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オメガクインテット - (2018/07/15 (日) 10:38:47) の編集履歴(バックアップ)
オメガクインテット
【おめがくいんてっと】
概要
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コンパイルハート初のPS4タイトルとして発売され、PS2時代のアイディアファクトリー作品や『フェアリーフェンサーエフ』におけるニッチ路線を引き継いだ『ガラパゴスRPG』第2弾。
メーカーサイト等にある正確な表記は『*ω*クインテット』。
特徴・評価点
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アイドルグループが主人公のガラパゴスRPGというと確かに人を選ぶように見える。
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だがストーリーのあらすじ・システム自体はまたもRPGに於いては王道な部類に入る。
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登場キャラは常時ローテンションの主人公、幼馴染の天然元気キャラ、あけすけな怪力巨乳、おどおどした毒舌銃器マニア、やる気が空回りするタイプの真面目委員長、常時眠そうな不思議キャラとバリエーション豊富。
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ちなみに、メインヒロインの武器は斧・ハンマー。ヒロインともアイドルともマッチしないが、最強の打撃力を誇るのでRPGヒーローらしい戦士タイプとは言える。
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サブキャラはサブキャラで39歳のぶりっ子、ナレーションなども務める先輩マネージャー、メンタル弱めの(委員長の)オカンキャラなど濃いメンツが揃っている。
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パーティキャラの方向性で『ネプテューヌシリーズ』を髣髴とさせるが、ストーリーはそのねぷねぷ無印をすら上回るシリアス展開。
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他にも、今までのコンパイルハート製ゲームでもなかなかお目にかかれないようなきついデザインの敵が登場する。初のPS4でそんなところで張り切らなくても。
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世界観も正体不明の現象によって滅亡寸前状態に陥っており、総人口1万人程度(街一つ)と、アイドルがメインメンバーというキャッキャウフフを想像しそうな第一印象を容赦なくぶっちぎってくる。
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ヒロインたちとの交流イベントや個別エンディングもあるが、主立っているのは危機への対抗である。
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作中で入手できる数々の資料には、過去の記録や装備品にまつわる裏話など、本編とは直接関わりがないが気になる話が色々載っている。
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戦闘中はその様子が放映されているという設定のため、実況ボイスが流れる、ライブ(歌を歌いながらライブ中継で戦い、観客のリクエストが届く)パートといった様々な要素がある。
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主なシステムもまた『ネプテューヌシリーズ』に近いが、武器が全員共用と言う特徴がある。5種ある武器はそれぞれに性能や技の特性に差異があるので、状況に合わせて選択するといい。前身作の『FFF』と違い、戦闘中に武器タイプの変更はできない。
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難点としては、槍だけが特筆する特性をあまり持っておらず、はっきり言って器用貧乏というにも押しが足りない点か。
そのため、槍をメインウェポンとするライバルヒロインは、攻略サイトに「活躍させたいなら他の武器にすべき」などと書かれる始末。
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今回は各武器の熟練度に応じて1ターンでの攻撃回数が増えていく仕様。通常攻撃のコンボ数が増えるのではなく、行動回数そのものが増えて都度スキルやアイテムの使用ができる。
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最初に行動回数分だけコマンドを指定し、それによるSPの増減を加味してから行動を開始する。途中で防御を選ぶと強制的に行動終了となり、その防御効果は残した行動回数分に比例する。
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敵を倒すなどいくつかある条件のいずれかを満たすと、次のターンにおける行動数が増加する。行動回数の最大は初期値の2倍まで。
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ただしスキルはキャラのターン毎に一度ずつしか使えず、さらに行動すればするほど次ターンへのウェイトも増えていくので、何も考えずにラッシュをかけるわけにも行かない。
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本作固有のものとしては、上記のライブモードの他に『ハーモニクス』という連続する行動順のキャラ全員の行動を一人分として扱えるモードがある。
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この際、各キャラが規定の技を使うことで合体技「チェーンスキル」が発動する。
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チェーンスキルと必殺技は、所謂ガードゲージが切れている相手に使うとヒット数が増加するようになっている。
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中には必殺技の組み合わせによって発動するものもあり、これがなかなか派手。消費が激しいのが難点だが。
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基本的に参加人数が増えるほど演出が派手になる。5人参加の技となるとかなりかっこいい。
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各キャラの衣装には耐久度があり、ダメージを受けると衣装が破ける。最終的には下着姿となるのだが、衣装・小物以外にもその下着を個別に変更可能。
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サラシとかあるあたりさすがはコンパ、変な方向にも全速である。
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衣装の耐久度は活動拠点である事務所にて回復することができる(有料)。
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衣装には「アンプ」と呼ばれる専用の装備を装着することができる。
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アンプの効果は単純なステータス強化の他、耐性強化やレベルアップ時のステータス増加量など、かなり重要なウェイトを占める。衣装は戦闘中に変更可能(当然受けるアンプの効果も変化する)。
