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セガツーリングカーチャンピオンシップ - (2019/04/22 (月) 01:44:04) の編集履歴(バックアップ)
※このページでは、アーケード版『セガツーリングカーチャンピオンシップ』(不安定)と、その移植作であるSS版(クソゲー/劣化ゲー/不安定)、そしてSS版の移植であるPC版(不安定)について紹介します。
セガツーリングカーチャンピオンシップ
【せがつーりんぐかーちゃんぴおんしっぷ】
ジャンル
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レース
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対応機種
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アーケード(MODEL2C)
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発売・開発元
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セガ・エンタープライゼス
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稼動開始日
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1996年
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判定
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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異常に高い難易度 中途半端なコンセプト BGMやスピード感は高評価
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概要
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『セガラリーチャンピオンシップ』や『スペースチャンネル5』を手がけた水口哲也氏プロデュースのアーケードレースゲーム。略称は「STCC」。当時、新たに社内に作られた「セガAM分室」が開発を担当している。
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タイトルの通りツーリングカー(DTM、ドイツツーリングカー選手権)を題材としたゲームで、基板には有名な「MODEL2」が使用されている。
特徴
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チャンピオンシップの流れ
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まず第1戦のコースを1周してタイムを計測する「予選」が行われる。
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予選のタイムによって第1戦目のグリッドが決定される。
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予選で時間切れになると予選失格と表示されるが、ゲームオーバーにならずに最下位スタートで第1戦目へ進む。
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次に第1戦~第3戦の3コースをそれぞれ2周ずつ走行し、8台で順位やタイムを競う。
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本戦は全てのコースでペースカーに先導されてのローリングスタートとなる。
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ゴール時の順位は、次のコースのグリッド順として引き継がれる。
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最終的な順位は、走行した3コースの合計タイムで決まる。
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その為3戦目をトップチェッカーでゴールしても優勝するとは限らない。
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収録車種
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選べる車種は実在する4台。ミッションはAT・6速MTがある。
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FR(後輪駆動)は不安定だがスピードは速い、4WD(四輪駆動)は若干遅いが安定性は良い、といった特徴がある。
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アルファロメオ・155 V6TI (4WD)
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オペル・カリブラV6 (4WD)
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トヨタ・スープラGT (FR)
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AMG・メルセデス Cクラス (FR)
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コース
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コースはエクストラコースを含めて4種類。
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Country circuit (第1戦)
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急なコーナーが無いサーキット。まずこのコースで予選が行われる。
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Grunwald circuit (第2戦)
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1戦目よりやや複雑化したサーキット。完全オリジナルであり、風景を楽しめるように作ったとのこと。
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Brick wall town (最終戦)
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ヘルシンキに実在するコースをモデルとした市街地コース。数々の直角コーナーやフルブレーキングが必要な最終コーナーが特徴。
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Urban circuit (エクストラ)
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3コースでの合計タイムで優勝すると出現。なおこのコースはタイムスコアに含まれない。
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同じく市街地で曇天の中行われる。コースが異常に狭く、壁にヒットせずに完走することすら困難を極める。
賛否両論点
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あまりにも高い難易度。
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まずこのゲームは、多少曲がったカーブでもハンドルさえ切ればクリア出来る…なんていう生半可なバランスでは無い。
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きちんとしたコース取りをして運転しないと、車体がどんどんアウトに膨らんで行きあっけなくコースアウトしてしまう。
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それに加えて実際のDTMツーリングカーのピーキーなエンジン特性を再現しているため、コーナリングで必要以上にハンドルを曲げてしまうとエンジンの回転数が落ちて速度がみるみる低下。馬鹿にならない程のタイムロスに繋がる。
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具体的には、アクセルを離さずにハンドルを思いっきり曲げるだけでスピードが最大100km/h以上も減速する。曲がろうとするだけでそんなに減速するレースゲームは他にあるだろうか?
