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スーパーロボット大戦A - (2019/08/18 (日) 21:14:19) の編集履歴(バックアップ)
スーパーロボット大戦A
【すーぱーろぼっとたいせんえー】
ジャンル
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シミュレーションRPG
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対応機種
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ゲームボーイアドバンス
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メディア
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64MbitROMカートリッジ
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発売元
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バンプレスト
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開発元
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エーアイ
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発売日
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2001年9月21日
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価格
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5,800円
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判定
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良作
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スーパーロボット大戦シリーズリンク
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概要
バンプレスト初のGBAソフト。タイトルの「A」は「ゲームボーイ『アドバンス』(Advance)」の他に、ストーリー上のキーワードである「Another」という意味が含まれている。
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参戦作品一覧
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初参戦
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機甲戦記ドラグナー
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機動戦艦ナデシコ
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携帯機初参戦
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超電磁マシーン ボルテスV
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参戦済み
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マジンガーZ
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グレートマジンガー
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UFOロボ グレンダイザー
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ゲッターロボ
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ゲッターロボG
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真・ゲッターロボ(原作漫画版)
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機動戦士ガンダム(TV版)
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MSV(機体のみ)
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機動戦士ガンダム 第08MS小隊
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機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
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機動戦士Ζガンダム
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機動戦士ガンダムΖΖ
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機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
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機動武闘伝Gガンダム
