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スカッドレース - (2018/02/23 (金) 23:19:26) の編集履歴(バックアップ)


スカッドレース

【すかっどれーす】

ジャンル レース
対応機種 アーケード(MODEL3)
発売・開発元 セガ・エンタープライゼス
稼働開始日 無印:1996年
Plus:1997年
プレイ人数 1~8人
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 極めて難しい操作性
破格のグラフィック
カオスな超初級
伝説の誤植「インド人を右に!


概要

セガの基板「MODEL3」を採用した最初期のゲームの1つ。
デイトナUSA』のスタッフによって製作されたレースゲーム。その為、ゲーム性やUI面等『デイトナUSA』との共通点が多い。
タイトルに含まれているスカッド(SCUD)とは「Sport Car Ultimate Drive」の略称。
当時開催されていた「BPR GT選手権」を題材としており、魅力的な演出や、当時ライセンスの独占体制が敷かれていなかった「フェラーリ」「ポルシェ」といった実車が収録されているといった点が大きな特徴。
1997年にはバージョンアップ版である『スカッドレースPlus』が稼動した。

後述する「インド人を右に!」で有名なゲームであるが、
同時に当時のレースゲーム…いや、現在までに発売されたレースゲームの中でも屈指のマゾゲーでもある。


ゲームの流れ

  • 1.まずコインを入れるとコース選択になり、そこでコースを選択する。
  • 2.次に車種を選択する。『Plus』のみここでスタートボタンを押しながら決定すると、対応した車種に応じて隠し車種が選べる。
  • 3.最後にシフトタイプを「AT」か「MT」を選択し、レース開始。スタートボタンを押しながら決定すると敵車がいないタイムアタックモードになる。
  • 4.完走出来ればそのままリザルトになるが、3位以上(無印の初期ROMは1位)でゴールすればエンディング。ランクインした場合はそこから更にネームエントリーとなる。

筐体の種類

DX筐体

  • 50インチのプロジェクションTVを使った1人用筐体。ゲーム中にこちらのステア操作に合わせてが筐体が可動する。無印の初期ROMはこの筐体のみ。 TWIN筐体
  • 29インチのブラウン管モニターを2台搭載し、1台で対戦可能にした2人用筐体。無印の後期ROMの登場と同時に出回った。

初期ROMと後期ROMの違い

  • 初期ROMの発売年は1996年に対し、後期ROMの発売年は『Plus』同様1997年である。
  • 初期ROMは完全シングルプレイ専用で、通信対戦には非対応。
  • 後述の通り、初期ROMはかなりハンドルが重たかったが、後期ROMおよび『Plus』ではハンドルの重さがやや軽くなり幾分か改善されている。
  • 各種セレクト画面において、画面上の表記が英語表記+男性英語ボイスとなっているのが初期ROM、日本語表記+女性日本語ボイスとなっているのが後期ROM及び『Plus』である。

収録要素

コース

  • 超初級「SUPER BEGINNER」
    • 『Plus』で追加されたコース。子供部屋の中にそのまま敷かれたような左回りのオーバルコースであり、猫も飛び出す等、屈指のカオスなコースとなっている。他車もライバルカーを除いて全て隠し車種。何故かバックストレートでボウリングゲームができ、完走後にそのスコアの結果が表示される。通常設定で40台/6周。
  • 初級(昼)「BEGINNER(DAY)」Dolphin Tunnel
    • 昼の市街地を舞台としたコース。橋上からスタートする。均等にイージーコーナーが配置されており、海底トンネルのガラス張りがとても美麗。通常設定で40台/4周。
  • 初級(夜)「BEGINNER(NIGHT)」Twilight Airport
    • 夜の空港を舞台としたコース。日本航空の塗装を纏った飛行機が見所。「初級(昼)」より解りにくい&厳しいコーナーがある等、難易度は昼よりやや高め。通常設定で40台/4周。
  • 中級「MEDIUM」Mystery Ruins
    • インドを舞台としたようなコース。ここから急激に難易度が上昇する為、挑むなら操作や挙動にしっかり慣れてからが賢明。遺跡の中やジャングルと言った自然の中を駆け抜ける。後述の「インド人を右に!」はこのコースのもの。通常設定で30台/3周。
  • 上級「EXPERT」Classic Castle
    • 中世ヨーロッパの城下町をモチーフとしたコース。石畳の道路やお城、コロセウム等を縦断する。コースの長さは中級よりも少し長い程度だが、中級より更に難しい難所が詰め込まれている。通常設定で20台/3周。

