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ZombiU - (2014/09/03 (水) 18:04:33) の編集履歴(バックアップ)


ZombiU

【ぞんびゆー】

ジャンル サバイバルホラーアクション
対応機種 Wii U
発売・開発元 ユービーアイソフト
発売日 2012年12月8日
定価 ディスク版:7,180円
ダウンロード版:6,480円
レーティング CERO:D(17才以上対象)
分類 良作
ポイント WiiUゲームパッドを余すところなくほぼ使い切った意欲作
任天堂ハードにしてはグロさがキツい
ゲームパッドを考慮しなければゾンビゲーとしては普通
ファンは多いが売り上げはふるわなかった


概要

公式サイトにも「Wii Uのためだけに開発されたゾンビゲーム」とされているように、WiiUの、ひいてはWiiUゲームパッド(以下ゲームパッド)の性能を示すために作られたと言っても過言ではないゲーム。
UBIソフトがゲームパッドを見て、「これを活かしたゲームを作る」と意気込み、その通りフルに活用するゲームデザインとなった。ゲームとの親和性も抜群でゲームプレイにうまく作用している。
プレイヤーは、ゾンビに支配された街の中で奇跡的に生き残っていた生存者となり、プレッパーなる謎の人物に導かれながら、彼とともに協力して生存を果たすことを目指す。
地味に強力なゾンビの襲撃に耐え、物資を集め、プレッパーからの指示を時折聞きながら、このゾンビの巣窟となった街の謎も解明していくことになる。

本作の特徴

  • 冒頭でも記したが、ゲームパッドを活用したゲーム性が本ゲームの最大の特徴である。逆に言えば、ゲームパッドが存在しなければ凡庸なゾンビゲームと言っても良いくらいである。
    • アイテムの操作にはゲームパッドを使用する。アイテムの使用、装備の変更、資料を読む、生体反応レーダー、手持ちライトのON・OFFなどの行動は、全てゲームパッドに依存している。
    • 普段、ゲームパッドにはマップが表示されている。マップをタッチすると発信して、ゾンビや動物などの位置を確認することが出来る。後半はタッチしなくても常時レーダー発信が行われる。
      • いきなり生体反応を発見し、電子音がなるとなかなか心臓に悪く、ホラーゲームとしての雰囲気作りに貢献している。後半から端末が改良され、常時レーダーを発信するようになるとそれが特に顕著に。
    • ゲームパッドを見るということは、メインとなるテレビ画面からは目を離すことになる。一軒鬱陶しい要素だが、アイテムなどを操作している間は周囲を見られないという恐怖は、いつゾンビに襲われるかわからないという臨場感を盛り上げる。
    • ゲームパッドでゲーム内のさまざまなものをスキャンして情報を得る、本作のキモともいえる機能がある。
      • 『バイオハザード リベレーションズ』のスキャン機能に近いが、こちらはジャイロセンサーに対応しており、より体感的な操作が可能となっている。
    • その他、かんぬきを外す、バリケードの撤去、ピッキング、暗証番号操作などもゲームパッドのタッチパネルで操作する。ミニゲーム的な要素ではあるが、これもまたWii・WiiUらしい体感的なゲーム性を演出している。
  • 本作は主人公が何ら戦闘の知識を持っておらず、基本武器はバットと拳銃のみという貧相さである。ゾンビを突き飛ばすことも出来るが、基本的にはノーダメージ。
    • 主人公は死ぬとどんどん交代していく。名前も立場も全て異なる。警官などでも性能は同じ。
    • メイン武装となるバットは使用回数に制限がないが、振りが遅く、スタミナを消費するため複数戦には不向き。
    • 銃は威力が高く、ゾンビの手が届かない(一部遠距離攻撃をしてくるゾンビもいるが)位置から攻撃できるが、当然弾数制限があり、リロードも手動であるため、考えなしに使うと泣きを見る。
      • ゾンビに囲まれて慌てて撃ちまくり弾が切れ、数発空撃ちをしてからリロードの存在を思い出すプレイヤーも多い。パニック映画にありそうなシチュエーションだが、こういったプレイヤーの失念にも計算ずくな部分を思わせる。
    • 手榴弾・発煙筒などの投擲武装もあるが、こちらもそこまでお手軽に使っていけるものではない。
  • ゾンビサバイバルゲームであるため、基本的には街で手に入るものしか入手することが出来ない。つまり武器・弾薬・その他アイテムなどは一切販売されない。
    • イベント上物資を売ってくれるという人間に会うことはできるが…。
    • 武器は特定の地点でカスタマイズすることが可能。

