「ファイナルファイト2」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

ファイナルファイト2 - (2013/10/12 (土) 23:02:15) の編集履歴(バックアップ)


ファイナルファイト2

【ふぁいなるふぁいとつー】

ジャンル ベルトスクロールアクション
対応機種 スーパーファミコン
発売元 カプコン
発売日 1993年5月22日
価格 9,000円(税抜)
ポイント 前作SFC版で不可能だった2人同時プレイが可能になった
難易度の低下で間口は広がった
前作からの変化が少なく、経験者にはやや物足りない感も
全体的に攻撃力が下がり、プレイ時間が増加
ファイナルファイトシリーズリンク


概要

前作『ファイナルファイト』でコーディー、ガイ、ハガーの3人の活躍によって壊滅させられたマッドギア。
その残党が彼らに復讐するべく、ガイの婚約者であるレナと、レナの父にしてガイの師匠である源柳斎を誘拐。
その2人をハガーとレナの妹であるマキ、そしてたまたま居候していたカルロス・宮本の3人が救出しに行くベルトスクロールアクションゲーム。全6面構成。

十字キーと攻撃・ジャンプそれぞれのボタンと言う、所謂1レバー+2ボタン構成。
オプション設定に関して、通常は「攻撃+ジャンプボタン同時押し」で繰り出せる必殺技(メガクラッシュとも言われる)を繰り出せる「エクストラジョイ」がAボタン固定だった前作から、任意のボタンに割り振る事が出来るようになった点以外の基本的な操作方法は前作に同じ。

前作では出来なかった2人同時プレイが可能になり(裏技を使えば同キャラ使用も可能)、戦いの舞台もメトロシティの一都市から、香港、フランス、オランダ、イギリス、イタリア、日本の六カ国を跨ぐ大規模なものとなった。ボーナスステージは前作同様の車壊しと、新ステージのドラム缶壊しの2つ。

あの『ファイナルファイト』の続編が家で遊べるということで、発売前にはテレビCMも放送されるなど、ファンの期待はかなり高かった。

本作はカプコン製作でなく外注であり、初代のキャラクターデザイン、ドットデザインを担当した安田朗は全く関わっていないとの事。


プレイヤーキャラクターの説明

  • マイク・ハガー
    • 前作でお馴染みのメトロシティ市長。プレイヤーキャラとしては唯一前作から続投している。
    • 打撃攻撃や必殺技はほぼ前作と同じ。攻撃力が高くリーチが長い分振りが遅い。掴み動作中に動けるのも継承されている。
      • 背向けフライングボディプレスで敵を引き寄せてダウンさせるテクニックも、前作同様に使える。
    • 通常投げが前作のバックドロップからブレーンバスターに変更され、間合いが離れるようになってしまった。このため前作で出来た、ダウンした敵の起き上がりに再びバックドロップを仕掛ける通称「引っこ抜き」は不可能に近くなった。
      • 更に前作でハガーにのみあった投げ後の無敵時間が消失し、隙ができるようになった。複数の敵がいる場合は巻き込めるかを判断して投げないと、近づいてきた敵に終わり際を狙われてしまう。
    • パイルドライバーがスクリューパイルドライバーに変更され、ジャンプ力が増加した。こちらはブレーンバスターより技終了後の間合いが近い。画面端を背にして投げれば、起き上がりにパンチからの掴みコンボを狙える。
    • 得意武器は角材。
  • 源柳斎真紀(マキ)
    • ファイナルファイトシリーズ初の女性プレイヤーキャラ。前作のガイに近い性能を持っている。
    • 通常攻撃はジャブ2発→ストレート→肘打ち→垂直上段蹴り。単発の攻撃力が低くリーチが短いのが欠点。ジャンプからの肘打ちで飛び込み、打撃から掴み攻撃へ繋ぐなどして手数を稼ぐ必要がある。
    • 必殺技は烈風脚。後に格闘ゲームへ出演した際にも再現された。
    • 投げ技は人投げ。前作のガイの背負い投げとほぼ同じ性能。
    • ガイ同様壁のある場所では三角飛び蹴りが使用可能。但し前作と違い、特別威力やスコアが高いわけではない為ほぼ趣味の技。
    • 得意武器はトンファー。
  • カルロス・宮本
    • 前作のコーディーに近い性能を持っているキャラで、最も扱いやすい。
    • 通常攻撃はジャブ2発→フック→上段回し蹴り。癖がなく、硬直も全体的に少なめで使いやすい。
    • 必殺技は持っている刀を振り回すものだが、普段は何故か使ってくれない。
    • 投げ技は車輪投げ。投げる際、前に大きく踏み出る巴投げのような技。
    • 得意武器はナイフ。前作のコーディー同様、接近戦でナイフを持っていた場合直接突く。
      • ただ今回はエルガドやハリウッドに相当するナイフを落とす敵がいないため、有効に使うことが難しい。