収録車種

通常車種

  • ポルシェ・911「EASY DRIVING」
    • 一番操作が簡単とされているハンドリング重視マシン。滑り難い為、グリップ寄りな走行をしたい人向け。
  • フェラーリ・F40「NORMAL DRIVING」
    • 標準的な性能。とりあえずどれにしようか迷った時はこれを選んでおけば何とかなる、という場面も多い。
  • ダッジ・バイパー「HIGH TORQUE」
    • 加速重視。グリップ力が上記2車種に劣る上「NORMAL DRIVING」よりも最高速が低いが、その分加速性能が極めて高い。
  • マクラーレン・F1「HIGH SPEED」
    • 最高速重視。その分グリップ力は最低で滑り易さはトップクラス。少しハンドルを切っただけで豪快に滑り、操縦を誤れば瞬く間にバランスを崩してスピンする。初心者お断りの車種とは言え最高速重視なだけあってタイムアタック向けの車種であり、ベストラップを叩き出すにはこの車種を使用して操作に慣れなければならない。

隠し車種

  • バス「MATCHLESS」
    • ブリキ製のおもちゃのバス。ドリフトが他の車種と比べてもし易く、それでいて車体がかなり大きい為、ドリフトしつつ他車の進路を妨害するというプレイがメインとなる。ある意味では初心者向けの車種。窓に描かれているのはAM2研のスタッフだろうか?。ポルシェ・911から変化。
  • 戦車「SHOOTER」
    • 搭乗口らしき場所から飛び出してる頭が目立つおもちゃの戦車。スタートボタンで弾を発射出来る。当たった車は多少進路が狂い、スピードダウンする。当てた回数が画面下に表示されるという謎のシステムも搭載。フェラーリ・F40から変化。
  • 猫「QUICK MOVE」
    • 文字通りの猫。当たり判定がとても大きい代わりに加速が良く、少しハンドルを切っただけで物凄い勢いで良く曲がる。最高速が270km/hと最も低い。ダッジ・バイパーから変化。
  • ロケット「ULTRA SPEED」
    • ゼンマイで動くロケットカーのミニカー。スタートボタンで3回まで一定時間ウィリーしながら急加速出来るロケットを使用出来る。そのままでも凄まじい加速で僅か数秒程で最高速に達し、その最高速が400km/hと全車種の中で最も高い。その代わりハンドリングは非常に重く、まともにコーナリングするためには相当な減速を強いられる。マクラーレン・F1から変化。

その他

  • アルピーヌ・A610
    • ライバルカー以外の他車で登場する車種。プレイヤーは使用不可能。
      • ちなみにライバルカー含む敵車はレース中に制御不能になって壁と接触してクラッシュすることがあり*1、場合によっては画面右、コンディションレーダーの上に表示されているRETIREカウントが増加する。

評価点

  • 「MODEL3」から出力されるグラフィック群はPS2初期レベルに美麗。しかもこのグラフィックが60fpsで動く。流石はセガといった所か。
    • 同時走行台数は驚きの最大40台。これで処理落ちを起こさない所も素晴らしい。
    • 超初級と初級はローリングスタートであるが、この演出も中々に凝っている。
    • 『デイトナUSA』では外からは見えなかった自車の車内が見えるようになった。車内にはプレイヤーの分身となるドライバーが新たに配置されており、こちらの操作に連動してハンドルを動かしたり、対戦モード時の勝敗で嬉しがったり悔しがったりする仕草を見せる。
      • 「HIGH SPEED」のマクラーレン・F1はドライバー用のシートが社内の中央に配備されるという非常に特徴的な作り*2になっているのだが、この部分も再現されている。
    • 『デイトナUSA』同様にピットインの概念があり、ピットクルーが作業する所も細かく描写されており本格的。
      • 通常設定ではあくまで遊び要素だが、基板内のテストモードでロングラップ設定にしている場合は、タイヤのグリップ力が徐々に落ちてくるようになるため、適切なタイミングでピットインし、タイヤ交換を行う必要が出てくる。
  • コースも魅力的で、それぞれのコースに特色を持たせる事に成功している。視覚的ギミックも非常に特徴的なものが多い。
    • レイアウトも超初級以外は必ずジャンピングスポットが用意されてるなど、ダイナミックな作りとなっている。
  • 車種も魅力的な実車を4車種収録。当時はメーカーの独占体制が敷かれていなかった「フェラーリ」や「ポルシェ」が実名で収録されている。
  • 『Plus』では架空の隠し車種も登場している。選択時には対応した効果音が鳴る。上記の通りやたらシュールな車種群が目立ち、こちらも面白い。
  • BGMの質が高く、特に初級(夜)のBGM「Flight in the Dark」はボーカルもさることながら非常に高評価。
  • 「逆走だあああ!」といった特徴的な演出はなくなったものの、逆走プレイも『デイトナUSA』同様に可能。無事にゴールすると記録に逆走で完走した事を示すマークが付く点も同じ。