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新機動戦記ガンダムW Endless Waltz
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超電磁ロボ コン・バトラーV
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闘将ダイモス
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無敵鋼人ダイターン3
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無敵超人ザンボット3
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特徴
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新規参戦作品はどちらもリアル系に属する『機甲戦記ドラグナー』と『機動戦艦ナデシコ』。『ナデシコ』は恋愛描写の多い作風であり、参戦には賛否両論あった。
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その他の登場作品は70~80年代に放映されたものを中心に、『スパロボ』ではお馴染みの面子が揃っている。後の携帯機作品では新規参戦作品(特に90~00年代の作品)が中心となるようシフトしていったため、1作目ながら全体から見ると異色。
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著作権表示はジーベック・創通・サンライズ・ダイナミック企画・東映の4つで、同時期の作品に比べ少ない。
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主人公は男主人公「アクセル・アルマー」と女主人公「ラミア・ラヴレス」のどちらか一人を選択。
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主人公機は全部で5機(どちらの主人公でも選べる機体が3機、各主人公の専用機が1機ずつ)あり、そのうち1つを選択する。選んだ機体がスーパー系かリアル系かによって序盤のステージが変化する。スーパー系の場合、主人公がアクセルかラミアかでも変化する。本作では主人公機の後継機が存在しないため、最初に選んだ機体で最後まで戦い抜くことになる。その分いずれの機体もスペックが高め。
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ちなみに主人公機の最強武器にはLV制限が設けられており、LV20にならないと使えない。
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選ばれなかった機体は敵として登場し、中には量産されて登場する機体もある。
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全体的な見た目は旧シリーズと同じ2Dだが、システムは「援護」「合体攻撃」「技能ポイント」など『COMPACT2』『64』『α』の要素を集めた形で、かなり近代的なスパロボとなっている。
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本作独自のシステムが、「信頼補正」と「援護」(サポート)の両システムを関連させた「信頼度」。
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隣接したキャラ同士の信頼度によって、命中率・回避率が高くなったり、援護可能回数が増えたりする。信頼度は援護を行うことで上昇する。このため、どのキャラもはじめから最低1回は援護を使うことが可能。
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特殊技能として「カウンター」が新登場。相手に攻撃された時に発動すれば、相手の攻撃前に反撃できる。本作ではカウンターできれば攻撃が必ずクリティカルヒットとなる。技能レベルによって発動確率が高くなる。
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周回プレイの引継ぎはまだ未実装だったが、本作では周回ごとに獲得資金増加や全機体の改造が15段階まで可能になり、全機体の強化パーツスロットが4つになるなどといった特典が得られる。
評価点
軽快さ
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プレイヤー有利の爽快なゲームバランス
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味方に強力な機体が多く、敵もそれほど強くないためサクサク進めることが可能。「携帯機ならではのお手軽さ」を優先した形か。
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精神コマンド「熱血」によるダメージ倍率が「1.5倍」に下方修正されているが、豊富な援護回数や多彩な合体攻撃による大ダメージなどは魅力的。数多い補正を駆使して陣形を組めば、リアル系機体は格段に強くなる。
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特に援護攻撃・防御については特殊技能を必要とせず、友好度等による回数差があるが、だれでも使用できた。
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「奇跡」「復活」など強力な精神コマンドもまだ健在。本作からの精神コマンドとして、MAP兵器以外の武器が移動後に使えるようになる「突撃」、次の戦闘で得る経験値が2倍になる「努力」を指定したユニットに掛けられる「応援」がある。
戦闘アニメ
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容量の都合からボイスはないが、それ故にテンポは良い。ROMカートリッジという事もあってロードもスムーズ。
