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The Elder Scrolls III: Morrowind - (2016/05/20 (金) 02:18:45) の編集履歴(バックアップ)


The Elder Scrolls III: Morrowind

【じ えるだーすくろーるず すりー もろういんど】

ジャンル RPG ASINが有効ではありません。
対応機種 Windows 98~XP
Xbox
メディア 【Win】CD-ROM 2枚組
【Xb】DVD-ROM
発売元 ベセスダ・ソフトワークス
開発元 Bethesda Game Studios
発売日 【Win】2002年5月1日
【Xb】2002年6月6日
廉価版 Game of the Year Edition:
【Win】2003年10月31日
【Xb】2004年2月20日
判定 良作
The Elder Scrollsシリーズリンク

ストーリー

第3紀427年。
囚人船で仲間に声をかけられ目を覚ますと、衛兵に外に出るよう促される。どうやら目的地であるモロウィンドのセイダ・ニーンへ到着したらしい。
入国手続きもそこそこに、恩赦の条件である皇帝の密書をバルモラという町にいる、帝国の工作員・カイウスへ届けるべくモロウィンドの地へと足を踏み出す。


概要

広大なオープンワールドを舞台に自由に旅を出来ることで好評を博した『The Elder Scrolls』シリーズのナンバリング3作目。
『The Elder Scrolls II: Daggerfall』(以下、TES2)からゲームエンジンを一新し、現在のシリーズに続く下地を作り上げた名作RPGである。
シリーズで初めてWindowsで発売、Modに正式対応、拡張パックが登場し、家庭用向けにも発売された。*1

特徴・評価点

  • グラフィックの大幅強化
    • 『TES2』までは3Dフィールドに2Dキャラクターという『DOOM』などのFPSと同様の構成だったが、今作からはキャラクターも全て3D化され、グラフィッククオリティ自体も大幅に強化されている。DOS→Win98というハード自体の進化を鑑みても当時の最先端を往くには十分。
    • イベント関連でもこの要素を活かし、視覚・聴覚的な演出が大幅に増えた。
      • これがもっとも発揮されるのが序盤で発生する「空中浮揚の巻物」に関するイベント。突然空から人が降ってきて落下死するという衝撃的な始まり方をするためプレイヤーに強烈な印象を残した。
    • フィールドも一つの島が舞台ながら非常に広大であり多数の街、ダンジョンなど充実したロケーションが存在する。
  • 音楽面もパワーアップ
    • 楽曲のクオリティは大幅にアップしており、名曲も多い。世界観にマッチした楽曲は多くのファンに絶賛されている。
    • トレーラーでも使用されているメインテーマ「Nerevar Rising」などは特に人気が高く、シリーズを代表する曲となっている。
      • その後のシリーズでもこの曲をアレンジしたものがメインテーマとして使われている。
  • 基本システムはこれまで同様の一人称視点のアクションRPGに近い方式であるが、グラフィックの完全3D化をはじめ様々な部分が変更されている。
    • 基本システムは『TES2』に近いが、完全3D化に伴いジャンプの追加やそこら辺に落ちているアイテムを拾ったりする事が可能になった。
    • また、完全FPSの形式だった前作までと異なり、ボタン1つで三人称視点に変更出来るようになった。これにより以前はステータス画面でしか見られなかった自キャラを自由に見られるようになった。
    • アイテムの売買システムが変更され、Goldを含む物々交換で買い物を行うようになった。これにより、商人ごとに品物やGoldに限界が設定されるようになった。
  • 戦闘は前作までと同様にシームレス形式。
    • 武器は抜刀してからマウスで狙いをつけ、クリックで攻撃する方式。ただし、前作までと違ってマウス操作で剣を振り回すことは出来なくなり、また本作に限り攻撃判定がスキルの成功率に依存する。
    • 攻撃以外にもピッキングや調合、罠の解除などほとんどの行動はスキルレベルにより成功判定が行われる。
    • このシステムのため、スキルを上げるためのトレーニングが重要となっている。
  • ダークファンタジーらしさを前面に出した世界観、ストーリー
    • 物語の舞台であるMorrowind地方はダンマー(ダークエルフ)の国で、奴隷制度があったり流刑地となっているなど陰鬱な設定が多く登場する。
    • 各地の洞窟には盗賊など表を出歩けない人物が住み着いていることがあり、入ると襲われてしまう。
      • アイテムの中には「スクゥーマ」と呼ばれる麻薬が存在しており、これらを所持していると商人に取引を拒否されてしまうのだが、こういった盗賊のいる洞窟には得てしてスクゥーマが落ちている。スクゥーマ中毒を題材にしたクエストも存在する。
    • 勧善懲悪的な展開はまず存在せず、大なり小なりのクエストを通して『選択』を迫られていく。なお、メインのストーリーはやはり後のシリーズに繋がっている。
  • ゲーム開始直後はいつも通り囚人として始まり、船を降りる際に名前・性別・種族・顔・他、もろもろの能力値を決定していく。
    • プレイヤーは流刑地であるMorrowindに皇帝の密命を受けて送られてきたという設定。
    • 後の『Oblivion』などと異なり、今作の時点ではまだ自分で顔を作ることは出来ず、いくつかの候補の中から選択する方式となっている。
  • Modへの正式対応
    • 本作の最大の特徴かつ評価点として挙げられるのが、Modを手軽に導入できるようになった点である。
    • 特定の形式に沿ってパッケージされたModファイルをフォルダに置き、ランチャーメニューの「Data Files」から使用したいModを選択するだけで有効化される。
      • 後の『Oblivion』や『Skyrim』、『Fallout 3』で採用されているMODシステムの原型は本作で完成されていた。これも、シリーズ人気を確固たるものとした一因といえる。
    • このシステムの素晴らしい点はゲームの実行ファイルなど重要なファイルを直接いじる必要がほとんどなくなったという点である。
      • Modを利用すると何かしら不具合が出たりすることも少なくないわけだが、本作の形式ならほとんどのMod*2は「Data Files」で有効/無効を切り替えられるため本体に与えるダメージが非常に少ない。Modを導入した結果、問題が発生しても即バニラの状態に戻せるため原因の特定もやりやすくなっている。
      • 後に発売された拡張パック『Bloodmoon』『Tribunal』もこの形式でパッケージされており、手軽にON/OFFが可能となっている。

