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Cadash - (2019/10/01 (火) 00:51:56) の編集履歴(バックアップ)


Cadash

【かだっしゅ】

ジャンル 横スクロールアクションRPG
対応機種 アーケード
発売・開発元 タイトー
稼動開始日 1989年
判定 なし
ポイント ドラクエインスパイアの王道ファンタジー
ACでは珍しいARPG


概要

アーケードで稼働したアクションゲーム。
序盤の演出から一気に物語に引き込んでくれる。
悪魔バーログを倒し、サラサ姫を救うという王道ストーリーである。
非常に力が入っているためか、カダッシュならぬ力ダッシュ(ちからダッシュ)という呼び方をするプレーヤーもいる。

特徴

他のゲームの影響

  • アクションゲームではあるがRPG要素が取り込まれており、街には武器屋・道具屋・宿屋なども用意されている。
  • 敵を倒す毎に経験値及びGOLDも落としたりする。
  • メニュー画面
    • しばらくすると左上にGOLD、EXP、こうげき力、ぼうぎょ力、すばやさのステータスが表示される。
  • 旅立ちの門
    • ラスタスクロールの演出に乗って他の場所へ瞬間移動。どう見ても旅の扉。
  • やくそうで回復、毒攻撃をしてくる敵、魔法は呪文という呼称、ボス戦では、「ウォームが あらわれた」などドラゴンクエストシリーズ(特に1~3)の影響を強く受けている。

制限時間

  • ACで永久パターン防止を織り込むのは必須であるが、その仕様について述べる。
  • 画面上部にTIMEを表示、0になると、「無敵モンスター」が現れ、触れると即死というもの。
    • ダンジョンやボス戦中は勿論、安全なはずの街中でも容赦なくTIMEが減って現れる。そのため、経験値稼ぎの時間を確保する為にも必須以外の会話をする余裕はなく、RPGの長所を台無しにしている部分がある。
    • 時間を回復する方法は店で砂時計を買う(買うほどに値段が上がる)*1か、次のステージに進むことで「加算」されるようになっている。時間の大切さを教えてくれるゲームとも言える。
  • 宿屋でHPやMPを回復できるが、当然こちらも宿泊する度に値段が露骨に上がる。普通のプレイでは全体で4泊ぐらいが限界であろう。

プレイヤー

4種類のキャラから選択、名前の入力もある(4文字まで)。

  • 戦士
    • 力・体力が最高。初心者向け。ただし魔法は一切使えない。
    • 盾は攻撃を防ぐ事が出来るが当たり判定も大きくなるため賛否両論。
  • 魔法使い
    • 見た目と反して老獪さは無いが、武器攻撃も強く、成長も最速。
    • 魔法はレベルアップに応じて習得。勿論、MP(マジックポイント)を消費して使用。
      • 全て攻撃用だけだが、空飛ぶダガーでボスを瞬殺するなど最強の火力を誇る。
    • ネックは、体力の低さや、魔法が効かない敵もいる事。
  • 僧侶
    • 女性キャラ。回復や解毒の魔法を覚える。非力ではあるが武器が鎖付き鉄球であるためリーチは長め(硬直も長い)。
    • 防御力が高めな上に、防御魔法まで使えるようになる。
  • 忍者
    • 最高の素早さを持つ。魔法が使えないが、弾数無制限の飛び道具を唯一扱える。

このようにキャラクター毎に個性が違うため、全く同じゲームでも戦い方・攻略が大きく変わって来る。

登場人物

  • ディルザール国王
    • 冒頭で主人公達にバーログの城からサラサ姫の救出を言いつける。いつも首飾りを身に着けている。
  • サラサ
    • 王様の娘。バーログに誘拐されてしまい救出に行くのが本作の目的である。
    • 芯が強く、終盤では強い意志を持ち冷静な判断力も見せる。
  • 村の娘
    • おばあさんに大切にされていたが、村のために自らクラーケンの生贄になる。
    • その正体は……。
  • アベル
    • 動物好きだったが、盗賊に殺害される。某ドラクエアニメ、魔獣王とは関係ない
  • ジーナ
    • アベルの妻。洞窟の地下で暮らしている。
  • リンリン
    • アベルの飼っていた犬。アベルの墓前で鳴いていたり、盗賊を追いかけたりしている。
    • 何故か移植版ではアレクスという名前。
  • バーログ
    • ディルザール王国にやってきて王女サラサを誘拐。狡猾な作戦も立てるが戦闘面でも攻撃魔法を得意とする、最後には本性を現す。

