「SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS
【えすえぬけい ばーさす かぷこん えすぶいしー かおす】
概要
SNKプレイモア制作のSNKとカプコンの競演格闘ゲーム。
本作の前にはCAPCOM主導のタイトルで『CAPCOM VS. SNK』や『CAPCOM VS. SNK 2』が稼働していたが、
こちらはSNKプレイモア主導のタイトルであり、CVSシリーズと異なり1対1で戦うのが特徴。
参戦キャラクター
(初出作品別、太字はCVSシリーズに登場していないキャラ)
ゲームシステム
-
SNK作品のフォーマットに合わせて1レバー+4ボタン(弱パンチ、弱キック、強パンチ、強キック)という基本操作。通常投げは弱パンチ+弱キックまたは強パンチ+強キックで出せる。
-
ダッシュはステップ式、ジャンプの種類は通常ジャンプと大ジャンプのみなど、KOF風のグラフィックだがシステムは『KOF'95』など初期のKOFに近い。
-
パワーゲージは3本ストック式だが、ゲージが満タンになるとパワーMAX状態になり徐々に減少していく。
-
パワーMAX中に超必殺技を使用するとゲージが一定量消費されるが、パワーMAX中のゲージが0になってもパワーゲージが2本ストックされたままとなる。また、パワーMAX状態ではゲージを消費して『KOF2002』と同じ「どこでもキャンセル」が可能。
-
ガード中にレバーを前二回入れ、または弱キック+強パンチで、ゲージを少し消費して「ガードキャンセルフロントステップ」(通称GCFS)が可能。このシステムが大きな問題点を孕んでいる(詳細は後述)。
-
体力が半分以下の状態で一回の対戦中に一回だけEXCEEDという強力な超必殺技を使用できる。
評価点
-
プレイヤーキャラクターの人選。他のクロスオーバーやオールスター作品ではあまり登場しないキャラクターも多い。
-
SNK側は『サムライスピリッツ』からは、ライバルキャラクターでありながら『CAPCOM VS. SNK』シリーズに登場できなかった「牙神幻十郎」、『真』以来の登場となる「アースクェイク」、
業務用の2D対戦格闘に登場したのは本作が初めての「色」、『KOF』では未だに根強い人気を誇る「ゲーニッツ」、格闘ゲーム初参戦となる『メタルスラッグ』からは「マーズピープル」。
更に、KOFシリーズでは『2000』にて麻宮アテナのストライカー専用キャラクターとして登場したのみだったアクションゲーム『アテナ』の主人公・アテナ姫が、シークレットボスとして装いを新たに参戦している。
-
カプコン側は『ウォーザード』から『ポケットファイター』以来の出場となった「タバサ」。『ロックマンゼロ』からは「ゼロ」。『ストリートファイター』には劇場版アニメが初出であり通常のケンと完全に差別化された「洗脳されたケン」、ザンギエフと被るからか他作品の出場に乏しかった「ヒューゴー」、『ヴァンパイア』からはモリガンに出番を奪われ中々出場できなかった「デミトリ」など錚々たる面々が揃っている。
-
とはいっても『ストリートファイター』のキャラに偏っているのは相変わらずだが…(後述)
-
全てではないが、本作で描き起こされたキャラクターのうち数キャラのグラフィックについては総じて評価が高い。またデミトリのグラフィックが他作品のキャラクターと同じグラフィックで表現されているのは本作でしか見ることが出来ない。(大抵ヴァンパイアのキャラクターのグラフィックは原作の使い回し)
-
本作で初めてデミトリが外部出演を果たしたことにより、ヴァンパイア以外のキャラクターのブリス化を見ることが出来るようになった。
-
特にゲーニッツがミッドナイトブリスを受けた姿は一部で人気がある(通称ゲニ子)。
-
戦闘前のキャラクターによる会話シーンが全ての組み合わせで用意されている。格ゲーのクロスオーバーでこういった要素は意外と少なく、キャラゲーとしての価値を高めている。
-