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その為、コーナーは基本的に最低限のハンドル操作で抜ける必要があり、ハンドル操作1つでもかなりの神経を使うことになる。
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このような挙動のため、レースゲームの定番であるドリフトは不可能。グリップ走法に忠実なドライビングが要求される。特に前輪をグリップさせながらハンドルを切るのが重要。
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にもかかわらず爽快感重視ゲームのようには曲がらない操作が難しい車でいきなり300km/hオーバーを走らされ、初見のドライバーの心をへし折りにかかる。
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またCOM車も本気で走ってくるうえ上位と下位の実力差はあまりなく、「ちょっと慣れてきた」なんて程度では普通にドベ。
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そのため初心者には「もう1台抜きたい」というモチベーションすら簡単には湧かせやしない。
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トドメとばかりに制限時間も容赦無しに非常に短い。2コース目すらゴールできないことなんてザラである。
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しかしこのとてつもないシビアさにハマるドライバーも一定数いたことは確かであり、どちらかと言えばマニア向けのようなゲームとなっていたのが実情である。
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更に隠し要素で「エキスパートモード」が存在する。
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自車の最高速が5㎞/h上昇する代わりにアンダーステア傾向が強くなる。要するにただでさえ曲がらない車がさらに曲がりにくくなるのだ。逆に難易度を下げるという救済的な方向性は無かったのだろうか…。
問題点
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壁ターン有効な箇所が存在する。
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マシンは壁に激突してもダメージを負わない仕様である。これだけならまだしも、壁ターンを使ったほうが速いコーナーが存在している。
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特に急コーナーが多い第3戦の「Brick wall town」で顕著。
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ただし、エンディングでは『セガラリーチャンピオンシップ』と同様に、全4コースでのリプレイをハイライトで流れる方式であるため、壁ターンを使わない方が見栄えは当然よくなる。
評価点
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avexが提供するBGM曲は評価が高い。
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折りしも本作が登場した90年代後半、小室哲也氏がプロデュース・作曲を手掛けたアーティストが次々に大ヒットし始めていたという時流にあり、当時最盛期だった音楽ジャンルを反映している。
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水口氏曰く、「音楽はプロフェッショナルに頼んだ」とのこと。一応テクノ系に関してはリッジレーサーの前例があるものの、当時の潮流に合わせてavex traxとのコラボレーションでリリースされたのは今作が初である。
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このコラボのお陰か、後に本作と同チームが開発した『頭文字D ARCADE STAGE』シリーズでは、題材のアニメ版と同様のユーロビートを起用、何れも非常に高い評価を受ける事となった。
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スピード感は抜群。
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当時のセガのレースゲームの中でも最高のスピード感を誇る。それを味わいながら的確なアクセルワーク・ハンドリングが要求されるため、非常に緊張感がある。
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特に中速、低速コーナーからの立ち上がりでの暴力的な加速によるスピード感は他の作品ではなかなか味わえない。
ゲーム的な挙動ではあるが、本作独自の爽快感の高さに一役買っている。
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インターネットとの連動企画。
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OPデモでは画面上部にURLが記載されている。そのサイト上でタイムスコアのランキングが掲載されていた。タイムは申告制で、現在はアクセス不可。
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本作が稼働開始していた96年当時は、ネットがまだダイヤルアップ回線であり普及が始まりつつあったという段階で、このような連動企画は本作が初と思われる。
総評
車の操作性、COM車の速さ、時間制限どれを取っても異常に難易度が高いゲームバランスに仕上がっており、生半可な気持ちでシートに乗ったユーザーに牙を向いた事だろう。
一般的に他社と比べて難易度が高めであるセガ社製のレースゲームの中でも同じ年に稼動した『スカッドレース』と並んで屈指のマゾゲーとして認知されている。
アクセル全開のドリフトで曲がるような爽快感こそないものの、ゲームの出来や設定自体はしっかりしており、万人向けの調整がされやすいアーケード向けのレースゲームで本物のレーシングカーのシビアさが味わえる貴重な作品。
そのストイックさゆえ一定のプレイヤーたちから支持されたのは事実であり、一方で万人受けするレースゲームであったとは言い難い…そんなゲームである。
移植
本作が稼動開始した翌年、セガサターンに移植されたのだが…。下記参照。
セガツーリングカーチャンピオンシップ (SS)
【せがつーりんぐかーちゃんぴおんしっぷ】
ジャンル
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レース
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対応機種
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セガサターン
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発売元
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セガ・エンタープライゼス
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開発元
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CRI(CSK総合研究所)(現:CRI・ミドルウェア)
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発売日
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1997年11月27日
