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WORLD CLUB Champion Football - (2018/01/17 (水) 19:34:26) の編集履歴(バックアップ)


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WORLD CLUB Champion Football

【わーるど くらぶ ちゃんぴおん ふっとぼーる】

ジャンル トレーディングカードアーケードゲーム
対応機種 アーケード(LINDBERGH)
発売・開発元 セガ
開発元 ヒットメーカー
稼働開始日 2002年6月
判定 良作


概要

通称WCCF。現在では市民権を得ているアーケードトレーディングカードゲームの元祖と呼べる一作。2002年のデビューから2017年現在まで現役稼働中の極めて息の長い作品である。
みんなが知っているサッカーチーム(各国のプロサッカー)を題材としており、
自分の好きな選手カードを組み合わせてチームを作り、育成と試合(オンラインによる対人戦)をこなしていく。

登場当初は大ブームを巻き起こし、元来ゲームセンターと縁がないと思われていたサラリーマン層や刺青の入った外国人など、多彩な客層が並んでまでゲームをするという異例の状況が生まれた。大柄なヤンキー兄ちゃんといわゆる秋葉系のオタクがカードトレードで仲良くなっているなど微笑ましい異文化交流が各所で見られたほど。
現在でも「ゲーセンのサッカーのカードゲーム」と言えばゲーマーのほとんどには通じるであろう有名作。


ゲームシステム

  • 選手が記されたカード
    • それぞれセリエAなどのクラブに所属する実在の選手となっており、写真と能力値、特技が1つ記されている。
    • その他、選手にはポジションによる能力発揮の度合い、相性、性格などがある。これが実に細かく、カードに記載されていないような、微妙な動きに現れてくるので無視できない。
    • カードはプレイ後1枚排出される(店舗側設定により排出無しにもできる)。
    • この他にデータ保存&認証用の監督カード(現在はAime)がある。
  • サッカーのフィールドを模したデバイス
    • ゲーム筐体は大きなテーブル型のフィールドになっており、選手カードをこのフィールド上に配置する。配置がそのまま4-4-2などのフォーメーションとなる。
    • 各選手は、なにもしない場合AIによって自動で動く。フィールド上の選手カードを移動させるとその位置に動こうとするが、操作から反応まではタイムラグがあり、また試合状況を完全無視した動きはせずに自然な流れの中で動く。リアルタイムで選手を操作するアクションゲームではなく、あくまで監督として大まかな指示(サイドを上げる、ディフェンスラインを下げるなど)を伝えているという感覚である。
      • ただしシュートの瞬間などはプレイヤー自身がボタンでタイミング操作を行う。
  • チームマネジメント
    • 試合の合間に、練習をして能力値を伸ばしたり、選手を呼び出してコミュニケーションしたりする。コミュニーケーションは選手により相性がある。
    • また新規カード登録や戦術のセットなど、試合前の準備もここで行う。
  • 前部大型モニター
    • 個別のモニターの他に大型モニターがあり、過去や現在進行中の試合が放送される。
    • それぞれの卓が秘匿性が高いだけに静かなため、これで賑やかして雰囲気を作る効果もある。
  • 斬新にして革新
    • フィールド+カードの組み合わせが極めて斬新。ひと目で選手が誰かや配置が解る視認性、複数を素早く操作可能な操作性があり、非常に直感的で分かりやすい。加えて相手から見えない秘匿性も有する。
    • これらは家庭用機などではできない点であり、家庭用機の性能向上・ネットワーク機能標準化により優位性を喪失し、先行きに暗雲が垂れ込めていたアーケードゲーム業界が再生する大きな流れとなった。
    • これらと、丁度日本から海外リーグに移籍する選手が増え、海外リーグの話題が市民権を得ていく時代に合ったのもある。海外リーグの選手を使ってプレイできるゲームというのも当時では斬新であり、海外リーグに興味を持った人がそこから本ゲームを始めることも多かった。
    • またカードが筐体から直接排出されることで、トレーティングカードとしてやり取りでき、ゲームセンターに直接行く必要性をもたせた。トレーティングカードでもあることで、不要なカードを誰かが要るならばと置く場所を設定したり、プレイヤー間でやり取りするなどコミュニケーションを取れるツールともなった。これらもゲームセンターならでは、の点である。