世界観、ダンジョン、ステージ

カダッシュは、全部で5つの大陸があり、互いに旅立ちの門で繋がっている。

  • ディルザール国~洞窟(BOSS:ブラックプディング)
    • 国王から直々にサラサ姫の救済を命じられ、早速冒険に向かう。
    • 階段などで昇降する際は画面が上下にスクロールする階層構造。
    • ちなみに、城内には開かずの扉があるが、後々意外な場所と繋がっている事が判明。
    • 別な国に行くためには門を通る必要がある、しかし怪物の巣くう洞窟の最奥部にあり更には巨大な怪物が待ち構えていた。
  • マリネードの村~水の洞窟(BOSS:クラーケン)
    • ここにきて色々な施設を利用出来るようになる、宿屋、武器防具屋、道具屋などが一通り揃っている。
    • 村には人魚の言い伝えがあり、水の中を平気で歩けるようになる方法もあるらしい。
    • ここでは、クラーケンが村人たちに生贄を要求していた。
    • おばあさんから、自ら生贄になった女性の事を聞き救済に向かう。
    • ダンジョンには隠しアイテムが幾つかあり、特に1万Gの価値がある「ドラゴンの像」を拾うと露骨に難易度が下がる(砂時計を多数買える=経験値稼ぎが出来る)。
  • ウォームのいる森(BOSS:ウォーム)
    • 小人たちが住んでいる村があるが人間のままでは建物に入れない、向こう側にはメイヤの花がありそれを煎じて飲むと小人になれるという。
    • 向こう側へ行くには危険な森を迂回する必要があり、かなりの覚悟が求められる。
      • 道中の崖を登るにはウォームの糸が必要。
  • 廃墟~洞窟(BOSS:ファイアーエレメンタル)
    • 骸骨たちが語りかけて来る…かつては平和だった国も今は滅ぼされ、わずかに生き残った人々は地下での生活を余儀なくされているとの事。
    • 未亡人ジーナと愛犬の助けを借りてアベルの無念を晴らす事になる。
  • バーログの居城
    • 複雑な構造にでモンスターや罠が手ぐすね引いて待っている、しかし助けになるものも。
    • ついに城内にてサラサ姫と対面。そして最終決戦へ…。

評価点

  • グラフィック・演出
    • 武器、防具、アイテムのアイコンが豊富。武器は数値だけではなく追加性能もあったり、防具は装備に応じてグラも変わる。
    • ザコ敵も大型なのが多くアニメーションが豊富。ダメージを受けた際のモーションまで抜かりがない。
  • ステージ構成
    • 全方向スクロールに、多重スクロールで奥行きを表現。広大さを実感させてくれる。
    • 巨大ボスが登場して、動きも多彩で見た目以上の機動性を見せる。
    • ボスを倒すと、それに応じた人々のセリフが用意されている。ただし、それを聞くためのタイムロスは痛い。
  • シーケンスブレイクが可能
    • 本作の第二のダンジョンの「水の洞窟」は奥地に囚われている人魚を救出する事がミッションなのだが、プレイヤーの実力次第になるがここを飛ばして強引に次のダンジョンへ移動する事が出来る。
    • 選択されなかったキャラがクラーケン退治に向かったと思えば、無駄に遊ばせておかずに済むと解釈も出来る。
    • 1989年当時にリリースされていた探索型のアクションゲームは黎明期故にシーケンスブレイクが不可能な作品も多かったのだが、本作の水の洞窟におけるこの行為は後の探索型アクションゲームにおける先見の明があったと言えよう。

賛否両論点

  • 中断機能が無い
    • 本作はアーケードで発売された作品のため、パスワードは勿論、セーブ機能も無いので最初からエンディングまでノンストップ。
    • 故に毎回レベル上げが冗長で、賛否が大きく分かれた。かつての『イシターの復活』はパスワードコンティニューを導入していた事を考えると、ACゲームで毎回1時間近くというのは無理があるのでは?
      • ただし後年の多数のベルトスクロールアクションゲーム(特にD&Dシリーズ)や『ライトブリンガー』(タイトー)も、プレイ時間が1時間越えながらもパスワードコンティニューは存在せず、実際はパスワードコンティニュー型の方が少数派である*2。…この反動が後の対戦型格闘ゲームブームに繋がるわけだが。