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ただし衣装が完全に破壊されて下着姿になってしまうと、アンプの効力は消えてしまう。アイドルとして放送事故な事態でもあるためライブモードも強制的に解除される。
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戦闘に参加するメインメンバーはアイドルヒロインたち『詠巫女』のみだが、主人公は詠巫女達のサポート役として追撃したり、詠巫女を庇ったりすることができる。
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攻防合わせて実行できる回数は決まっているが、戦闘ごとに回復するので、前提となる短期決戦を仕掛けるためにも活用は必須。戦闘中も条件を満たすことで少し回復するが…。
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チュートリアルには「回数は事務所に戻ると回復する」とあるがこれは誤記と思われる。
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主人公による追撃は対象の行動遅延、防御はバステ完全無効化という強力な効果があるため、それらを活用しきらないと厳しい。
特に本作は複数のバッドステータスを複数人に叩き込んでくるボスが結構いるので、主人公が的確に手を封じてやらないと死ぬ。このあたりは『メガテンIII』を彷彿とさせる。
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防御は担当キャラだけを守るかある程度近い距離にいるキャラ複数を守るかを都度選択できる。ダメージ軽減効果は薄まるが、消費回数とバステ防御は変わらない。
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後述するゲームバランスの関係上、ほとんどのバステが看過できないレベルの被害を齎すことになるため、尚更この選択は運命の分かれ道になる。
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また、主人公がサポートについているキャラはサポートスキルによって特殊効果を受けられるほか、主人公のステータスの何割かが付与される(どの程度かはスキルの種類と好感度による)。
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アイドルということで、PV作成などもできる。こちらはこちらでフルスロットルであり設定できる要素が膨大。またネットワークを通じて公開できる。
メインゲームの進行に影響しない趣味要素なのだがその本気度は十分で、多くの死線をくぐり抜けることになる本作の中で一種の清涼剤として機能している。
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プリセットのPVから少し手を加えるだけというのも可能。
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5人のテーマソングに合わせ、100にも及ぶダンスモーション、カメラアングル、立ち位置の指定、誰が歌うのかさえ細かいパートごとに指定できる。突き詰めるとこれだけで数時間が飛ぶ。残念ながら歌はその5曲しかないが。
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お察しの通り、ダンスとの兼ね合い次第では下衆い撮影も可。ダンジョン探索時は断固ガードするのに。
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視聴中にプレイヤーの判断でさらにちょっとしておまけを付加できる。金の玉が降ってきてキャラに直撃したり、衣装が透けたりする。むしろ放送事故な気がする。
問題点
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ゲームバランスは(少なくともNORMALクリアまでは)絶望的に難しすぎるというわけではないが、他の同社有名作と比べても決して簡単ではない。
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全体的に敵のステータスが高め。中盤以降は雑魚相手ですら相当なダメージ・状態異常を喰らうことになるため、先手必勝・一撃必殺が重要。
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当然、中・大ボスクラスともなるとそれがより苛烈になる。というのも成功確率100%を超える即死を含む状態異常攻撃まで使用してくるため、100%以上の耐性強化を持つアンプなど、装備を含めた対策なしではどうにもならない。このあたりの準理不尽さまで『メガテンIII』を(ry。
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はっきり言うと中盤以降は最低でも4人が万全の状態でないと勝ち目がない。裏ボス((『訓練施設』という所謂稼ぎダンジョンは、各階層をクリアするためにボスを倒す必要がある。本編には関与しないのだが、強力アイテムの設計図があったりと非常に重要。
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さらに、最初に選択した難易度が高いほど上位階層に挑めるという厄介な仕様なのだが、上位階層のボスともなると本編のラスボスを大きく上回る強さとなる。))に至っては1ターンオーバーキルが求められるレベル。
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そしてこの修羅道をさらに凶悪たらしめているのが、敵のみが発動するカウンター攻撃「オーダーブレイク」。
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特定の条件を満たしてキャラのターンが終了すると発生する行動順の割り込み追加で、高難易度モードになるほど発動頻度が増す。しかも本来の行動順は据え置きな上、複数条件を満たしていればそれだけ連続発動する。
これによりただでさえ超ステータスなのに数回連続行動される場合があるため、追い詰めたと思っても瞬く間に蹴散らされる可能性を排除しきることができない。
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難易度NORMALでならラスボス戦時の高い緊張感が評価されうるが、HARDでの途中ボス戦ともなると絶望感が上回ることがほとんど。
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本作は敵のターンが回った時点でガードゲージが全回復するため、ガードブレイクを狙う戦術に信頼性が置けない。オーダーブレイクされてもガードゲージが戻るためかなり鬱陶しい。
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一方で、弱化効果に実質下限はないという仕様で、全ステータスを下げるチェーンスキルも存在するため、一方的に不利というわけではない(強化は上限あり)。とは言え頼みの綱は一貫してこの点なので、大味さもここまでくるとある意味いつものIFとも思えてくる。
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これらから導き出される基本的な対策は『シンボルアタックで確実に先制を取り、行動数MAXのハーモニクスでオーダーブレイクをさせる暇なくありったけのチェーンスキル&必殺技を以って一気に叩き潰す』というもので共通してくる。
このうちどれかを逃すと集団オーダーブレイクの可能性が出て、奇襲を受けたも同然な目も当てられない惨事になりかねない。そしてそれは各種雑魚戦も例外ではない。