なお、今作では連続攻撃の最終段やジャンプキックを防御されることがなくなった。前作にあった「パンチはめ*1」も健在である。

また、連続攻撃時に十字キーを上か下に入れっぱなしにすると最後の攻撃が投げになるのも前作同様だが、今回は前作より敵に接近しないと投げられなくなっている。


評価点

  • 2人同時プレイが可能になり、プレイヤーは3人から選べるようになった。
    • 前作の移植においてオミットされた2人同時プレイ・3人からのプレイヤー選択が可能になった点は評価出来よう。2人同時プレイでも1人プレイでも敵は同時に3人まで出現する。
      • 2人プレイ時は敵の残り人数が1人プレイ時よりも多くなり、一部オブジェクトから必ず2P用の回復アイテムが出るようになる。
    • 動画投稿サイトにも時折本作のプレイ動画が投稿されているが、ニコニコ動画では2人プレイの実況動画が結構多かったりする。
  • 全体的にプレイヤーキャラの連続攻撃のスピードが前作より早くなり、硬直時間も短めになって操作感が軽快になった。特に掴み攻撃はかなりスピーディーになった。
    • その分前作にあった攻撃の重みが減ったという声もあるが、思い通りにキャラを動かしやすくなったというのは評価するべき部分であろう。
  • ダメージを受けた時ののけぞり時間が短くなり、敵の連続攻撃に割り込みやすくなった。
    • 前作では、メガクラッシュを使うかダウンしない限り抜け出せない連続攻撃が多かった。特に攻撃発生の遅いハガーにはありがたい変更点である。
    • こちらの通常攻撃より長いリーチを持つ敵が、間合いの外から攻撃を狙ってくることも少なくなった。
  • 理不尽な敵の攻撃が減った。
    • 前作は昔のアーケードのカプコンゲーらしく、攻撃力が高い上に対処法が分からないと為す術なく殺され、分かっていてもきついような敵の攻撃がしばしば見受けられた(分かりやすい例では2面ボスのソドム、AC5面/SFC4面ボスのアビゲイル)。今回はそう言った攻撃は減少している。
    • 前作ではハガー操作の場合アンドレが天敵と言われていたが、今回は斜め方向に突進しなくなり、パンチの攻撃発生も遅くなったため戦いやすくなっている。
  • 前作のSFC版では削られたエレベーター面が復活。前作で削られたロレントもボスとして登場する(さすがに前作AC版よりは弱体化している)。攻撃パターンはほぼ原作を踏襲しており、前作AC版でできた「わざとロッドで一発殴らせて殴り返し、パンチはめに移行する」戦法もそのまま使用可能。
  • 前作SFC版でのコンティニューは無条件でやられたステージの頭からになっていたが、今作ではやられた場所によっては途中から再スタートが出来るので、初心者救済という意味では改善である。
    また、コンティニュー回数も2P同時プレイを前提とした6回(前作は3回)になっているので、一人プレイであれば元々の難易度の低下もあり、ひとまずクリアはしやすくなった。
  • 前作のSFC版への移植の際に削除されたエリア間の移動演出の採用。
    • 具体的には目の前にあるドアや壁を壊したり、ジャンプして次のエリアに進んだり、階段を上り下りする演出など。
    • 前作では容量の絡みもあってか、この手の演出が削除されて全てブラックアウトになっていた。
  • グラフィックやBGMの質はSFC作品として十分なクオリティ。
    • 本作から登場したキャラと、前作からのキャラのドット絵も違和感なく溶け込んでいる。

