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アーマード・コア2 - (2013/01/11 (金) 09:41:52) の編集履歴(バックアップ)


ARMORED CORE 2

【あーまーど・こあ つー】

ジャンル 3D戦闘メカアクション
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 フロム・ソフトウェア
発売日 2000年8月3日
定価 7,140円
ポイント 一人プレイは良好、ACニューカマー向け
対戦バランスは崩壊、理不尽なテクニックも横行
後続作『AA』の同時購入を推奨
アーマード・コア シリーズ 作品リンク



概要

3Dアクションシューティングというジャンルの中でも評価の高い『アーマード・コア』シリーズのPS2初進出作品。
PS1の『PS三部作』とは世界観を一新し、パーツデザインなども新たに作り起こされた。

ゲームの根幹となるシステムそのものは今までの作品と変わりなく、プレイヤーは人型機動兵器「アーマードコア(AC)」を操る傭兵、「レイヴン」となって企業などの依頼を受け、資金を稼ぎ、機体を強化して次なるミッションへと挑んでいく。


ストーリー

「火星テラフォーミング計画」によって、人類は火星へとその行動範囲を広げる。
しかし、同時に火星には地球と変わらぬ企業間抗争の構図が持ち込まれ、統治組織LCCはあまりに非力だった。
かつての地球と同じく、火星では再びレイヴン達が飛び回る状況が現出。LCCは事態打開のため、地球から特殊部隊フライトナーズを招聘。
だがそれは、新たな時代の訪れを告げる戦いの幕開けを意味していた……

戦いの舞台を火星に移して展開される遠未来的なSF調ストーリーは、抑圧された地下世界が舞台だった過去作とはまったく異なる雰囲気を持つ。
一般的な「ロボット物」に近いストーリー展開は、PS三部作のファンからの賛否は分かれている。だが、その分流れが掴みやすいこともあり、初心者にも勧めやすい内容となっている。


PS三部作からの進化点

追加要素

  • 新たなパーツカテゴリ
    • 今までのパーツカテゴリに加え、「ラジエータ」、「インサイド(機体内蔵型補助兵装)」、「エクステンション(補助兵装)」の三つが追加。
    • 既存武装に関してもカテゴリーがわけられ、エネルギーシールド、オービット兵器などが新規に追加された。 脚部パーツにも新脚部「フロート」が追加。
  • 熱量システム
    • 今回からACには「熱量」という概念が追加された。被弾や特定の動作により機体に熱が蓄積し、オーバーヒートを起こすと一定時間ダメージを受ける。
    • 本作ではまだ重要性は薄く、プレイヤーからはあまり重要視されていなかった。
  • 新機能「オーバードブースト」(OB)
    • 全コアパーツに搭載された新たな機能。大量のエネルギー消費と引き換えに、大型ブースタで機体を高速推進させる。ゲームスタイルをより高速戦闘寄りにシフトさせた要因である。

変更点

  • 「2次ロック」の導入
    • ACシリーズ特有のシステムで相手の移動ベクトルを加味して弾を発射する「予測射撃」というものがあるが、旧作と違い本作からは一定時間相手をロックオンし続けないと予測射撃を行わなくなった。これを通称「2次ロック」と呼ぶ。

その他の要素

  • 2シリーズのみの特徴として「リミッター解除」が存在する。
    • 一時的にエネルギーゲージ関連の制約が消失、ブースト、エネルギー兵器の全てが使い放題となる。ただし一定時間が過ぎると長いエネルギーチャージを待たねばならない。 
  • グラフィックはPS2のスペックをフル活用、PS2初期の作品ながら、既に中期~後期レベルのクオリティを実現している。
    • フロムのお家芸、「ハイクオリティなOPムービー」は更に洗練され、多くのレイヴンを魅了した。

