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ドラゴンクエスト 少年ヤンガスと不思議のダンジョン - (2015/09/21 (月) 05:44:27) の編集履歴(バックアップ)


ドラゴンクエスト 少年ヤンガスと不思議のダンジョン

【どらごんくえすと しょうねんやんがすとふしぎのだんじょん】

ジャンル ローグライクRPG
対応機種 プレイステーション2
メディア DVD-ROM 1枚
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 キャビア
発売日 2006年4月20日
定価 7,140円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:全年齢対象
廉価版 アルティメットヒッツ
2007年6月28日/2,940円
判定 なし
ポイント 不思議ダンジョン式DQモンスターズ
初心者向けの難易度
ドラゴンクエストシリーズ関連作品リンク

概要

『ドラゴンクエスト』シリーズの世界観やキャラクターを使ったダンジョン探索RPG(ローグライクゲーム)である『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』シリーズの流れをくむ作品で、それまで主役を務めていた「トルネコ」に代わり、『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』(以下『VIII』)に登場した仲間キャラクター「ヤンガス」が主人公である。

ストーリーはヤンガスの少年時代を描いたものであり、壷の中に広がる異世界「ポッタルランド」が舞台。そこで、同じく『VIII』に登場する「ゲルダ」や、シリーズの前主人公であるトルネコと出会う。

モンスターズ』(以下『DQM』)シリーズのような「配合」システムが採用されており、その手続き担当として『VIII』から「モリー」が登場している。グラフィックは『VIII』に近い3D+トゥーンレンダリング。BGMも『VIII』におけるヤンガスのテーマ曲のアレンジ版などが使用されている。

