【あう゛ぁろんのかぎ】
注意:本記事では『アヴァロンの鍵』と、そのアッパーバージョンに当たる『アヴァロンの鍵弐』を取り扱っております。
【あう゛ぁろんのかぎ】
ジャンル | トレーディングカードアーケードゲーム |
対応機種 | アーケード(TRIFORCE基板) |
発売元 | セガ |
開発元 | ヒットメーカー |
稼働開始日 | 2003年7月 |
判定 | ゲームバランスが不安定 |
ポイント |
ゲーセンで遊べるボードゲーム型TCG 新参者お断りなゲームバランス カード間における露骨な格差社会 |
本作は「ゲーセンで出来る新しいTCG」ということで、折からのTCGブームの余波も相まって稼働前から大きく注目されていた。
実際に渋谷や心斎橋で行われたロケテストでは、連日人だかりができるほどの異様な盛り上がりを見せており、当時既に停滞期にあったゲームセンターの営業巻き返しになるかもしれない、と業界からも期待されていた。
かくして、満を持しての稼働開始となった本作だが、期待に胸を膨らませた新参者にとってアヴァロンの門は固く、こじ開けるための鍵は余りに高額だった。
+ | 初期Verの問題児とそのサポートカード |
前評判は高かったものの、ふたを開けてみれば新規ユーザーが中々定着せず、一部の廃プレイヤーが集うゲームセンター以外では本作の稼働は芳しくなかった。凶悪なカードにはバージョンアップのたびに修正が入ったのだが、カード資産によるハードルの高さは相変わらずで、Ver.1の間に根本的な問題の改善は行われなかった。
一方で、ハードルさえ超えることができれば、後述する本作特有のゲーム性や戦略性を楽しむことは可能であった。デッキにR以上の必須カードが多く、カードごとのパワーの差は大きかったものの、本作の醍醐味であるプレイヤー同士の駆け引きは成立しており、特に戦闘面においては蟻と骸骨が弱体化してからは大分マシになった。
二度のバージョンアップで計90枚近いカードが追加され、そのたびに戦略の幅も広がったといえる。
とはいえ、カードパワーの差から死にカードになってしまったものも多く、全体的なバランスは決して良くなかった。
TCGの要であるバランス調整がいかに難しいものであるかを、ゲームセンターでも証明する形になってしまったといえる。
そして、この世紀末一歩手前の状況に対し、1年後にセガの出した回答が『アヴァロンの鍵弐』という大型バージョンアップであった。
【あう゛ぁろんのかぎに】
ジャンル | トレーディングカードアーケードゲーム |
対応機種 | アーケード(TRIFORCE基板) |
発売元 | セガ |
開発元 | ヒットメーカー(*6) |
稼働開始日 | 2004年11月 |
判定(Ver2.0以降) | 改善 |
ポイント |
既存のカードの全面的な改修 新規ユーザーに優しい環境への改変 |
持たざる者には狭き門だったVer.1から一転、広く門戸の開かれたゲームに生まれ変わったことで、ようやく本作独自のゲーム性や魅力に多くのゲーマーが触れることが可能になった。
その結果、各地のゲーセンでは「鍵っ子」などと呼ばれるファンが増加し、Ver.2.0稼働から半年余りの間は大きな賑わいを見せていた。
1年以上もかかったが、ようやく前評判にふさわしいレベルにまで昇華したといえる。
初期Verはお世辞にも良作とは言えない金満家専用ゲーであったが、Ver2.0へのバージョンアップ以降は、単体のゲームとして見ても他のTCGと比較して見ても充分に良好な部類だったといえる。
しかし、本作はオンラインに対応しておらず、あくまでも同じ時間同じゲームセンターにプレイヤーが集わないと対戦が出来ない欠点を抱えていた。
そして、本作のバランスが整えられたころには『Quest of D』や『三国志大戦』といったオンライン対応型のゲームが稼働を始めていた。
それらと競合した結果、手軽にマルチプレイができる方へと次第にユーザーが流れ、Ver.2.5のアップデートが行われたころには、多くのゲーセンで本作の過疎ないしは撤去が起こる始末であった。
本作のオンライン対応化も当時望まれていたが結局叶わず、Ver.2.5を最後にバージョンアップも途絶え、その後サポート終了となった。
ゲームとしてはよく出来ていても周辺環境を理由にユーザーが離れてしまう、というのは、昔からセガのゲームに付いて回る残念なイメージそのものであり、そういった意味ではセガらしい顛末ともいえる。
但し、本作はゲームセンターにTCGの要素を持ち込んだパイオニアの一つであり、その営業形態に少なからざる影響を及ぼした作品であることは疑いようのない事実である。