ただ会話テキストの表示が速いため、早読みが必要なのは少々不便。
-
個別エンディングが全員に用意されている。さらに、一部のキャラクターは倒したボスによってエンディングが分岐する。
-
ただしこれについては、どちらかと言うとキャラクター数が多過ぎる為にまともな個別エンディングを持たない『CAPCOM VS. SNK』等の方が珍しいのであり、本作はシングル制の2D格闘ゲームのごく一般的な仕様を守っているに過ぎない。
-
小ネタが豊富。
-
幻十郎が『真サムライスピリッツ』以来となる、叫びまくるキャラクターになった。バックステップをしたら「どりゃー!!」は勿論、「散れぇー!!」「一つ! 二つ! 三つ!あぁ~!猪鹿蝶!!」
「カスがぁ!!失せろぉ!!」「カスが!錆となれぃっ!!」「一つ! 二つ! 三つ! 四つ! 五つ! 死にさらせぇー!!!」「そのまま、寝ていろおぉ!!!」と今まで以上に叫びまくる。
-
暴走庵のブリス化した姿が『SNK ギャルズファイターズ』のミスXの姿というマイナーなチョイス。
-
本気になったMrカラテの勝利台詞に『龍虎』におけるあの名言がある。
-
SNKのパクり返しキャラクターと評される「火引 弾」。前述の戦闘前デモにおいてリョウをパクリ野郎と言い、KOF参戦キャラクターにはロバートと勘違いされまくる。
-
本作に先駆けて『頂上決戦最強ファイターズ』でダンは登場しており、カプコン作品では片手で放つ震空我道拳が、
Lv2で出した場合のみ覇王翔吼拳と同じ両手を前に突き出して放つモーションになっていた。
本作では同モーションで「我道翔吼拳」という名で単独の技になっている。ちなみにそれでもやっぱり飛距離はほとんどない。
問題点
-
隠しキャラクターを使用可能にするためのコマンドが面倒。
-
キャラクター選択画面で入力するのだが、例えばデミトリは「→→→←↑→↓↑」、ギースは「←←←↓←↑→↑」などと長く複雑。しかも選択時間が僅か10秒と極めて短いのも輪を掛ける。
-
加えて、隠しキャラクターの性能もバランスブレイカー気味。
-
ギースや暴走庵などは極めて強力。また、家庭用では対戦で(XBOX版ではネット対戦でも)ボスキャラクターも使えるが、本気になったMrカラテやレッドアリーマーなどはボスからプレイヤー化移行の際の補正が少なく、かなりムチャな性能で使えてしまう。
-
隠しキャラクター抜きにしても、キャラクター間のバランスが完全に崩壊している。
-
デフォルトキャラクターだけでも、ソニックブームが超万能技のガイル、ガード不能連携とそこそこの火力を持つ上に立ち回りも優秀なタバサ、基本性能が高い上に有用なガー不バグを持つ豪鬼など強いキャラクターはとことん強いのに、テリー・京・ケンなど一般的なキャラクターは、それに対抗できるほどの性能を持っていない為、格差が大きい。
-
さらにベガ、バイソン、チョイなど、システムと相性が悪く、立ち回りも弱い悲惨なキャラクターがかなり多い。
-
お祭ゲームとしては定番だった「複数vs複数」という対戦方式でなく「1vs1」であり、キャラクター選択の幅が少し狭くなってしまった。
-
但し「1vs1だからできたこと」も(主に演出面で)多数あり、評価されている。
-
企業を超えた様々な作品のキャラクターが同じ舞台で戦うので仕方無いことではあるが、ほとんどのキャラクターが元作品よりデチューン調整されている。
-
SNKキャラクターはKOFでお馴染みの小・中ジャンプや前後転が使えず、CAPCOMキャラクターはMVS基板の仕様上4ボタン操作となり中攻撃が削除されたり特殊技になったりなど。
-
ただし、CAPCOMキャラクターはこの変更によりSNK独特の「通常技→特殊技→(超)必殺技」という繋ぎが出来るようになるのでデメリットだけでは無い。
おかげで、屈弱K→屈中K→必殺技or超必殺技というCAPCOMでは、あまり見ないコンボが可能。
-
CAPCOMキャラクターは全体的にジャンプが「フワッと」しているため、おなじみのコンボであるめくりからの連続技などが非常にやりづらい。