また不思議のダンジョンと言えば、何らかの形でチュンソフトが関わってきたが、今作は関わっていない。

特徴

  • 主人公のレベルは初期化制。冒険失敗やクリアでポッタルランドに戻ると、ヤンガスのレベルも1に戻される。
  • ダンジョンは一部(チュートリアルの「まどわしの森」など)を除くと、「カンダタ遺跡」の1つがメイン。ただし、特定のフロアには下に降りる階段以外に別のダンジョンへの入口があり、ダンジョンが分岐する構造になっている。
    • 一度入口を見つけたダンジョンは、2回目以降はポッタルランドから直接向かえる。
      • カンダタ遺跡の最初から順に攻略していった場合、レベルやアイテムは他のダンジョンに持ち越される。
  • 敵モンスターは主に『VIII』から参戦。トルネコシリーズでお馴染みのモンスターも、近い特性を持つモンスターが『VIII』にいる場合はバトンタッチしていることが多い。
    • 同系統の色違いモンスターはほぼ全種類登場。そのため、本作には「マクロベータ」「ディープバイター」といったマイナーどころがぽつぽつ顔見せしている。
  • 『VIII』同様、力をためることでダメージを上げる「テンション」システムがある。
  • ダンジョンにいるモンスターは仲間にすることが可能。
    • モンスターごとに異なる所定の条件を満たした上で、「モリーの壷」というアイテムを使用すると捕獲できる。条件は「HPを減らす」「特定の状態異常にかける」「ワナにはめる」など様々。
    • 仲間モンスターも戦闘で経験値を得てレベルアップする。モンスターのレベルはダンジョンを出ても継続される。
    • 一度に同時に外に出せるモンスターは3体まで。壷が割れてしまったなど何らかの原因で4体目以降が外に出てしまうと、「大混乱状態」になってしまう。壷に戻せば治るが、大混乱状態のモンスターを放置して次の階層に降りると、そのモンスターははぐれてしまい死亡扱いになる。
    • 仲間モンスターは「信頼度」というパラメータをもち、これが低いうちは一部の作戦しか出せない為こちらの言うことを聞かない。仲間にしたばかりの時はむくれていて壷からも出てくれないが*1、アイテムをプレゼントする、レベルアップさせる、アイテムでHPを回復するなどして機嫌を取ると信頼度が上がって壷から出てくれるようになり、さらに仲が深まると命令できる作戦が増えていき、「ここでまってて」「合体しようぜ」などの命令に従ってくれるようになる。
      • 系統毎に好物とする種別のアイテムがあり、好物をプレゼントすると信頼度がよく上がる。小さなメダルは全てのモンスターが好物とする。
        さらに、各モンスターに個別に大好物のアイテムが設定されており、大好物をプレゼントすると信頼度が大幅に上がる。
      • 信頼度が高くなると能力値に若干プラス補正が付く。
      • また、この信頼度によって仲間モンスターの台詞が変わる。雌モンスターの中には、ヤンガスに気のある素振りを見せる者も。信頼度が90以上になると冒険や配合のヒントを教えてくれるようになる他、後述する隠し階段を見つけてくれるようになる。
    • モンスターブックという図鑑のようなものがあり、仲間にしたモンスターが記録されていく。
      • 仲間にした事のないモンスターでも、『物知りの杖』を振ると捕獲方法などの一部情報が記録される。配合で作れる一部のボスは、倒すだけで全情報が記載される。
  • 配合システム
    • 信頼度が一定以上の仲間モンスター2匹を掛け合わせて強力なモンスターを生み出すシステム。子どもは親の持つ特殊能力を継承するなどの優遇措置がある他、これでしか仲間にする手段のないレアモンスターもいる。
    • モンスターズシリーズとは異なり、信頼度さえ足りていればレベル1でも配合できる。必要な信頼度は種族毎に異なる。
    • 生まれてくるモンスターの性別を自由に変える「祝福」を無料で行うことが出来る(モンスターズシリーズでは有料だった)。更に、育成途中でモンスターの性別を変えられるアイテムもある。
    • 配合所は一定以上ゲームを進めるとポッタルランドに常設されるほか、ダンジョン内の階層間に出現することもある。
    • ゲームを進めると、配合の際に贈り物を行える。配合するモンスター2匹の他にアイテムを使うことで、子どもの能力を底上げしたり、突然変異で全く異なるモンスターが生まれたりといった変化が起こる。
  • 「合体しようぜ」
    • 仲間モンスターに出せる作戦の1種。ヤンガスとモンスターが合体することで、モンスターの特技・特性を任意で活用できるようになる。
    • 合体形態は仲間モンスターの種別によって、頭に乗せる・上に乗る・融合するなどがあり、ヤンガスの攻撃の後にモンスターの攻撃が付加されたり、通常では入れない地形に入ったり、魔法反射などの身体特性を共有したりできる。
    • 融合中はモンスターの系統に応じてヤンガスの顔が変わる。
    • モンスターと合体するには、そのモンスターの系統に対応した『心』というアイテムが必要。心はストーリーを進めると入手することが出来る。
  • 秘密の通路
    • ダンジョン内に、普通の階段とは別に隠し階段が現れることがある。最初から見えておらず罠チェックと同じ要領で探す必要のあるものや、周囲に障害物や罠が張り巡らされたものがあり、入るには仲間モンスターの能力やアイテムを駆使することが重要。
    • 中はミニダンジョン(全3階層)、配合所、トルネコの店*2、ゲルダのクイズ(連続正解数に応じたアイテムがもらえる)のいずれか。ミニダンジョンでは通常のダンジョンよりレアアイテムが出やすい他、ここでしか捕獲できないモンスターもいる。
  • ストーリー進行の上のイベントシーンにはアニメムービーが挿入される。
    • ナレーション担当は八奈見乗児(『ヤッターマン』のボヤッキーや『ドラゴンボール』のナレーションで有名。もっと言えばCDシアター版DQ4のブライ役)。