賛否両論点

  • 先述した対処困難な攻撃の減少や、全体的な攻撃力の低下などが理由で、難易度は前作に比べて低い。前作のAC版やSFC版をクリアした人なら、初プレイで最高難易度のエキスパートを選んだとしても1クレジットでエンディングまで到達できるかも知れない。
    • 前作はオプションで初期残機数を1~9人まで変更出来たが、本作は初期残機数は5人で固定。初めは10万点、以後20万点ごとにエクステンドする方式で固定されている上、背景に隠れた1UPアイテムのガイ人形が幾つかあるので、ちょっと慣れた人なら残機数を10人以上に増やすことが出来る。
    • 尤も前作はアーケード版からして難易度が非常に高く(敵の同時出現数が最大10人、工場出荷時設定だと残機1機でエクステンド1回のみ)、SFC版で調整されてもなお難しい部分はとことん難しかったので、それを考えるとよりユーザーに歩み寄った形になったとも言える。
  • ゲーム全体から漂う前作の焼き直し感。
    • 基本システムは前作と全く変わっていない。ガードシステムを中核に据え、レベルアップや乗馬戦闘などの要素もある『ナイツオブザラウンド 円卓の騎士』、コマンド入力技が多くキャラクターの個性も豊かな『天地を喰らうII 赤壁の戦い』など近い時期のベルトスクロール作品と比較すると、本作の変化のなさははっきり実感できてしまう。システムがシンプルな分、覚えることが少なくて済むということでもあるのだが……。
    • 新プレイヤーキャラの2人からして、性能面では前作のガイとコーディーと似たり寄ったりで独自性を打ち出せているとは言いがたい。ただその分、前作のプレイヤースキルがほぼそのまま流用できる。
    • 敵キャラにしても、特にザコキャラは前作から姿が変わっただけで性能的には似通っているケースが多い。例を挙げると前作をプレイしたユーザーには、防御を持つジョニーとアトラスは前作のアクセルとスラッシュのキャラ替えにしか見えないし、マリーとエリザはどう見てもロキシーとポイズンの代役。エリックは前作のG・オリバーなどに代わるデブキャラ枠で突進攻撃を持つ点も一緒。
      • 実際に戦ってみると差違も少なくない(ジョニーとアトラスは掴み攻撃がある為、不用意に近づくと危険。エリックは武器の電極棒に帯電している状態だと攻撃力が上がる)のだが、どうしても焼き直し感を強く与えてしまう。
  • 十字キーの入力と他のボタンの操作が同時に行われた場合、コマンド入力が無効になってしまうと言う仕様のせいで、パンチはめのコマンド入力も前作より精度の高い入力を要求される。
    • ただし敵の攻撃技の性能やアルゴリズムが前作ほど凶悪ではないため、パンチはめへの攻略依存度は下がっている。また連続攻撃から掴み攻撃や投げに繋ぐ、パンチはめ以外の連続技の重要性が増したとも言える。
  • 前作SFC版で敵が増えてくるとよく見られた処理落ち対策や、2人同時プレイ対応のためにキャラクターのサイズがSFC版ストIIシリーズと同じくらいに小さくなり、迫力が落ちた。
  • BGMの曲数が少ない。OP、ボーナスステージ、EDを除くと、前作(SFC版は)5面構成で9曲あった。本作は6面と前作より1面増えているのに7曲しかなく、使い回しが多い。