評価点

  • ゲームパッドの魅力を知ることが出来る。DSのツースクリーンとは違う魅力があることを実感出来る。
    • 特に仕掛けを作動・解除させるパートや、スナイピングはかなり楽しく、スナイピングは特に敵を狙撃しているようにプレイ出来る。
  • 難易度は高めで、やりごたえがある。
    • ゾンビの噛み付き攻撃は即死扱いで、当然だが全てのゾンビが使ってくる。操作に不慣れなプレイヤーを序盤から殺しにかかってくる。
    • 基本的に電気がストップしたり消えているところが多く、手持ちのライトを使わないと前が見えない。ライトは充電式であり、使い続けるとバッテリーが切れて消灯するため、電気を一度切ってバッテリーを回復させるなど、こまめな管理が必要。
    • アイテムの入手手段は限られているため、無闇にアイテムを消費することが出来ず、サバイバル感を堪能出来る。特に弾は枯渇しやすい。
      • かといってケチケチしていると倉庫にも入りきらなくなるので、消費していくことも大事。
    • 無消費のバットだけでも戦うことはできるが、複数戦や包囲戦には向いていないため、それだけでクリアするのは困難。
    • 特に最大難易度のサバイバルモードは、一度でも死ぬと全データが消えるというレトロゲームのような仕様なので、縛りプレイにもそれなりのスキルが必要。
  • 臨場感の演出はかなり高いクオリティ。
    • ゾンビゲームやアクションゲームに慣れていない人は、特にゲーム内のプレイヤーキャラクターと状況がマッチングするため楽しめる。
    • ゾンビに囲まれた、追い詰められた時にバットを振るとプレイヤーキャラが声を震わせたり、喚きながらバットを振るので、プレイヤーの焦燥感も煽られる。
  • ローカライズが丁寧。
    • 前面に出されていないが、吹き替え声優はゲーム中で一番声を聞くだろうプレッパー役の大川透を始め、地味に豪華である。
  • 非同期マルチプレイという、ちょっと変わったオンラインシステムを搭載している。
    • 例えば自分のキャラが死ぬと、他のプレイヤーにそのデータが配信される形となる。そして自キャラが死んだ地点に他プレイヤーがくると、自分のプレイヤーゾンビが登場する。持っているアイテムもそのまま。
      • これによって先に他プレイヤーに倒されても、自分のデータに残っているプレイヤーゾンビが消えることはない。
    • 他プレイヤーに「この先は危険である」など、この先に起こることを知らせるマーキングをスプレーすることができる。
      • 嘘を書くことも可能で、嘘だった場合は「信用するな!」という評価を送信することも可能。
    • ちなみに公式からの告知もこの機能を利用して行われたりしている。
  • ゾンビを迎え撃つ生存者側と、ゾンビをあてがうゾンビ側に分かれて勝負するマルチプレイモードがあるのだがこれが中々に面白い。
    • 生存者側は配置されたアイテムなどをうまく利用、配分してゾンビを迎え撃ち、ゾンビ側は手持ちにある数種のゾンビを生存者の状況によって的確な場所に配置していく。
    • 生存者側とゾンビ側それぞれプレイヤーに求められる駆け引きのスキルが異なり、これ単体でも結構遊べる。
    • 惜しむらくはバリエーションに乏しいこと、二人いないと遊べないこと、別途コントローラーが必要なことだろうか……。