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戦闘アニメも工夫されており、『新』のように止め絵やカットインが随所に使われている。流石に当時の据え置き作品には及ばないが、少なくとも『F』よりは遥かに出来が良い。
ストーリー
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「『スパロボ』のツボ」を抑えたストーリー
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基本的にどの参戦作品も原作再現が行われている一方で、会話シーンでは作品間を越えた各キャラクター同士の交流や友情が絶妙に描かれているなど、『スパロボ』ならではの展開を味わえる。裏を返せば、旧シリーズはそれがなかなか出来ていなかったのだ。
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各ステージのサブタイトルも、主題歌の歌詞などが効果的に使われている。主人公の性別によってサブタイトルが変わる演出も好評だった。
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基本的に主人公がアクセルの場合は日本語表記、ラミアの場合は英語表記。一部シナリオでは、アクセルのタイトルとラミアのタイトルが繋がって一つのタイトルになるケースがある。
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新規参戦の『ドラグナー』と『ナデシコ』は軽いノリを特徴とした作品。本作の会話中でもそれは発揮され、他のキャラクターがそのノリに巻き込まれる場面も多い。一方でシリアスで熱い場面はきちんと抑えており、硬軟織り交ぜた本作を象徴するような作品と言える。
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二人の主人公も、個性的なキャラ付けやそれまでの作品とは異にする背景から、バンプレストオリジナルキャラの中でも高い人気を得ている。
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正体不明の人物として現れる主人公だが、アクセルは記憶喪失であることを気にしないひょうきんな楽天家、ラミアはミステリアスながら語尾が上手く扱えないとどこか抜けた一面が目立つ。しかし……。
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ネタバレ注意
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その正体は本作の黒幕と言えるオリジナル組織「シャドウミラー」の忠実な構成員で、アクセルは特務処理班隊長、ラミアは人造人間Wシリーズの1体・W17というのが本来の姿。ロンド・ベル隊の前に現れたのもシャドウミラーの野望を実現するためであり、本来は紛うことなき敵側の人物。すなわち、シャドウミラーからロンド・ベルに送り込まれたスパイである。
一度は与えられた任務を果たしシャドウミラーに帰還しようとするが、それまでの仲間達との交流から葛藤を起こし、最終的にシャドウミラーを裏切りロンド・ベル隊に復帰、シャドウミラーの野望を阻止すべく共に立ち向かうことになる。
正体が明かされるまでのギャグ要素の強い性格と、シリアスに立ち返ってから再びロンド・ベル隊に戻るまでの対比描写も本作が高い人気を誇る理由であろう。
敵組織「シャドウミラー」についても、それまでの敵組織とは異なる思想や立ち位置を持っている。
なお、選ばなかったほうの主人公はシャドウミラーの冷酷な構成員という本来の立場で、最後まで敵として登場する。
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スーパー系などの70年代の参戦作品からも、旧シリーズにも登場しなかった多くのキャラクター・機体が登場している。
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その代表格が従来の作品では今一つな感の否めなかった初代『ガンダム』。アムロの最初の乗機はガンダムで、BGMは「哀・戦士」。武装もビームジャベリンやスーパーナパームを持ち、Gファイターとの合体形態やフルアーマー装備など多彩なバリエーションを持つ機体となっており、後述するV-UPユニットとの相性の良さもあって「歴代『スパロボ』でも最強のガンダム」とされているほど高性能になっている。
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序盤ではセイラが仲間として使えたり、久々に敵として仮面を被ったシャアがララァを伴って登場。BGMはなんと「シャアが来る」。さらにランバ・ラルや黒い三連星も登場。少しアレンジされたあの名台詞や、ジェットストリームアタックも再現されている。終盤にはザクレロが仲間に加わる。
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GBAの音源に合わせた版権曲のアレンジは良質。オリジナル曲もタイトルBGM、両主人公の戦闘曲、シャドウミラーとの戦闘曲をはじめ名曲揃い。
問題点
過渡期故の粗
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システムの粗
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戦闘アニメが飛ばせない(次回作で改善された)。
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一部パイロットの顔グラフィックが『Fシリーズ』から流用されている。これは『D』まで続いた。
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「援護に使用される武器」及び「援護に参加する機体」は、特定の法則に倣って自動で決まるためプレイヤーが任意に決められない。特にグレートマジンガーは残弾が1しかない最強武器の「グレートブースター」を使ってしまうため、うかつに援護させることができない。
