピードバトル」の追加により新たな遊び方が生まれた。
    • 使用するカードは通常ルールと同じ(通常ルール限定のカードも多いが)にも関わらず、カードの使い勝手は全くと言っていいほどに異なっている。通常ルールで猛威を振るったカードが使いにくかったり、逆に微妙すぎる性能のカードが一発逆転を引き起こしたりと新しい戦略性となっている。
      • 例えば「ボムゾウ」「アサシン(GB版の「シゴトニン」に相当)」などの「攻撃と同時に撤退する」系のモンスターは相手にレベルアップの機会を与えないため、ジュニア以降では非常に使いやすい。一方、スピードではストーンが増えてしまう=負けが近づくであるためそこまでの汎用性はない。
      • 逆に「墓荒らし」というカードは実質スピード専用と言ってもいい。「墓場からモンスター一体を山札に戻す」という効果なのだがジュニア以降では「戻せるモンスターを選べない」「戻したところでもう一度引けるかわからない」「コストがストーン4個と妙に多い」とこれを入れるぐらいならモンスターを一枚余分に入れた方がマシ、という代物。
        しかしスピードでは、使用することでストーンを一個減らして確実な延命効果が見込める。逆転の一手にもなりかねない強力なカードである。
  • 数多くのDSゲームの中でタッチペン操作が最も活用されている。
    • 他のゲームのほとんどは、慣れたボタン操作のほうが扱いやすいということでタッチペン操作を敬遠したプレイヤーも多いが、このゲームはタッチペンならではの操作が存分に活かされている。
      • デッキ構築をはじめ、カードの選択や指示など、全ての操作をタッチペン1本だけで直感的に操作出来る。
      • ボタン操作を使う機会があるのは、カードの詳細を見るLRボタンと、降参等に使うSTARTボタンぐらい(テキストはAボタンでも読めるがタッチペン操作のほうが手間がかからない)。
  • 絵柄違いカードの導入
    • 通常のカードとは別に特定の条件で入手出来る絵柄違いのカードが一部ある。ポケモンの色違いのように通常のカードとは違うレアリティを与えることになった。(入手は1枚限り)
    • 入手の条件はそれぞれ異なるが、大抵は特定のカードを一定数使い込むと入手出来る。ちなみに最後に入手出来る絵柄違いのカードは【全てのカードを一定数使い込む】のが条件。
      • 現在では配信されていないが、カードヒーローの体験版ではパスワード経由でマナトットの絵柄違いを入手することが出来た。
  • Wi-Fiによる通信対戦が可能。ある意味では最大の改良点。ネットを介して全国のプレイヤーと対戦が可能。
    • 「フリープレイ」で全国のランダムなプレイヤーとマッチングすることも、「トモダチ」で友達コードを交換した相手とだけ対戦することも可能。
    • ゲームボーイと違い通信ケーブルでつなぐ必要はないし、互いが目の前にいる必要すらない。そのかわりWi-Fiの通信環境を用意する必要はあるが。
  • お子様も安心な漢字、ひらがな両表記対応。
    • オプションからいつでも変更可能。ありがたい要素である。
      • …大人のプレイヤーには無用?むしろ読みにくい?そう思っている方は、一度ひらがな表記にして各カードの解説文を読んでみるといい。きっと新たな発見があるだろう。

問題点・賛否両論点(高速)