-
コマンド入力など操作面に独特の癖がある。特に溜め技が出しにくい。
-
一般的な格闘ゲームでは溜め入力はコマンドで定義された方向(以下、溜め方向)が含まれていれば溜め開始とみなされ、溜めの解除は溜め方向を一切含まない方向へ入力した時にのみ発生する。
これにより『後ろ方向に溜めを開始し後ろ歩きで間合いを離した後、しゃがみ入力で下方向への溜めも開始』するなどの溜めキャラ独特の入力セオリーが生まれ、それらは普遍的なプレイ感覚としてほぼ全ての格闘ゲームで踏襲されていた。
-
しかし本作の溜め入力は、最初に入力した以外の方向にキー入力がされた時点で、それまでの溜めが解除されるという仕様になっている。
後ろ溜めと下溜めの必殺技を両方持っている場合は、正確に後ろ斜め下に入力しなければ、同時溜めを開始できない。さらに溜め最中のみならず、技を出す時も他の方向を一切通らないようにニュートラル(無入力状態)を経由しなければ、必殺技を出す事すら出来なかった。
-
この仕様のせいで本作独特の入力方法を強いられた上、その特性上溜めキャラのセオリー通りの動きが出来ない事が大きな批判を浴びた。
-
家庭用ではあっさり修正された事や、その修正に伴う溜め技の調整などが一切行われていない事から、特に理由があって決められた仕様ではなかった可能性が高い。
-
ほとんどの格闘ゲーム(本作の原作ゲーム含む)において、左、もしくは下にレバーを入れた後に左下にレバーを入れ続けることで、下と左を同時に溜める事が出来るが、本作では左もしくは下を経由せずに左下にレバーを入れた場合のみ(つまり、いきなり左下にレバーを入れた場合のみ)左と下を同時に溜め入力できる仕様になっている。
-
この結果、他のゲームの癖で溜めコマンドを入力すると片方しか溜めが入力されておらず、通常攻撃が暴発するといった事態が多発した。
-
上記に加え、溜めが完了しても一度ニュートラルポジションを通さないとならず、レバーを回すように動かすとやはり通常攻撃が暴発してしまう。
-
これらの仕様により溜めキャラはSVC専用の入力感覚を覚えなければならず、非常に使いづらくなってしまった。
-
反面、この独特な仕様があるためか溜めコマンドに必要な溜め時間が非常に短く、入力に慣れさえすればガイル等は非常に強力だった。
-
これらの仕様は家庭用ではオプションで変更可能になっている。
-
ガードキャンセルフロントステップによるシステムレベルでのバランス崩壊。
-
ガード中に相手方向にダッシュ入力をすると、何と無敵状態で相手に接近できると言う凄まじいシステムである。相手は当然攻撃の硬直中な上に、ステップした側は硬直がない。読みでコマンド投げ等を仕込まれてもほぼ回避・ガードできる上、対策する側のリスクが大きすぎる。
-
これを使用して反撃した場合、なんと反撃で叩き込むコンボで溜まるゲージ量が消費量を上回ってしまう。つまり待ちに徹すればゲージ的には永久機関である。
-
当然ながらこのシステムは相性も激しい。威力の高い連続技や、発生の早いコマンド投げを持っていれば痛い反撃を浴びせる事が出来るが、立ち回り重視のキャラクターは通常投げか生出し超必殺技がせいぜいである。
溜めキャラに至っては超必殺技すら出せない。当然ながらそれらのキャラクターはごく一部の例外を除き、弱キャラとされてしまっている。
-
CPUが全体的に強く、初心者には難易度的に厳しい。特にガイルや庵、ボス全般が顕著。
-
隠しボスであるアテナ、レッドアリーマーと戦うための条件が厳しい。条件を知らないと真のエンディングを見られない。
-
1本も落とさない事が条件。しかし、削りダメージでKOするか1本でも落とすと「<使用キャラクター>はそれっきり姿を消した。(中略)真相は闇の中である」というバッドエンドが流れるのみ。条件が厳しいため非常に後味が悪い。
-
レッドアリーマーへの分岐条件は、必殺技勝利が5回以上で、そのうち必殺技をガードさせた際の削りダメージで1回以上KOしなければならないというかなり面倒な仕様。
