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マクロス30 銀河を繋ぐ歌声 - (2015/07/08 (水) 08:33:44) の編集履歴(バックアップ)


マクロス30 銀河を繋ぐ歌声

【まくろすさーてぃー ぎんがをつなぐうたごえ】

ジャンル フライトアクションRPG


対応機種 プレイステーション3
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 アートディンク
発売日 2013年2月28日
定価 通常版:8,380円
30周年超銀河箱:11,800円(各税込)
廉価版 PlayStation3 the Best
2014年10月9日/3,800円(税込)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
分類 良作
マクロスゲームリンク

ストーリー

西暦2060年。
フロンティア船団を襲ったバジュラとの戦いから1年が過ぎ、銀河にも平穏が訪れた。
S.M.Sセフィーラ支社に所属する「リオン・榊」は、銀河の辺境にある『惑星ウロボロス』に任務のため訪れる。しかし突如現れた所属不明機と交戦し、撃墜されウロボロスに墜落してしまう。
墜落したリオンはS.M.Sウロボロス支社長を務める「アイシャ・ブランシェット」に救出されるが、不定期に発生するフォールド断層『ウロボロスオーロラ』によって帰還することができなくなってしまう。
惑星から脱出するまでの間、アイシャと行動を共にするようになったリオンは、遺跡調査任務の際に地下で眠っていた謎の少女と出会う。
少女の目覚めにより動き出していく物語。
リオンは過去からやってきた伝説の歌姫やパイロット達と共に、惑星ウロボロスを、銀河を守る戦いに挑んでいく。

概要

マクロスシリーズ30周年記念作品で、歴代シリーズのキャラクターが共演するクロスオーバー作品。
開発はフロンティアシリーズのアートディンクが担当している、そのため基本システムはフロンティアシリーズを踏襲している。
フロンティアシリーズはガンダムバトルシリーズのようにプレイヤーの分身となるパイロットを作成し、
マクロスシリーズの様々な時代をプレイしていく内容だったが、本作は原作の『マクロスF』から一年後の西暦2060年という同じ時代に歴代キャラクターが集結するというストーリーになっている。

特徴

  • ミッションクリア型のフロンティアシリーズとは大きく変わって、オープンフィールド制を採用したフライトアクションRPGとなった。
    • 母艦であるゲフィオンを拠点としながら箱庭マップを移動しながらストーリーやクエストをこなしていく。
    • ADVパートでストーリーが進行し、目標地点に移動してメインクエストをクリアする→ゲフィオンに戻る→以下繰り返しが主な進行パターンとなる。
  • マップは群島・砂漠・雪原の3つが存在し、それぞれタウンやダンジョンや敵機が点在している。
    • タウンではアイテムの売買やサブクエストを受注することが出来、一部のタウンではバンキッシュ・レースというミニゲームをプレイすることも出来る。

ゲームシステム

  • 操作システムや強化システムはフロンティアシリーズのものを踏襲しており、敵機を倒して稼いだTPを使用して機体を強化することが出来る。
    • マクロスシリーズの特徴である三段変形ももちろん搭載、HD機の性能を活かした美麗なモデリングで変形するバルキリーは必見である。
    • フライトシューティング準拠の操作にすることも可能だが、本ゲームはフライトシューティングとは厳密には異なる。システムの都合上難易度が上昇するため、個人的にあまりおすすめしない。
  • 敵機を倒した時に入手できるフレーム・装甲・エンジンの三種類のパーツを使用して機体を開発することが可能で(各機体の設計図が必要)、開発に必要なパーツごとのポイントを満たすことで機体が完成する。
    • 基本的にどの機体のパーツも使用できるが、開発する機体の型番に対応したパーツを使用するとポイントにボーナスが付く。

評価点

  • オープンフィールド制とフライトアクションRPGというジャンルにしたことによる自由度の高さ。
    • 広大なフィールドを可変戦闘機バルキリーで飛び回れるという気持ちよさは他のゲームでは味わえないオリジナリティである。
    • 上記に伴い、移動時はファイター、ホバー戦闘はガウォーク、地上戦闘・探索はバトロイドと各形態の差別化がより明確になっている。
  • フロンティアシリーズの手軽な操作性と爽快感は健在。
    • ハードがPS3になったことでミサイルの煙の表現が格段に向上しており、原作の板野サーカスを思う存分堪能できる。
  • ストーリーはフルボイス、歴代シリーズのキャラは勿論の事、リン・ミンメイ役の飯島真理氏も参加している。
  • 収録されている楽曲が初代の「愛・おぼえていますか」から劇場版Fの「サヨナラノツバサ」まで幅広くカバーしている。
    • 本作の主題歌である千菅春香氏が歌う「プラネット・クレイドル」も負けず劣らずの良曲。
  • ギャラリーモードでは各シリーズ作品のスタッフや声優のインタビューが見れる超時空ゼミナールも収録されており、資料価値も高い。