  • ストーリーが薄い。
    • GB版ではTVの影響でTCGを一緒に友達と始める展開から仲間が増え、悪の組織が登場してから友情決裂、和解、最終決戦では主人公の元へ駆けつける熱い内容だった。
    • が、DS版は「カードヒーローが日本一大ブームとなっているから流行に便乗してカードヒーロー部を設立して全国大会で優勝する」というもの。
    • これだけならまだマシなのだが、カードーヒーロー部設立のきっかけが、「ヒロインがTVに出たいから流行のカードヒーローを始めた」もので主人公は成り行きで付き合ってるだけ。
      • 途中から出てくる全国優勝者であるライバルが主人公に舐めプレイ*5したことで怒りを買い、ライバルを倒すため主人公が優勝を目指す ことで目標を持った。
      • が、優勝を目指す理由が浅すぎてGB版と比べて「勝たないといけない覚悟」というのが全く伝わらないため、前作と比較して盛り上がりの欠けるストーリーになってしまった。
      • この点に関してはディレクターが「ストーリーが壮大すぎるとエンディングを迎えた感が出てしまうので、ストーリーには大きな起伏はつけないでほしい」の注文があった。
  • カード間の露骨な格差。
    • 前作よりも完全上位、下位のカードが多く、新登場のカードには高スペックのカードが多い。入手自体は前作よりラク。
      • 前者はルージュに対するノワール、マーベリック(GB版の「ヴァルテル」に相当)に対するヴァルテルなど、些細な違いだが完全上位互換となってしまっているカードなど。
      • 後者は高いステータスに加えて、目の前の敵の特技をノーコストで封じるデスシープ、場にお互いが存在すればどこでも特技攻撃が出来るフーヨウとムータンなど。
      • カードの投入制限が一切ないのが拍車をかけている。通信では制限を設けることもできるが、この制限は「該当するカードは全て使用不可」という極端なもの。
    • 一応前作の強カード(ワンダーマスターなど)には弱体化を受けたものもあるのだが、これでは台無しである。
  • 新たに追加されたマスター、「グレートマスター」の仕様が不便。
    • ワンダーマスター同様、使用する特技は任意で選択できるのだが、なんとこの特技、一度選んだら二度と変更できない(一応選択前に警告はあるが)。
      • ワンダーマスターは変更できるようになったのになぜ…という感じがある。
      • グレートマスターは強力な特技を持ってはいるものの、非常にテクニカルでクセが強いマスターなので余計に選び直せない痛手が大きい。
      • なお、こちらでグレートマスターの特技に関するアンケート結果がまとめられている。見ればわかるが、意外と後悔している人は多い。
  • キャラクターが弱い。
    • 主人公のサトルは昔からカードヒーローをやっているわけでもなく、周りの流れに合わせているだけの無個性キャラ。
      • 前作の主人公、ひろしも普段から無口で周りに流されてしまう無個性キャラだが、カードヒーローに対する情熱だけは誰にも負けないものがあっただけに目立ってしまう。
      • 公式サイトにも「なんでもそれなりに楽しめればよいと思っているお気楽体質」と書いてあるが、例えばゲーム開始時のハルカとの会話では本当に相槌を打つだけ。間違ってはいないが、もう少しなんとかならなかったのだろうか。
      • ちなみにこの主人公、年上のキャラなら大体誰に対しても敬語で話す。一般的に言えば美徳だが、子ども向けゲームの主人公としてはどうかという感じである。
      • あと、名前を自由に決められることの弊害として、ストーリー中に登場する部内トーナメント表(手書き)内で、ほかのキャラクターは名前で書かれているのにお前呼ばわりされるという現実にあったら軽いイジメのような仕打ちを受けている。
    • ヒロインのハルカも萌えに走りすぎてない万人向けキャラだが、お世辞にもそこまで可愛いとは言い難いし、上記のカードヒーローを始めた理由から愛着が持てない。
      • ヒロインでありながら、アンデッド系のモンスターカードを愛好するという斜め上の性癖もある。
      • しかも、本来カードはポイントでしか購入出来ないのに、現金で購入させるよう店長に頼んだり、あくまでレンタル品であるビヨンド(後衛モンスター)を返さずに持ち帰っている。
    • この他に、人物キャラクターが40~50人程登場するのだが、それはストーリーに直接関わらないバトルで登場する人物であり、ストーリーに関わるのは多く見ても20人程ぐらいしかいない。
      • とはいえ、個性の面で言えば前作に負けず劣らず豊か。それだけに多くがストーリーに絡まないのが惜しい。
  • CPUが賢くない。
    • 前作に比べCPUの思考時間は大幅に短縮されているが、無意味な、または場当たり的な手を打つなどAIの粗末さが目立つ。
      • スピードバトルのAIを流用しているのでは?と思しき動作が多い。(主にジュニア以降)
      • 二重の盾+誘惑のグレートマスターと戦うと顕著。誘惑で自分のモンスターをどんどん消してしまうため、マスターにLv1で攻撃できるカードがないPro上級トーナメントのマコトは完封勝利すら可能である。
    • このため、CPUとの対戦が前作よりもはるかに歯応えのないものとなってしまっている。
    • が、今作ではWifi対戦で歯応えのある対人戦が楽しめるので、この点はある程度カバーされているかもしれない。
    • ちなみにバトル中のメニューでCPUに自分の行動を任せることができるが、お世辞にも判断が優れてるとは言いがたいため、結局自分で考えることが多くなる。
  • 上画面の存在意義が薄い。
    • 上画面では現在のバトルの模様が3Dで表示される。
      • ゲームを盛り上げる演出なのだろうが、このグラフィックがお世辞にも良いとは言えず、キャラクターの動きもどうにも不自然な感がある。
      • 例えば、グリフォンは翼をはためかせて悠々と飛び立ち、敵に一撃を加えた後一瞬で自陣に戻ってくる。不自然すぎて逆に笑えるレベル。
      • マスターは首から下はタイツを着ていて、キャラクターの体型は全く活かされていない。そして手足も適当なつくりである。リカやお母さんに至ってはエンディングまでに登場しないせいか顔グラフィックすら制作されてない。
      • 中でもジャレットやシトラスなどの人型カードは、2Dと3Dにの絵柄には差がありすぎて、幻滅したプレイヤーも多いだろう…。真勇者ダインやシトラスの剣はぺらぺら、神切丸は立ち状態だと鞘しか持っておらず、攻撃時に刀が出現する有様。
      • 付け加えておくと、ヤンバルやラッフィーなどの動物系や、ナッツロックルなどの無機物系のカードはデザインが簡素なためか、そこそこ悪くない出来である。
      • 確かに2Dアニメーションよりは3Dの方が制作側としては負担は少ないのだが…それでも流石に残念すぎる。
      • グラフィック表現力ではPSPなどには劣るDSの能力を考えれば健闘していると言えなくもない。
    • バトル演出面でもキャラが一瞬光って攻撃するだけとお粗末な仕上がりであるのも残念。
      • 「高速カードバトル」であることを活かすために演出を削ってゲーム性を重視したと考えれば仕方ないことだとは思えるが…
  • やはり売り方を間違えた感がある。
    • 公式サイトを見れば分かるが、やたらとスピードバトルをプッシュしている。パッケージにも通常ルールの存在は書かれておらず、パッと見では前作までのルールがないように見えるので、前作のファンが警戒して購入しなかった面もある。

