本稿ではPS4/PS3用ソフト『ペルソナ5』と、PS4用ソフト『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』を紹介しています。判定はどちらも「良作」です。
【ぺるそなふぁいぶ】
ジャンル | RPG | |
対応機種 |
プレイステーション4 プレイステーション3 |
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メディア | BD-ROM/ダウンロードソフト | |
発売・開発元 | アトラス(セガゲームス) | |
発売日 | 2016年9月15日 | |
定価 |
パッケージ: 9,504円 ダウンロード: 8,800円(各税8%込) |
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レーティング | CERO:C(15才以上対象) | |
廉価版 | 【PS4】新価格版:2018年9月6日/4.980円 | |
判定 | 良作 | |
ポイント |
テーマは「怪盗」 過去作からあらゆる面が大幅進化 すさまじく増えたボリューム シリーズ特有の良さも損なわず テンポとゲームバランスにはやや難あり |
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女神転生シリーズ |
その歪んだ欲望を、頂戴する。
少年少女の葛藤とそれを取り巻く大人の姿を描く「ジュブナイルRPG」である『ペルソナ』シリーズのナンバリング第5作。
通称『P5』で、イメージカラーは「赤」となっている。これまでのシリーズは架空の都市が舞台だったが、今回は初めて「東京」が舞台になる。
元々2014年冬にPS3で発売予定だったが、2015年冬にPS4とPS3対応で延期になり、再延期で2016年9月15日に発売された。
『P3』と『P4』はデフォルメされた4頭身のキャラクターモデルだったが、今作ではPS4/PS3で開発するにあたってグラフィック面が強化され、リアルな頭身のキャラクターモデルになっている。
本作のペルソナ、及びペルソナ使いの異世界における姿・仮面はすべてそのキャラの抱く「反逆の意志」の化身・イメージとなっている。
「いよいよだ、お前の更生が始まる。」
近頃、巷では交通事故や地下鉄の暴走事件など、加害者が突如豹変し「なぜそんなことをしたのかわからない」と語る事件事故が多発し、「精神暴走事件」と呼ばれ怖れられていた。
ある日、酔った男性に絡まれた女性を正義感から助けた主人公だったが、その際男性に怪我を負わせたという冤罪を着せられたことで保護観察処分を受けてしまう。
裁判所の勧めで地元の高校から東京・蒼山の「私立秀尽学園」へ転校し、1年間保護司であり喫茶店「ルブラン」を営むマスターの佐倉惣治郎の元で生活をすることになった主人公。
しかし転校初日、途中で出会った同級生の坂本竜司と共に学校へ行こうとするも、なぜか学校が古城になり変わった不思議な場所へ行き着いてしまう。
訳も分からず中へ入ると、異形の存在「シャドウ」を従えた城の「王」を名乗る男に捕らえられ、そのまま処刑されそうになってしまう。
窮地に立たされた主人公だったが、何処かから聞こえてくる声に応じ自らの仮面を剥ぎ取ると、心の力「ペルソナ」に覚醒し、シャドウを撃退する。
逃走途中で出会った猫のような謎の存在、モルガナの助けもあり古城からの脱出に成功する。
どうにか学校に辿り着いた主人公だったが、そこにいたのは先程の古城で自分たちの命を奪わんとした「王」、もとい秀尽学園の教師である鴨志田だった。
鴨志田が顧問を務めるバレー部の生徒が日常的な暴力やセクハラを受けていることを知った主人公たちは、モルガナの手引を受け、主の歪んだ認知が具現化した異世界「パレス」で鴨志田の「オタカラ」を盗み、改心させることでこの暴虐を食い止めんとする。
我ら、「心の怪盗団」。貴方の心、その歪んだ欲望を頂戴する。
後に"怪盗団"として暗躍を始め、世間からの注目を密かに集めていく若者たちだが、
それは主人公の破滅の運命に至る、大いなる罠の始まりでもあった…
心の怪盗団「ザ・ファントム」 (*2)
+ | ... |
コープキャラクター (*5)
+ | ... |
バトル関係は、基本的にP3・P4と同じシステムを採用している。
シンボルエンカウント
ワンモアプレスバトル
属性の増加
状態異常の増加、TECHNICALの追加
カットイン
「HOLD UP」と「会話交渉」
ダイレクトコマンド
バトンタッチ
戦闘メンバー入れ替え
人質
仲間の派遣
怪盗同盟
メインストーリーのダンジョン「パレス」 「主」の歪んだ欲望を反映したダンジョン。
ランダム生成ダンジョン「メメントス」
サードアイ
ダッシュ
天気
ペルソナや合体の基本システムも『P3』『P4』と同様。