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援護する側・される側の移動タイプに関係なく地形を合わせなければならない、攻撃対象の特殊能力を考慮しない、といった細かい使いにくさも存在する。後発作品や後述するリメイク版ではいつも通りの仕様に修正された。逆に言うと地形をずらすことで援護に入る機体をある程度操作できる。
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武器が個別改造制、能力値に「防御」が採用されていない、命中率が「命中値+運動性」で決まる・・・などの旧来の仕様のままのせいで、リアル系が強力。後半に行けば行くほど、その傾向が強くなる。
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シールド防御が新しいシステムに変更されたが、謎仕様で本作のみの採用となった。
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従来のシールド防御は「一定確率でダメージを半減する」という仕様だったが、本作のシールド防御は「シールドにもHPが設定されており、被弾時に強制的に発動、シールドHPがなくなるまでダメージを肩代わりする」という仕様となっている。
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ちなみに改造費はHPよりシールドの方が遥かに安い。要は「格安で強化できるHP」であり、例えばRX-78-2の場合、HPとシールドをフル改造すると合計HP12000と下手なスーパー系を軽く超えるHPを持ってしまう事になる。
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ただし、シールドの被ダメージ計算では装甲の初期値を参照するので、装甲を強化した場合、シールドの耐久上昇はHPを同じ段階上げた時よりもひ弱になってしまうことと、シールドのHPを回復するには「修理」ではなく「補給」をしないといけないのが難点と言えば難点。装甲を最優先で強化する人は少ないだろうが…。
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シールドを回復してもHPは回復しないことを利用して、ユニットのHPを極限まで減らしたうえでシールドを回復するなどして、安全に「底力」を発動させるというテクニックも。
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当然これは敵側にも同じ事が言える。柔らかいはずのガンダム系雑魚は、シールドを持つせいでスーパー系雑魚よりも遥かにタフで硬い。
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「技能ポイント」「信頼度」など、レベルとは別にプレイヤーの行動で成長させるシステムがあるが、このシステムは長期に渡って同じパイロットを運用しないと活用し辛い。
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不評だったためか、どちらもリメイクの『A PORTABLE』では後発作品の一般的なシステムに変更された。
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「W-UPユニット」という、パーツスロットが多い機体につけるほど効果が大きくなる強化パーツ「V-UPユニット」の強化版が存在する。
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寺田プロデューサーが後に「やりすぎた」というほど強力なもので、本作のみの登場となった。
設定上の不満
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ラスボスの弱さ。
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最終話のクリア条件は「規定ターン以内にラスボスを撃墜」というもの。ラスボスはHPこそ65000と一見高いが、『α』の精神コンボや『R』の形態変化などはない上に、本作は味方側の攻撃力が非常に高いため、精神コマンドの「脱力」・「魂」や合体攻撃を駆使すれば一撃で撃墜することも可能。そうでなくとも、「再動」を駆使すれば1ターンで、しかもプレイヤーフェイズのうちに攻略が可能である。
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この反省からか、後の『OG2』やPSP版『A PORTABLE』では、HPの大幅増加の他、分身や2回行動、MAP兵器といった様々な強化が行われている。
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上記の点から「最弱のラスボス」などと呼ばれることがあるが、ラスボス側もこちらの主力機体を一撃で撃墜するだけの火力は備えており、回避率や命中率も圧倒的な高さを誇っている。瞬殺するには精神コマンドを駆使する必要もあり、スパロボ初心者にとっては強敵にもなり得る。その点で少なくとも攻撃が掠りもしない『R』や主人公側の余りのインフレにより戦術を立てるまでも無い『W』のラスボス等よりは遥かに強いと思われ、「弱いには弱いが、最弱とまではいかない」との結論に落ち着いている。
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バランスブレイカー級の強さを誇る味方機体が何体か存在する。
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筆頭として挙げられるのが『ガンダムW』のガンダムデスサイズヘルカスタム。主力武器のビーム・シザースはウイングガンダムゼロカスタムのツインバスターライフルを凌ぐ攻撃力、消費EN0、クリティカル率+50%という高性能。運動性も高いので単機で無双も可能。武器射程は短めだが、これも強化パーツで簡単に補うことができる。
