「スーパー桃太郎電鉄II」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
スーパー桃太郎電鉄II - (2020/01/20 (月) 12:12:12) の編集履歴(バックアップ)
スーパー桃太郎電鉄II
【すーぱーももたろうでんてつ つー】
ジャンル
|
ボードゲーム
|
|
|
対応機種
|
PCエンジン スーパーファミコン ゲームボーイ
|
メディア
|
【PCE】6MbitHuカード 【SFC】8MbitROMカートリッジ 【GB】2MbitROMカートリッジ
|
発売元
|
ハドソン
|
開発元
|
【PCE/SFC】ハドソン 【GB】メイクソフトウェア
|
発売日
|
【PCE】1991年12月20日 【SFC】1992年8月7日 【GB】1994年2月18日
|
定価
|
【PCE】6,800円 【SFC】8,800円 【GB】4,500円(全て税別)
|
周辺機器
|
同時対戦時:マルチタップ対応
|
判定
|
良作
|
桃太郎シリーズリンク
|
概要
ハドソン謹製のRPG『桃太郎伝説?』のスピンオフ作品としてシリーズ化されたすごろく型のボードゲームの第3作目。
本作は対戦要素が強化された現行シリーズにおける事実上の第1作目ともいえる前作『SUPER桃太郎電鉄』の続編であり、前作で対戦要素を強めた作風にあらためられて基本的なルールの基盤が確立され、本作『II』で細部が整えられたことにより、後のシリーズの本格的な始発点となった。
前作『SUPER』の記事が存在しないため、『SUPER』で施された変更点と本作での変更・追加点を合わせて解説していく。
前作『SUPER』における変更点
主なものを明記する。
-
目的地の統一
-
FC版ではプレイヤーごとに目的地がバラバラという仕様上競争要素が薄かったこともあり、全プレイヤーが同じ目的地を目指して競い合うという概念が導入されたことでより対戦要素が強まった。
-
勝敗決定ルールの変更
-
勝敗はゲーム終了時の資産で決定されるルールに統一された。前作の「物件価格の総合金額」に加えて、「持ち金」も資産に計上されるようになった。
-
カードの導入
-
様々な効果を持つカードの導入により、戦略性やギャンブル性が高められた。使用者に有利な効果を持つものからマイナス効果を持つものまでさまざま。
-
各種イベントなどの収支のインフレが、毎年発生するようになった。
-
駅の概念の一新
-
物件駅、プラス駅、マイナス駅、カード駅、フェリー乗り場の4種類に整備され、それ以外の突発的なイベントは、「サイコロの出目によって決定」から「駅に停止した際に一定確率で発生」となった。
-
貧乏神の導入
-
ゲーム開始直後のプレイで目的地に到達した時、目的地から一番遠かったプレイヤーにつくお邪魔キャラ。
様々な悪行でプレイヤーに不利な状況をもたらす。
-
借金の概念の導入
-
FC版では借金を背負い物件を売却しても返済しきれなかった場合は踏み倒してチャラになっていたが、本作ではそのまま借金として残る。
各種収入が自動的に返済に充てられるため、返しきるまで資金が捻出できなくなる。
-
買い物の際に、購入の可否が一目でわかるようになった。
本作『II』における主な変更点。
以下の変更点はのちのシリーズにも概ね引き継がれている。
-
本作以降、サイコロを振った後で指定した駅に行けるルートの有無を検索できる「いけるかな?」コマンドが追加された。
-
本作以降、目的地候補以外の物件駅にも、駅名プレートが掲示されるようになった。
-
本作以降、貧乏神がキングボンビー、ミニボンビーに変身するようになる。
-
PCE版のみ、キングボンビーは変身したそのターンから悪行を開始する。SFC・GB版では後の作品同様に、変身したターンには何もしない。
-
損害系カードにキングデビルカードが初登場。
-
本作以降、他人が所有している物件の文字が青色で表示されるようになったほか、購入済みの物件も収益率が確認できるようになった。
-