ペルソナ合体「ギロチン処刑」
ペルソナ強化「絞首刑」
ペルソナのアイテム化「電気椅子処刑」
ペルソナ特訓「投獄」
スキルカード
宝魔
日常パートは日付と共に進む限られた時間を使い様々な課題をこなしていくシステムで、これも基本は『P3』『P4』と同様。
コープ
コープアビリティ
SNS
主人公の人間パラメータ
自由行動
街の住人達
バトル
ダンジョン
グラフィック
音楽
ユーザーインターフェイス
シナリオ・キャラクター
悪役達が強烈な個性で物語を引き立てている
演出
盛りだくさんの遊び要素
小ネタ
ペルソナ処刑
序盤のアルセーヌの扱い
ペルソナの性能差
バトルに関する調整内容
とっつきにくい「銃」システム(『P5R』で改善)
敵との会話交渉のパターンが少ない
ゲームバランスを崩しかねない要素
怪盗団の行いに関する賛否
+ | その例(ネタバレ注意・項目の肥大化を防ぐため数例のみ) |
学園生活描写の薄さ
その他
ゲームテンポを悪くしている要素
ストーリーにおける春の出番の少なさ
カバーアクションの操作性の悪さ
コープアビリティ「瞬殺」の仕様(『P5R』で改善)
その他細かな問題点
DLCの問題点
グラフィックやシステムが大きく進化し、『ペルソナ』シリーズの集大成とも言える完成度に。
作り込みの高さからか前作と比べてゲームのテンポが悪化した点はやや賛否が分かれるが、全体的には充分に良作の範疇に入るだろう。
前作からアニメや派生作品など、ファンを増やそうという相当の年月をかけた地道な努力が実を結んだ。
シリーズ最大となる世界累計270万本の出荷を達成し、国内海外共に非常に大きな伸びを見せた。
なおシステム面は『P5R』で更に改善・向上した部分も非常に多く、新規で買うなら『ペルソナ5・ザ・ロイヤル』がよりおすすめである。
【ぺるそなふぁいぶ ざ ろいやる】
ジャンル | RPG | |
対応機種 | プレイステーション4 | |
メディア | BD-ROM/ダウンロードソフト | |
発売・開発元 | アトラス(セガゲームス) | |
発売日 | 2019年10月31日 | |
定価 | 9,680円 | |
レーティング | CERO:C(15才以上対象) | |
判定 | 良作 | |
ポイント |
新キャラや3学期を追加した「怪盗異聞録」 システム・バランスも洗練されより遊びやすく 無印プレイ済みユーザーにはやや物足りないか 謎の残る箇所や追加シナリオは不満も |
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女神転生シリーズ |
奪え、その意志で
『P5』(以下「無印」)に追加要素を足したいわゆる完全版。
シナリオが延長され、無印とは異なるエンディングが追加されている。
新シナリオ・新キャラ
既存シナリオ・キャラの変更点
新要素「SHOWTIME」
新要素「バトンタッチランク」
TECHNICALによるダウン効果追加、および新要素「テクニカルランク」
新要素「凶魔」
銃に関する仕様変更
スキル効果や一部シャドウの属性相性の調整
難易度「CHALLENGE」の仕様変更
パレスの追加点・変更点
+ | 詳細、一部ネタバレあり |
メメントスの追加点・変更点
主人公専用ペルソナの追加・調整
仲間のペルソナの第三形態
ペルソナの「特性」
合体警報
お香
チャレンジバトル
隠しボス追加
コープ活動後の「電話」
夜の活動時間の増加
新エリア「吉祥寺」
新スポット「中野」「品川」
既存施設の調整
「特別刑務」の追加
BGM新曲
マイパレス
お得なDLC
個性的な新キャラクター
新要素・新エリアの追加
学園描写の追加
一部追加イベント
コープアビリティ「瞬殺」の仕様改善
新曲
その他
新キャラ・芳澤かすみの扱い
追加のメインシナリオ
+ | 内容に関する詳細(ネタバレ) |
双葉の総攻撃フィニッシュ時の一枚画追加
ヒントなしでの事実上のギミックボス
+ | 攻略に関する詳細(ネタバレ) |
新要素の目立ちにくさ
無印版の引き継ぎ要素の少なさ
三学期の解放、および真エンディングに必要な条件が厳しい
追加シナリオ攻略のテンポの悪さ
真エンディングの内容
銃属性の耐性スキル未実装
冴のコープに追加がなく、デート、恋人ルートも未搭載
謎を残した追加要素
新要素「お香」の利用価値が薄い
新要素が追加され、各種調整によりただでさえ完成度の高かった『ペルソナ5』がさらに遊びやすくなった、充実した完全版であることは疑いない。
しかし、追加シナリオは人によって好みが分かれる内容で無印版をプレイ済みのプレイヤーにとっては納得のいかない声も見られる。
伏線を回収し切れていない箇所も存在し、追加要素だけ遊びたい人にフルプライスは高い出費に感じる人も少なくはない。
それでも楽しめる内容に変わりはない、今からプレイするならば本作をおすすめしたい。