-
SEやBGM、技の演出などが地味。特にSEに関しては「音が軽い」としょっちゅう批判される。コメント機能のある動画では必ず言及されるほど。
-
ステージはどこの国ともつかぬ得体の知れない場所が多く、その殆どが無人で非常に寂しい雰囲気の場所。このこともあり、今作の世界観はかなり退廃的なものとも受け取れる。
-
この作品の企画コンセプトが「NOT A MATCH」(「試合や競技にあらず」の意)でありストリートファイトのイメージを強調しているためらしい(ただし、現実世界ではともかくとして『ストリートファイター』シリーズなどでのストリートファイトは人の目のある賑やかな場所でも行われてきているが)。
-
相変わらずCAPCOM側の人選が『ストリートファイター』シリーズに偏り過ぎており、本作では18人中14人が該当。特に初期キャラクターはタバサとヒューゴー以外全員『ストII』シリーズから。
-
『CVS1』でも『ストII』にかなり偏っていたが、本作のSNKキャラクターは『KOF』『餓狼』『龍虎』に加えて『サムスピ』からも多く選出されているので一層そう感じてしまう。
-
ゲームの内容とは関係ないが、公式イラストが非常に独特。
-
イラストレーターのノナ氏のクセもあるのだが、「ムンクの叫び」の様な暴走庵、いつになく化け物の様な顔のバイソンやアースクェイク、何故か髑髏を重ねているダルシムなど、どうもどこかがおかしい。
総評
難易度の高さ、雰囲気の暗さ、格闘ゲームとしての地味さ・粗の多さなどによりあまり人気が出ず、比較的短命となってしまった作品。
しかし評価されている点もあり、この作品のファンも少なからずいる。一部のシステムは後に発売される『ネオジオバトルコロシアム』に継承された。マーズピープルやアテナも引き続き参戦している。
ドリームキャスト互換のNAOMI基板で作られた『CAPCOM VS. SNK』シリーズに対して、すでに旧世代のMVS(ネオジオ)基板の本作とは、グラフィックの面等で比べるのは酷ともいえるかもしれないが、同じ市場に出している以上そちらの面での低評価もかなりのものであった。
それを鑑みてか、SNKプレイモアは数年後サミーの「ATOMISWAVE」へと業務用ゲームのプラットフォームを移行することになる。
移植版・その他
対応機種
|
ネオジオ、プレイステーション2、Xbox
|
|
|
|
発売・開発元
|
SNKプレイモア
|
発売日
|
【NG】2003年11月13日 【PS2】2003年12月25日 【Xb】2004年10月7日
|
価格
|
【NG】41,790円 【PS2】7,140円 【Xb】5,040円(全て税込)
|
廉価版
|
【PS2】SNKベストセレクション 2005年3月17日/2,940円(税込)
|
判定
|
なし
|
-
ネオジオ以外ではPS2とXboxに移植されている。
-
ただしPS2版には「ボタンバグ」と呼ばれるものがあり、オプション等でカスタマイズしていても試合の開幕時のみボタン配置が初期配置に戻る。対戦にはさほど影響しないが、開幕で必殺技を出したい時には要注意。
追加・変更点
-
上記の、独特なコマンド入力のクセの有無をオプションで変更可能(NORMALという通常の格ゲーと同じものを選択可能)になった。
-
ひたすら全員と戦い続けるサバイバルモードが追加された。
-
またこのモードで倒した相手のイラストが観賞可能になる、ギャラリーが追加された。
-
移植に当たりボスキャラクターも使えるようになった。
-
隠しキャラクターもボタンひとつで出せるようになった。
-
ナレーションの声が変更。
-
Xbox版ではキャラクターのカラーエディットができる。
問題点
-
ボスキャラクターの出現条件が異常に厳しい。
-
上記のサバイバルモードで34人全員を倒した後に出現するアテナとレッドアリーマーを倒さなければならない。当然ながら負ければ1からやり直し。