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ソニック・ザ・ヘッジホッグ (PS3/360) - (2014/12/01 (月) 16:49:27) の編集履歴(バックアップ)


ソニック・ザ・ヘッジホッグ

【そにっくざへっじほっぐ】

ジャンル アクションアドベンチャー

対応機種 プレイステーション3
Xbox360
発売・開発元 セガ
発売日 2006年12月21日
定価 7,140円
分類 クソゲー
ポイント ソニック史上、一・ニを争うクソゲー
一応ジェネレーションズにはステージが登場
『原点回帰』を目指したのに出来が実に残念だァッ!
スピードアクションなのにやたら長く多いロード
新キャラ・ゲストキャラ・BGMなど、サイドキックは高評価
ストーリーは賛否が分かれる
ダイエットに成功したエッグマン(今回だけ)
ソニックシリーズリンク


概要

HDソニックシリーズの記念すべき第1作目。ソニックシリーズ15周年を記念して「原点回帰」を目指した作品であり、ナンバリングやサブタイトル的なものはつけられなかった。区別するため「 新ソニ 」と呼ばれたりする。
内容としてはソニックアドベンチャーの流れをくむ複数の主人公を主軸としたゲームであるが、この路線は本作までで、後作はソニックだけを中心としたものとなっていく。

ストーリー

水の都ソレアナに、災厄の炎を狙うエッグマンが現れ、王女エリスの誘拐を企てる。
そこへソニックが現れ、いつものようにエッグマンを一蹴、エリスを救い出すことに成功する。
助けたことでエリスに深く慕われるようになったソニックだったが、エッグマンの執拗な追跡により結局エリスはさらわれてしまう。
エリスを救うため、行動を起こすソニックだったが、その頃ソニックを「イブリーズ・トリガー」と呼んで付け狙う謎の銀色のハリネズミが、目を光らせていた。

特徴

  • ソニック、シャドウ、そして新たなハリネズミであるシルバー・ザ・ヘッジホッグを中心に、時に仲間達と協力しながら、時に他のハリネズミと戦いながらステージを攻略していく。
    • 三人はそれぞれ大きく異なるアクションを持つ。特にシルバーはスピード重視ではなくギミック重視のアクションが要求され、これまでの作品とは様相を異にする。
    • キーアイテムであるカオスエメラルドによる能力「カオスコントロール」を利用した タイムスリップ が各ストーリー中盤以降で登場し、これによって大きく異なるステージモチーフは全て全員が一回ずつ踏破するようにできている。
      • 一部はアミーゴキャラという、主人公それぞれに設定された仲間に操作を切り替えて(強制)プレイするパートもある。

