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ファイナルファンタジーI・II アドバンス - (2015/10/07 (水) 09:10:46) の編集履歴(バックアップ)


ファイナルファンタジーI・II アドバンス

【ふぁいなるふぁんたじー わん・つー あどばんす】

ジャンル RPG
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※ぼったくり出品者に注意!
対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 128MbitROMカートリッジ
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 トーセ(日本&上海)
発売日 2004年7月29日
定価 6,090円(税5%込)
セーブデータ FF1用・FF2用各3個(フラッシュメモリ)
判定 良作
ファイナルファンタジーシリーズ関連作品リンク


概要

1987-1988年にそれぞれファミリーコンピュータで発売されたロールプレイングゲーム『ファイナルファンタジー』と『ファイナルファンタジーII』の2タイトルをゲームボーイアドバンス用にリメイクして1本に収録した作品。
先に発売されたワンダースワンカラー及びプレイステーション版のグラフィックやシステムを踏襲し、更なる追加要素を加えた。

主な変更点および評価点

従来のリメイクからの継承・発展

BGM、ドットグラフィックの改善。

  • BGMはPS版準拠。GBA音源のため再現性にいくらか無理はあるが十分及第点。

「モンスター図鑑」の追加

  • PS版からの要素。一度戦った敵なら後からグラフィックを鑑賞したりパラメータを確認できるようになった。

操作性およびシステムの利便性が改善された

  • WSC版・PS版と同様にBボタンダッシュ可能。それに加えてコンフィグ設定で十字キーのみでボタン不要の常時オートダッシュにもできる。
    • このオートダッシュ仕様は後のGBA版IVVVIにも引き継がれた。
  • アイテム所持枠がFF5以降の仕様となり、全アイテムを持ち歩けるようになった。
    • なお『2』についてはGBA版からの仕様である。
  • FF1のオリジナルではセーブデータを1つしか作れなかったが、本作では3個作れるようになった。

不具合の修正・仕様の見直し

  • 共通
    • オリジナルに存在していたバグや不具合*1が修正された。
    • 内部的な仕様は基本的には従来のリメイク準拠だが、オリジナル版に近くなった部分もある。

今回のリメイクで行われたもの

ゲームバランスの変更及び改善

  • 共通
    • 町やダンジョン内でもセーブできるようになった。これにともない、オリジナルでは脱出不可能だった一部のダンジョンで徒歩で帰れるようになったり、脱出魔法「テレポ」が使えるように変更された。
      • 『1』については、従来ではセーブするためには宿泊が必要だったが本作では不要となった。
    • 装備品が多数追加された。
  • 『I』
    • レベルキャップが50から99に大きく上昇した。
    • オリジナルの大きな問題点であった「各クラスの能力格差」が是正された。
      • シーフ/忍者は戦闘力が強化されて他の前衛クラスと同等の使いやすさに、モンク/スーパーモンクは攻撃力は抑え気味になった代わりに、スーパーモンクの魔法防御成長度バグが修正。
      • 魔法回数制から最大MP制に変更、MP回復アイテムが追加、魔法の効果が知性依存となるなどしたため、魔術士系の使いにくさが大きく改善された。
    • モンスターがアイテムをドロップするようになった。
  • 『II』
    • オリジナルでは「ある能力値を上げると、確率で別の相反する能力値が下がることがある」という仕様であったため、万能型キャラを作るのに手間がかかっていたのだが、本作ではこの能力値低下が完全に廃止。これにより、万能型キャラを作る事が原作よりも大分容易になった。
      • 能力値も上がりやすくなっている。武器・魔法の熟練度は必要実行回数が低下し(代わりに「Bボタンキャンセル技」は修正された)、能力値も対応する行動を取らずともまれに上がるようになった。

設定面・その他

  • FF1では常連キャラクターである「シド」と「チョコボ」が登場していなかったが(彼らが登場するのはFF2から)、本作では彼らがちょいネタ程度で登場するため、これをカウントに含めていいならFF皆勤賞となった。
    • シドは「飛空艇を造ったのはシドという名の古代人である」という設定が追加され名前のみの登場、チョコボは石像として登場している。*2
  • FF1ではパーティーメンバーの名前を自分で付けるのだが、その際にいくつかの候補からランダム決定したり、最終決定前ならリネームすることが可能になった。
    • 名前候補はFF3~6・9のNPCの名から採られている。ジョブごとにそれぞれ10種類あり、戦士ならデッシュ・バロン・ゼザ・レオ等、白魔ならサラ・エリア・ルカ・ルビィ等、といった具合である。

