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イースI・II - (2019/02/03 (日) 01:34:26) の編集履歴(バックアップ)


イースI・II

【いーすわんつー】

ジャンル アクションRPG
対応機種 PCエンジン CD-ROM2
発売元 ハドソン
開発元 ハドソン
アルファ・システム
発売日 1989年12月21日
価格 7,800円(税別)
配信 バーチャルコンソール:2007年10月16日/800Wiiポイント
PCエンジンアーカイブス:2010年11月17日/800円
判定 良作
イースシリーズリンク

概要

多数の機種に移植されてきた『イース』『イースII』の初となるカップリング移植。
CD-ROMの大容量を活かした演出から歴代最高の移植として語り継がれてきた作品である。
グラフィックに原作のスタッフが参加し、CD-DAによる豪華な音楽、豪華声優陣によりほぼフルボイスで展開するイベント等、当時の移植の中でもひときわ高いクオリティと完成度を誇っていた。

特徴・評価点

  • ビジュアル面の強化。
    • グラフィックは美麗になり、背景の演出も追加。
    • 重要キャラとの会話ではフェイスアップのグラフィックが表示され、音声に合わせて口パクをする。
      • この演出は後の『イースエターナル』などでも取り入れられる定番演出となった。
    • 当時としては美麗なビジュアルシーンも用意され、OPでは銀河万丈氏のナレーションに合わせてイースの衰退の歴史が語られるデモが用意されている。
    • CD-ROMながらロードもほとんどないため快適なプレイが可能。
  • CD-DAによる音楽。
    • 当然ながらオリジナルより高音質で収録されており、非常に聴き応えがある。米光亮氏によるアレンジも好評。
    • パスワード入力画面である名前を入れるとサウンドテストが出来るおまけも。
  • 後のカップリング移植と異なり、ストーリーを完全に一本化。
    • 元々前・後編として製作されており、いきなり『II』をプレイしても分かりにくい展開があるため、この措置は英断と言えよう。
    • また、この仕様により装備や所持金を除くステータスが『II』に引き継がれるようになったため、ゲームバランスは大きく変更されている。
      • 『I』は早々にレベルがカンストするので終盤はシビアなアクションゲームとなるが、本作ではレベルアップという救済措置がある。
      • レベルもそのまま引き継がれるため、『II』になるとまたレベル1から…という不自然な描写がだいぶ緩和された。
      • ちなみに『II』ラスボスに限りそこまでのボスに対するものとは全く異なる手法での調整が行われている。*1
  • ゲームシステム的な変更は存在しないが、ダンジョンの演出などは変更されており新鮮味がある。ダームの塔の鏡の階の床など、以降のイースリメイクに輸入された演出も。
    • 特に『II』後半の舞台となるサルモン神殿の「女神の王宮」は外観が独立し、敵が一定距離以内に近付いてこないようになった。

問題点

  • 前述の通り、いきなり『II』から始める事が出来ない。
    • この弊害として、原作で話題となった『II』のOPが『I』クリア直後にしか見られなくなった。いつでも見たい場合は、『I』のラスボス直前のデータを取っておく必要がある。
      • ほぼ原作を踏襲しつつオリジナルカットを加えており、当時の移植版の中でも見ごたえのあるものになっているだけに残念な点である。
    • 余談だが、隠しパスワードによるデバッグメニューを使っても『I』ラスボスの居場所に直行するだけでは倒すことができず特定の装備を入手する手間がかかる。

容量及び技術上の問題

  • ボイス付のイベントの際、音楽と音声を同時に鳴らせなかったため、苦肉の策として音声の裏に音量を絞ったBGMを収録するという手法を使っている。
    • このため、ボイスが流れる直前にBGMがストップしてしまい不自然になってしまった。しかし、音声の裏のBGMは盛り上がるタイミングが選ばれている。
    • 『II』のOP部分、リリアと初対面の場面がボイスイベントになっていて使用BGM単体の収録はされておらず、サウンドテストで聴けるこの場面のBGMは内蔵音源バージョンである。イベントで流れるBGMがサウンドテストで聴けず、かといって内蔵音源バージョンはゲーム中では聴けない……という何ともいえない状態になっている*5
  • ボイスイベント中はセリフが文字では表示されないので、音声を聞き取らないと内容がわからない。
    • これは顔グラフィックと文字ウィンドウを両立できなかったため。しかし顔グラが出ないボイスにも文字が付かない。
  • いずれも、当時としては仕方のなかった部分である。後のシリーズでは改善されている。

総評

当時の移植の中でも群を抜いたビジュアルと『I』『II』を同時に楽しめることから良移植として多くのプレイヤーに評価された。
本作以降、二作を同梱した移植は『イースI・II完全版』まで出ていなかったため、長い間人気がつづく一作となった。

余談

  • セーブデータの保存数は5つかと思いきや、隠しパスワードにより100個まで増やせる。その上パスワードとしても保存可能。
    • パスワードにも対応している点については、CD-ROM2システムのバックアップメモリが全体でわずか2KB(2048バイト)しか存在しなかったための退避策という側面がある。
  • 隠しパスワードは3つ存在するが、そのうちの1つである「セーブデータ枠増加+サウンド及びグラフィックのテストメニュー追加」は岩崎氏の本名が使われている。
    • 残る2つのうち一方はいわゆるデバッグモードだが、最後の1つは「コントローラーで特定の操作をすると時間を止められる」という、ゲーム雑誌などの編集部が撮影に使うことを想定して入れたものである。
      • 余談だが、デバッグメニューには大抵のマップにジャンプできる機能が搭載されているため特定のアイテムの存在価値が実質なくなっているのはありがちな話であるが、『I』では本来一度入ったら二度と出られなくなるはずのダームの塔から脱出するなんてこともできる。
        もっともダームの塔におけるこの設定自体単にディスクの入れ替えが発生するのを嫌ったご都合主義でしかないが。
  • ハドソンが担当したPCエンジンローンチタイトルのR-TYPEでスプライトの制限を違反してのものだったので*6「(R-TYPEの)今回だけ」で見逃してもらったものの、イースの開発でその制限に相当苦労したとの事。
    • どうしてもスプライトの制限を超える可能性があったので、「その時だけブーストモードにして良いか」と聞くと、即答でダメと言われてしまったという。