問題点

  • 異常なまでに操作が難しい。このゲームの「レースゲーム屈指のマゾゲー」という評価を決定付けている最大の要素である。レースゲームでは操作性がゲームとしての面白さに直結している部分もある為、ここがまずいのは致命的であろう。
    • 「EASY DRIVING」でもハンドリングが重く、ある程度慣れないとドリフトもままならず、アウトに膨らんで壁ヒットする事も珍しくない。寧ろドリフトし易い分滑り易い「HIGH SPEED」の方が簡単に思えてくるプレイヤーまで存在するという。
      • それでもコツが掴めないとまともに走らせる事すらままならない。しかもこれでもまだマシな方で、実は無印の初期ROMはただでさえ重い挙動からまた更にハンドリングが重かった。
      • 余談だが、ゲーム内では「NORMAL DRIVING」と比較的運転しやすい性格付けがされているフェラーリ・F40であるが、現実での実車は本作での運転しやすさとはかけ離れたドライビングが難しい車として知られている。
        高出力のエンジンを搭載しながら近年のスポーツカーのような電子制御が備わっていないことから「HIGH SPEED」(=マクラーレン・F1)並みに腕を必要とされており、それを知っていたら「何がNORMALだ」と思うこと請け合い。
    • かといってドリフトアングルを付け過ぎると、『デイトナUSA』のようにスピンしてしまう。しかも許容範囲も『デイトナ』以上に狭いので、ドリフトの難易度は更に上昇してしまっている。
      • 「難し過ぎて面白くない」となりかねない操性とはいえ、手抜きとは感じさせないだけのものはある。実際このゲームの挙動に惹かれた熱心なファンを生み出したという側面もないわけではない。……とはいえ、一般ウケを考えればもう少し調整するべきであったのは説明するまでもないだろうが。
  • 上位のNPCカーが異様に速い。他のセガゲーと比べれば若干遅い方だが、それでも他社のレースゲームの平均よりも明らかに速い。
    • 追い討ちとばかりに、制限時間もかなり厳しい。
  • 「AT」と「MT」の速度差が大きく、後者の方が10km位最高速度が高い。これだけでもかなりのアドバンテージである。
  • BGMはコースごとに固定となっており、自分で選択する事が出来ない。但しBGMの選定それ自体は場の雰囲気にあったものになっており問題は少ない。

総評

グラフィックの美麗さや魅力的な実車等、目を引かせる要素は多数あった、が…その操作性で全てが台無しになってしまった作品。

一般ウケが非常に悪かったのは事実であるが、しかし一部に熱狂的なファンを生み出したのもまた事実である。
Ver.UP版が出たのもそうしたファンの心をがっちりと掴んだ事の証左と言えるだろう。
同社のレースゲームである『セガツーリングカーチャンピオンシップ』に似たようなゲーム、と評価できるかもしれない。

後述する今は亡きゲーメストでの誤植で、後世にもその名が知られるという予想外の事態となった本作ではあるが
面白半分でプレイしようものならばあっさり返り討ちにされるのがオチである。ある程度他のレースゲームに慣れてからにしたほうが賢明だろう。