賛否両論点

  • 歴代シリーズのキャラクターが集結と謳ってはいるが、唯一『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN』が参戦していない。
    • 「シリーズで最も時系列が未来*1」「パラレルワールド」「黒歴史」など色々言われているものの、一応マクロス10周年記念作でもあるため参戦しないのは悲しいところ。
    • 最も『マクロスII』の主人公・神崎ヒビキは軍人ではなくジャーナリストであり、乗る機体も非武装の報道用バルキリーなので、参戦したとしてもゲームシステムと噛み合わないとも考えられる。
    • さらに深読みすれば、ゲーム中には登場人物曰く、最新鋭中の最新鋭機であるYF-30が主人公用の機体として登場するのだが、マクロスIIの機体はそれ以上の最新鋭機な訳で・・・。
  • アニメ作品で最新作の都合上なのか、マクロスF(特に劇場版)が優遇されている傾向にある。
    • 早乙女アルトやシェリル・ノームがストーリー序盤で加入し、特に早乙女アルトは主人公の相棒として終盤まで活躍することになる。
    • 一方でマクロスFからの登場人物でも、アルトとシェリルはかなり出番があるが、ランカは中盤以降になるまで仲間にならず、しかもセリフもシェリルらと比べるとかなり少ない。その他のメンバーであるミシェルやオズマなどは終盤に仲間になるため、ほとんど固有のセリフがない。
  • バルキリーの強化が出来過ぎてしまう。
    • 本来ならVF-0とVF-25では、とても比べられないほど性能差がある*2のだが、カンストするまで強化することが可能なため、その気になればVF-0を最強の機体にすることもできる。
      • 尤も『ガンダムバトルクロニクル』等の前例が既にあったのだが*3
    • マクロスシリーズはほぼ全ての作品が世界観を共有しており、その為後の時代を舞台にした作品の方が必然的に登場する兵器が強力となっている。つまり性能面だけで評価するならばパイロット全員が最新機体を使えば良いという話になってしまう為、色々なバルキリーを使用するゲームシステム上仕方がない面はある。
    • 好きな機体を思う存分使えるのでファンには嬉しい反面、バルキリーの性能差が形骸化してしまい、各機体の特徴と言える物が見た目だけになってしまった。
      • 設定上多くのバルキリーには後継はされなかったものの当時としては革新的なシステム*4が搭載されていたことが多く、ゲーム的にはそれらを性能差として表現して欲しかったところ。
    • また、本作のシナリオ担当である小太刀右京氏の小説「マクロス・ザ・ライド」では、(バンキッシュ・レースという土俵上ではあるが)VF-0やVF-1といった旧式のレストア機が、エンジンを最新のものに交換するなどのチューン次第で最新鋭機と互角に渡り合っているので、その設定を受け継いでいるとも言える。*5
  • バトロイドで海面を走ることができる。
    • オープンフィールド制のフライトアクションRPGというシステムの都合上、仕方なかったのかもしれないがガウォークの売りの一つが潰れることになってしまった。
    • また、ファイター形態で壁や敵に激突しても全くのノーダメージであり、高速飛行のリスクがあまりない。
  • 銃で撃つより、格闘攻撃で殴る蹴るした方が強い
    • 必殺攻撃をすると距離や位置にかかわらず必中する。これは敵の必殺攻撃も同様であり、敵の攻撃を華麗に回避し、ミサイルやガンポッドの射撃で撃破、と言ったことを期待すると裏切られるだろう。*6