本作以降、物件の増資が可能になった。(『16』で廃止)購入済みの物件に、購入時と同額の資金をつぎ込む(感覚としては再購入に近い)。
-
1件につき1ターン1回まで、最高で+2段階。増資すると物件価格自体が2倍・3倍になる上、収益率も一定値上昇する。
-
本作以降、F-1や地方博物、選挙などイベントが大幅に増大された。
-
本作以降、新たに「空港」マスが登場。港からフェリーに乗るのと同じ要領で、空港から飛行機に乗って空路を進むことが可能。移動のルールは地上や航路と同じ。
-
空路ができたことで、新たな目的地としてハワイが登場。
(一部、wikipediaより抜粋)
ゲームシステム
-
最初にプレイする人数を決め、その後COMP(対戦相手となるコンピュータ)を決めた後、ゲーム内の年数を決めてゲームスタートとなる。
-
ゲームスタート直後、ルーレットで目的地を決めて、その後サイコロの出目の分のマスを進みながら、目的地を目指していく。目的地についた時は援助金がもらえ、そして再びルーレットで目的地を選んで目指す。
-
一番ビリになった(目的地までの残りマスが一番多い)人には貧乏神が取り付き、色々な不幸が起こる。貧乏神はプレイヤー同士がすれ違う時に擦り付けることができる。
-
貧乏神は本作からミニボンビー、キングボンビーに変身するようになった。ミニボンビーは微々たるお金を貰って行くだけの存在だが、キングボンビーは様々な悪行を起こし、取り付いたプレイヤーをどん底に陥れる。
都市駅
|
ルーレットで目的地になる可能性のある物件駅。大きな赤い駅舎として描かれている。 目的地になっていない所で止まると普通の物件駅と同じ扱いになる。
|
物件駅
|
紫の四角形に「駅」とかかれたマス。物件が売られていて、買ったり増資することができる。
|
プラス駅
|
青い四角形の駅。持ち金が増える。夏季は貰える額が増え、冬季は少なくなる。
|
マイナス駅
|
赤い四角形の駅。持ち金が減らされてしまう。冬季は減る額が増えて、夏季は少ない。
|
カード
|
黄色い四角形の駅。カードがランダムで貰える駅
|
カード売り場駅
|
★マークが目印の駅。売り場によって売られているカードの種類が違う。「ちいきデータ」では駅名が書かれている。
|
フェリー乗り場
|
航路に出るためのマス。FC版ではマスが存在せず港間の移動として扱われていたが、 前作から通常の駅同様、マスが用意され素通りするだけで外海へ出れるようになった。
|
空港
|
本作から登場したマス。空路を通るためのマスで、フェリー乗り場同様、素通りするだけで外海へ出れる。 新たに登場した目的地ハワイへの到達手段でもある。
|
-
前作から導入されたカードシステム。大まかにまとめると以下の系統に分かれる
移動系
|
移動を補助するカード
|
「とっきゅうカード」「ぶっとびカード」など
|
妨害系
|
他プレイヤーの進行を妨害する
|
「うんちカード」「ぎゅうほカード」など
|
ピンチ回避系
|
イベントなどで発生した損害を補填・他プレイヤーの妨害の防止
|
「ほけんカード」「ブロックカード」など
|
利益系
|
使用するもしくは入手時点で収入が入る
|
「ふくびきカード」「ふくのかみカード」など
|
物件系
|
物件を通常よりも有利な条件で買える
|
「イトーヨーカード」「ゴールドカード」など
|
損害系
|
入手したプレイヤーに損害をもたらすマイナスカード
|
「デビルカード」「キングデビルカード」など
|
-
マス目も一直線ではなく、いろんなルート同士で引かれているので遠回りやループもできる。
-
3月に決算となり、前述のとおり、物件価格の合計金額に持ち金を加算した最終的な総資産額の大きさで順位が決まる。
評価点
-
貧乏神&キングボンビーの登場。カード制度やイベント導入といった、様々な要素の導入による対戦要素の強化。
-
