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ゲゲゲの鬼太郎 異聞妖怪奇譚 - (2015/01/14 (水) 02:52:41) の編集履歴(バックアップ)


ゲゲゲの鬼太郎 異聞妖怪奇譚

【げげげのきたろう いぶんようかいきたん】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 プレイステーション2
発売元 コナミ
開発元 コナミコンピュータエンタテインメントジャパン
ウィンキーソフト(制作協力)
発売日 2003年12月11日
定価 6,800円(税込)
廉価版 コナミ ザ・ベスト:2004年7月8日/2,940円(税込)
判定 なし
ポイント 水木しげる生誕80周年記念作品シリーズの一つにして最高難易度
ストーリーも雰囲気もバッチリ
スーパーゲゲゲ大戦?
キャラの性能差激しすぎ
ファンアイテムとしてはかなり優秀
ゲゲゲの鬼太郎シリーズ


概要

水木しげる生誕80周年記念作品として開発された3つのゲームの一つ。これ以外の作品は『ゲゲゲの鬼太郎 逆襲!妖魔大血戦(PS)』『ゲゲゲの鬼太郎 危機一髪!妖怪列島(GBA)』の2作。
これらの作品群は東映アニメーション製作のアニメ版ではなく、原作版の鬼太郎をイメージの源としているのが特徴で、声優も独自のキャスティングで行われている。
そのため、目玉親父の声優も異なり、生前の田の中勇氏が担当しなかった珍しいシリーズとなった。

TVアニメとイメージからは離しているものの、本作は3作品の中ではかなりアニメ版から拝借している要素が見られる。
鬼太郎のヒーロー然とした性格などは他の2作品と変わらないが、本作は冒頭のOPの3DCGアニメのBGMに、熊倉一雄氏が歌唱する最初のテレビアニメ版の主題歌を使用している。
OPアニメの内容も、ねずみ男が呆れたように首を傾げて手を広げる仕草は第4作を彷彿とさせるもので、ラストシーンは第3作のED「おばけがイクゾー」のラストに似た演出となっている。

本作は3作品の中で唯一のSRPGジャンルの作品である。
平たくいえば「ゲゲゲの鬼太郎版スーパーロボット大戦」だが、本作は向きの概念があり、システム的には『魔装機神 ~THE LORD OF ELEMENTAL~?』に近い。
この点はウィンキーソフトが制作協力しているためであり、そのため良くも悪くもかつてのスパロボを彷彿とさせる難易度設定となった。

ストーリー

IT革命が起こり、日本は再び様変わりしたが、それは妖怪世界も例外ではなかった。
鬼太郎は妖怪パソコンに執心し、ねずみ男は稼ぎのため妖怪携帯のセールスマンで日銭を稼ぎ、他の仲間達も携帯やパソコンを利用していた。
仲間達の体たらくを嘆く目玉親父は、IT革命からすっかり取り残されている。

そんなある日のこと、こなき爺が突如何者かに襲われてしまうという事件が発生する。大事には至らなかったものの、その現場に落ちていた遺留物と赤ん坊の大量誘拐事件の現場に残されていたものが一致することが判明。
遺留物から妖気を感じた鬼太郎達は、妖怪絡みの事件が起きていると睨んで行動を開始。調べていくと、なんと関係者が警察を含めて次々と失踪していることがわかり…。

特徴

  • 本作は一般的なアドベンチャーパートと、ゲームの肝となるSRPGパートがある。また、数は少ないがダンジョンRPGのようなホラー風味の探索パートも一部挿入される。
    • サブ的な要素となるアドベンチャーパートは原作絵による会話シーンが描かれる特筆すべき点のないものである。
    • 探索パートは判断を間違えなければほぼミスすることのない内容だが、鬼太郎の一人称視点で進むため、周囲の状況が読めない。
  • 独特なSRPGパート。
    • システム的には向きの要素がある以外は一般的な「射程」の要素があるSRPGである。
    • この点はスーパーロボット大戦をイメージするとわかりやすく、必要気力のかわりに「必要妖気」が設定されるなど、かなりスパロボに近いシステムとなっている。
    • 本作にはキャラクターに「向き」の概念があり、背後から攻撃されると反撃や防御が出来ないという特徴がある。攻撃されても向きが直ることはなく、基本変わるのは移動時と攻撃する時のみ。
      • 「霊力充填」というシステムがあり、これはスパロボで言うところのエネルギーをさらに消費することで、攻撃の威力や命中率などを増す要素である。
    • また、鬼太郎にのみ「装備妖怪」というシステムがある。これは鬼太郎ファミリーを除く仲間の妖怪を装備することで、そのキャラの技を使えるようになる((厳密には代わりに攻撃してもらう。ただし霊力消費は装備者が行う。))
      • 装備出来る妖怪は1体だけだが、鬼太郎が得た経験値は、装備妖怪も同等に得ることが可能。
      • 戦闘アニメは基本CGだが、鬼太郎側は一部原作イラストを用いたものも存在する。CGによるアクションはそこそこ良質である。