問題点

  • 前作で攻撃力が高めだった反動か、今作では敵も味方も攻撃力が低い。正直、最大の攻撃力を持つハガーでも低く感じるぐらいで、非力なマキでプレイするとザコを倒すのに非常に時間がかかる。
    • 後半は防御を使うジョニーとアトラスの出現比率が高くなる。この二人は攻撃力も高く、迂闊に接近すると鯖折りで大ダメージを喰らってしまうため、ジャンプキックでの地味な削りを強要される。防御力自体は並なのが救いではある。
      • 特にリーチが短く掴み攻撃に繋がないと大ダメージが狙えないマキにとっては、この二人は相性が最悪と言って良く、彼女の攻略難易度を上げる原因の一つとなっている。
    • アンドレ一家も後半、あるいは高難度になるほど出現頻度が高くなる。ランクが高くなると耐久力が異様に上昇し、ハガーの連続技(パンチ3発)を6セット程喰らわせてやっと黄色1ゲージ分減らせる位。しかも後半戦ではアンドレ一家が一度に複数出現することが多くなり、まとめてコンボで削りきるにもとにかく時間がかかってしょうがない。
    • 投げ技が固定ダメージに変更されたのも痛い。前作は投げ技が割合ダメージ(体力の約50%)だったので、体力の高い敵も投げまくれば簡単に倒せた。また混戦で「引っこ抜き」を駆使していればいつの間にか良い具合に削れているので敵の体力にストレスを感じることが少なかった。
  • 本作の仕様として、難易度設定によって見られるエンディングに差違があり、完全なものを見るためには難易度を最高の「エキスパート」にする必要があるのだが、更に敵の体力・防御力がアップするため、特にジョニー・アトラス・アンドレ相手にかなりしんどい思いをすることになる。高難度では後半のザコ敵は体力ゲージ1本以上が当たり前、アンドレ一家に至ってはゲージ2本以上も茶飯事である。もちろん攻撃力も上昇する。
  • 武器アイテムの攻撃力も低い。特に本作で前作の鉄パイプの代わりに登場した「角材」は、説明書に「角材で大暴れだ!威力が凄いぞ」、「鉄パイプより痛そうだ」と書かれている割に、威力はジャンプキック並の上振りが遅く使いにくい
    • 余談だが、カルロスが角材で攻撃した時のモーションは「角材を片手で前に突きだした」ような感じで明らかにおかしい。
  • 容量、処理の関係上仕方の無い事かも知れないが、本作は前作以上にマップ上にあるドラム缶、木箱の数が少ない。せいぜい1面につき3個あればいい方である。故に、アイテム入手の機会は極めて乏しい(1・2・5・最終面では後半で体力全回復の原始肉が入手できるが…)。背景にある隠しアイテムも存在するが、それを含めてもはっきり言ってアイテムが少なすぎである。
    • ドラム缶や木箱などのオブジェクトも1キャラとして数えられているため、あるとその分だけ敵の同時出現数が少なくなる。
  • ラスボスは歌舞伎役者のような容姿をした「烈」(『ストリートファイター』の同名キャラとは無関係)なのだが、攻撃方法はパンチと回し蹴りのみ。体力が無駄に多いだけではっきり言って単調であり、ジャンプキックの繰り返しだけで勝ててしまう。
    • ライフゲージが減ってくると掴むことができなくなったり攻撃パターンが変化したりはするが、結局ジャンプキックが一番安定する。
  • ストーリー上の都合とはいえ、前作のSFC版でわざわざ別バージョンの『ファイナルファイト・ガイ』を出してまでプレイヤーキャラとして使用可能にした程の人気キャラである「ガイ」や、前作主人公だったコーディー*2が使えないこともガッカリの要因になっている。
  • 2人同時プレイ時にもプレイヤー同士でやられ判定があるのだが、プレイヤーと敵が重なっている時に攻撃を当てた場合通常なら出る連続攻撃が出ないため、敵か相方のライフが尽きるまで延々とハメ続けることが出来てしまう。この方法だとパンチはめのような技術が必要ない。
    • リアルファイトに発展しかねないので、やるなら互いに了承しあった上で行った方がいいだろう。

総評

前作があまりにも有名だったこと、変化が乏しいこと、爽快感や迫力の減少などが原因で、「ファイナルファイトの続編」として期待していたユーザー層にとっては物足りない内容になってしまったのは否めない。当時の評価は芳しいものとは言えず、かなりの本数が出回ったことからワゴンセール率も高くなってしまった。しかしSFC用に作られた単品のベルトスクロールアクションとしては良質の作品であり、これと言った致命的なバグもない。

全体的な難易度の低下によって遊びやすくなり、家庭用で2人同時プレイが出来るようになったことでプレイヤーの間口は前作より広がったと言える。ベルトスクロール初心者や、2人プレイで盛り上がりたいプレイヤーにお勧めできる作品である。


余談とその後の展開

  • ゲームオーバー画面でのプレイヤーキャラの処刑方法は、前作の時間制限式ダイナマイトから水責めに変更されているのだが、両手を縛られながら上がる水位に苦悶するマキの姿を見てイケナイ何かに目覚めてしまうユーザーが続出した。
    • そのシーンは当時のゲーム誌でも話題になっており、Youtubeでの該当シーンの動画再生回数は14万を突破している。
    • 敵の掴み攻撃を喰らって喘ぐ姿も絵的にかなりヤバい。こっちで目覚めてしまった人もいるのだろう……。
  • 海外版では敵キャラのマリーとエリザが全く別の男性キャラに差し替えられている。
  • ニンテンドウパワー稼働時期には、本作も書き換え可能なソフトの一つに入っていた。一方バーチャルコンソールでは現在でも配信されていない。
  • SFCで続編の『ファイナルファイト タフ』が発売された。1から変化の少なかった2とは対照的に、多くの新要素を盛り込んだ作品となっている。
  • CAPCOM VS. SNK 2 MILLIONAIRE FIGHTING 2001』や、GBA版『ストリートファイターZERO3 アッパー』、PSPで発売された『ストリートファイターZERO3 ダブルアッパー』ではマキがプレイアブルキャラクターとして参戦を果たしている。
+ 当時のテレビCM