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Euro Truck Simulator 2 - (2020/04/22 (水) 21:24:38) の編集履歴(バックアップ)


Euro Truck Simulator 2

【ゆーろ とらっく しみゅれーたー つー】

ジャンル ドライビングシミュレーター

対応機種 Windows7以降、Linux、Mac OS X
メディア DVD-ROM 1枚/ダウンロードソフト
発売・開発元 SCS Software
日本語版発売元 ズー
発売日 2012年10月19日
価格 2,280円*1
プレイ人数 1人*2
判定 良作
ポイント トラック野郎inヨーロッパ
リアルと手軽さを両立したドライブゲーム


概要

チェコのゲームメーカーSCS Softwareによるドライブシミュレーターゲーム。略称は『ETS2』。
2008年8月29日に発売された『Euro Truck Simulator』の続編である。
現在、日本ではDVD版は販売されていないが、Steam配信もしくはメーカー公式サイトからダウンロードソフトとして購入できる*3


特徴・システム

  • 大型セミトレーラートラックのドライバーとなって広大なヨーロッパを走り抜けるドライブシミュレーター。グラフィックは3Dで描写される。
  • ストーリー性や、ライバル車との競争などの要素は特にない。乗用車とは違う独特の操作感覚を制御すること自体が本作のゲーム性と言える。
  • プレイヤーはトラックドライバーとなって仕事を請け負う。発送元で荷物を受け取り、期限までに目的地まで送り届ける。
    • マップ上には、欧州12ヶ国(イギリス・フランス・イタリア・ドイツ・スイス・オランダ・ベルギー・ルクセンブルク・オーストリア・イタリア・チェコ・ポーランド)の主要都市が配置されている。
  • 操作はキーボード&マウスのほか、ゲームコントローラー(Xbox360互換パッド)やハンドルコントローラーなどが使用可能。
    • ゲームコントローラーを繋いで、オプションで操作を「イージーオートマチック」に設定すると、大型トラックをアナログスティックだけでラクラク運転できる。一方、操作を「マニュアル」にしてハンドルコントローラーを使用すると、リアルな運転感覚が体験できる。
    • ヘッドライト、クラクション、ウインカー、ハザードランプ、ワイパー、カーラジオなどなど、大型トラックのあらゆる装備が再現されており、基本的に自分で操作する。
  • 仕事を完了すると報酬(ユーロ)と経験値が得られる。報酬を貯めてトラックをチューンナップしたり買い替えたりする。レベルアップしてスキルを取得すると報酬額が増えたり、難しいが報酬額が高い仕事を請けられるようになる。
  • ゲーム開始時点では、プレイヤーは自分のトラックを所有していない。雇われ仕事をこなして資金を貯め、初めて自分のトラックを購入した際の喜びはひとしおである。
    • 実在する7社(スカニア・マン・ルノー・ボルボ・イヴェコ・DAF・メルセデスベンツ)のトラックディーラー(販売所)が存在しており、それぞれ多数のトラックラインナップが用意されている。
      • 発売当初はDAF・イヴェコ・ボルボ・メルセデスベンツはライセンスを取得しておらず変名となっていたが、後のアップデートで実名に置き換えられた。
  • 運送会社の社長となって会社経営する要素もある。従業員を雇いガレージとトラックを割り当ててやると、自分で仕事を探して利益を上げていく。最終的にはプレイヤー自身が働かなくても資金が際限なく増えていく身分になれる。
  • 全てのトラックはカーナビ完備。車のインテリアとしてにカーナビがついていなくてもゲームのUIとしてカーナビ画面を表示できる。広大なヨーロッパでも道に迷う心配はない。
  • トラックに多彩なカスタマイズを施すことができる。詳しくは「評価点」で。
  • ドライバーには疲労度が設定されており、これが100%になる前に休憩を取らなくてはならない。休憩せずに運転を強行するとあくびを繰り返すようになり、さらには画面が暗転して「zzz...」と表示されてしまう。こうなると大事故は避けられない。
    • 休憩は都市内のホテルや街道沿いのサービスエリアに併設されている休憩地点でしか行えない。そしてひとたび休憩すると睡眠を取り9時間が経過するので、どこで休憩するかは計画的に考える必要がある。
    • 休憩をせずに運転を続けていると、過労運転で罰金を取られる。
  • トラックの各パーツ(キャビン、シャーシ、エンジンなど)は独立して耐久度を持っており、無理な運転をすると減っていく。正面衝突や横転などの大きな事故を起こせば大幅に減る。減ったままで走行すると車両整備違反の罰金を取られる上に、トラックの性能も劣化しているので、都市内のトラックサービスで整備修理してもらう必要がある。運転に慣れないうちはトラックを傷つけてばかりで、報酬のほとんどがトラック修理代に消えていく場合もある。
    • タイヤのみ通常の走行でも消耗していき、グリップが劣ってくる。定期的にタイヤ交換(サービスで修理)しよう。
  • キーボードの数字キーで視点を自由に変更可能。ドライバー視点や車両後方から視点などの一般的なものから、車庫入れ用のタイヤ視点、PV風の三人称視点など。
  • ストリームラジオ機能を搭載。ヨーロッパで実際に流れているネットラジオを流しながら運転できる。言葉もわからない異国のラジオだったりもするが、それはそれで異国を旅する気分を盛り上げてくれる。
    • 好みの音楽をかけることも可能。"Document\Euro Truck Simulator 2\Music"のフォルダにMP3ファイルを入れ、ラジオと同じくゲーム内でRキーを押してラジオメニューを開いて起動させる。尚、ファイル名は半角アルファベットにしておかないと文字化けもしくはファイルを認識しないので注意すること。*4