評価点

  • プラットフォームがPS2に移行した事でグラフィックが美麗になり、特にフレームレートが上昇したため滑らかさが飛躍的に向上した。また、カメラの追従もクセが多少緩和され、画面はかなり見やすくなっている。
  • 一人プレイに関しての評価は高い。
    • 猛威を振るったテクニックはあくまで対戦やアリーナに限った話であり、様々な状況に対応しなければならないミッションでは汎用性に著しく劣るし、三大武器と呼ばれる対戦ご用達の武器も、弾数やサイト周りの関係で殆どのミッションに対応できないのである。
    • 後続作『AA』でも死にカテゴリとされるマシンガン系も、本作では意外に弾薬費が安いという特徴を持っており、長丁場のミッションでも勿論、機動性の低い敵が多い事やサイトが広いなどから非常に扱いやすい。
    • 敵ACのロジックが進歩していないとはいえ、アリーナの面々は決して初心者にとって生易しい相手ではない。旋回戦の敵の側面を突かしめる重要性、装備による各武装の相性、相手の苦手な装備や戦術の確立、一見強力なACでも距離を見極めると…といった常識的な知識を学ぶには過不足無いレベルにまとめられており、高難易度としても知られる次作『AA』に向けて、慣れる為の前哨戦としてはむしろ優れているとの見方が多い。
    • 一人プレイに関しての評価は、AC入門として『3』と並ぶACニューカマーに推奨されているという事実が端的に示していると言えるだろう。

問題点

意欲的な本作ではあるが、PS2初進出作品ということもあって粗も多かった。

  • 対戦バランス
    • 対戦ツールとしては問題が多過ぎる。
      • シリーズお馴染みの名銃「KARASAWA-MK2」、「三大武器」と呼ばれる種の武器パーツが猛威を振るう一方、マシンガンやショットガンは火力の低さから非常に使い勝手が悪い。さらに、エクステンションの「バックブースタ」の調整不足によって、左右に切り返しながら連発する「デンプシーロール」というテクニックも合わさって対戦バランスは完全に崩壊してしまった。
      • 最大速度に厳しい上限が設定された影響で軽量機は本来の性能を発揮できず、新脚部のフロート型も軒並み性能が悪い。
      • 長すぎるリミッター解除時間も問題。対戦終了時間直前に発動、OBでの勝ち逃げを狙う展開が頻発。
      • この作品でシリーズ初の全国大会が開かれたが、無茶苦茶なゲームバランスを示すかの如く、大会は酷似した機体構成・戦法が多く見受けられるお粗末なものになってしまった。
  • 難易度選択の不備
    • ノーマルとハードの2つから難易度が選択できるのだが、ハードモードはなんと自機のロックオンサイトのサイズが小さくなるだけ(およそ約1/2)。これにプレイヤー間での対戦ルールの不統一を招いてしまうという問題が併発した事で大きな難点として表面化する事になった。
    • この仕様は『3』シリーズまで継続している。
  • その他アクション面
    • 本作はPS三部作に比べてACの挙動が非常にもっさりとしている。この部分に悪い意味での衝撃を受け、PS三部作に逆戻りしたファンも少なくはない。
      • ただし、この遅さだからこそロケットやミサイルが活躍でき、オーバードブーストの爆発的なスピードが一瞬の深い駆け引きをもたらすという+の部分もある。
    • アリーナの敵ランカーは強力な武器や強化人間能力(シリーズ恒例の公式チート要素)に頼ったものが多く、ロジックがあまり進歩していない。こちらをろくにロックオンしないランカーや、オーバードブーストでエリア限界を振り切って飛んでいってしまうランカー、壁にはまったまま動かなくなるランカーなどが目立つ。
    • 処理落ちが酷い。複数機がマシンガンやミサイル、爆発武器を撃ちまくればたちまちマトリックス状態に突入してしまう。
  • システム面
    • パラメータの複雑さは相変わらずで、重要パラメータが極めて分かりにくい点が修正されていない(更に表示方法にも難がある)。ダミーパラメータ・隠しパラメータも健在。
      • また、メニュー画面でのコマンド移動が妙に遅い。

総評

この作品は以降の「PS2のアーマード・コア」の方向性を決定づけた作品であり、試行錯誤の形跡が多く見られる。新ハードへの移行一発目、粗が散見されるのはある程度仕方ないが、それを加味しても対戦バランスに関しては絶望的と言わざるを得ず、手放しで良作ということは出来ない。
とはいえ、一人プレイのミッションモードは良好なバランスに仕上がっているのは見逃せない評価点であり、ACニューカマーには『3』と並んでお薦めされる作品である。ストーリーもわかりやすく、ACに興味を持った方はぜひ手に取ってもらいたい。今も中古販売店で安価で売られているので入手も比較的簡単である。

プレイの際は、ぜひバランス調整が行われた次回作『2 アナザーエイジ』をセットで購入しよう。
セーブデータを引き継いだ君を、更なる試練と感動が待っている。