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メイドイン俺 - (2016/10/03 (月) 00:27:47) の編集履歴(バックアップ)


メイドイン俺

【めいどいんおれ】

ジャンル つくってあそぶ瞬間アクション
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 256MbitDSカード
発売・開発元 任天堂
発売日 2009年4月29日
定価 4,800円
判定 良作
ワリオシリーズ


概要

5秒または10秒で終わるプチゲームが豊富に盛り込まれているのが特徴の『メイド イン ワリオシリーズ』。
そのプチゲームをプレイヤー自身の手で作って遊ぶ…というコンセプトで生まれたコンストラクション系ツール。
パッケージのキャッチコピーの通り、自分で作って自分で遊ぶのはもちろん、ソフトを所持しているプレイヤーに配布して遊んでもらう事も自分がプチゲームをもらって遊ぶ事も可能。

スーパーツクリエイター21(ゲーム制作)

  • プレイヤー側が行なえる操作方法は全てペンタッチのみ。作るのも遊ぶのもペン1本で賄える。*1
  • ゲームツクリエイターでは「おえかき」「おとづくり」「くみたて」「せってい」の4つの工程を経た上でゲームが作ることが出来る。
  • 「おえかき」でゲームに登場させるキャラや背景を作って、「くみたて」でゲーム中に登場するぶったい(キャラクター)の動きを「○○した時○○」の形で命令したりゲームの成功・失敗条件等を決めていく。
  • 「おとづくり」ゲームのイメージに合った音楽を作り「せってい」でゲームの名前などを決めれば無事出荷される。
  • ツクリエイターではゲーム制作の他にもレコードツクリエイターで音楽を作ったり、マンガツクリエイターで4コマ漫画を作ることが出来る。
    • マンガツクリエイターではトーンやふきだし等が用意されており、レコードツクリエイターではゲーム作りで使いたくなった音楽を流用させることも可能。
  • ゲーム・レコード・マンガにそれぞれサンプルが用意されている。レコードのサンプルはクラシックや任天堂ゲームのBGMのアレンジ。
    • マンガのサンプルはしりあがり寿・中川いさみを始めとする漫画家によるもの。そしてその全てが超シュール。

作り方教室(充実したチュートリアル)

  • 簡単にプチゲームが作れる!とはいったものの、初見でツクリエイターを使いこなすのはほぼ不可能。
    そこでまず「作り方教室」という場所で講義を受ける事になる。
    • これがかなり丁寧で、簡単なゲームを実際に制作しながら、ゲーム制作が始めての人(ほとんどがそうだろうが)でもイラストの制作からAIの設定までを理解できる様になっている。
    • 講義はワリオとペニーの対話形式であり、テキストもらしいネタを交えつつ未経験者がすんなり入り込めるよう工夫されている。
    • この講義を受けないとツクリエイターが起動しないようになっており、ろくに説明を読まずに勢いだけでゲーム作りを始めた結果、挫折・・・というありがちなパターンに陥らないよう配慮されている。

くみたて道場(プログラミング思考の指導)

  • 作り方教室をクリアすると登場。
    • クイズ形式で「くみたて」の段階において、どのように組み立てれば正解へと導き出せるかといった問題が出題される。
    • 押すとしばらく反応しないボタンや複数のアニメーションを連続再生させるといったゲーム制作で役立つことがある問題が中心となっている。
      • 作り方教室より高度なテクニックが学べる為、やっておいて損はしない。

俺たちの声

  • ゲーム内に登場する掲示板。ツクリエイターの隠し機能や、ゲームを作る上でのアドバイスも充実している。
    • 住人のキャラ付けがしっかりされており、実際のコミュニティを覗く気分にもなれる。ふけぇな…