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定価
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5,800円(税別)
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判定
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クソゲー
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劣化ゲー
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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常時処理落ち あまりに劣化し過ぎなグラフィック EASYでも容赦無し パッドとの相性悪過ぎ 成長が遅く指示すら出せないAIカー
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概要(SS)
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シビアな難易度とグリップ重視のゲームバランスが特徴のアーケードゲーム、『セガツーリングカーチャンピオンシップ』の移植作。
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本作にはAC版を再現した「アーケードサイド」と、セガサターン向けに要素を追加した「サターンサイド」の、2つのモードがある。
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移植はCRI(CSK総合研究所)が担当
問題点(SS)
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AC版と比べてあまりにも劣化し過ぎている移植度。ハードが3Dを苦手とするセガサターンであるという事を差し引いても酷い。
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AC版のフレームレートはきっちり60fpsで動くのだが、本作はフレームレートが安定すらしていない。
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しかも自車しか走行しない「予選」や「タイムアタック」はまだマシなほうで、画面にCOM車が数台映るとフレームレートは更に低下する。慣れていなければプレイ自体困難な程である。
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エキストラコース「Urban Circuit」のトンネル内でもひどくカクカクになる。
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グラフィックもかなり劣化。車の模様はまるでドットを打った集まりのようであり、画面に映るコースの手前が下に凹んでいる。
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この時代は粗いポリゴンのゲームが全盛だったからこそ「手前にあるこれはペイントされた車で、奥に広がっているのはサーキット。これはリアルを題材にしたレースゲームだ!」と理解できるだろうが、
もしこのゲームが2D全盛の時代に発売されていたら、一目でレースゲームだと理解する事は困難だったかもしれない。それ程のグラフィックである。
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背景も非常に粗く、前方を見渡すことすら困難を極める。
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リプレイなどの第三者視点はもっと酷い有様で目も当てられない。ターマックの表示がぐちゃぐちゃで無理矢理移植したような印象を受ける。
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『セガラリー』どころか、2年半も前に移植された『デイトナUSA』にすら劣るレベル。
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本作が発売された当時、サターン市場も末期に突入しており、次世代機ドリームキャストの発売が1年後に控えていた時期にこのクオリティである。
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処理落ちがほぼ常時発生する。
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OPムービーから既に処理落ち。
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それに反して横方向に流れる中抜きのタイトルロゴだけはヌルヌル動き、一層この対比を際立たせてしまっている。2D描写だけはAC版レベル。
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車種選択画面で車の選択を変えるだけでも処理落ち。
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そしてレースをプレイし始めると、タイム表示の1秒が現実の1秒よりも遅いことに気づく。
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自車だけ走行する状況なら1.1秒~1.2秒程度だが、COM車と走るようになるとゲーム内の1秒当たり現実の1.3~1.5秒にまで遅延する。
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視点別でいえば「後方視点」よりも「ドライバー視点」のほうが酷い。この視点にはバックミラーが表示されるのだが、それが処理落ちを深刻にさせていると思われる。
そのバックミラーも画面が粗すぎて使い物にならないというオチ付き。
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どれだけ速く走れたかという「タイム」が一番大事な要素であるレースゲームでこれは致命的な問題点である。時々処理落ちするレースゲームなら他にもあるが、本作はいつでも処理落ちするのだから救いようが無い。
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追加要素であるAI(人工知能)カー「レーシングプロト」についての問題。
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AIカーには「ドライブモード」と「AIモード」がある。プレイヤーがドライブモードでプレイするごとにAIカーが育っていき、AIモードでチャンピオンシップなどに出場し走行させることができる。
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『グランツーリスモ』でいえば、A-spec(ドライブモード)とB-spec(AIモード)の経験値を共有させたようなシステムになっている。ここまで聞けば97年の時点では画期的なシステムのようにも思えるが…。
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AIモードで走らせている間プレイヤー側からは何の指示も出せず、ただ走っているのを眺めることしかできない。
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またAIカーをチャンピオンシップに出して予選を走らせると、育てていない間は何回走行させても1000分の1秒も違わないタイムを連発する。まるで精密機械のような人工知能である。
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そして本選レースでは普通にCOM車と接触したり激突する。人工知能じゃなかったのか?