評価点

  • グラフィックが極めてリアルで美しく、一見しただけでわかる本作最大の魅力となっている*5。風景は綺麗で街並みもそれらしく仕上がっている。時間や天候の変化も再現されている。
    • ヨーロッパ各地を駆け抜ける異国情緒も味わえる。日本ではほとんど見かけない、信号機のない交差点「ラウンドアバウト」も体験できる。
    • トラックは左ハンドルで車道では右側通行。日本人には違和感があるが、それも異国情緒のうちである(ただし、唯一イギリス国内は左側通行ではあるが、速度表記はマイル(=1MPH=1.6km/h)である)。
  • 大型トラックを運転する感覚が楽しい。
    • ほとんどの人はおそらく一生体験することがない、大型トレーラートラックの運転を疑似体験できる。
    • 車の挙動はリアル一辺倒ではなく、ハンドリング角や加速性能などはデフォルメされている部分もあるが、そのため遊びやすい(設定によってはアクセルを踏んだ分燃料が消費されたり、ブレーキの使いすぎによるエア不足などよりリアルになる)。
  • 自分以外の車もリアルに動く。車種も色々あって飽きさせない。たまに自分のことしか考えない悪質ドライバーがいたりもするが、それを上手くやり過ごすのもゲームのうちである(なお設定ファイルを書き換えることで、悪質ドライバーの出現確率をゼロにもできる)。そして現行版ではパトカーも巡回している。
  • トラックを自由自在にカスタマイズすることができる。
    • トラックディーラーでは、エンジンやブレーキなど色々なパーツを販売している。より高性能なパーツに換装することで、トラック自体を買い換えなくても性能をチューンナップできる。
      • パーツはプレイヤーのレベルに応じたアンロック制。最初のうちは低性能なパーツや、低性能パーツだけで構成されたトラックしか買えないが、レベルが上がると高性能でパワフルなトラックを乗りこなせるようになる。
    • キャビンやシャーシのあちこちに金属バーを張り巡らせ、そこにランプを並べてギラギラに飾り立てることもできる。フロントグリルや屋根に補助灯を装着するとハイビームにした時に照射範囲を広げることができる。
    • 塗装パターンは数種類の中から選べる。色も自由に指定できる。さらにDLCを買うと美麗なアートに彩られたデコレーション塗装ができる。
    • 運転席のオプションとしてUK仕様を選ぶと、日本人にも馴染みのある右ハンドル車にできる。
  • 幅広いPCスペックに対応している。
    • 設定メニューでグラフィック品質を最低に落とすと、低スペックPCやノートPCでも問題なく動作する(発売が比較的古いゲームだから、とも言えるが)。fpsや風景の解像度が低下するがゲームとしての楽しさは損なわれない。
    • 一方、ゲーミングPCならグラフィックを高品質に設定することで、実写映像と見まごうほど美しいグラフィックを堪能できる。
    • これらのグラフィック設定は各機能ごとに細かく調整することもできるが、大雑把に4段階から選ぶやり方も用意されているので簡単に設定できる。
  • メーカーであるSCS Softwareが継続的にアップデートをし、クオリティの向上に努めていること。その頻度はヘタなMMORPGよりも非常に多い。
    • 発売された新型Volvo FHや新型DAF XFなど、当初は収録されなかったトラックがアップデートで追加される。
    • 新型DAF XFやScania Streamline、IVECO Stralisなどは実車を使ってSEを収録。ScaniaとIVECOはアップデートによってサウンドが変更になった。
    • 他にも「トレーラーブレーキの追加」「オートリターダーによるクルーズコントロールの速度超過抑制」(いずれもv1.15.1より)、自前トレーラーの所有(1.32より)、果てはマップの作り直しとDirectX11対応など、実車にある機能や様々な要素が後から追加されたことによって、完成度が高まっている・・・と言うよりもリリース初期版と較べればまるで別物である。
  • 標準で日本語に対応
    • ダウンロード版やSteam版は24種類もの言語をサポートしており、その中には日本語も含まれている。
      • 海外版のディスク版を購入した場合は、公式サイトからダウンロード版(デモ版)をインストールしてディスク版についているプロダクトコードを入力することで日本語でのプレイが可能になる。