本作の追加要素

  • 「Soul of Chaos(ソウルオブカオス)」「Soul of Re・Birth(ソウルオブリバース)」の追加
    • 「Soul of Chaos」
      • FF1で追加された新ダンジョン。全部で4つ存在し、ストーリー本編の進行に応じて順次解放されていく。
        内部はボス階層以外は毎回マップ構成が変わるランダムダンジョンで、全滅しても外に出されるだけでペナルティがない特別仕様となっている。
        そこでは歴代FFシリーズで登場したボス敵と戦ったり、本編中で手に入る物より更に強力な武具を入手可能。
    • 「Soul of Re・Birth」
      • ストーリー本編中で死亡したミンウ・スコット・ヨーゼフ・リチャードのその後を描いたショートシナリオ。
        街1つとダンジョン2つとボリューム自体は少なめだが、多数の新アイテム・モンスターが登場する。
      • スコット以外は本編の能力値・所持アイテムをそのまま引き継ぐ。したがって、本編で彼らを鍛えすぎるとヌルゲーとなるが、一方で全く鍛えていなくても敵が強すぎて詰むことがないようにはなっている。
      • 最深部では意外な人物?がラスボスを務めている。また、そのデザインはよく「小林幸子」などとネタにされている(ただしデザインが悪いわけではなく、むしろ高評価を得ている)。

賛否両論点

難易度の低下

FF1・FF2ともに、FC・WSC・PS版と比べると難易度が低下している。
特にFF1ではあまりにも難易度が低下し過ぎたため、「ヌルゲーになった」「歯ごたえが無さすぎる」という批判を受けることもある。
要因は以下の通りである。

『I』の賛否点

  • プレイヤー側のパワーアップが著しい一方で、敵の強さはほぼオリジナルから据え置き&強すぎた敵は弱体化されている。一応中ボス・ラスボスは強化されているが焼け石に水。
  • レベルキャップを変更したのはいいが、調整をミスしたのかレベルアップがあまりにも早すぎる。これも本作のヌルゲー化に拍車をかけている。
    • さらにランダムエンカウント発生率が高めとなっており、終始弱い敵との連戦を強いられる。レベルカンストしてもエンカウント率は高いままなので、戦うにも逃げるにもストレスが溜まりがち。
  • ボス戦の戦術性は低い。デバフはほとんど意味をなさないし、バフ消去手段もないため、とにかく「味方を強化した後攻撃、時々回復」することに尽きる…のだが、あまりにも単調すぎるきらいがある。
    • 追加アイテムのおかげでバフ積みのスピードが飛躍的に上がり、回復アイテムも低コストかつ大量に手に入るので道中の消耗を気にする必要が全くない。
  • SOCで入手できる装備品が強すぎる。
    特に問題なのは、「戦闘中に使用すると魔法の効果が発動する」品が大量に追加された事。破損率が設定されていないため使い放題、アイテム欄から直接選択するように仕様変更されたため誰でも使える、使える魔法のラインナップもフレアー、ホーリー、インビアなど豊富、と魔法の立つ瀬が無くなってしまう。
    • 例えば白魔道士なら、「けんじゃのつえ(ホーリー強化)」を装備した状態で「ライトブリンガー(アイテム使用でホーリー発動)」を使用…とすることで、強化されたホーリーをノーコストで使えるようになってしまう。
    • ただし、強力な品はSOCの終盤(シナリオ本編クリア後。当然そこの中ボスはラスボスよりもはるかに強い)まで手に入らないようになってはいるし、極端な編成でもSOCをクリアできるようにするためにあえてそうした可能性も高い。
  • オリジナルでは先制攻撃を受けやすかった敵パーティに対して、逆にこちら側から先制攻撃を仕掛けやすくなった。意図したものかバグであるかは不明。

『II』の賛否点

  • 補助魔法が強すぎる。オリジナル版自体からそうした傾向であったのだが、バーサク(物理攻撃力アップ)とブリンク(物理回避率アップ)さえあればとりあえずどうにかなる。これにヘイスト(物理攻撃のヒット数増加)を加えると完全にヌルゲーと化してしまう。
  • テレポ(フィールドでは脱出魔法、戦闘中では敵にかけると対象を即死させる)の魔法命中率が異常に高くなっており、他の即死魔法を鍛える意味が全くない。*3
    熟練度をMAXまで上げると全体掛けでも大半の敵を消し飛ばせるし、入手もゲーム最序盤でできてしまう。
  • オリジナルでは存在しなかったオートターゲット機能がつき、倒された敵に対する無駄行動は無くなった。これ自体は改良点であるのだが、その分熟練度が若干上げ難くなってしまってもいる。オートターゲット機能のオンオフ切り替えもできない。
  • ミニゲーム(神経衰弱)関連
    • ミスが少ない程クリア時にもらえる景品が良くなる。また、トードの熟練度をMAXまで上げると、景品のラインナップがマサムネやイージスの盾など超豪華になる。
      さらに配置が32回で1周期となっており、33回目は1回目と同じ配列となる。したがって、32回目までの結果をメモしておけば33回目以降は余裕でノーミスクリアできるようになり、序盤でマサムネを量産したり、SORにマサムネを持ち込んだりとやりたい放題できてしまう。
      無論、それを実際にやるかどうかはプレイヤー次第ではあるが。