問題点

  • ロードの長さと多さ。
    • 本ゲームを語るうえで、真っ先にソニックユーザーが問題点として指摘する部分 である。必要性の感じられないところでもロードが頻繁に入り、しかもそれぞれがやたら長いため、ハイスピードアクションなのにロードの遅さで興が冷めてしまう。
    • たった一言の会話にすらロードが入るレベル 、と言えばいかにこの仕様が酷いか理解できるだろう。
      • ミッションが出来る人物と会話→ロード→ミッション内容の会話→ロード→ミッション→ロード→ミッション評価と会話→ロード→タウンパートへ戻る。あまりにもくどい。このせいでゲーム時間よりロード時間のほうが長いとすら言われた。
    • 上記に加えて処理落ちもかなり多く、通常時すらハイスピードアクションを阻害する難点が頻繁で本作の評価を著しく下げている。
  • タウンパートのだるさ。
    • 上記のロードの長さに加えて、お使い要素はそのどれもが大体面白くないうえに手抜きとしか思えないくらい、かなり短すぎる内容のミッションも多い。
    • 当然そのミッションの最中も頻繁かつ長いロードが入る。ストレスばかりがたまるお使いシステムとなってしまった。
  • ロードを差し引いてもスピード感は並。というよりステージ・パートによってまちまちであり、早いところもあれば妙に遅く感じてしまう点もあるなど不安定。
    • この点はソニックアドベンチャーシリーズと比較することで顕著に現れ、安定感のなさが非常によく感じられる。
    • 最高速度と言われるパートであっても、現在のソニックブーストを導入したソニックに遠く及ばないのはもちろん、かつてのシリーズのスピード感にも到達していない。
  • 馴染みのあるエッグマンのデザインの変更。
    • 白組がムービーを作ったことで、人間キャラのモデリングは全てリアリティのあるものに変えられたが、同じ人間であるエッグマンにもそれが適応され、「少し中年太りしたオッサン」レベルにまでスリムとなった。
    • CVである大塚周夫氏の演技も相まって格好良さは増したものの、その演技力故にシリアス一辺倒な印象が強く、数年間培ってきたエッグマンのイメージを大きく変えるものになっている。
      • 長年培ってきたイメージをぶち壊しにすること自体、百害あって一利なしなことには間違いない。
    • 一応「ポチッとな!」とコミカルな台詞を吐くシーンもあるが、非常に荘厳な口調なので、シリアスとコミカル、どっちの方向にエッグマンを向かわせたいのか理解に苦しむ点である。
    • 以降、エッグマンのデザインは完全に元通りとなった。やはりこの路線は不評だったらしい。
      • ファンの間では、そのシリアス性の強さと冷酷さ、そして未来とリンクする設定から、「ソニックラッシュシリーズに登場したエッグマンネガ*1がエッグマンを騙っているのではないか」という憶測もあったが、これに関する事実はない。
  • テストプレイしたのか?と思わせる挙動の数々。
    • ソニックシリーズには「リングを一枚でも持っていればミスにならない」システムが特徴として挙げられるが、今作は唯一「弾に当たると一枚ずつリングが減るバルカン砲」による攻撃が存在する。リングを持っていない時にバルカン砲に当たると即ミスになるため、バルカン持ちの相手にはリング一枚では全く安心できない。
    • 過去作でも地形に合わせてリングが飛び散る仕様はあったが、本作では落下したリングの飛び散り方にまで物理演算が適用されており、ダメージ後すぐにミサイルや爆弾などの爆風がある攻撃に当たるとリングは大きく吹き散らされてしまう。
      • この二つが組み合わさった結果、「ミサイルに当たってダウン→ばら撒いたリングが他のミサイルの爆風で飛んでいく→体勢を立て直そうとしたところにバルカンが来て死亡」と言ったデスコンボが出来上がった。
    • ナックルズを操作するパートでは、ソニックヒーローズ同様パワフルなパンチ攻撃が使える。しかし主力の3連コンボの後の無敵が異常に短い為、体力の多い敵と戦うとコンボの最後の地面パンチは地雷技になってしまう。
      • また、ナックルズやルージュは壁に張り付いて移動できるが、壁から離れるためにジャンプボタンを押しても離れる事ができない事がよくあり、タイムロスはもちろん連打しても抜け出せないと、非常にストレスが溜まる。
    • ソニックの高速パートで岩や壁を飛び移る際、極端に前傾しほぼ逆さまになったソニックがすっ飛んで行く。トレイラーの時はカッコよくスピンして飛び移っていたのになぜ…
    • 対シルバーの戦闘では迂闊に近づくと超能力で投げ飛ばされてしまうため、遠くからサイコキネシスを誘発させ、その隙に倒すというメリハリの利いたバトルになっている。
      • しかしシルバーの近くなら壁に近づいた状態でも問答無用で投げられる為、「超能力で壁に叩きつけられる→超能力発動中に落ちたリングを拾う→超能力で壁に叩きつけられる」の無限ループになる事もしばしば。
      • Youtubeでは英語版シルバーの「It's no use!」という声も相まって速攻でネタにされ、「It's no use10分耐久」なんて動画もアップロードされるほどのカルト的人気が出た。
    • ソニック編は自分の意思で走れるパートがやや少なく、自動的にダッシュするパートが多い。
      • この強制高速パートが中々の曲者であり、ここでは敵だけでなく障害物や地形に当たってもダメージを受けてしまう。当然リングは全てばら撒く上に このパート中は再回収が基本的に不可能 。猛スピードの為先に置かれたリングを回収するのも難しい。
      • あるステージでは画面外のソニック後方から障害物がソニックめがけて飛んでくる。当たらない軌道で飛ぶものはともかく、画面に映ってからの回避はほぼ不可能である。
      • そういったパートの方が自分で操作出来る時よりも早いことはザラであり、歯がゆさも残る。
  • あまりにも理不尽過ぎる難易度。
    • しかも最初のステージから妙に難しいパートがある。上記の自動的にダッシュするパートももちろんその一つ。
    • この点はこれまでの3Dソニックでも少しずつ指摘されてきた部分であり、難しいというより単に理不尽なものが多い。
    • このゲームレベル調整の下手さは、後の作品でも目に見えて改善されたわけではなく、しばしば問題のあるレベル調整の作品が出てくる。
  • カメラワークの悪さ。
    • この点はソニックアドベンチャー以来ずっと言われ続けてきたことだが、改善されなかった。
    • 次作品のソニック ワールドアドベンチャーからは強制高速パートを撤廃するとともに1ステージ中に3Dシーンと2.5Dシーン両方を内包しシームレス進行させることで、苦手なカメラワークを半ば強引に解消している。3Dパートも比較的改善されているうえ、前に向かって走り続ける直線コースが多くなったために、3Dパートのカメラワークもそこまで気にならなくなっている。