問題点

  • 本当に「トラックを運転するだけ」のシミュレーターであり、それ以上でも以下でもない。あとはトラックのカスタマイズ。あるいは自前所有トラックでのフリー走行。できることはそれだけであり、完全にトラック好きの為のゲームとも言える。
    • セガの『18 Wheeler』のように、ストーリーモードやミッション、クエストといった物や、ライバル車と競争したり、パトカーとカーチェイスを繰り広げたりといった要素も含まれていない。色々な都市を訪れることになるが、そこで何かイベントが起こるようなこともない。
    • 経営要素も、結局は「お膳立てを整えてやると勝手にお金が入る」というだけに過ぎず、経営SLGと呼べるような手の込んだものではない。
  • 本物の長距離トラックほどではないが、運送にはけっこうな時間がかかる。
    • 時間の流れは現実の約10倍速だが、それでも隣の都市に行くだけでも10~30分程度、長距離運送だと3~4時間もかかる場合もある。*6 好きな音楽やラジオでも聞きながらのんびり運転を楽しめるような人でないと、退屈さを感じてしまうかも知れない。
  • クライアントソフトの自動アップデート機能が、Steam版以外には存在しない。
    公式サイトから経由してダウンロードサイト(問答無用の英語)でダウンロードするか、P2Pソフトの『BitTorrent』を使うかに限定されており日本人には不親切。
    • ただし、現在ではSteam版が主流になっているのと、パッケージ/ダウンロード版を購入しても1回に限りプロダクトコードがSteamで使用出来るという救済措置は用意されているので、ある意味で親切な仕様ではあるが。
  • 交通規則に厳しく、安全運転が前提である。リアルではあるのだが。
    • マップの各所に自動速度取締機が設置されており、そこを速度超過で通過すると罰金。制限速度はしばしば細かく変更され、安全運転でもうっかりすると罰金を払うことに。
      • しかも1.27からはパトカーも巡回するようになっている。
    • 他にも信号無視、夜間・雨天の無灯火運転(ポジションライトでもダメ)、過労運転などが違反行為となる。
    • ただし、1.27より交通違反罰則のON/OFFが選択出来るようになった。
  • NPCドライバーの運転が危険そうだったり、トロかったり。
    • 合流車線での一時停止、逆にこちらが本線を走っている時の無理な合流、不用意な急減速、対面通行での強引な追い越しで対向車とヘッドオン、など。
    • 但し、それもリアルといえばリアルである(良くないことだが)。
    • 幸い、バージョンを重ねる毎にAIが改善されている。
  • 発売から2019年6月まで6年半が経過した時点で未だにDirectX9対応のままであり、故にミドルスペックのパソコンではオブジェクトの多さからfpsが低下する問題を抱えていたが、Ver.1.35より実験的かつ部分的ではあるがDirectX11に対応した。その後、2019年12月3日にVer.1.36が正式リリースされたことでDirextX11に完全対応となった。*7
  • 評価点にあるように頻繁にアップデートされ改善されている事は喜ばしいが、そのせいで非公式MODが使用不能になる事態も頻繁に起こる。
    またバージョンアップデートの際に、自分のトラックの所在地が強制的にスタート地点に戻される(セーブデータが使えなくなったと言う報告もまれにある)。

総評

ドライブシミュレーターとしての完成度に優れ、リアルさと遊びやすさを高次元で両立させている。「ただ運転するだけのソフト」であることを承知した上で、それをむしろ魅力だと思えるような人にとっては、いつまでも飽きずに遊び続けられる作品である。
「クルマが好きだが、コンマ数秒を削るレースゲームのストイックさには馴染めない」という人にもオススメできる。異国の大地をゆったりと走破する気分は格別であり、レースゲームでは得られない爽快感を味わえる。ただし長時間プレイしていると眠くなってくることもあるので、リアル居眠り運転にはご用心。