問題・賛否両論点

  • ゲームパッド自体癖のあるコントローラなので、かなり人を選ぶ。
    • アイテムの操作だけでなく、スナイパーライフルによるスナイピングなど、ほとんどの操作がゲームパッドのみに依存しているため、嫌いな人にとっては煩わしさが否めない。
    • Wii Uのゲームのほとんどは、ゲームパッド単体でもプレイすることが可能だが、このゲームではテレビとゲームパッドのUIが分けられているため実質的に不可能となっている。
    • もっとも、それを前提としているゲームであり、抵抗がある人はそもそも買うべきではないのだが…。
  • 洋ゲーなのでかなりグロい。
    • ゾンビゲームなので当然ではあるのだが、近年の任天堂ハードで発売されたゲームの中でもかなり過激でグロテスクな表現がされている。
    • 実はこれでもまだマシな方であり、海外のオリジナル版は欠損したゾンビの頭から脳が見えるなど、さらに過激な表現だった。
  • ゲームが上手い人がやるほど臨場感がなくなってしまう。
    • 特に恐怖感に関してはグロに頼っている部分があるため、ゾンビゲームをやりなれた人には物足りない。
    • 前述の突き飛ばしは、ゾンビの背後をとった形になると転ばすことが出来る。そこからの顔面踏み砕きのコンボが成立すると、基本的にゾンビはあっという間に死ぬ。
      • 主人公は何の変哲もない一般人であり、一般人が災厄から生き残るというゲームであるため、ゲームパッドでせっかく演出した危機的状況の臨場感も、手慣れた上級者がプレイするとそれが全て死んだ形になってしまうという妙な状況に陥る。
  • バットで叩くと必ず頭が砕ける。当たりどころは関係無い。
    • プレッパーに「頭をねらえ」と言われているとはいえ、明らかに当たってないように見えてもヒットは全て頭になってしまう。
  • ゲーム内の武器性能とレベルデザインが合っていない。
    • 2番目に手に入るであろう銃器のカービンは、威力こそ初期のハンドガンより高いものの、低い命中精度と発射速度、しかも一発ごとに長めのモーションで大きなスキをさらしてしまう上級者向けの銃。
      • この銃が手に入る時期と同じ位に新たなタイプのゾンビが出てくることもあり、初見プレイヤーが軽い気持ちで使うと確実に痛い目を見る罠武器。
    • 他にはアサルトライフルやサブマシンガンがあるが、弾幕を張ることによる多ゾンビ対策が主な利用方法にも関わらず道中で手に入る弾薬があまりにも少なすぎる。
  • わりと致命的なバグが多い。
    • グラフィックが微妙におかしくなったりする小さなバグから、ゲーム進行が不可能になるバグなどいくつかあった。
    • 主人公が死亡した場合オートセーブされる仕様のため、進行不可能になった場合は取り返しがつかなくなる。
    • 現在ではかなり修正されているが、まだ残っているバグもちらほら見られる。
  • 同期によるオンラインプレイが存在しない。
    • オフマルチプレイは存在するが、オンラインで複数のゾンビからみんなで生き残るモードがあっても良かったのではないかとはよく言われる。
  • 体験版のステージのチョイスが明らかに間違っている。
    • その場所というのが、ゲーム中もっとも怖い+難易度が高いと言われている幼稚園ステージ。
    • 一番のびっくりポイントと言われているイベントもそこで消化されるため、体験版後に本編プレイをすると白ける。
    • もっとも、他のステージはほとんどがかなり開けているため、建物内でなおかつ広さ的に丁度良いのが、この幼稚園しかなかったとも言える。
  • ストーリーについて。
    • 基本的にストーリーはあって無いようなものなのだが、一部投げっぱなしな部分がある(プレッパーなど本筋関連はそれとなくわかるようにはなっている)。
    • UBI的には成功すれば続編も…と目論んでいた節があり、擁護するならそれに向けて伏線を置いておいたということなのかもしれない。
+ その代表例があるゾンビの描写
  • 幼稚園で登場する強敵、通称「ワープゾンビ」に謎が多い。
    • 登場する場所と撃破後に同じ服装をした首吊り死体があることから、正体は音声記録を残した保母であると推測できる…と思いきやこの死体は出現しないこともあるため他と同じただのオブジェクト。
    • さらに後半、2体出現するため特定の人物ではないことが確定。ここまでなら特に意味のないただの敵で片付くのだが…。
    • 終盤にもう一度このゾンビの接近を感知、プレイヤーは出現を警戒しながら進むことになる。そして扉の前で後ろ姿を発見、この時はすぐに消えるが3戦目がくるのは確実、プレイヤーが覚悟を決め歩みを進め……出ません!
  • 登場人物も当然のように言及せず結局謎なまま、推理する材料も無いのでどうしようもない。何故このような描写を入れたのか?

総評

粗削りな部分も多いものの、非常に意欲的なゲーム内容であり、ゲームパッドを活かしたゲームソフトとしてあげられることが多いソフトである。
ゲームパッドの操作が煩わしいという声も多いが、これがないと本当に普通のゾンビゲームでしかないため、ゲームパッドが苦手という人はまずプレイしない方が良いだろう。
一方高い評価を受けてはいるが、WiiU本体の初期の売れ行きが今一つであったこと、任天堂が特に支持を受けているファミリー層に受けなかったこと、さらにゲームパッドの入門編的なゲームでないのにも関わらずゲームパッドに依存したゲーム性*1という不遇が重なり、売り上げは芳しくなかった。
この影響からか、小売店やインターネットショップでは1,000円以下で投げ売られていることもある。
一部の問題点は今後シリーズ化した時に改善出来そうな部分であり、続編を望む声もあるのだが、UBIソフトは「(ノウハウは今後活かしたいが)売れなかったので続編は作りません」という趣旨のコメントをしており、開発される可能性は薄い。
UBI自体もWiiUからの撤退も示唆するコメントもあって、ファンの声に反してこのまま勿体無い結末を迎えてしまいそうである。