難易度について

難易度は、ローグライクゲームとしては易しめである。

  • トルネコシリーズで登場した凶悪モンスターも、全体的に特殊能力がマイルド調整されている。
  • 満腹度の減少は20歩で1%。トルネコシリーズは10歩で1%だった。
    • 但しこれはテンションを上げると満腹度が減る点や、仲間モンスターにもパンを与える必要性が出てくる点(後述)を考慮した調整の可能性もある。
  • モンスターを十分に強化していた場合、アイテムは余り気味になるほど。
  • 装飾品は従来の「指輪」を2つ装備できる他に「お守り」という指輪以上に強力な効果のアイテムがあり、全て同時に装備できる。
    • ちなみに『シレン』シリーズにも腕輪を両手装備できるものはあるが、そちらは装備している装飾品が壊れるシステムも併せ持っていて、プレイヤーに有利である反面バランスは厳しく調整されている。
    • これ以外にも、同系の他作品では一長一短に設定されている要素から短所が緩和されている例(2マス先まで攻撃できる武器を盾と同時に装備できるなど)は多い。
  • ダンジョン内の店での泥棒も非常に簡単になっている。『大部屋の巻物』と「そこでまってて」を指示できる仲間モンスター1体だけを使って100%確実に且つ安全に泥棒が出来るテクニックがある上、そのテクニックが普通にゲーム内で推奨されている。
    • この為か、本作はシリーズ従来作と比較するとダンジョン内の店の品揃えがあまり良くない。
  • このように不思議のダンジョンとしては低めの難易度に調整されている一方、死亡した際には後述のようにゲルダにボロクソに罵られる為、一度も死亡することなくクリアすることを前提に難易度を調整した可能性も考えられる。
  • 救済措置も充実している。
    • 攻略失敗の際は持ち物が半分消失、逆に言えば半分残る。また武器防具は消失しないようにする保険が用意され、死亡ペナルティは低く抑えられている。
    • 仲間モンスターについては、一度ポッタルランドに連れ帰って牧舎名簿に登録したモンスターならダンジョンで倒されても戻ってくる(攻略中に獲得した経験値はリセットされる)。
  • 例外として、罠だけは全体的に強化されている。
    • 「ビックリのワナ*3」「ゼロ化のワナ*4」といった凶悪な罠が多数登場している。
      • 特に「ビックリのワナ」は「モンスター化のワナ*5」とのコンボが凶悪。この「モンスター化のワナ」自体も強化されており、トルネコ3では1度作動すると必ず壊れるようになっていたが本作では壊れる確率が他の罠と同等になった。
    • クリア後ダンジョンには「隠し階段の周囲8マスに大型地雷が敷き詰められている」という初見殺しまで存在する。
    • 罠の数自体もやたら多く、狭い部屋では何らかの罠を踏まないと通り抜けられないような構成になっていることもしばしば。
    • 罠を壊す手段自体は豊富にあるのだが、「石」は地雷などを壊す際に作動させてしまう、「おおかなづち」は何度か使用すると壊れる、特技の「ワナこわし」は習得するモンスターが1体しかいない上に生み出すにはクリア後ダンジョンに低確率でしか落ちていないレアアイテムが必要・・・と、いずれも一長一短に調整されている。
    • 飛行タイプのモンスターと合体しながら進むと罠を回避することが出来る為、それを利用することを前提とした調整と言えなくもない。

評価点

  • 『DQM』シリーズに近いシステムの採用により、収集要素・育成要素の強いローグライクゲームとして楽しめる。『トルネコ』シリーズ同様、なじみの深いメジャータイトルのスピンオフ作品であることも強み。
  • グラフィック・アニメムービーの質は良好。登場キャラクターにも愛着を抱きやすく、ほんわかと温かみのあるシナリオやBGMの雰囲気ともよく合っている。
  • トルネコ3?』などの単純な確率依存とは異なる、条件さえ揃えれば運に頼らず確実に捕獲できる能動的なモンスター仲間システムは好意的に見られている。
  • 『VIII』ではあまり出番が多くなかったゲルダの人物像がかなり掘り下げられた。
    • 前述のゲルダのクイズは彼女の好きな物や考えていることなどを当てていくクイズであり、意外な一面が分かることもある。
  • 町の中での移動のテンポが良い。ルーラを使用でき、店などの各施設に瞬時に移動出来る。