誰よりも早く目的地に着いたり、お金を増やして物件を買い漁ったりするのはゲームの攻略の要だが、道のりは一本道では無く、様々な出来事が起こる。貧乏神の擦り付け合いや、目的地直前でカードで妨害といったことや、突如現れるスリの銀次によって金が減ってしまったり、キングボンビーが来て人生転落したり、「ぱろぷんてかーど」で予期せぬ事が起きたり、ドジラやモモスラの卵が出現した時に他のプレイヤーから助けてもらったりすることも。中には妨害した!と思ったら、逆に手助けになってしまったり。
-
対戦要素と共に大勢でわいわい楽しめるパーティゲームとしての側面も強化された。
-
ゲーム中の設定変更。
-
人数こそは途中で変えることは出来ないものの、ゲームのCOMP人数や、移動の速さ、メッセージの速さ、役職、プレイ年数などをゲーム開始後の途中から変更できる。移動やメッセージの速さを「ほんき」にすることでテンポ良くストレスの無い速さでゲームを進行することができる。更にCOMPに至っては全員COMPにすることも可能で、年数を飛ばして中盤から始めたいときに利用したりCOMP同士の対戦などといった遊び方をすることもできる。COMPの強さは8段階ある。
-
さらに、COMPはレベル毎に「農林系物件にこだわる“うまオニ”」「妨害系カードを多用する“さるかわ”」「貧乏神のなすりつけに執念を燃やす“やしゃひめ”」などの強い個性付けがなされている。
-
各地を基にした地域色溢れるステージ。
-
存在する駅はほとんど実在する上に地域毎に売られている物件はひとつひとつ違いがあり、なおかつ現実の日本の地域産業を元にしている。
-
札幌では「ラーメンや」や「ジンギスカンや」、「ビール工場」といった北海道ならではの特産品がある。
-
青森、弘前の「リンゴ園」や松山、徳島、和歌山の「ミカン畑」、新潟の「すいでん」と言った農業産業。
-
伊勢の「ふくふくもちや」は「赤福餅」のパロディである。
-
東京、横浜、名古屋、大阪、広島、博多ではそれぞれの球団を意識したような「プロやきゅうだん」という物件がある。前作同様、持っていると日本シリーズイベントが発生し、勝てば高額の臨時収益がもらえる
-
また、横浜は社長名を「べいすた」にすると勝率が上がるのは作者のさくまあきら氏が横浜ファンであるためのお遊びだが、球団名決定法則の関係上唯一史実通りの球団名にできるのも理由と思われる。
-
浜松ではヤマハやカワイなどを意識した「がっき工場」、ホンダ、スズキをモチーフとした「バイク工場」といったものもある。
-
架空とはいえ、全て実在する地域産業である。
-
駅周辺では視覚的にキャラが動く。青森ではリンゴ、山形ではサクランボ、新潟ではおにぎり、下関の海ではふぐ、襟裳には馬と産業にゆかりあるものが配置されており、判りやすい。
-
子供の頃にこのゲームを遊んだことで、社会科の授業で習うべき地名や地域産業を覚えていったという者も少なくない。このゲームのおかげで社会科が得意だった人もいるだろう。言い換えれば、遊びながら学べる社会科とも言える。開発チームが実際に製作の度に日本全国を旅して、各地の名産品などをチェックしているため実在の産業をここまでリアルに描き出せるのである。
-
物件には収益率が設定されており、安価だが収益率が高い物件、高額だが収益率が低い物件、貸しビルのように収益率はいいがメンテナンス費用による出費が痛い物件、さらにはカニ漁船団のように毎年決算まで収益率がわからず時にはマイナスになることもあるもの、極めつけは収益率マイナスで毎年多額の赤字を垂れ流すが、低確率で大金が得られるイベントのある金山や炭鉱、とさまざまである。
賛否両論点
-
キングボンビーの凶悪ぶり
-
本作から貧乏神が変身するようになるが、キングボンビーになると手の施しようがない。変身が解かれるまでの間、彼の暴れっぷりに億単位の借金を背負い、地を這うプレイヤーも……
-
10個のサイコロの出目に応じてお金を捨てられる。プレイ年数が重なると数百億単位も当たり前。
-
持っているカードをすべて捨てられる。
-
サイコロを2個振って出目の数だけ物件を売却する。
-
未購入の物件をローンで買ってくる。しかも物件自体は他のプレイヤーにプレゼントしてしまい、プレイヤーに残るのはローンだけ。ただし、買ってくる物件は最高でも2億のため、長丁場ではさして脅威ではなくなる。