賛否両論点

  • タイムパラドックス的な要素を内包した、複雑なシナリオ。
    + 賛否が分かれるのはそのラスト。ネタバレ注意
    • ラストシーンは「元凶を打倒した後、時間改変によってこれまで長い間かけてプレイしてきた内容もろともなかったことにしてしまう」というもの。
      • 具体的に言うと全てが終わった後、本作のラスボスを生み出す源となった『災厄の炎』を、過去のうち(まだ炎が小さいうちに)にソニックとヒロインが消すことを決断するのである。
      • 消してしまうことで、エッグマンがそもそも冒頭で災厄の炎を狙うことがなくなり、ソニックがエリスと出会ったという事実までなかったことにされる。つまり「事件そのものが起こらなかったオープニングシーンがエンディングとなる」のである。
      • ラストシーンは、ヒロインが背後を走り抜けるソニックの存在に懐かしさを感じつつ終わりを迎える(ソニックだけは覚えているような描写はある)。ストーリー的にはせつないラストではあるが、見方を変えれば「今までやってきたことはなんだったの?」と感じるプレイヤーが出てくるのも無理はない。
      • ちなみに一部の女性プレイヤーによって一時的に話題にされていたことだが、ヒロインのエリスが本来のヒロインであるエミーを差し置いて、ソニックに口付けをして目覚めさせるシーンがある。ゲストキャラとしては確かに踏み込み過ぎではあるが、一部の女性が過剰に反応し過ぎだとも言える。
  • シルバーのアクションパートのスピード感のなさ。
    • これまでのハリネズミキャラは超高速の走行アクションが主要だったのに対し、シルバーのみはエスパー能力で鉄骨を曲げるなどして足場を進んでいく、超能力を活かしたアスレチックアクションがメインとなっている。
    • シルバーはハリネズミ(名前にヘッジホッグが付く)系統のキャラクターでありながら、現状唯一スピードの遅いキャラクターとなっている。後年に登場するオリンピックシリーズでもソニックとシャドウがスピードタイプとして選ばれるのに対し、シルバーはテクニックタイプで採用されることが多い。
      • ソニック的には新鮮であり、やりごたえがまるでないわけではないが、ハイスピードアクションを売りとしているシリーズとしては不釣り合いな内容ともいえる。事実シルバーがアクションゲームで使用出来る機会は、この後国内版では存在しない(海外では一応存在する)。
    • この点は本作の反省点を活かした『ソニック ワールドアドベンチャー』のウェアホッグパートでも指摘された点であり、「ソニックユーザーはどこまでもハイスピードを求めている人が多く、そして根強い」ということがわかるユーザーの声である。
  • アミーゴキャラクターという形でのキャラチェンジシステム。
    • 強制的にキャラが変更され、その部分の攻略を行うものだが、操作感がコロコロ変わるので大変やりづらいことも多い。
    • 実にいろんなキャラが使える、という点では『ソニック ヒーローズ』と同様に評価されている部分もある。
  • 独特なマルチプレイ。
    • こういった3Dソニックにおけるマルチプレイは以降もそれほど登場していない。あっても主に2Dパートのみだったり、片方はアシスト用のメカを使うものだったりする。
    • お互い違うキャラを使用し、ステージを協力して攻略するというものは本作ならでは。
    • ただし、マルチプレイを前提としたステージ構成となっているため、ハイスピードアクションのコンセプトはほとんど崩壊してしまっている。
      • 協力して仕掛けを動かしたりしないといけないので、片方は仕掛けの前で棒立ちしていないといけないこともしばしば。人によってはあまりハマれない。