問題点

  • ロードが頻繁・そして長い
    • そのロードの長さは分単位で、PS3版ベヨネッタよりやや短いくらい。特に最初の出撃時はオープンフィールドゲームの宿命で、かなり長いロードとなる。
    • 長時間ゲームを続けるとさらに動作が重くなり、メニューを開くだけでもロードが発生することもある。
  • アイテムの所持上限数が30個までと少ない。
    • そのため、フィールドをぶらぶらしながら敵を適当に倒し続けていると、気付けばアイテムが所持上限数に達してしまい、その都度母艦に戻ってアイテムを倉庫に放り込む羽目になる。
    • また、適正レベル下では武器の威力に比べて敵が堅い。特にボスは非常に堅く、一方でアイテムをドロップする雑魚が出てこない場面も多いため、弾切れを起こしてしまうことが多い。救済策がないではないが、弾切れをしない低威力武器で戦う or 時間で回復するエネルギーを使っての必殺技を何度も使うしかないため、非常にストレスが溜まる。
  • 細かいところでバグが存在している。
    • 有名なのがランカのサポートスキル使用時に敵の攻撃が固定化される通称「ランカバグ」や3-1章のカムジン戦でカムジンを早めに倒してしまうとフリーズするバグ等。
  • 本作のオリジナル機体であるYF-30の出番の少なさ。
    • ストーリーの中盤のあるイベントで搭乗することになるが、すぐに使用できなくなり、結局使用できるのは終盤の終盤になってしまう。
    • またこの機体の特徴として装備を換装できるコンテナブロックシステムというシステムが搭載されているが、実際のゲームでは換装すら出来ず、ただの設定止まりになっている。
    • 同様にファイアーバルキリーとサウンドウェーブが、説明書にはDLCとして実装すると書かれているのだが、結局、有料のDLCすらなかった。
  • シリーズお約束の三角関係要素の薄さや後半にヒロインが唐突に主人公に惚れていることが発覚するなど、シナリオにかなり描写不足な部分がある。
  • 高度制限が低めに設定されており、他のマクロスゲームのようにあまり高度な空へ飛ぶことが出来ない。バルキリーのサイズで比較すると高度400メートルくらいで上限となり、宙返りすることもできない。
  • 劇中にサテライト制作のアニメムービーが挿入されるが、ほぼ紙芝居のようなムービーとなっており、アニメ枚数が非常に少ない。
    • この辺は予算の都合上しかたのないことなのかもしれないが…。
  • 色々と尺縮がおかしい。バルキリーが人間ならサイズ的におかしくはないのだが、という構造物が多数ある。
    • バルキリーの身の丈を遙かに超す大きさにもかかわらず、ゲーム中で「人間サイズの装置だ」と言ってる場面もある。また、人間の基地もバルキリーで戦闘するという必要からか内部は巨大になっている。一方でマクロスシティはバルキリーの大きさと比較すると、設定ほどの大きさはないようにも見える。*7
  • 基本的に繰り返しばかりのシナリオ展開。
    • 遺跡の探索 >> イベント >> 新しい仲間 >> ボス戦 >> 明らかになる真実、の繰り返し。

マクロスファン限定の問題点

  • 作品をまたいだキャラクター間の交流が期待したほどない。
    • 出撃メンバーを自由に選択できるという仕様のため、各イベントではオリジナル主人公勢以外はほとんど喋らない。
      • 出撃が固定化されるメンバーもいるが、これは歌い手だけであるため、ミンメイと一条輝を同時出撃させても、オリジナル主人公勢とは会話するが、輝とは固有の会話がない等。
    • 可能な限りオリジナルを集めたとは言っても、ミンメイのように本当に一言だけしか喋らない人もいれば、結局参加できなかった人も多いため、些か期待外れな部分がある。
    • バサラは結局仲間にならないため、シェリルやその他の歌手キャラとの絡みや会話がほとんどない。
  • 歌わない歌い手達
    • 発売前は登場する歌い手達が皆、実際に歌うようなことをほのめかしたり、シェリルとサラ、バサラの作品を超えたセッションがあるかのようなことも言っていたのだが・・・。
      • 最終決戦でラスボスの動きを封じるため、みんなが歌うという展開になってはいるのだが、音楽が流れるだけで実際に歌うことはなく、多くの人が期待していたのとはちょっと違うだろう。
    • サポートスキル使用時、オリジナル勢は数フレーズほどだが実際に歌ってくれるのだが、ただの一言も歌ってくれないキャラもいる。
  • 登場しない機体
    • モンスター以外のバトロイドが登場しない。旧シリーズではプレイアブル機体として登場していたのだから、敵専用でもいいから登場してほしかったところではある。
    • 同様にアーマード・バルキリーも登場しない。
  • 設定の矛盾・説明不足
    • 細かいところで設定が反映されていない。一例として、マクロスFのミシェルがクァドラン・ローやヌージャデル・ガーなどに搭乗することができるなど。*8
    • このゲームはマクロスF劇場版のその後、であることが事前にアナウンスされていた。アルトは紆余曲折の末に人間社会に帰還し、シェリルも病気から回復することは判明していたのだが、その詳しい経緯がこのゲームで語られる・・・ことはなかった。アルトの帰還について語られるという事前アナウンスは何だったのか。

総評

全体的に粗の目立つところや未完成な部分も多々あるが、飛び抜けた不満点というものは特にない。
本作独特の自由度の高さも相俟っており、キャラゲーとしての枠に収まらず本作の評価は高い。
ただし、旧作のようなシューティングを期待すると大きく裏切られる。
特典付きは資料集としての価値も高く、「原作を知らないユーザーにもプレイして欲しい」という、キャラゲーを体現した作品。