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主人公機の1つであるアシュセイヴァーも、最強武器のソードブレイカーが射程2~6であるにもかかわらず移動後攻撃可能という反則性能。運動性も高く、ジャマーやビームコートも装備しているため単機で無双も容易い。欠点はソードブレイカーの弾数が6とやや少なめなことだが強化パーツで補える。主人公機全般に言えることだがパーツスロットが1周目から3つあるため、V-UP(W-UP)ユニットとの相性も良い。前述のラスボスを1ターンで倒すための前提条件が一番簡単な機体でもある。
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ゲッター系の改造引き継ぎが不便。
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ゲッター系機体の改造引き継ぎが変則的になっている。ゲッター→ゲッター1(一人乗り)、ゲッターG→ゲッタードラゴン(一人乗り)という改造引き継ぎが行われ、従来の作品に見られた「ゲッター→ゲッターG→真ゲッター」という上位機種への改造引き継ぎは無い。
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一人乗りになったゲッターは変形・オープンゲットが不可能になり、ゲッタードラゴンに至っては最強武器が無くなるので、真ゲッター1との合体攻撃があるとはいえ戦力としては運用し辛くなってしまう。さらに一人乗りゲッターに乗れるパイロットはミチル以外全員隠しキャラである。他形態の武器改造も無駄になり、払い戻しもないため、一人乗り仕様を使うつもりがなければ改造費用は掛け捨てでの運用となる。
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『ナデシコ』が原作元のバリア系特殊能力「ディストーションフィールド」が強すぎる。
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「グラビティ兵器:5000以下無効・ビーム兵器:3000以下無効 その他の攻撃:50%軽減」と鬼性能を持つため、資金が乏しくビーム兵器をあまり強化していない序盤で出現するザコ敵「バッタ」は異常なまでの硬さを誇る。
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上記の性能の為、高威力ビーム兵器を使って破るというのが常套手段になっている。原作設定では対ビーム防御の方が高いのだが…。
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以降の作品で徐々に弱体化する事になるが、MS系への配慮かビーム兵器の原作設定無視は未だに直っていない。
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エステバリスのフィールドランサーは本来ディストーションフィールドに有効な武器なのだが、再現されておらず普通にダメージを半減される。
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オリジナル系パイロットが何故かニュータイプor強化人間(以下NT)。
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オリジナルであるシャドウミラー勢は、主人公はおろか一般兵に至るまで全員がNTないし強化人間技能持ち。
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女性主人公と一般兵には人造人間という設定があるため、強化人間技能を持っているのは(納得はともかく)理解はできる。しかし、シャドウミラーの幹部には作中でNTであるような描写は一切存在せず、男性主人公もニュータイプの存在を感知するような描写は見られるものの、物語上重要な要素とはなっていない。
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NT技能のレベル設定もおかしい。NTレベルが9まで上昇する自軍パイロットはジュドーとララァの2人のみで、アムロやカミーユは8、クワトロに至っては7までしか上昇しない。それでいて男性主人公はレベル7、シャドウミラー幹部に至ってはレベル9まで上昇する。つまり「大した描写もないのに、シャドウミラー幹部はアムロやカミーユ以上のNT」という事になる。原作のNTの定義からすれば首を傾げざるを得ない設定であり、そのためかリメイク版では削除された。
賛否両論点
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終盤のルート分岐の設定。
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「ルート分岐で片方のフラグが立つ」というのは『スパロボ』の常ではあるが、今作の場合、「終盤のルート分岐後から新規参入がある」「片方のルート分岐で敵勢力との決着がついてしまう」などのチグハグな点が見受けられる。
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ただし、これについては『某スパロボ』のようにシナリオが長すぎないようにするための配慮とも取れるが…。
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詳細ネタバレ
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終盤の分岐には木連ルート・小バームルートがある。