評価点

  • これまでのシリーズと大きく異なる世界観の賛否はともかく、ムービー・グラフィックは初のHDハード参入として考えるとそれなりに美麗に作られている。
    • 本作のムービーパートは「白組」が担当している。人間のモデリングはファイナルファンタジーを彷彿とさせるような作り込みで、これまでのシリーズにあったぎこちないモデリングとは一線を画する。それによる問題もあるが…。
    • とはいえこれまでの3Dソニックと比較して格段に、というだけで、後のソニックシリーズと比較するとさすがに一段も二段も劣ると言われても仕方ないレベルではある。
  • ソニックアドベンチャーシリーズの良さを受け継ぎ、いろんなキャラクターを使ってプレイすることが出来る。HDハードでシャドウやシルバーをメインキャラとして操作できるのはこの作品くらいしかない。
    • かつての『ソニックヒーローズ』のような入れ替え制度や、スピンオフ作品『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』のようなサポート登場という形ではなく、それぞれのパートナーキャラを使ってコースを走破する場面も設けられている。
    • 『ソニックアドベンチャー2』や『ソニックヒーローズ』と同様、主要3キャラを中心としたそれぞれのストーリー・コース・エンディングが存在し、3つ全てをクリアしてラストエピソードに入るという形をとる。『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』のように膨大な周回プレイによって同じステージを巡り、ちまちまエンディングを出していくという作業的な要素も薄い。
  • ゲストキャラの作り込みは深く、非常に愛されている。
    • 中でも本作の黒幕役であるメフィレスは、シャドウの姿をコピーした存在であり、渋い声を除けば同じ口調となっている。しかしそれに反して怪しさたっぷりの言動や挙動、独特な台詞回しからカルト的な人気を誇る*2
    • 真の姿を表した際のそれは、ただの色違いや微細な変化に留まらず、まるで結晶化したように変化する。デザイン的に「得体の知れない存在」であることを表現出来ている。
  • BGMの完成度がかなり高い。
    • 基本的にソニックシリーズはBGMの評価が高いが、その中でも本作はゲーム全体の主題歌『His World』を始め、多彩かつ壮大なBGM・ボーカルソングと全般的に評価されている。
      • 特に『His World』は数パターンのアレンジ版・カバー版が作られるなど、ソニック史に残る名曲である。

総評

ソニックの主戦場である海外では歴史的と言っても良いほどの大ブーイングをうけた作品であり、ソニックブランドに大きな傷跡を残した。
しかし、本作の大きな失敗を受けて、ソニック ワールドアドベンチャー以降の比較的完成度の高いゲームが発売されたとも言える。
とはいえ、その後ソニック以外のキャラクターの活躍の場が狭められたことを鑑みるに、その他のキャラのファンにとっては多大な被害をもたらした作品でもある。
このように見ると、本作の功罪は両極端の面で存在すると言えることだろう。

ロードの酷さに対するバッシングは相当堪えたのか、本作以降ロード面で口酸っぱく文句を言われているシリーズ作品はあまりない。
なおもロードは長めと言われればその通りではあるのだが、時間がかかった分以上の内容はちゃんと提供出来ているということだろう。

本作は必ずしも評価しない人間がいないわけではない。しかしその多くがゲーム内容というよりシナリオやキャラクターに重きをおいている感は否めない。
また、評価しているプレイヤーも、上記のロード問題には辟易しているプレイヤーが多く、賛否両論というには程遠い評価を受けている。

シナリオ的には本作を皮切りに、マリオシリーズにも似た簡略化が進んでいくことになる。
ソニックアドベンチャーシリーズ以降、内容が複雑・壮大化し過ぎたのは明らかであり、万人向けに敷居を落とすための施策だと思われる。
しかし、件のシリーズと本作のような壮大なストーリー展開を望みつづけるプレイヤーも依然として存在する。

余談

  • ソニックジェネレーションズ?においては本作をモチーフとしたステージが登場した。ファン的には闇に葬りたいという声も多いが、一応セガ的には黒歴史ではないらしい。
    • ちなみに選出されたのは未来の崩壊都市・クライシスシティ。ブーストシステムもあって走りやすく、しかし中盤ステージだけあってそれだけでは容易には進めないやや難しいコースになっている。本編もこれくらいのクオリティなら…。
  • 本作も例に漏れず『AVGN(The Angry Video Game Nerd)』ことジェームズ・ロルフ氏によってプレイされている(ただしAVGNの1コーナーではなく、友人のマイク・マテイ氏と隔週コーナーでのレビュー。先週のスマブラDXで負けた結果、マイク氏のリクエストを受けることになったわけである)。
    • 最初は「ソニックは名シリーズだからみんな期待しすぎたのでは?」と楽観的な様子だったが幾度とないロード地獄と初見への配慮不足からなるやり直しに疲弊し、そして最後はとあるバグを目の当たりにした結果、AVGN譲りの実に見事な「WTF!?」を披露。そして「もう二度とこのゲームをやらせないでくれ」と締めくくっていた。
+ ロード画面お試し動画

  • ロードの多さと長さで有名なミッション。この動画はXBOX360版インストール済のため、それ以外の環境では更に長い可能性もある。
    • あくまで最悪な例なので、これがこの作品の全てではないことに注意。