DLCやMODについて

  • 基本的な大型マップ拡張DLCとして、
    ・東欧方面の『Going East』
    ・北欧スカンジナビア半島の『Scandinavia』
    ・フランス国内の『Vive la France!』
    ・イタリア国内の『Italia』
    ・バルト海地域/一部ロシア地域を追加する『Beyond the Baltic Sea』
    ・ルーマニア・ブルガリア・トルコを追加する『Road to the Black Sea』
    以上がリリースされている。これらを合わせると24カ国となる。
    • ユーザー制作の非公式MODの中には、これらマップ拡張DLC全てのインストールが前提となる物も存在する。
  • トラックに美麗なスペシャルペイントを施すドレスアップDLCも各種配信中。
  • ヘリコプターや農業用トラクターなど、新たな種類の積荷が増えるDLC『High Power Cargo Pack』も配信中。
  • その後も多数のDLCが配信されている。いまのところ最新DLCは、2019/12/05発売の『Road to the Black Sea』。
  • MODが作りやすく導入しやすい設計となっており、ユーザーが作ったMODが多数公開されている。
    • 中でも注目されているのがマルチプレイを可能にするMOD。メーカー公式サイトにも記載されており、ある種公式MODに近い扱いである。
      • プレイヤー同士でMAPを共有して、多数のトラックで編隊(コンボイ)を組んだり、すれ違う他プレイヤーにクラクションを鳴らしたりといった遊びができる。
      • マルチMODはゲームである事をいいことに、無謀な運転をするプレイヤーがいるので注意が必要である。通報すればいいのだが故意の事故や悪質なものじゃない限りはなかなか通らない。冤罪BANも考えられるため自己防衛の為にもネットでも公開できるような録画の環境があったほうがいい。
      • メインサーバーはカレー、デュースブルクの都市やドイツに近付くほど人数が多くなるため、危険なプレイヤーも相乗効果で多くなる比率が高くなる。東欧やバルト三国、フランス(パリ等DLC無しで入れるところを除く)などが人が閑散としてる場合が多い。
  • その他、マップや車種を追加したり、オリジナルペイントを施したり、挙動やグラフィックをよりリアルにしたり、色々な非公式MODが無償公開されている。

参考動画

+ 公式トレーラーとプレイ動画


関連作品

2016年2月3日にDVD-ROM、ダウンロードソフト、Steam配信で『American Truck Simulator』が発売。
大型トレーラートラックで広大なアメリカを走破するドライビングシミュレータゲーム。
『Euro Truck Simulator 2』と同じゲームエンジンを用いており、ゲームシステムやグラフィックのクオリティなどはほとんど同じ。
主な特徴や『ETS2』との違いは以下の通り。

  • マップはアメリカの4つの州(カリフォルニア州、ネバダ州、アリゾナ州、ニューメキシコ州、)を再現。
    DLCの導入によって更に増える(メーカーは「最終的にはアメリカ全土を再現する」と言っている)
  • 風景オブジェクトに『ETS2』には無いものが新登場。
    ホテルのデザインが一新されたりハンバーガーレストランが建っていたりと、アメリカ的な雰囲気を感じさせる。
  • 登場するトラックは全て実在車両。
  • 配送終了時に停車方法を選択できる(後のアップデートで『ETS2』にも逆輸入)。
    • バックで正しい位置と向きに停車する(追加EXP多)
    • 前進で指定とは逆向きに停車する(追加EXP少)
    • 大体の位置まで運び込み、停車操作はしない(追加EXPなし)
  • 『ETS2』では路肩にオービスが設置されていたが、加えて本作ではパトカーが登場。主に市街地での交通違反を取り締まっている(パトカーは後に『ETS2にも逆輸入』)。
    • 『ATS』だけにある仕様として、パトカーとバリケードによる道路の完全封鎖がランダムで発生する。バグでバリケードの向うに入れたとしても途中で見えない壁にぶつかることになる。通常は別ルートを案内してくれるが、封鎖された道以外が推奨しないルートであった場合ルート通りに行くとまた同じ場所に戻る場合がある(無限ループ)。その対処としては、大回りして物理的に推奨ルートが切り替わる地点に行くか、手動でルート選択しなければならない。