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AIの成長自体も遅い。プレイヤーがドライブモードで数回走って育てたくらいでは、チャンピオンシップで制限時間内に完走することすらできない。
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実はある条件をクリアすると『セガラリー』でも登場した「セリカ」と「デルタ」を使えるようになるのだが、その条件の一つが「AIモードでのチャンピオンシップ優勝」。
優勝できるレベルになるまでAIカーで何十回とチャンピオンシップをプレイしなくてはならず、上記のプレイ環境で地獄のような苦行を強いられることになる。
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なおAIカーは隠し要素扱いである為、説明書には一切記載が無く存在すら示唆されていない。最悪AIカーであることさえ気付かない可能性もある。
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セガサターンのパッドとの相性が悪い。
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前述の通り、AC版ではハンドルは最低限の蛇角でなるべくスピードを維持するのが肝であり、デジタル入力の方向キーでそれを再現するのは不可能と言ってよい。
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レーシングコントローラーやセガマルチコントローラーを使用すれば操作性は改善されるが、事実上それ必須の仕様になってしまっているというのはどうなのか…。
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相変わらず難易度が高い。
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アーケードサイドは難易度「EASY」でも本当に易しくなっているのかと疑いたくなるような容赦の無さ。
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アザーカーは若干遅くなっているが時間制限はあまり変わっておらず、タイムアップ必至。
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サターンサイドの「EASY」はアザーカーが結構遅くなるものの、肝心の制限時間はアーケードサイドと同じ。
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結局制限時間内に完走できる腕前にならないと、順位がどうとか以前の問題なのである。初級者への救済としては不充分であると言わざるを得ない。
評価点(SS)
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車両について。
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スープラ以外の車両のカラーリングを変更出来る様になった。
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どれも実際にDTMに参戦していたチームのカラーリングである。(スープラを除く)
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BGMについて。
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AC版から多少アレンジが加えられている((例として、So Highの一部がループの関係上AC版ではかなりカットされていたが、SS版ではカットされている部分が短くなった)が、依然評価は高い。
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SS版のCD-ROMを購入し、サントラ代わりにする人々も少なからず居る。
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電話回線通信を使った、世界同時のタイムアタックイベントが行われていた。
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ボタン一つで自己タイムを送信できるというのは、当時では非常に珍しいシステムであった。
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なお開催時間はセガサターンの内蔵時計で対応しているため、本体の時間設定を弄れば現在でもイベントコース自体はプレイ可能である。
総評(SS)
ストイック過ぎる難易度で一部のマニアを生み出したAC版レースゲームの移植作だが、移植度の低さに加え常に処理落ちするという致命的な問題を抱えた作品。
同じく水口氏が手掛けた『セガラリーチャンピオンシップ』とは同機種への移植度において雲泥の差、一目瞭然である。
ただでさえ移植元が血反吐出るようなバランスのゲームなのに、本移植作ではそれに加えて時空間まで歪められてしまってはプレイ意欲を削ぐのには充分過ぎると言えよう。
セガツーリングカーチャンピオンシップ (PC)
【せがつーりんぐかーちゃんぴおんしっぷ】
ジャンル
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レース
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対応機種
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Windows
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発売
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セガ・エンタープライゼス
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開発元
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CRI(CSK総合研究所)(現:CRI・ミドルウェア)
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発売日
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1998年2月27日
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定価
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8,800円(税別)
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廉価版
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2000年/2,000円(メディアカイト発売)
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判定
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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SS版の欠点を多少改良 ネットワーク対戦が追加
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概要(PC)
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セガサターン版をWindows向けに移植したもので、一部の問題点が改善されている。移植はサターン版と同じく、CRI(CSK総合研究所)が担当。
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SS版のSATURN SIDEはPC SIDEに変更されている。
問題点(PC)
評価点(PC)
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描画の改善。
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SSで問題のあった描画やフレームレートが改善された。
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DirectDrawを使用する事により、AC版と変わらない画質を実現。
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後に配布されたパッチを当てると、Direct3Dの描画にも対応する。
総評(PC)
SS版から改善されたものの、肝心な部分の改善が行われず結果的に同じになってしまった。
だが、現代のPCではグラフィックボード非搭載でも普通に動くので、それだけでもマシな方だろう。
余談
本作をプレイしてみたいという方には、SS版ではなくこのPC版でプレイすることを強くお勧めする。
できればハンコンかアナログスティック付きのコントローラーもお忘れなく。
なお、本作リリースから22年後の2018年、本作の実質後継機とも言える、日本最高峰のツーリングカーレース「SUPER GT」をモチーフとしたSEGA World Drivers Championship(SWDC)がリリースされている。
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マシンの挙動は本作と同じくアーケードでは珍しいグリップ走行が重要となるリアル路線タイプだが、本作ほど極端すぎる挙動ではなく、ある程度は無理が効くややマイルドな調整となっている。