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木連ルートに関しては、木連やメガノイドとの(今作品においての)決着が描かれる、(フラグ次第だが)東方不敗orダイゴウジ・ガイやサザビーを思う存分使うことができる、原作では殺害されてしまう白鳥九十九を仲間にすることができるなどのメリットが存在する一方で、中盤分岐においてパワーアップした長浜ロマンロボ3体(ダイモス・コンバトラーV・ボルテスV)は全部小バームルートに行ってしまう、補給ユニットが全部小バームルートに行ってしまう、物語の中核のとある人物の1人が語るだけで終わってしまう(某作品の黒幕を知っていれば想像は容易だが)、ジュドーの参入が終わりの終わりになり、フルアーマーZZガンダムが入手できなくなるなどのデメリットが存在する。
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主人公機には後継機やパワーアップイベントが存在しない。
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とはいえ、前述のアシュセイヴァーを筆頭に最初から最後まで第一線を張れるスペックを持っている上、Lv20での最強武器解禁がパワーアップイベントとも言えなくもない。
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一部についてはPSP版で改善されたので、そちらで遊ぶのも考慮すると良い。
総評
少なめのボリュームながらスパロボの魅力がそつなくまとまった良作と言える作品で、その後続く携帯機シリーズの地盤を築いた。
オリジナルキャラの人気も高く、後に『OGシリーズ』にも参戦している。
余談
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本作のスパロボオリジナルの要素には過去のスパロボシリーズを意識したものがいくつか見られる。
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主人公機5機はいずれも『64』の主人公機をモチーフにしている。
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敵キャラとして登場するオリジナルキャラ「レモン・ブロウニング」。ブロウニングという姓は『COMPACT2』の主人公の一人・「エクセレン」と同じ。本作のシナリオライターは『COMPACT2』のシナリオも書いていたため、何らかの裏設定があると思われていたが、実際は単純なライターの「お遊び」であり、エクセレンとの関係は『OG』に参戦するにあたって初めて追加された。
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シャドウミラーの主力機体として登場する旧シリーズからおなじみの機体「ゲシュペンストMk-II」。また、「向こう側」でシャドウミラーが敗北した部隊の隊長機「ゲシュペンストMk-III」は『COMPACT2』の主人公機「アルトアイゼン」の正式コード。こちらも後の『OG』参戦時に設定の関連付けが行われている。
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本作におけるUCガンダム系のストーリー展開は、原作の正史と比べて相当怪しい歴史を辿っていることが見えてくる。
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ネタバレ注意
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本作のUCガンダム系のストーリーは『0083』のデラーズ・フリート(『ガンダム』『08MS小隊』の人物も加わっている)→『ΖΖ』のハマーン率いるネオ・ジオンと、ジオン系勢力との抗争が描かれているが、作中背景では『ガンダム』の1年戦争(宇宙世紀0079年)と『Ζ』のグリプス戦役(宇宙世紀0087年)は既に終結している。
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『0083』(宇宙世紀0083年)は『Ζ』の前史にあたる(ティターンズが設立される経緯を描いた)作品であり、見ての通り時系列が逆になっている。そのため、本作ではティターンズが設立された経緯は語られることが無い。このためティターンズの指揮官を務めたバスクが生存してる一方で、シロッコと思われる人物がグリプス戦役で死亡した事が語られたりと、当時のティターンズの面子の思惑や立ち位置がかなり気になるところである。
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ちなみに本作のデラーズ・フリートは序盤で「星の屑作戦」に失敗し崩壊する(多くの人物はその後ネオ・ジオンに合流)。そのためか、ガンダム試作3号機やノイエ・ジールはデラーズ・フリート壊滅後に登場している。
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また、『ΖΖ』のジュドーとルーは木星圏に行っていることになっている(『ΖΖ』原作最終回の内容)。
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おかげでグレミーが相当悲惨。ジュドーに思想を語る機会はなく、愛しのルーに会う機会もなく、反乱を起こす前にハマーン様に野望がバレて体のいい形で最前線送りにされ、プル&プルツーは説得で寝返り、しかも出番はその一話だけで、挙句の果てに自慢のクローン部隊はハマーン様においしく利用される始末である。ハマーン様も戦う機会は一度きりであり、その一度だけの戦闘で原作通り悟って死ぬ、と扱いがいい加減である。
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更に序盤からブライトもジュドーの存在を知っている台詞がある他、ジュドーが終盤まで登場しない都合上、プル&プルツーの説得はカミーユが担当するのだが、この時点でカミーユとジュドーが面識があることが発覚する。なお、原作でブライト、カミーユとジュドーが面識を持つのは『ΖΖ』での話である。更に言うと今作のカミーユは「グリプス戦役が終わって精神崩壊を起こす」→「ギニアスに拉致されキンバライド基地に監禁される」→「自軍に合流」という流れで動いている。お前ら、一体いつ知り合ったんだ?