問題点

  • シリーズの常であるがバグが多い
    • ユーザーによるバグ修正MODの配布が行われるようになったのも今作から。後のシリーズは良い部分も多く継承したが、こういった悪い部分まで継承されてしまった。
  • 戦闘の簡素化
    • 前述のように攻撃方法や判定が一般的なRPGに近くなってしまった。
    • 前作はマウスをドラッグして剣を自由に振り回せるシステムでリアリティがあり、アクションゲーム的だったのでこの点を残念がるプレイヤーは多い。
  • 詰み要素
    • ゲーム世界全体がオープンワールド化したことで主人公の預かり知らぬ所でNPCもまた生活している。~その影響でいつの間にかクエストの重要人物が死んでしまい、最悪クエストの進行がストップしてしまうということも起こる。
    • メインクエストも例外ではなく、そうなると最初からやり直すか、諦めてモロウィンドの地で自由に暮らすか、である。
  • マップの縮小化
    • 本作のマップは25km²程。しかし前作は161600km²もの広さを誇っており、本作はその0.01%程度しか無い。
    • とは言え、前作のマップは殆どが自動生成で、ただっ広いばかりの単調なものであった。本作はマップを凝縮し、限られた面積の中を徹底的に作り込んだと言えよう。
  • 非常に多いスラング
    • ファンタジーであれば専門用語も世界観に彩りを添える要素となるが、モロウィンドは帝国の支配が薄い地方を舞台にしているためか非常に専門用語・スラングが多い。
      • そしてこれこそが翻訳が進まない原因である。なにせ、英語圏の人たちですら戸惑うとのことだから…。
      • 次作『Oblivion』ではこの件を反省してか難しいスラングは減ったが、逆に「この雰囲気がよかったんだよ」という人も。
  • ジャーナルのシステム
    • クエスト進行に関するログであるジャーナルだが、本作におけるジャーナルは本の形式になっており、ジャーナルが追加されるたびにページが増加していく。
    • このため、ゲームが進めば進むほど膨大な内容のジャーナルが記載されていき、非常に乱雑で見づらくなってしまう。
      • 一応、検索機能などはあるが頭文字やクエストを表示するといった機能しかなく、有効に働いているとは言えない。
      • 本当の意味での「Journal(日記)」である。主人公が書いているという設定なので彼(彼女)の人となりが見えてくる。
  • 当時のゲームとしては非常に負荷が高い
    • 自由度やグラフィックとの兼ね合いもあり、Windows2000時代のマシンとしては極めて高いスペックを要求した事は容易に想像できる。
    • もちろん現在のPCなら快適に動作可能。

総評

Modによる高い拡張性、あらゆるものにアクセス出来るシステム、膨大なクエスト、ストーリーなどに縛られない自由な冒険。すべてを高いレベルで実現し、現在のシリーズの基盤を固めた名作タイトルである。
日本語は公式非対応だがSteamでダウンロード販売されており気軽に入手可能。有志による日本語化はやや中途半端だが抵抗がないなら手にとって見るとよいだろう。