総評(高速)

  • ゲームシステムは7年の月日が経っているだけに正統進化と言ってもいい進化、改良が加わっており、ゲームバランスも上手く保てた名作に仕上がった。
    • が、ストーリーやキャラの薄さが際立って、キャラ付けもそれなりにされているためメディアミックスもやりづらく、こちらも隠れた名作として静かに評価されている。

余談(高速)

  • 今作も出荷し過ぎたらしく、一時期は新品が500円一枚で購入可能なほどまで値崩れを起こしていた。現在はそこそこの相場まで持ち直している。
  • DS版主人公「サトル」も、現・任天堂社長である「岩田聡」氏から名前を取られている。
  • 前作の7年後が舞台となっていることで、前作の登場キャラが成長した姿で再登場している。
    • 中でも杉山やコマイは性格も見た目も大きく変わり、主人公のサトルに昔の思い出を語ってカードヒーローの楽しさを伝える良い兄貴分に仕上がってる。
      • …だがタクミの場合は残念キャラになった。前作では重要ポジションだったのだが、今作は単なる根暗ヲタクになってる(しかも使用カードが美少女(一部ショタ)で統一されている。)
  • 一部イベントに、いにしえのバトラーという形式でGB版のキャラの再現デッキと戦える。上記の杉山達のデッキも「昔のすぎやま」と名付けて当時のデッキを再現してバトル出来る。
  • 本作に「イカ男」なるキャラクターが登場する。語尾に「イカ」をつけるあたりどう考えてもチャンピオン誌上で地球侵略を遂行中の海洋生命体を思い起こさせるが、この作品の発売と某漫画の連載開始年は同じなのでおそらく単なる偶然ではなイカと思われる*6

カードヒーロー スピードバトルカスタム

【かーどひーろー すぴーどばとるかすたむ】

ジャンル サクサクカードゲーム
対応機種 ニンテンドーDS(DSiウェア)
発売元 任天堂
開発元 インテリジェントシステムズ
配信日 2009年7月29日
DSiポイント 800ポイント
分類 良作

概要(スピードバトルカスタム)

  • DS版の機能をスピードバトルのみに制限(というよりも特化、後述)した上でDSiウェアとして配信された作品。
    • 機能制限版と言えばこんなクソゲー?が思い起こされるが、本作は単純に制限しただけでなく一つの作品として十分に評価できるものになっている。

評価点(スピードバトルカスタム)

  • スピードバトルのみに特化させるため、一部カードの能力の見直し、および新カードの追加が行われている。
    • DS版では完全な上位、下位の関係になっていたカードが能力の調整により一概にそうともいえなくなっている。
    • 追加されたカードには「シャドウゲイラ*7」、「ヒットアウェイ*8」など一風変わったものも多い。
  • 新機能の追加。
    • 残念ながらストーリーモードの薄さはDS版以上だが、その代わり毎日異なるデッキと戦える「日替わりバトルルーム」や通信での戦歴が記録される「バトラーリスト」などバトルを面白くする機能が多い。
    • カードはパックからではなく、ビックリマンのようにウエハースのオマケでついてくる。ちなみに絵柄がビックリマン調でGBの登場人物がパッケージとなっている

問題点(スピードバトルカスタム)

  • 強いて挙げるならDS版が1000円以内で買えることも多い中、800ポイントでスピードバトルしか遊べない本作を買うべきかどうか…
    • もちろん上で述べたように本作でしかできないことも多いので、両方持っていても損することはないだろう。
  • 制限版とはいえ全体的にスケールダウンしている
    • 主人公はサトルでは無くプレイヤーそのもの。悪く言えば名無しキャラである。
    • 登場人物も削られており、数えて10人ぐらいしか対戦相手がいない。
    • その登場人物も人気枠の「あゆみ」や個性キャラの「ワリオロス」といった特徴的な人物は少なく、大半が地味なキャラしか選ばれていない。
    • カードも150ptで3枚貰えるカードが、100ptでウエハースとカード1枚しか貰えない。ウエハースはプレイヤーに(物理的に)味わえないためカードをもう一枚くれと思った人も多いだろう。
    • なお、中には金色のウエハースを引くと日替わりでプレゼントが貰えるが、中にはウエハースだけ貰えるものがある。実質ハズレである。

総評(スピードバトルカスタム)

  • 単なる機能制限版かと思いきや、むしろそれ以外の要素を排することでスピードバトルに特化させた良作であった。
    • DS版をやりつくした人にも楽しめる要素*9もあるので、興味があればやってみてはどうだろうか。