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R-TYPE FINAL - (2019/04/03 (水) 11:37:10) の編集履歴(バックアップ)


R-TYPE FINAL

【あーるたいぷ ふぁいなる】

ジャンル 横スクロール型シューティングゲーム
(固有ジャンル:アドレナリンシューティング)

対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 アイレムソフトウェアエンジニアリング
発売日 2003年7月17日
定価 5,800円
廉価版 PlayStation2 the Best:2006年7月6日/2,800円
判定 なし
ポイント アイレムSTG最終作
STGとしては最大規模の自機数、101機のRの系譜
ステージ構成上、アドレナリンSTGの謳い文句には疑問符
設定資料としての評価が高い
R-TYPEシリーズ関連作品リンク


概要

シューティングとしてのR-TYPE最終作。公式でも「シリーズ完結」と銘打たれている。
システム的には前作にあたるPS1用作品『R-TYPE Δ』を継承し、地形での接触死がない仕様やフォースにエネルギーを溜めるドースシステムなどを引き継いでいる。
グラフィックは3Dだが引き続き奥行きを意識する必要はない。ゲーム性の面ではシリーズ従来作同様の2D横スクロールシューティングである。

シリーズ完結作らしく「総プレイヤー機体数101機」が最大のウリ。発売前情報では歴代R-TYPEシリーズのみならず『イメージファイト』『Xマルチプライ』『Mr.HELIの大冒険』『ドラゴンブリード』などからも機体が登場、まさにアイレムSTGの総決算とも言うべき内容。
ゲームの背景としても「バイドとの完全決着をつける為、蓄積した戦闘データをもとに短期間での機体開発を進めていく」というものがある。

評価点

  • 今までの裏設定を独自に昇華し、歴代R-TYPEシリーズのみならず他のアイレム製STGをも内包した一種のクロスオーバー的世界観を構築。結果、STGとしては異常なまでに高い資料的価値を持つ。
    • 批判派からも「ゲームとしては楽しめないが設定資料集としては良い」とこの点を評価される事もある。
  • とにかく機体数が無茶苦茶多い。STGでの自機数は大抵3~5種類程度だが、そこに計99~101種類もあるというのはただごとではない。
    • 内訳も普通の戦闘機から、索敵機・警備機・後方支援機など多種多様にそろっている。機体や兵装の強弱もあるが、種類が多いので片っ端から試したくなる。
    • さすがに101種類すべてに一長一短の個性があるわけではなく、単純な上位互換の関係にある機体も多い。しかしそれを差し引いても50種類以上の機体が性能面での差別化を図られており、それぞれ違った戦い方をプレイヤーに要求してくる。
      • つまり同じ系統の機体には「波動砲のチャージ段階が増加している」「一部の武器が高性能なものに換装されている」といったコンパチ機・上位互換機も多い。しかし車の歴史のように少しずつマイナーチェンジを繰り返し「進化」してきた系譜と捉えることも可能であり、その過程は実際に機体を扱っていくことで実感できることだろう。
      • そして機体・装備の一つ一つに詳細な設定テキストがつけられており、殆どは設定負けしていない。全機体をそろえた系統図は一見の価値あり。なお、最後の機体を出現させるまでかかる最短時間は30時間程度とされている。
    • 機体によっては、開発者「Team R-TYPE *1」の頭のネジが消し飛んだような突き抜けた設定がみられるものも多い。
      • 詳細はある程度伏せるが真面目に考えて笑い事とはいえないもの揃い。「人類とバイドの戦いの歴史」がいかに過酷であったかを推し量ることができる。
      • 「試験管キャノピー(ご丁寧に目盛りまでついている)」とその狂気あふれる設定から一躍R-TYPERのアイドル一角となった「R-9W」系機体などを筆頭に、パイロットのことなど最初から頭にないトンデモ機体が三分の一ほどを占める。人類の敵はバイドだが、パイロットの敵は間違いなくTeam R-TYPE。*2
    • 最後に出る3機体は「今まで作った機体の全ての装備と互換性がある」という設定で、フォース・波動砲・ビットを自分好みにカスタマイズ出来る。ギガ波動砲&サイビットという最強パターンはもとより、パイルバンカー+ビームサーベルなど、STGとして間違っているようなネタ機体まで可能。
  • グラフィックはきちんとPS2クオリティへの順当進化。ムービーも出来が良く、機械はより綺麗で迫力のあるものに、バイドはよりおぞましくなっている。
  • 難易度は幾分緩和されている。相変わらずの初見殺しのオンパレードだが安全ルートや戦略が格段に立てやすくなっているので、同じ場所でひたすら死に続けるということは他のシリーズに比べ少なくなっている。しかし選択で人間やめるような難易度も選べる。
  • ステージもR-TYPEらしく多彩かつ変則的なモチーフがある。廃墟の都市・ジャングル・巨大戦艦まるごと・異次元空間など、他のSTGには見られないような変わったステージや敵で構成される。
    • 更にSTAGE2は一つ前のプレイ時にSTAGE2のボス戦で取った行動次第でステージ構成が変化する。
    • 最終面は3ルートあるがどれも最終作らしく凝った出来で、熱く切ないストーリーは非常に評価が高い。
+ 通常EDネタバレ : STAGE F-A「バイドとは…」
  • STAGE F-A「バイドとは…」
  • バイドの親玉との最終戦。自機のフォース(バイドの切れはし)を打ち込んで手放し、人類の兵器である波動砲も損傷した中で、最後のファイナル波動砲フルチャージで引導を渡すことになる。どこかのシューティングパズルに影響されたのだろうか。
    • ちなみに過去作では「ラスボスにはフォースを撃ちこんで止めを刺す」という不文律が初代からIII・Δに至るまで形成されていた*3
    • 最終戦時、敵は大量のフォースやR戦闘機の残骸を吐き出してくる。自機はフォースを打ち込んだ後なので、ガチ避けを強いられる。
    • 余談だが、道中の背景には男女と思われる影が写っているのだが…その影がセッ(ryしているようにしか見えない。「CEROがAでない原因」とも言われた。
+ STAGE F-B「夏の夕暮れ」
  • F-Aクリア後に進出可能になるSTAGE 6.1 / F-B、そして2つ目のED「夏の夕暮れ」