問題点

  • 正直ストーリーはいつもどおりあってないようなもの。
    • これが『シレン』シリーズなどゲーム性を重視するシリーズだったら特に問題はなかったが、今作は演出面にかなり力が入っていて、なおかつストーリー自体もウリとして宣伝。にもかかわらずいつものノリなのはいただけない。
    • 後述するフラグ管理の手法の所為ではあるが、各種モンスターの心は「必要になるダンジョンに入る直前に唐突に町の人から貰える」という展開が殆どであり、ご都合シナリオに感じられてしまう。
  • 仲間モンスターのAIにかなりの難がある。
    • 特技を乱用するなどの勝手な行動が目立つ。信頼度や作戦を活用させるためとも受け取れるが、その作戦を駆使しても、いまいちかゆい所に手が届かない。
    • 本作ではモンスターが特技を使った時や長時間合体し続けている時に「つかれ」というポイントが溜まっていき、これが100%になると強制的に壷に戻ってしまいしばらく壷から出せなくなる (この時に空いている壷を持っていない場合も大混乱状態になってしまう)為、炎無効の敵に炎を吐き続ける*6ような無駄使いをされるのは困りもの。仲間モンスターにパンを投げ与えると疲れが回復するが、巨大なパン等の全回復系以外は効果量が小さい。
      • 強力な特技程消費も大きいので、最強クラスの威力の呪文・特技が軒並み地雷スキルと化してしまっている。
    • 他にも、回復は「いのちだいじに」以外の作戦でもHPが1減っただけでベホマを使うほど過剰、重ね掛け無効の補助呪文を重ね掛けする、 特定の状態異常を治す呪文を覚えると誰も該当の状態異常になっていなくてもその呪文を連発する等、とにかく無駄な行動が多い。
    • 部屋の入口で「大防御」を使って動かなくなる(ヤンガスもそこを通れなくなる)といった、単純にプレイの邪魔になる行動が含まれているのも厄介。
    • 作戦を「とくぎつかうな」にすれば特技を使わせないようにできる。しかし、この作戦にすると何故かモンスターが移動の必要性がないターンでも必ず1歩歩くようになる為、早送りのテンポがかなり悪化する。
  • クリア前の配合の自由度が低い。
    • 本編中はフラグで通行止めしている箇所が殆ど無く、モンスターの能力によって行ける範囲が制限されている。しかし、そのシステムとの兼ね合いの為にストーリー進行度によって仲間に出来るモンスターの種類が露骨に制限されている。
      • 序盤からレアモンスターを連れ回すような遊び方がしたい人にとっては、「ストーリーに縛られている」と感じられてしまう。
    • モンスターズシリーズと違って掴まえたモンスターの初期レベルが一律1に設定されている為、モンスター毎のレベル1時のステータスにかなりの差がある。この為、行動範囲を広げる能力を持つモンスター以外にも「初期ステータスが非常に高く、クリア前に仲間にするとかなりヌルゲー化するようなモンスター」もクリア後でないと入手できないようになっている為、クリア後でないと入手出来ないモンスターが非常に多い。
      • この関係で、作りたいモンスターよりもレア度の高い親を要求される配合の組み合わせがかなり存在する。基本的に配合でしか作れないモンスター以外はダンジョンで掴まえて来た方が楽な場合が多く、配合システムの良さを活かし切れていない。
  • レアモンスターを生み出すにはクリア後ダンジョンに挑戦することになるが、アイテムや仲間モンスターの持ち込みに制限のあることが多く、配合重視のプレイにおいて不自由。
    • また、同じ理由により鍛えたモンスターなどを活躍させる場も少なく、「持ち込み可の高難度ダンジョンがもっとほしい」という意見はよく見られる。