評価点

  • カードをデバイス(コントローラー)として扱うゲーム性や、ユーザーにスターターパックを購入させたり通信費やカード代をゲームセンターに負担させる見返りに高いプレイ料金を成り立たせる販売形態、ゲームをするとカードが1枚もらえるプレイすればするほどユーザーのカードプールが増える基本的ゲーム性など、ゲーム全体が極めて革新的で2000年以降のゲームセンターを生き延びさせた貢献者とまで言えるその革新性。日本のゲーセン史を考える際に避けては通れない。
  • 元祖でありながら完成されたゲーム性。
    • 後発の三国志大戦に比べてもラグなどが介在しづらい全国対戦が可能で、コレクターや対人戦にさほど興味がない層でも強めの育成要素である程度満足できる。要するに間口が広い。やり込み要素も太い。
    • またチームに入れるカードのレアリティなどによる"レギュレーション"が存在し、いわゆるコモンカードにもゲーム的な価値を与えている。
  • 監督に専念できるシステム
    • 前述の通り、本ゲームでのプレイヤーはあくまで監督である。それに専念できるよう、周囲のシステムを十分構築してある。
      • 選手の能力や選手同士の相性はひと目で分かるようになっている。さながら優秀なコーチがいるかのよう。
      • その分、プレイヤーはそれが実戦でどれだけ機能的に動いていたか、弱い部分は選手を変えて様子見するか、シフトで補完するのか、または新しい選手をどこに入れるか…などに専念できる。
      • こうしたシミュレーションを考えるだけでも楽しい、というのは本ゲームにハマった人ならだれでも共感できるだろう。
    • 一方で、シュートとそれを阻止するキーパー飛びだしという決定的な点は直接操作である。決定的な場面だけに自動で動いた結果が不成功、なんて結果だとストレスだっただろう。

問題点

  • 非常に場所を取るセンターモニター
    • カードを左右だけで無く奥手前に動かす仕様上サテライト1台の大きさは仕方が無いが、それ以上にセンターモニターがサテライトより遥かに横幅を取ってしまう。
      + アップデートで改善された問題点
    • プレイ料金の高さ
      • 稼働初期から13-14までは1プレイ300円、2プレイ500円とカード排出料を考えても安いと言えない設定だった。
      • それでは敷居が高く初心者が入りにくい事を考慮したのか、15-16ではAimeカード使用者は初回プレイ無料、5プレイ目までは1プレイ100円となった。
      • 16-17現在では1プレイ200円、3プレイ500円にした店が多く、ライトユーザーにも継続プレイヤーにも遊びやすくなっている。

総評

2002年から現在に至るまで、実に15年も稼働している息が長いゲームである。
栄枯盛衰が激しいこのジャンルにおいて、他ゲーの筐体が撤去されていく中、ずっとゲーセンの奥スペースを占領して屹立するその様は雄々しい。
2017年現在でも設置店舗は多く、2016-2017年度版のカードがリリース(排出)されている。今から始めても十分楽しめるのでサッカー好きな方は是非。



余談

  • 後発の『三国志大戦?』『悠久の車輪』『LORD of VERMILION』『ガンダムカードビルダー』『アクエリアンエイジ オルタナティブ』『BASEBALL HEROES』といったゲーム群、低年齢層向けの『ムシキング』などといった製品は、すべてWCCFが商業ベースに乗ったからこそ登場した商品といって差し支えない。
    • 他社の模倣品に対して、訴訟等を行わないセガの度量も評価されるべきだろう。ゲームセンター経営大手でもあるセガは、アーケードゲーム全体の隆盛を歓迎する立場だという面もあるのだが。
  • また、元スクウェア・エニックスの安藤武博がこのゲームがカードバトル系ソーシャルゲームの始祖であると言っているなど、アーケードトレーディングカードゲーム以外にも与えた影響は大きい*1