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一番の矛盾点は本作の特徴でもある仮面を被ったシャアの登場。
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後にこのシャアはクワトロとして仲間に加わるのだが、クワトロを名乗るのは今回が初めての様子である。つまり本作におけるグリプス戦役はシャアの存在無しに進んでいたことになってしまう。
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カミーユは1人でグリプス戦役を戦ったのだろうか?それ以前にどういう経緯でガンダムmk-IIに乗ったのだろう。Ζガンダムの装甲材質であるガンダリウムγは誰から提供されたのだろうか。そのカミーユも前述の通り精神崩壊した状態でギニアスに拉致監禁されている状態で登場している。ギニアス曰く「連邦軍の情報を引き出す為に拉致するも精神崩壊していて役に立たたなかった(意訳)」とのことだが、拉致する段階で調べるなり気付くなりしなかったのだろうか。そしてご丁寧にガンダムMKIIまで持ってきてしまっている。
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ちなみにアムロは『逆襲のシャア』での成熟した大人として登場し、セイラも『ΖΖ』での年齢を重ねた姿となっている。シャアは一年戦争後もしばらく仮面を被り続けていたようだ。ララァやランバ・ラル、黒い三連星は見た目以上に年を取っているのだろうか。
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さらなる余談だが、『08MS小隊』のシローは原作では設定上宇宙では使用できないはずのEz-8に搭乗して参戦するが、本作では構造がジムと似ているという理由で宇宙でも運用可能。
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原作再現ついでにウラキが「なんでEz-8は!」とひどく不満を漏らす。その理屈で宇宙で使用できるのならいくら急遽運用された実験機とはいえ時代が進みメンテナンス性も向上し、調整前提のテスト機の方が簡単に調整や換装が行えるはず。
Ez-8より高性能のはずが実際はまともに宇宙で使用できない(「宇宙では性能がジム以下」と言われる)様な実験機(オマケにシナリオ設定を見ると、どう見ても既に旧式)に乗せられ、しかも敵の追撃途中とは言え運用からある程度の時間がたったのに、宇宙に着いてから突然「換装が必要だ」と言いだすのだから、実にまっとうな言い分である。
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尤もこのやりとりは『スパロボ』シリーズでいつも大同小異ながら行われているお決まりのネタであり、原作同様今作でも子供じみていたウラキの言動→片意地張って突っ込んでボロ負け→立ち直って換装という展開になるが、本作ではEz-8とシナリオ設定のせいでウラキの台詞が納得できる内容となっている。勿論実験機に無断で乗り込んだウラキの非もあるが、こんな行き当たりばったりの状況なら不満を漏らしたくもなる。
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さらなる余談だが元々GP01は換装によって地上、宇宙で最適な状況で運用する機体であるにも関わらず、大半の『スパロボ』ではFbに換装後はそのまま地上でもFbのままだったりと冷遇されがち。
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本作のROM内にはある程度形になった没シナリオデータが収録されている。
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ネタバレ注意
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その中身は恐らく最終盤に展開する予定だったであろう『逆襲のシャア』の再現シナリオ。本作のラストでは「アクシズ落とし」を背景に戦うが、本来は原作通りシャアが実行するはずのものだったという事である。
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これにより、先に述べた「ハマーンが健在なのに木星に行っているジュドー」について「当初の構想ではネオ・ジオンの総帥はハマーンではなくシャアだった」と考えれば辻褄が合う。
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会話中には『逆襲のシャア』におけるシャアの部下であるクェス、ギュネイ、レズンも登場する。敵機体として登場するヤクト・ドーガやα・アジール、青いギラ・ドーガは彼女らに合わせて用意していたものと考えられるだろう。
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この没シナリオでは「UC0093仕様のシャアとセイラの対峙」や「ニュータイプとは何なのか」といったあまりスパロボで取り扱ったことの無いテーマも描かれており、興味深い。ニュータイプについて語る男性主人公の描写も見られ、前述のニュータイプ技能を所持しているという点に関して説得力のあるものとなっている。
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また、この没シナリオ中では本作のラスボス「ツヴァイザーゲイン」は「スーパーアースゲイン改」という名前で登場している。そのため、主人公機と同様ラスボスも『64』の主人公機が元ネタであると思われる。
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その後の展開
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後にNTTドコモの第3世代携帯電話・FOMAのiモード公式サイト『スーパーロボット大戦i』にてiアプリ版が提供された。現在は配信停止している。
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戦闘デモOFF設定など携帯電話でのプレイに合わせた仕様改善が行われたほか、『D』で実装されたミニゲーム「ツメスパロボ」も導入されていた。
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プレイステーション・ポータブル(PSP)でシステムやグラフィックなどを大幅リメイクし、戦闘デモ中の音声を追加した『スーパーロボット大戦A PORTABLE』が発売された。詳細はリンク先を参照。