問題点

  • フォントがファミコンレベル。
    • もっとも、会話・アイテム取得やボス出現等のアナウンスなどがドラクエのようにメッセージウインドウ付きで展開され語り口も前述のようにドラクエシリーズの影響を受けているため、敢えてドラクエらしさを表現するために当時タイトーが使用していた漢字フォントではなくファミコンレベルのフォントを使用しているようにも見える。
  • 会話
    • 操作性の関係で、話しかける度に武器を振るうので、脅しているようにも見える。
    • 制限時間もあるので、ゆっくり話している暇はない。
      • ボスを倒した後のセリフも用意されているが、見てもメリットはなくゲーム的にはただのタイムロスに。レベル上げをする時間をこういう会話に回す仕様が欲しかったという意見もある。
  • BGMが途切れる。
    • 宝箱などでアイテムを入手するごとにBGMが最初からになる。
  • ステージは作り込まれており森や居城もあるが、大半は洞窟である。フィールドも墓場でゾンビと戦うのみ。贅沢を言えば屋外ステージも更に欲しかった。
+ 他作品の影響は特にラスボスが露骨、ネタバレにつき閉じる
  • バーログの第2形態がドラゴン。竜王のパクリであるが、撃退した後が更に酷い。
  • ディルザール国に戻ると、兵士「ぐふっ」
  • 最初から王様の正体が、実はバーログだった事。さすがに世界の2択は迫って来ないが
  • 主人公を冒険に向かわせた理由が、道中で力尽きる事をアテにしていたため確かに時間切れで来る怪物はどうしようもない脅威ではあるが
  • 見破った要因は、サラサ姫が来て、王様が首飾りをしていないからニセモノ→あっさり白状→再戦。塵へと、帰れ。
    • 2戦目の方は最初から竜形態で殆ど変わらない、頭部が2つに増えるのみ。竜王の他にヤマタノオロチに近いのかも知れない。
  • スタッフロールの後にGAME OVER。しかしながら、エンディングは好評。
    • サラサ姫が国の再建のために尽力すると誓い、主人公を見送る場面は好評である。
    • スタッフロールでサラサ姫の写真が傾く演出も、さり気なく高度な技術。

総評

少年時代の見果てぬあの夢…その1つがドラクエのアクションゲーム。それを実際にやってのけたのが本作。
確かに模倣が多い点、特にラストで竜を登場させたために竜頭蛇尾になりかけてしまった部分もあるが、オリジナリティーも豊かで、アイコンに至るまで細部まで作りこまれており、
多重スクロール、巨大ボス、エフェクト、サラサ姫の写真など、ドラクエや当時の家庭用ハードでは考えられないような演出、ゲーム性が光る。
ACのために導入した制限時間も賛否あるものの決して、死ね死ね金払えゲーではなく1クレでクリアするのも可能であり、限られた時間をどういう風に活用するかも本作ならではの醍醐味。
色々と本家とはまた違った切り口を見せてくれたゲームとも言える。

家庭用移植

  • PCエンジン版 1991年1月18日発売。開発はアイ・ティー・エル。
    • 制限時間が撤廃された代わりに、コンティニューが不可能になった*3
    • 加えて、街・ダンジョン毎に画面が切り替わったり、全体的に粗めで明るいグラフィックに差し替え、MP表示が数値からゲージ制に変更等々、PCエンジンに移植されたアーケードタイトルにしてはややアレンジ色の強めな移植になっているのが特徴的。
    • PCエンジン版は2008年11月11日よりWiiバーチャルコンソールで配信開始。
  • GENESIS(海外メガドライブ)版。1992年発売。開発はサイクロンシステム。
    • 制限時間の廃止、コンティニューの上限の他に、キャラは4人から2人(ファイターとメイジ)になった事、犬の名前リンリンがALEXになっている事、最後の武具屋が女性から男性になっている事などの違いがある。王女の顔グラフィックはAC版そのまま。
  • PS2版 2005年8月25日発売。
    • オムニバスソフト『タイトーメモリーズ下巻』収録タイトルの一つ。
    • ほぼアーケード版の完全移植。
  • Xbox/PC版 2006年3月31日(Xbox)、2007年7月10日(PC)
    • オムニバスソフト『Taito Legends 2』収録タイトルの一つ。
    • PS2版同様、ほぼアーケード版を完全移植。
+ GENESIS版のTAS動画

余談

  • 海外版では4人プレイが可能。日本版だとこの機能が削られているが、基板に通信部分を装備していないだけで、ROMの中には4人プレイのデータが残っている。
    海外版の4P可能な基板に日本版のROMを移植する、もしくは日本版に海外用4Pの通信周りのROMを移植して、通信ケーブルを接続すると、日本語版での4人プレイが可能。実際にニコニコ動画に日本語版4人プレイの動画が上げられている。
    • 3/4P側は途中まで別ルートを通るようになっている。