-
独占した駅の物件を全て半額で売却する。
-
収益が多いほど物件が買え、物件を買うほど収益が増える……というシステムゆえ通常は逆転が起こり難いゲーム性であるため、逆転の余地を生みゲームを活性化させるのが目的のキャラであるとはいえ、本作はちょっと凶悪にすぎた。キングボンビーにしばらく暴れられると、多くの場合立ち直りが難しい。
-
そのゲームでは貧乏くじを引いたと思って勝ちを諦め、むしろ「キングボンビーにどこまで落とされるか」をプレイヤー全員で楽しむのがキングボンビーとの正しい向き合い方なのかもしれない。後の作品では、キングボンビーの悪事がパワーアップする一方、対抗手段も用意されたり、立ち直りが容易になったりしている。
-
当時の攻略本でも言われていたが、わざと貧乏神を付けっぱなしにして有効なカードを集めさせて足がかりにするのが実は効果的。莫大な借金など、徳政令カード1枚でどうにでもなる。そしてこういう時に重要なのが農林物件。収益は総じて低いが、売却できないため、建て直しのときの資金源として文字通りの礎になる。
問題点
-
一定数の物件を所有すると、それ以上は物件が買えなくなってしまう。プログラム上の限界が理由。次回策以降は改善された。
-
長期間の年数でのプレイだと、目的地到達の意義が薄れてしまう。
-
序盤は物価が低く、目的地到達&物件購入で資産や資金を増やしていくのだが、長い年数でプレイすると物価かどんどん上がっていく上に、購入した物件も軒並み揃ってくるので目的地到達の援助金の金額より、決算時の収入金額の方がはるか上回るので、到達の意義が薄れていく。
-
だからといって油断していると他のプレイヤーに到達され貧乏神に取り付かれてしまうこともある。目的地到達による資金確保より貧乏神の擦り付け合いが焦点となっていく。
-
ドジラ・モモスラの卵の発生率
-
これも長期間の年数で起こることだが、各地の物件を買えば買うほどドジラやモモスラの卵の発生率が上がる。卵自体は一つしか発生せず卵が孵るまでの期間がある(ただし道はふさがれる)ため「きんたろうカード」を使えば取り除け、ドジラは誰かが「モモトラマンカード」を持っていれば撃退できるのだが、取り除いたり撃退したとしても数ヵ月後にまた発生することも多く、カードの所持数も6つと限られているのでいちいちカードを手に入れるのも面倒。さらにドジライベントに至っては発生した時点でどこかの都市を攻撃するので「モモトラマンカード」を買いに行ける猶予がなく物件が守れないといった問題もあった。非所有状態になることを覚悟し、再度購入すればいいと割り切ってプレイする方が良い。後の作品ではカードやイベントの統合、事前使用しておく専用システムなどの改善が為されている。
-
ゲームボーイ版では容量の都合で、一部のイベントが削除されている(選挙とF1レース)。
総評
前作から本作にかけて、妨害から協力といった色んな駆け引きの要素を取り入れて初代FC版よりも対戦ゲームとしてのゲーム性を高め、多人数で楽しめるパーティボードゲームとして昇華された。
今後の桃鉄シリーズの雛型となった作品でもあり、シリーズ初期の大きなターニングポイントとなった。
移植
-
本作は後にSFCとGBに移植された。
-
SFC版では目的地決定画面が追加されたが、5人対戦は不可。
余談
-
CMは当時放映されたばかりの「ごっつええ感じ」や「ガキの使いやあらへんで!!」で売り出し中だった若かりし頃のダウンタウンが刑事に扮して登場している。同時期に『桃太郎伝説外伝』や『高橋名人の大冒険島』のCMにも出演していた。
-
「プロやきゅうだん」では買占めまたは1プレイヤーのみの購入となると自動的に札幌の球団(球団名は「札幌ヒュービーズ」で固定。ハドソンの『パワーリーグ』シリーズに登場した架空球団「ヒュービーズ」がモデル。次回作からは「札幌ドサンコーズ」)との試合となる。
-
発売当時札幌にはプロ野球のチームは存在しておらず、ハドソン本社が札幌にあったための設定だが、その12年後に日本ハムが拠点を札幌に移したのを考えると予言とも言える……かもしれない。