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RPGツクール95 - (2015/01/31 (土) 02:11:19) の編集履歴(バックアップ)


RPGツクール95

【あーるぴーじーつくーるきゅうじゅうご】

ジャンル RPG製作ソフト
対応機種 Windows95~XP
発売・開発元 アスキー
発売日 1997年3月28日
定価 9,800円
廉価版 VALUE!:2001年11月21日/3,800円
分類 なし
ポイント アスキーRPGツクールシリーズラストナンバー
Windows専用ツクールの始祖
シリーズで唯一マウスでゲーム操作可能
これから生まれた名作は有名
愛用者はいるが現在では環境的に厳しい
ツクールシリーズリンク


概要

『RPGツクール』シリーズのWindows専用版のデビュー作品。『RPGツクールDANTE98?』を元にしていると言われており、それを彷彿させる部分はある。
しかしゲーム中の雰囲気などは必ずしもそれと同じわけではなく、本作の独自性自体はしっかり確立させている。
開発は『RPGツクールDANTE98II』と同時期か、あるいはやや被ったためなのか、98IIで追加された要素は『95』にはあまり反映されていない。

本作最大の特徴は、マウスで操作が出来ることである。これは後の作品には一切引き継がれていない本作のみの要素である。なお、キーボードでの操作にも対応している。
この点は当時のパソコンユーザーのスタイルによくマッチしており、続編である『RPGツクール2000』に移行しない理由としてこの点をあげるユーザーもいた。

また、本作はWindows用であることに加え、当時少しずつインターネットが普及し始めた時代だったことが重なり、初めてネットワーク上に作品をアップロード出来るようになった。
なお、これは当時ほぼ同時期に発売された作品群、所謂『ツクール95シリーズ』は全てこれに対応している。
しかし、本作は当時人気の高いジャンルである「RPG」を題材にしたツールということもあり、この機能が特に注目を集めた。

これにより、ツクールで作った作品を公開出来るという一つの目標が生まれ、PC版のツクールシリーズの需要が格段と増加した。
公式側も、従来よりしばしば行っていた「ツクールで製作した作品を募集し、その都度優秀作に賞と賞金を与える」評価したうえで公開する企画「コンテストパーク」を開催。
少額ながら賞金も出ることもあって、受賞を目指してツクラーと呼ばれるツクールユーザー達が日夜作品製作に心血を注ぐようになった。

評価点

  • 簡単に作れるという基本思想を実現
    • コンテストパークにおいて当時最も隆盛だったのはこの『RPGツクール95』であり、それだけ本作品のハードルが低かったことは明白である。
    • それ以外のツールは本作に次いで『シミュレーションRPGツクール95』が扱い易いが、それ以外はジャンルがジャンルだけにツールをもってしても難解なものが多かった。
  • 画面の色数が16色から256色へと増加した。
  • フロッピーにデータを入れるための機能が付属
    • ゲーム次第では多くのフロッピーに分ける必要があるものの、そういった形でインストーラを生成することが可能だった。
  • 能力値などのパラメーターや定型文を自由に決められるようになった
    • 敵を倒すと「○○を倒した」といった文が流れるが、これも自由にイジることが可能である。
  • サンプルゲームがかなり豊富
    • ツクール95のツールとしての可能性を示すため様々なタイプの作品があり、デフォルトを活かした作品から独自の技術で高度な作品にしたものまでバラエティ豊か。
  • RTPを必要としない
    • 本作以降は、ゲームをプレイする際にデフォルト素材のデータが入れられたプレイ用データ「RTP」を必要としたが、本作はそれがなく、起動アイコンはスペックが合えばどのパソコンでも使用可能。
    • ただ、良いことばかりではなく、RTPは配布側のデータの肥大化を避けるためのシステムであるため、上記のフロッピーの点は悪く言えば「RTPがないためフロッピーに入れるためには分けるしかない」とも言える。

問題点

  • 能力上昇系の魔法を設定するとゲームバランスが崩壊する
    • なんと本作ではマップ上でも能力上昇アイテムが使えてしまう。つまり、敵に挑む前にフルにブースト魔法をかけたうえで挑めるというとんでもない仕様がある。
    • これを逆手にとったゲームもあり、活用出来ないことはないが、基本は「味方側は能力上昇魔法を使えないようにする」とするのがデフォルトにせざるを得ず、その点は自由度が低かった。
  • 状態異常のバランスがおかしい
    • 毒と言えば「毎ターン最大HPの何分の一削られる」というのが主流であるが、本作は一律で5しか減らない。そのため毒のデメリットは薄い。
      • 戦闘後はスリップダメージとなるため、流石に戦闘後は治癒させないとまずいが、戦闘中ならよほどカツカツのHPでもない限り無視出来る。
      • 平均的なHPを下げればある程度対応は可能だが、本作のバランス上やや非現実的な対応策である。
    • 麻痺は行動不能となる状態異常だが、なんと自然治癒しない。敵にかけると死ぬまで行動不能に出来るため、味方側には使わせられない要素となっている。
  • 隠れパラメータになっている「魔法防御力」
    • これはキャラクター本体に設定するものではなく、装備出来るアクセサリーで左右するものになっている。おかげで魔法防御でキャラの個性を出すのが難しい。
  • 1イベントが「必ず4ページ」という仕様
    • 条件をなしに設定すればないものとして出来るが…。
  • Dante98IIにある新要素が導入されていない
    • 「条件分岐」「ループ」「変数」の3つが特にあげられている。「変数」は製作の自由度にかなり影響を及ぼすため、かなりネックな問題点である。
    • 『2000』では流石にこれらの要素はまとめて導入されている。

総評

現在となっては野暮ったさが目立つツールだが、当時はこれ以上ないというほど「簡単製作」と「本格的」を融合させたツールだった。
それらを自分で投稿し、第三者から評価してもらえる喜びは何ものにも代えがたい達成感と快楽があった。
それ故に当時のツクラー達は、寝る間すらも惜しんでこのツールと睨めっこしていたのである。
様々な名作が本作から生まれ、特に『パレット』は後に『Forget me not パレット』としてツクールを使わない独自のゲームになったほど。
『2000』が登場する約3年間、本作はツクラー達の夢を実現させるソフトとして重宝され、様々な伝説的な作品を生み出す契機を作った。

『2000』登場後は流石にツールとしての完成度の違いや、時代のこともあってユーザーのほとんどはそちらに流れた。
にも関わらず、これを愛用していたツクラーもおり、ただ「機能面が野暮ったい」だけでは捨てきれないツールだったと言える。

現在、ツールとして対応している機種はXPまでであり、それ以降のものには対応していないため使用は基本不可能。
制作されたゲームはプレイ自体は可能だが、動作保証はされておらず*1、プレイ環境が年々狭まっているのは否めない。