ゲーメストでの伝説の誤植

  • 当時のゲーマーやレースゲームをメインにプレイしている人以外では、これで本作の存在を知ったというユーザーの方が多いかもしれない。
    • その名も「インド人を右に!」。1997年4月30日に発刊されたゲーメスト193号218ページに記述があるので、今手元にその雑誌があれば確認してみてはいかがだろうか。画像検索でも当該ページの画像を容易に見つけられるだろう。
      • 中級での急な左→緩い右のS字カーブを「HIGH TORQUE」で攻略している画像の左側にその原文が記述されている。
  • 原文では「くお~!! ぶつかる~!! ここでアクセル全開、インド人を右に!」と記述されている。
    • 恐らく「ハンドルを右に!」と記述するつもりだったが、「ハ→イ」「ル→人」と誤植したのだろう。
      • 当時のゲーメストはこの他にも数多く伝説級の迷誤植を残しているが、その主な原因として「当時の雑誌原稿はまだ手描きが主流だったにもかかわらず、編集スタッフが悪筆揃いであった」ことと「締切直前の入稿が多く、誤植を直す時間が取れなかった」ことが挙げられている。
      • ザンギュラのスーパーウリアッ上」「確かてみろ!」と共にゲーメスト三大誤植と呼ばれることも。
      • 上記二つが両方ともストリートファイター関係であるため、「インド人を右に」はダルシム*3と無理やり結び付けられることもしばしば。
    • …しかしながら例え誤植が無かったとしても、謎のハイテンションや添付の写真が「左コーナーを曲がっている状態だし、右側は壁」等、色々とツッコミ所が多い記事ではある。
      • 実際は「左コーナーで一度ハンドルを左に切り、ドリフト(態とスピンさせた)状態からハンドルを反対(右)に切ってスピンし過ぎを防ぐ」と言う所謂「カウンターステア」を充てている状況なので、記事の内容は間違ってはいない。誤植の該当箇所だけを切り抜いた事によって起きたネタである。
    • 後のセガの音楽ゲーム『CHUNITHM』の収録曲として、この誤植をネタにした楽曲「The wheel to the right」が製作されている。
      • 作曲者は『リッジレーサー』等でおなじみのsampling masters MEGAこと細江慎治氏。曲的には細江氏お得意のロッテルダム系。よりによってリッジレーサーの公式ライブイベントでこの曲が流れる一幕も*4
    • ネットの海を探してみると、この誤植記事の原稿と思しき画像が見つかる事もあるが、元ゲーメスト編集長によるとネット上の原稿画像はねつ造されたものらしい。 (該当ツイート)
    • これらの要素から、「インド人を右に!」が『ストリートファイターシリーズ』もしくは『リッジレーサー』の記事の誤植が元ネタだと勘違いされやすく、「インド人ネタは知っているがスカッドレースというゲームは知らない」という人も多い。

余談

  • 海外版ではタイトルが『SEGA SUPER GT』に変更されている。
    • ちなみに、『SUPER GT』という名前は、2005年から開催されているモータースポーツ競技の名称としても使われている。*5
      • 2018年3月にはそれを題材としたセガの業務用レースゲームである『SEGA World Drivers Championship』が稼働予定である。
      • スカッドレースの海外版として名乗っていた『SEGA SUPER GT』と、2005年から開催されているモータースポーツ競技の名称である『SUPER GT』を掛け合わせれば、非常かどうかは定かではないが、この事は偶然と言ってもいいぐらいだろう。
  • 『アウトラン2』の家庭用の隠しコースとしてこのゲームに登場したコースが登場する。
  • 本作で実名収録されている「ポルシェ」は現在『ニード・フォー・スピードシリーズ』等のエレクトロニック・アーツ(EA)作品でしか使用できず、EA以外のメーカーは主にポルシェのチューナーである「RUF」が使用される事が殆どである。
    • ポルシェ側が「独占契約が無ければ他のゲームにも参加したい」と発言した事がある為(宣伝効果を考えれば当然だろう)、恐らくはEA側による契約事項によるものだろう。
      • ちなみに2016年でこの独占契約が解除されたらしく、Forza Horizon2やGRANTURISMO SPORTに収録されている。
      • 2018年7月に稼働予定の湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE 6でもポルシェの追加が予定されている。国内向け業務用レースゲームにポルシェが収録されるのは『ル・マン24』以来となる。
  • 製作スタッフがほぼ同じであること、更にゲーム性やUI面から、同社の『デイトナシリーズ』と比較されることが多い。
    • 使用基板が同じである後の『デイトナUSA2』と共に家庭用移植を熱望するファンも存在するが、両作品ともに現在も移植は行われていない。