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ハイドライド - (2020/01/30 (木) 16:23:17) の編集履歴(バックアップ)


ハイドライド

【はいどらいど】

ジャンル アクションRPG
写真はWindows版

写真はWindows版
1・2・3セット
対応機種 PC-8801、X1、PC6001mkII以降、FM-7、
PC-9801U/F以降、MZ-2000/2200(※)、MSX、MSX2
発売・開発元 T&Eソフト(※MZ版のみキャリーラボ移植・販売)
発売日 1984年12月13日(PC88版)
定価 【PC88】6,800円
判定 良作
ハイドライドシリーズ
ハイドライドSP) / ハイドライドII / ハイドライド3

ストーリー

人と妖精が共存する別の次元の王国、フェアリーランド。そこでは三つの宝石により平和が維持されていた。だがある日、その宝石が盗まれる。それにより封印されていた悪魔バラリスが目覚めた。バラリスはアン王女を妖精に変え連れ去り、宝石も行方知れずに。さらに国中にモンスターがはびこるようになってしまった。 そんな時、勇敢な若者が王国の復興のために立ち上がる。その名はジム。彼はたった一人でモンスターへと挑むのだった。

概要

本作はT&E SOFTの内藤時浩氏が『ザ・ブラックオニキス』(84年、BPS)と『ドルアーガの塔』(84年、ナムコ)をヒントにして創り上げた作品である。同時期のパソコンゲームを代表する大ヒット作となり、またアクションRPGの先駆けとなった。

  • シンプルなトップビューのアクションRPG。ゲームとしては最低限の要素で構成されている。ややアクションゲーム寄りだが、それだけに感覚的にプレイできた。
  • 当時RPGはアクションRPGという名称さえないほどの未開拓な新ジャンルであり、変わりに『アクティブRPG』を名乗っていた。
  • 今から見ると、不親切な面も多い。

特徴

  • トップビューの2DアクションRPG。
    • 魔法もなく、攻撃は体当たり。システムは取っ付き易いシンプルさ。
      • 攻撃のモードはATTACKとDEFENSEの2種類ある。前者は攻撃力が上がるが防御力は落ちる。後者は攻撃力は下がるが防御力は上がる。それぞれを状況に応じて使い分ける。
      • 自分も敵も正面のみ攻撃力を持つ。このため、いかに敵の側面や背後を攻撃するかが勝つコツ。
    • 体力はしばらく動かなければ回復していくお手軽設計。薬などはない。
    • 画面として特徴的なのがスクロールしない点。MAPは5×5のエリアで構成されていて、隣のエリアに侵入してはじめて画面が切り替わる。またモンスターはエリアを越えて追ってこないため逃げにも使えるが、移動先が見えないため待ち構えていた強敵と衝突して瞬殺される場合も。
      • 当時のパソコンにはハードウェアスクロール機能を搭載したマシンがほとんど存在せず*1、スクロールするゲームを作ることは容易ではなかった。しかし唯一X1のみはハードの機能とプログラムの工夫により画面スクロールを実現した。
  • MAP上には宝箱の他様々ものがある。プレイヤー自身がいろいろと触る事で、謎を解く鍵を見つけていくのだ。
    • 本作には一般のRPGには当然ある町が全くない。さらに話を聞けるようなキャラクターもいない。ノーヒントで解く事になる。
  • お金の概念はない。装備の種類も全くない訳ではないが、一般のRPGに比べるとないも同然。ややアクションゲーム寄り要素の一つ。
  • アイテムはほとんど謎解き用。戦闘に使えるものは一部だけ。
  • レベル上限が低いため、終盤になるまえに最高レベルになってしまう。

評価点

  • 感覚的にプレイできた2DアクションRPG。
    • それまでのRPGはウィザードリィやウルティマ系統の比較的難易度の高いものばかりで、マニュアルを熟知し、マッピング等攻略のための紙と鉛筆を用意してプレイする。それがRPGのプレイスタイルだった。だが、本作にはそんな前準備が必要なく、アクションゲームのように触ってすぐ感覚的にプレイできた。当時としてはまさに新感覚のRPGだった。
    • アクションとしてのゲーム性が、手軽だった点も大きい。
      • もっとも最高レベルになっても、ボスクラスには力不足。プレイに少々工夫が必要になる。これもアクションゲーム寄りな面。
  • ノーヒントなため、手探り感覚での攻略になる。だがそれだけに、謎が解けた時の喜びは大きかった。
    • 最初に行けるエリアは限られており、謎を解いて行く事によって進めるエリアが増えていく。苦労した果てに、開かれる世界は大きな新鮮味があった。

問題点

  • 当時はよくあった事だが全般的に不親切。
    • 前述の通り、ノーヒントで鍵となるアイテムを手探りで探すのだが、そのいくつかはやや意地悪な場所にあったりする。
      • 特に3人目の妖精を救出する(出現させる)方法が最大の謎であった*2
      • もっとも、当時のRPGやADVでは、ノーヒントは当たり前のようにあった。むしろ、それを試行錯誤して解いていくのがゲーム性として捉えられていた。
    • レベルがはるかに上なモンスターにも、序盤から会う事ができる。そのため、不用意な行動で即死という場面もしばしば。
  • 最初に開発されたPC-8801はPSG音源を標準装備していないため、音がビープ音のみという仕様であった。
    • 当時のパソコンはまだゲーム音楽というものを重要視しておらず、多くは版権切れのクラッシクをタイトル画面で流すといった程度でプレイ中はSE音のみが普通ではあった。
    • X1版など他機種移植版ではPSGによるBGMが追加されている。単調なループ曲1つと、短いゲームオーバー曲だけだが。

総評

アクションRPGという形態を作り上げた作品。それまでもアクション要素を持つRPGはあったものの、本格的なアクションRPGは本作から。そのとっつきやすさと感覚的にプレイできる点は、新たな面白さを見せた。
ただ一方で本作自体の攻略はやや難しいものがあった。ノーヒントでの攻略は、今の感覚からすれば文句がいくつも出るだろう。だが当時のRPGとは難しいのが当然であり、またゲーム性として自ら探索するという面もあったのだ。


その後の展開

  • ファミコンにも、次回作「ハイドライドII」から魔法やBGMを追加して『ハイドライド・スペシャル』(1986年3月18日発売、東芝EMI)としてアレンジ移植された。
    • 詳しくはリンク先にて。
    • T&Eソフト制作の恋愛RPG「Sonata」でも、アルバムを全部埋めると『ハイドライド・スペシャル』がプレイできる。
      • 尤もギャルゲーのやりこみ報酬がこれだというのも、ギャルゲーに疎いメーカーらしいというべきか何と言うか…。
  • ハイドライドのシリーズのその後の展開はやや迷走しており、セガサターン発売の『ヴァーチャル・ハイドライド』といった異色作品*3も存在する。

余談

  • 冒頭にストーリーが英語で表示されるのだが、誤字がやや目につく。
  • 前述のとおりX1版は画面スクロールを実現しているが、そのためWASP(木を突っつくと出てくる蜂、集団でしつこく追いかけてくる)を出してしまった場合画面を切り替えれば逃げられる他機種の手法が使えない。かなりしつこく追いかけてくるので、諦めてくれるまでひたすら逃げるか、地下などの画面が切り替わる場所まで逃げるか、それとも戦うかの選択になる。