    「夏の夕暮れ やさしく迎えてくれるのは 海鳥達だけなのか?」―回収されたボイスレコーダーより―

  • ボス戦しかないSTAGE 6.1において、自機は必死に「ノーメマイヤー」を倒すのだが、撃破後に生じた謎の光に呑みこまれ、変質してバイド化してしまう。それでも帰還しようとする自機だが、かつての仲間達から攻撃を受けることになる。「見覚えのある場所 見覚えのある仲間達 だけど…… ………なぜ?」
    • 初見で元味方機への攻撃を躊躇って撃墜されるプレイヤーも多かった。
    • ちなみにステージ1と同一場所であり、「バイド化しながらも基地へ戻ろうとする戦闘機」とすれ違う場面が有る。ステージ1は朝であり時間帯が違うようにも見えるが…。よく見ると、太陽の位置がステージ1と全く変わっていないことが分かる。つまり本当の時間帯は夕暮れではなく、バイド化したパイロットの目にそう見えているだけなのだ*4
  • 最後に自機と相対するのは、最初のR戦闘機・R-9アローヘッド。それがいかにチート性能かを我が身をもって嫌というほど味わうことになる。さらにある程度ダメージを与えると、自機フォースに目掛け何かを打ち込み、フォースを奪って新たな攻撃パターンを仕掛けてくる。
  • この時使用する自機は後に、バイド化したR戦闘機の事故機として回収され、後にそのまま研究用として実戦配備されるというやるせない結末を迎える。
    • このステージで使える自機は最初に選ぶ自機によってもう一種類存在するが*5、こちらも事故機を回収したという設定がなされている。
+ EXTRA STAGE F-C「どこまでも」

エーテルの波を越えて 星の海を渡っていこう

光を追い越し 時間を翔んで いつまでも どこまでも

  • F-Bをクリアすると分岐路が開かれるSTAGE 6.2は、電脳空間を思わせる逆流空間での戦いになる。
  • それを超えたSTAGE F-Cでは、22世紀から26世紀までひたすら時空間移動する。ただひたすら未来へ突き進む。ボスはおらず淡々と戦い続けるのみ。
    • このステージに入った瞬間、残機とクレジットはいかなる状況でも強制的に全て0になり、一度ミスした時点で終了となる。
      開始時にも「EXTRA STAGE」と示されるとおり、IIIまでの二周目に近い腕試しステージのような位置づけとなっている。開幕の敵配置&初見殺しっぷりはイメージファイトの補習ステージ開幕を90°回転させたような配置。
    • このルートとステージに関する直接の公式説明は無く、本ゲームはおろか他のゲーム内でも言及はほとんどされていない。しかしゴールの26世紀ばバイドが誕生した時代として設定されている*6
      • なのでファンの間では「この26世紀に飛んだ機体こそ、バイドの根源なのでは」「未来人がバイドを開発して倒そうとした敵とは自機ではないか」「いやバイドの原因を完全に絶つ為に時空移動したのでは」等々の様々な推測が飛び交っている。
    • ちなみにこのステージ開始時に流れる「エーテルの波を~」の文章は、R-TYPE IIIの頃にアイレムより発行されたファン向けの雑誌に掲載された詩文を短くアレンジしたものである。