評価点

  • 「原作」を活かした内容。
    • 鬼太郎の髪の毛は銀髪寄り、ネコ娘はとんでもなくブサイク*1、砂かけ婆は怖い顔、こなき爺は変な顔…と、とにかく原作を意識した内容になっている。
    • アニメから入った人にはやや違和感があるかもしれないが、その点もキャラの個性をややアニメ版に寄せることである程度緩和はされている。
    • 敵味方とも使用する技は原作の各エピソードから満遍なく拾ってきている。例えば西洋妖怪の首魁であるバックベアードの場合は、原作の1エピソードで使用したウイスキーの瓶投げが技の一つとして採用されている。
    • 吸血鬼ラ・セーヌ*2のように複数のシリーズに登場したキャラは、本作では異なる設定同士をミックスして登場している。
  • 良質なストーリー。
    • 内容はオリジナルであるが、2003年当時の時勢を風刺したストーリー展開はファンからも評価が高かった。
    • 登場妖怪もバラエティに富んでいる。オリジナル妖怪も一部いるが基本的には原作ありきの妖怪が登場する。
      • 現時点で一度もアニメ化されていない『鬼太郎の世界お化け旅行』*3や『鬼太郎国盗り物語』*4のキャラクターまで網羅されている点も評価が高い。
  • 非常に戦略性の高いSRPG要素。
    • 「向き」の概念があることで闇雲に攻撃しようとしていると反撃できず防戦一方という状況が生まれたりする。
    • 当然こちらも「向き」を利用することが可能。ただ基本的には敵のほうが多いため、防衛としての自分の向きを意識しないとすぐに負けてしまう。
    • あまり大きな影響を及ぼすわけではないが、属性の概念も存在する。この点を意識して戦うとさらに効率的に戦いを進められる。
  • 声優の豪華さ、キャスティングの秀逸さ。
    • 鬼太郎:松本梨香氏、目玉親父:熊倉一雄氏、ねずみ男:野沢那智氏、ネコ娘:宮村優子氏、砂かけ婆:堀絢子氏、こなき爺:穂積隆信氏、一反木綿:緒方賢一氏、塗り壁:富田耕生氏と、かなり豪華な面々が揃っている。
      • 敵役も、洋画お馴染みの声優やアニメなどで多く活躍する声優など、様々な実力派を集めており、ほぼ全員が有名所である。
      • PS2故にボリュームがあるためなのか、本作は生誕80年記念ゲームの中では最も多くの声優を起用している。
      • また、本作は『くまのプーさん』などで知られる八代駿氏の遺作でもある。

問題点

  • キャラクター性能に差がありすぎる。
    • 特に問題なのはこなき爺。射程が1しかなく、石に変身する能力持ちなのにも関わらず防御力もさほど高くない。当然移動力も目立って強みはない。
      • 一応、自分の周囲3マスを攻撃する敵味方識別ありのマップ兵器を後に得るが、命中率は悪く、移動力の微妙さから活用に難あり。反撃には当然使えず、囲まれればやられたい放題である。
      • 鬼太郎ファミリーは基本強制出撃なので、こなきも必ず参戦しなくてはならない。よって嫌でもこなきは育てないと大変なことになってしまう。
      • 猫娘の爪は同じ格闘武器なのに射程が2ある。爺故の機動力のなさ故の格差だろうか…。
      • 一方で、押し潰しくらいしか攻撃手段がなさそうな塗り壁は、なんと竜巻攻撃など長距離攻撃手段を持っている。こなきにも何か用意してあげれば良いのにと思わずにはいられない。
    • 説得などを行うことで仲間になる、加入条件がある隠し仲間キャラは、条件が難しいほどキャラ性能が微妙であることが多い。
  • 探索パートが若干だるい。
    • 雰囲気自体はかなり出ているが、鬼太郎は走れないうえ恐怖演出にこだわっているため結構長い。
    • しかもこの点は怖い以外はあまり意味のある要素とは言えない。人によっては本当にだるいだけで終わるだろう。
  • 回復は全てアイテム頼り。
    • 当然アイテムを使うのにも向きの概念があるため、迂闊な移動からのアイテム使用は逆に一気にダメージを受ける原因となってしまう。
  • フルボイスではないところや、ボイス付き台詞とそうでないものの差。
    • 流石にこれだけの豪華声優に全て喋らせるのは予算的に難しいとはいえ、豪華故の勿体なさはある。
  • 戦闘アニメをオフにしてもそこまでサクサクプレイは出来ない。

総評

知名度はさほどないが、80周年記念ゲームの中では最も有名な作品。
ウィンキーソフトが制作協力したことで生まれた本作はかなりやりごたえがあり、「最近のスパロボがヌル過ぎる!」という人にはオススメである。
原作ファンにもかなりオススメ出来るものの、内容自体は理不尽と思えるほどに難しいので、ゲームが苦手なプレイヤーには合わない可能性が高い。
ただストーリーは当時におけるIT社会への皮肉めいた内容が多く、ある意味水木作品らしい風刺的な作品となっている。