一部テキストの改変

テキストに手が加えられており、一部のセリフがオリジナルから変更されている。特にネタ要素の強いセリフの変更が顕著。
「真面目なセリフのほうがシリアスな雰囲気に合っている」という意見もある一方で、「ネタとしてファンから親しまれているセリフが変更されてしまったのは残念」という意見もあり、賛否両論。
ただし『I』に関しては先行のWSC版やPS版の時点で既に一部のセリフやアイテムの説明文などが変更されていたりする。とはいえ、全面的なセリフ変更に及んだのはやはりGBA版からである。

一例を挙げると…

  • 『II』のオリジナル版で女海賊レイラの船に乗り込む際のフリオニールのセリフ「いいじゃないか!ただだし。おねがいしますっ!」が、「…だけど他にディストへ向かう船はない。彼女たちを信用するしか手はないだろう。」という真面目な台詞に変更されている。

その他

  • 共通
    • モンスターデザインはWSC版を流用しているため、一部の敵のグラフィックが変更されている。おおむね受け入れられてはいるが、「オリジナルの構図・デザインの方がよかった」という声もある。
  • 『II』
    • ステータス画面の顔グラフィックが変更されてより天野イラストに近くなったため、オリジナルに慣れ親しんでいた人は違和感を感じることも。ただし、そこだけではなくフィールド画面でのグラフィック&戦闘中のキャラグラフィックも書き直されているため、統一感がないという訳ではない。

問題点

『I』の問題点

  • SOCが極めて単調なうえ、クリアまで本編と同じくらい時間がかかる。
    • パズルや仕掛け要素のあるフロアも出現するが、単調さを払拭できているかというと疑問も残る。
  • エルフ村の武器屋の販売品からミスリルソードが削除された。
    • ゲームバランス的にはそれほど悪影響は与えてはいない。しかし、「ミスリルの品はエルフ村の特産品である」という設定があり、ミスリルソードに関するセリフはオリジナルからそのまま残っている。結果、その時点で入手できないのに説明だけ残っているというチグハグな状態になってしまった。
  • プレイデータをクリアデータで上書きすると、続きからではなく図鑑だけが引き継がれたニューゲームが可能になるのだが、同時収録のFF2と挙動が異なるために混乱を招き、うっかりラスボスクリアまで進めたデータを失ってしまう事態が発生した。

『II』の問題点

  • WSC版に存在した追加OPが無くなってしまった。
  • セーブスロットが3つに減少してしまった(オリジナルでは4つ)。しかもSOR用に1つ使う必要があるので、本編のセーブデータが2つしか確保できなくなってしまった。
  • クリアデータからのニューゲームが不可能になった(PS版では可能だった)。これによってモンスター図鑑の埋め残しがあった場合は最初からやり直さなければならない。
  • ゲームバランス関連
    • 能力値が(上げるための行動を取らなくても)自然に上がるようになったのだが、このうち最大HPが勝手に上がってしまうのは問題点となる。
      これは一見救済措置に見えるが、本作では「最大HPを上げすぎると敵が逃げやすくなってしまう」という仕様がある。普通にプレイする分には支障はないのだが、能力を最大まで鍛えようとする際などで不都合を生じることもある。
    • SORの雑魚戦で一切逃走できない。最初のミンウ一人だけの状態だとフルボッコにされかねないため、早急に仲間を集める必要がある。

総評

オリジナル版に存在していた不具合・理不尽さをほぼ解消し、ハードの性能に合わせて全体的なクオリティが上がっているため、良移植に分類される作品と言える。
難易度の低下(特にFF1においては顕著)という問題点こそあるものの、その分初めてFF1・FF2に触れるという人にもおすすめできるし、オリジナル経験者にとっても追加変更点目当てにプレイする価値は十分ある。

その後の展開

  • 本作以降のFF1・FF2のリメイク版は、オリジナル版のVC配信などを除けば、基本的に本作をベースとしている。
  • 後年本作を元にPSP版が発売された。そちらについては『ファイナルファンタジー (PSP)』の記事を参照。