評価点

  • ゲーム作りの体験が出来る
    • 実際のゲーム作りにおける「プランナー」「プログラマー」「デザイナー」「サウンドプログラマー」の仕事を擬似的に体感出来る。
    • プログラミング言語の知識が無くても作れる上にオブジェクト指向の勉強にも役立つので、ゲームクリエイターを目指す人には一度遊んでもらいたい。
  • 素材を一から作ったり集めなくてもゲームを完成させることが出来る
    • 「ゲーム作るには1から絵を描いたりプログラム考えたり音楽作らないといけない」という不安も心配無い。
    • メイドイン俺内にあるサンプルや、Wi-Fiで配信されているゲームのキャラクターをそのまま製作中のゲームに登場させることが出来る。
    • さらに、動きや結果が一緒でいいのであれば、プログラムも流用させることが出来る。ボタン操作の場合、この機能を使えば作業の短縮化に繋がる。
    • 音楽も流用だけでなく、イメージに合った音楽を制作してくれる機能「マエストロ」がある。ゲームのイメージを伝えるだけで自動的に、数種類の音楽を作ってくれる。
    • 他にも自作のドット絵をスタンプとして保存することで背景一面に塗ったり出来る。サンプルのスタンプにはこれだけでマリオのゲームを作ることが出来るほど豊富。
      • それもめんどくさいという人はワリオカンパニーにてキャラクターの絵を書くだけでゲームが出来るアルバイトをすることも可能。もちろん一定のパターンのゲームしか出来ないが。
  • ゲーム制作の敷居が低い
    • 極端な話、プレイヤーにわかりやすく、かつ成功条件さえ成立すれば1つのゲームとして成り立つ。
      制作のコツさえつかんでしまえば短期間でたくさんのゲームを作り上げることができるようになり、制作のモチベーションも保ちやすい。
      • 他のクリエイションツールソフトの場合、例え初心者向けであっても制作の手順とコツを理解してからひとつのゲームを作り上げるまでには多大な時間と手間を必要とする。
        更に初心者ユーザーは初めから市販ゲームのような大作を作ることに意識が向きがちであるため、いきなり規模の大きい作品を作ろうとハリキッてしまい結果、手間と苦労が大きすぎて挫折という顛末になりがちである。
        その点、作るものが規模の小さいプチゲームと予め決められている本作は、ゲーム制作の初心者にとって、ゲーム作りのプロセスを程よい規模で体験できるツールであるとも言え、非常に理にかなっている。
  • プレイヤーの腕次第で様々なゲームを作り出せる
    • 販売されている実際のゲームをメイドイン俺で再現するといった芸当も可能。
    • 制限は厳しいのだが、中には本当にお金を払ってプレーしてもいいようなハイクオリティなものから、任天堂的・著作権的・公序良俗的にもギリ~アウトな代物、キワモノまで有志によって多数のゲームが作られている。
    • 説明書にある「どんなゲームでも作れるぞ。」という文句に偽りは無いと言える。
  • 作ったゲームを他の人に見せたり貰うことが出来る
    • 「たくはいセンター」でWi-Fi経由で自分の作ったゲームを他のフレンドに配信したり、フレンドのゲームを貰って遊ぶことが出来る。
    • 更に貰ったゲーム素材はゲーム作成に流用することが出来る。ドット絵が精巧で複雑な物を簡単に自分のゲームに使わせてもらう…といった芸当も可能(当たり前だがもらった素材を使った作品は製作者の許可を得た上で配信するように!)。
      • そういうことをされるのが嫌な人は、素材が配布されないようにロックをかけてゲームだけ遊ばせることもできる。
    • 現在は終了したが、定期的にテーマを決めたオリジナルゲームのコンテストも開かれていた。入賞者の作ったゲームを期間限定で配信されていた。
  • ゲーム以外にもマンガや音楽を作ることが出来る
    • メインはゲーム制作ではあるが、レコード機能を用いて作曲が可能で、白黒ではあるが4コママンガの制作も可能。専用のスタンプやトーンも用意されている。
      • 同じようにこちらもWi-Fiを介してフレンドとの共有が可能だった。
  • セーブ・ロードにかかる時間が非常に短い
  • DS用ソフトとしては初の試みとして、メディア媒体にNAND型フラッシュメモリを用いている。
    • お陰でツールソフトに付き物のデータ保存をかなりの高速で行なうことが可能となっていて、快適なプレイを実現している。そこそこ大容量のゲームでもセーブ・ロードに5秒以上かかる事は無いと言っていい。
    • これによりこまめなセーブも可能となり、制作のモチベーションも保ちやすいため制作によるストレスが大幅に緩和される。

問題点

  • ゲーム作成に飽きやすい
    • ゲーム作り全てに言えることだが、プレイヤーが構想しているゲームが完成する前に心が折れてしまうことが多い。
    • 初めからゲーム作りへの強い関心と制作にかけられる時間と根気のあるプレイヤーはともかく、特にゲーム制作に関心があるわけでもなく興味本位で手に取った若年層のプレイヤーなどは少し作ったらすぐ投げてしまうことが多く、中古に出回る原因にもなった。
      • 職人の腕から分かる通り、考えたゲームはだいたいが実現できるので非常にもったいない。
  • 使える機能や容量が少ない
    • 特に「おえかき」の場合、使える色が少ないため、色不足で表現に制限が出来てしまう等、表現するのに色々制約がある。
      • 効果音も予め用意されたものしか使えず、自作することも出来ない。
      • これらの不満はこの手のコンストラクト系ツールの常としてつきまとう制約でもある。制限された環境の中で工夫を重ね試行錯誤を続ける根気と、そしてどんな作品を作りたいのかその明確なビジョンが必要なのだ。
        //そんな不満があるなかでも、紫と他の色を組み合わせてピンク色に見せるように作るといったツクリエイター精神を発揮させたプレイヤーもいる。
  • 難易度調整はゲームスピードが上がるのみ
    • 過去作のメイドインワリオシリーズでは数が増えたりクリア条件が増えたりして難易度調整をしていたが、メイドイン俺ではゲームスピードが上がる以外に難易度を上げる方法が無い。
      • 仕掛けをアトランダムに複数用意することで変化を持たせることは出来るが、あくまでランダムなので最初から難しい条件でゲームが始まることもある。
  • 従来のメイドインワリオシリーズと比べるとゲームの質は低め
    • ゲーム制作を重点に置いてるせいかサンプルゲームは過去作より少ない。画質も使える色の制限で見劣りがち。前作が同じDSの『さわるメイドインワリオ』だったため比較すると見た目が劣っている。
    • プチゲームの処理はタッチ操作にのみ対応で、「さわる」にあったスライドなどの複雑な操作をさせることが出来ないのも、製作の幅を狭めている。
      • ただし組み立ての面で参考に出来る事はたくさんあるため、ツクリエイターで呼び出して中身を覗くと勉強になる。
    • 幸い、Wi-Fiで配信されているゲームは良作が多い上に好きに選べるため、プレイヤーの好みに合わせてゲームを集めることが出来る。
      • だが、Wi-Fiコネクションサービスが終了してしまったため、現在はゲームを自由に集めづらくなっている。
  • CERO(年齢制限)をすり抜けたゲームを作れてしまう
    • 本作の対象年齢は全年齢対象(CERO:A)である。が、年齢制限(CERO:B~Z相当*2)がつけられるような内容のプチゲームも作成できてしまう。そういったプチゲームもワイヤレス通信やWi-Fi通信で交換・配信できたため、対象年齢未満のプレイヤーも入手が可能であった。現に動画投稿サイトでは年齢制限がかけられる要素(セクシャルなど)を含んだプチゲームのプレイ動画が多数アップロードされている。
      • 現在はWi-Fiサービスが既に終了しているため、こういったゲームが若年層のプレイヤーに流通する可能性は低くなった。