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強力であるため条件も厳しく、ハーモニクスに4人以上参加していないと達成は不可能。
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雑魚戦開始→初期配置によってオーダーブレイク→パーティ半壊→逃走、という流れはおそらく誰しもが通る道。
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ハイエンドのボスはまず行動順を調整し、初手にハーモニクスを使いステータス減少と行動遅延のチェーンスキルを連発して相手のステータスを激減させ、なおかつ追撃をほぼ全て決めないとまず勝ち目はない。
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後半のストーリー展開について
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かわいいビジュアルで油断させて鬱展開で刺しに来るのはネプテューヌシリーズでも少なくないが、
本作終盤は非常にきついデザインのモンスターの出現・「一般市民」の悪意が剥き出しになるシーン・メンバーの裏切り(=深刻な戦力ダウン)と、難易度と合わせてこちらの精神を削ってくる。
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さらにトゥルーエンド条件を満たせないと、作中において最初で最後の死者発生してエンディング、という止めが入る。しかも黒幕は雲隠れ。
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『本気で戦隊ヒロイン物を目指してきた』と考えれば、甘ったるいだけの展開よりメリハリがあってマッチしていると見ることもできる。その意味ではコメディとネタを重視したネプテューヌシリーズとは対称的といえる。
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エリアの全体図が見れないなど、マップ探索が面倒。
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それでいてダンジョンが結構広い。数を少なめにして特徴を際立たせ、ストーリー進行に合わせてエリアを解放していく形をとっているためである。
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クエスト報酬の一部はダンジョンに配置されるため、およその位置を教えてもらうのも手間である(いっそ放置して後でダンジョンを一から踏破したほうが楽なレベル)。
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装備品作成の仕様が面倒
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本作で最下位アイテム以外を購入するためには、素材となるアイテムを一旦分解する(売る)必要がある。
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素材を直に使用しないのは金策と並行できると見ることができるのだが、購入する段階で分解数が不足している素材を追加で分解できないため、わざわざ分解画面と購入画面を行き来しないといけない。
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素材は敵の種類以上に存在しているので、必要素材を覚えないといけないのも難点である。
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前述のアンプや衣装は、6属性の幻素と呼ばれる値を消費する必要あり。
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幻素は分解するごとに素材ごとに決められた値だけ上昇するようになっているのだが、ハイエンドの品の必要量が相当多いのが難点。
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ちなみに素材が異なる理由は、素材を必要とするタイプは物質的・機械的な装備で、幻素を必要とするタイプは幻想的・魔術的な装備という設定である。
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周回するにあたって、入手個数に限度がある「コイン」を消費して引き継ぎ要素を選択せねばならない。
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だがこのコインは衣装やチェーンスキル習得など周回内でも必要になるので、無計画に使うと泣くはめになる。
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トゥルーエンドに到達するにあたって罠とも言える展開が待っていたりもする。
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簡潔に言うと、ある章はダンジョンへの強制移動のみで展開が進むのだが、それをそのままクリアしてしまうと到達不可になる(一旦出てクエストを受けないといけない)。
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当初はUI関連に面倒な所が見えた。
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アップデートで改善。移動も高速化されてかなり快適になっている。
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ただし買い物関連のシステムは改善されなかったが…。
総評
PS4本体発売から1年で登場した国産RPG。PS3と地続きとはいえ不慣れなハードということを考慮すれば、アップデート後も含めると致命的な問題はあまりなく、出来は十分なものと言える。
高いビジュアル技術を誇るAAAタイトルには流石に分が悪いが、PS4のスペックを生かしたビジュアルも抜かりはない。
とはいえ『ガラパゴスRPG』の名は伊達ではなく、アイドルらしさをしっかり持ちつつも、その面が半ば隠れ蓑と化した様なシビアな作風として仕上がっている作品といえる。
全体的に面倒な要素がちらほら見えるのも難点だが、主立ってはこれらの鋭く尖った難易度・ストーリーなどを受け入れられるかが鍵であろう。
余談
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コンハー製ゲームの常として、DLC多数。
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強力な装備品やお金の類がメインなのでさほど重要度が高くないのは救いだが、ハイエンドの装備品はDLCを買うか途方も無い時間をかけないといけないほど高い。
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トロフィー獲得までならそこまで影響はしないとはいえ、即死無効など、強敵の攻略として無視不可能な装備を作るのに結構な素材を稼がないといけないので、必然的に手を出さざるを得ない可能性も他シリーズより大きい。
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有料サービス『PlayStation(R)Plus』にて、2018年7月の無料配信ゲーム・フリープレイ枠として、コンパイルハートから本作と、『聖魔導物語』が抜擢された。
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同年7月から当Wikiの「今日の人気ページ」で、本作が日々上位に位置している。
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SNSでもプレイ感想が久々に多くあらわれ、あえて無料にしたぶんの宣伝効果はあったと思われる。