    • しかしある程度は持ち込み制限を設けないと、ダンジョン自体の難易度に歯応えがなくなるという別の問題が出てくる。後半になるにつれ、ローグライクゲームと配合・育成システムとの間に齟齬が出る格好になった。
    • 前述のようにクリア後でないと入手できないモンスターが非常に多くなってしまっているのも、この不自由さを余計に感じやすい一因となっている。
  • テンポが良くない。
    • プレイヤーキャラの一挙手一投足に付随する細かい仕草や、配合時・攻略失敗時などの演出が、長時間プレイでは煩わしくなってくる。本作の下地となっているゲームのどちらも「快適さ」を重視されやすいジャンルであることが大きい。
      このせいで、前述したように罠の数が多いにも関わらず罠チェックが面倒という『トルネコ3』同様の問題点も。
    • 特にダンジョンのテンポは散々言われ続けた『トルネコ3』よりも悪化している。探索を「あきらめる」機能は搭載されているのだが、肝心の「再挑戦機能」が存在しない、死亡時に3匹のももんじゃが踊る長いムービーとゲルダに長々と説教されるイベントが入る、持ち込みなしダンジョンに再挑戦する際には残った道具をまとめて売り払ってゴールドもきっちり預けないと門前払いを食らう、など再挑戦への気概を著しく削ぐ仕様となってしまっている。
  • 色違いモンスターが漏れなく登場している=せっかくの仲間モンスターが色違いばっかり、とも取れる。行動パターンや配合方法も似ていて変化に乏しく、バリエーション多彩に見せる工夫に欠ける。
  • 全体的に低めの難易度から、ダンジョン探索に危機感を感じられず探索が単調になって、ダレることも多い。
    • ダレた時こそ最も危険で思わぬアクシデントに見舞われるジャンルであり、本作とて気を緩めたまま全制覇できるほど甘くはない。しかし、慎重に構えてしまうとあくびが出る。そんな、絶妙に退屈なバランスである。
    • 本作最難関ダンジョン「魔導の宝物庫」の設定は、最深部999階、仲間・お金含めた完全持込み不可(ある方法を使えば、レベル引継ぎは可)。しかし100F以降はモンスターテーブルの変化はあるものの敵が全く強くならず、根底の難易度が低く緊張感を維持できないため、200階程度も降りたところで殆どの人がダレるだろう。
      • ただしこのダンジョンについては「999階もあれば必要なアイテムが揃わず詰む事は無い」など位置づけに対する反論も多く、事故率の高さなら各階で必ずモンスターハウスが発生する上に仲間を確保するためのアイテムが非常に出にくい「夢幻の宝物庫」の方が上。こちらを最難関とするプレイヤーも多い。
  • さすがにぬるすぎる、とされる調整もある。
    • ある程度育てた味方モンスターの攻撃力が他と比べて極端に高くなり、ヤンガス自身も『トルネコ3』のトルネコとポポロを足して2で割ってない性能を誇るため、ボス戦は完全におまけ。
      • どれくらいかというと、味方の攻撃3発でボスですらやられてしまうほど。このため、ボスラッシュダンジョンである「もっとまどわしの森」の難易度は非常に低い。ここが数少ない「味方の強さを試せるダンジョン」である事も悔やまれる。
      • 主人公であるヤンガスの強さも不安定。レベルの低いうちは攻守共に低めで戦闘は仲間頼りになりがちだが、レベル60辺りで攻撃力・防御力といった各種ステータスが最大値に達し、HPが数百もあるのに敵からの被ダメージが20前後になるという無双状態になる。尤も、仲間モンスターは育て上げるとそれ以上に強くなるのだが。
    • マップを踏破して登録するとそのマップ上に敵位置の動きが常に映るようになる。例えるならば「常時地獄耳の効果」。このため、ダンジョン探索の緊張感が極端に減った。前述のダレる理由として真っ先に挙げられる部分である。なお設定で無効化することはできない。