総評

ゲーム制作を実際に体験することができ、その実力をコンテストという形式で発表して色々な人に作ったゲームを公開させたり出来るため、
将来ゲームクリエイターを目指すプレイヤーの入門ソフトになったり、○○のゲームをメイドインワリオで遊べたらという考えを実現させてくれた。
公式配信サービスが終わってからも、動画サイト等で作品を公開したり配布したりするなど、ゲーム制作をするプレイヤーは数多くおり人気の根強さを物語っている。
Wi-Fiコネクションサービス自体が終了しユーザー間のやりとりが困難になった今、機能を強化した新作に期待する声も大きい。

その他

  • あそぶメイドイン俺(2009年、Wiiウェア)
    • 自作したゲーム等を持っていく事ができる。DS版とは異なるサンプルゲームが72種類用意されており、これらもDSへの送信が可能。
    • DS版と違いWiiウェア単体でゲーム制作は不可能。だが保存出来る容量が多いため保管庫として使用することが出来る。
      • 他にもマンガツクリエイターの4コマも載せられているが、DS版同様シュールな内容に何も言え出せないものがある。
    • 作ったプチゲームをSDカードに保存することが可能。これによりニンテンドーDSにもプチゲームを保存することが可能。
    • 非公式な方法ではあるが、PC等に移してインターネットを通してプチゲームを他のユーザーとやり取りが可能。Wi-Fiサービスが終了した現在では唯一のプチゲームの共有手段である。

作品例

+ ...

余談

  • 「さわる」でパーフェクトな身体を手に入れ、「おどる」でマッチョに変貌したDrクライゴアであるが、今作では「まわる」以前のデザインに戻ってしまった。
    • 「スーパーツクリエイター21」は彼が発明したという設定になっている。
  • 本作の全てのグラフィックとBGMの音源は全てツクリエイターの素材と同じであり、殆どを使うことができる。(一部SEなどは収録されていない)
  • Wi-Fiサービスの一つ「なんとアノ人がソフト」では実在する著名人やゲーム関連誌・業界関係者などが作成した俺ゲームが随時配信された。
    • 有名どころでは『星のカービィ』や『大乱闘スマッシュブラザーズ』を生み出した桜井政博氏や、月刊コロコロコミックで長期連載中の『絶体絶命でんぢゃらすじーさん 』の作者である曽山一寿氏を始め、「週刊ファミ通」元編集長のバカタール加藤氏、ボタンを1秒間16連射が特技で人気者となった元ハドソン社員の『高橋名人』や人気声優の喜多村英梨氏らが制作したミニゲームが配信された。
    • なおこの企画に参加した最初の人物は、3の倍数だけアホになる芸でブームをおこした世界のナベアツ氏。本作発売前にCMで制作過程の様子が流されていた。
  • 開発開始は『おどるメイド イン ワリオ』開発終了後であるが、創案とタイトルの決定は『あつまれ!!メイド イン ワリオ』開発終了後。本作発売よりも約5年半前から存在していた、ゲームボーイアドバンスの次世代機用ソフト企画だったのである。
  • 動画投稿サイトには本作のプレイ動画が多数上がっているのだが、その中には、ゲーム会社に所属するプロの絵師がその会社のキャラクターを使って作成したものも含まれている。本作がプロからも高く評価されていることが伺える。
  • 収録されたプチゲームのサンプルは全てスーパーツクリエイター21を介してスタッフが制作されたものとなっている。
  • ゲームのタイトルを「マリオペイント」にすると、はいけいやぶったい作成時のBGMがマリオペイントのものになるという小ワザがある。
    • 「俺たちの声」でヒントを見ることができるが、勿論それ以前でも可能。当時遊んでいた層には感涙モノの仕様と言えよう。