      • 仲間のステータスを見るとカメラがその仲間の元に移動するのだが、この時その部分が未踏だと踏破した扱いになる。この為、強い仲間に『ガンガンいこうぜ』を指示してフロアを巡回させ定期的にステータスを確認すれば、安全にマップの踏破が出来てしまう。
  • 敵味方共に、会心(痛恨)の一撃が出る確率が非常に高い。
    • 会心率は「運の良さ」というステータスに依存しているのだが、鍛えた仲間モンスターともなると2~3ターンに1回は会心の一撃を出すようになる。
    • とある2つの武器の効果を合成して組み合わせると「通常攻撃が全て会心の一撃になり、尚且つ必ず命中する」というチート性能の武器が出来上がる。尤も、これら2つの武器はクリア後ダンジョンにしか落ちていない上に出現率も低いのだが・・・。
  • 各ダンジョンの出来にも問題がある。
    • 殆どのダンジョンでモンスターの出現テーブルが使いまわされている。本編中では持ち込み前提の難易度調整で段階ごとに難化する形のため全く問題ないものの、本編のラストダンジョンと持ち込みなしの隠しダンジョンの殆どが同様の出現テーブルになっているため、ダンジョンごとの特色が薄い。そうでないのは爆弾石を利用して進む「しゃくねつの大洞くつ」と上記の「夢幻の宝物庫」ぐらいである。
    • 出現テーブル自体はバランスも良く十分に練られた配置なのだが、そればっかりでは面白みに欠けるのも事実である。
    • 配合でしか作れないのに捕獲条件が設定されているモンスターもいる為、設定ミスの可能性もある。
    • 前述の隠し階段から行けることのあるミニダンジョンのモンスターテーブルも、同じダンジョン内では階を降りても全く変化しない。序盤は強敵ばかり出現するのでかなりのスリルを味わえるが、それらの敵も終盤には経験値の足しにもならない雑魚と化している為、レアアイテムを回収するだけの作業になりがち。
  • 階を降りてもBGMが一切切り替わらない。
    • 特に上記の「魔導の宝物庫」では999Fまでずっと同じ曲を聴き続けることになる。BGM自体は恒例のすぎやま氏による良アレンジとなっているのだが、使い方が致命的に悪いと言わざるを得ない。
  • トルネコ2・3同様、アイテムを使うタイプの倉庫が存在しない。
    • その為、バイキルトの巻物やメッキの巻物などを読む・保存の壷以外の壷の中身を取り出す・仲間モンスターに種を使う等したい場合はダンジョンに入って道具を使うしかない。

総評

レアアイテム探索やボス討伐などといった所定の目的を遂行するためにダンジョンに潜るローグライクゲームのスタイルで作られてはいるが、全体的なプレイ感は「目的を達成するための手段(育成)も楽しむ」という『DQM』シリーズの特性が強く出ている。そう考えると、有能なモンスターのいるダンジョンに限ってアイテムなどの持込制限がキツく繰り返しプレイが難儀だったり、せっかく育てたモンスターを活躍させる機会が少なかったりといった細かい部分が気になってくる。

ストーリーにひと区切りつくエンディングまでは制限が緩く、易しめの難易度と自由度の高いシステムとでバランスが取れているものの、いざやり込もうとしたときに何かと不満点が出てくる。これは「むしろクリア後からが本番」であることが多いジャンルの作品としては、それなりに無視できない問題点だろう。

本作はローグライクゲームであり、育成重視型RPGであり、DQのキャラゲーでもある。そういった様々な側面をまんべんなく押さえはしたが、様々なところに粗が多く、中途半端と評価されやすい作品である。
結果論で言うなら、「不思議ダンジョンの正当進化」か「システム違いの『DQM』」か、どちらかに徹底するべきだったのかもしれない。