問題点

  • 謎の性描写
    • 卑猥なコメントをデータ内に残したり性器がモチーフなキャラを作ったりと、開発者の欲求や性癖をゲーム内に残す作品は数多く存在する。が、このシリーズは特に性器などの性的事項を強く意識させられる演出・デザインが存在する*7。それは本作でも例外ではないのだが、過去作品に比べると若干露骨な面があり、人を選ぶ。
    • 最もこれはアイレム作品全体を通して見られる傾向でもあり、受け入れられない人には合わない面があるのも事実。
  • 「シューティングゲームそのものとしての面白さに欠ける」
    • 本作最大の問題点と言って良い。ステージ構成は(従来のR-TYPEと比べても)単調になりがち、盛り上がりに欠けるBGMなどの要素が重なり「アドレナリンシューティング」の名に反したレベルデザインになっている。
    • 代表的なところでは地形がかなり少なくボス戦以外にフォースの使いどころが無いステージ1.0や、処理落ちが多いステージ3.0(巨大戦艦ステージ)など。
    • 敵が画面上に出てこない(プレイヤーが何もする事が無く、背景の変化を眺めるだけ)という局面が、ゲーム全般において頻繁にみられる。
      • 難易度が低いわけではない。波動砲のループに要する時間が少し長めなうえに相変わらず初見殺しが多いゲームなので、波動砲のタメ方・フォースの使い方を誤るなど、パターンを組めなければ一瞬にして死に追いやられることになる。
  • BGMはアンビエント(環境音楽)系がメインで、地味な印象が否めない。アイレムのゲームはジャンルを問わず音楽の評価が高かったため、期待も大きかったのだが…
    • 尺を誤ったのかSTAGE6.0はノーミスのまま進むと終盤で音楽が一度途切れてしまう。
  • シリーズ初のボーカル主題曲が採用されたが、歌手はシリーズと全く脈絡の無い声優の椎名へきる。
    • この人選には誰もが首をかしげたが、主題歌自体は賛否両論分かれ易いものの、曲単体で見ると割と好評。
    • 後に椎名起用は本作のプロデューサーである九条一馬の独断であった事が判明。使用機体の一つ「レディー・ラヴ」に「へきる号」と言う通称をつけるなど、椎名に対する入れ込みようが伺え、プロデューサーとしての職権乱用と批判された。
      • 椎名女史は『ツインビーPARADISE』のパステル役で知られ、STGと縁がないというわけではないが…。
  • 101種類もの機体収集の入手条件に面倒なものがある。「特定ステージをクリア」「パスワードを入れる」などはまだ分かるが、「(しばしば特定の機種で)ゲームを一定時間以上プレイ」が厄介で、非常に作業感を与える事となった。
    • 短いものは15~30分程度だが、長いものだと次の機体を開発する為に1~2時間プレイしなければならない。
    • その為、無敵コマンド(公式裏技)を使うことでラスボス(自爆しない)相手に放置するプレイも出た。
  • 機体数の多さを売りにしているが、それだけに機体間のバランスに難がある場合も多い。
    • 前述の通りレーザーの威力レベルや波動砲のループレベルで上位下位の互換を区別するパターンが総機体数の半分近くを占めており、水増し感は正直否めない。特に後半ナンバーの「ロボットに変形する可変機」やバイド系機体にその傾向が顕著。
    • 系統別の強弱格差も激しい。強力な武器の代表格は、「III」出典派生形のラグナロックIIが持つギガ波動砲と、「LEO」系統の持つサイビット等。
      一方で、本作オリジナルであるバリア波動機・サーチ機・火炎放射機・パイルバンカー機、デコイ機・前述の可変機など、STGとして使いどころに困る機体も多い。それらには名前・設定負けしているケースも出てくるのでよくネタにされる。
    • 機体数の多さの割にステージ数が少なく、さらに「特定の機体ならここを有利に運べる」という地の利が発揮される局面が少ないのも、前述の問題を深刻にしてしまっている一因。ステージ分岐などを含め、もう少し戦略的なステージデザインが多ければ、101の機体にもより個性が出たかもしれない。

総評

ステージ展開、BGMの地味さ、何より101種類もの機体を出すために地道にプレイ時間を重ねなければならないなどSTGとしては単純にダレる内容。
しかし設定はとても凝っていて水増しを差し引いてもなお膨大な種類の機体、ドラマチックな演出やストーリー展開は秀逸の一言。

最終作として悔いの無い出来にしようと良くも悪くも色々詰め込みすぎたせいで、テンポが悪くなった感はあるが、
それでもアイレムのR-TYPEに対する愛と情熱をハンパなく感じられる、R-TYPEシリーズひいてはアイレムSTGの歴史が結集したゲームであることは間違いない。

その後

  • 概要の項で述べられた通り、本作をもって「STGとしての」R-TYPEシリーズは終了となった。*8
    しかし別のジャンルとして、2007年にSLG『R-TYPE TACTICS』がリリースされた。
    • 本作で大量に生まれた機体や、練り直されたり新しく書かれた設定はこちらで生かされることになった。『R-TYPE TACTICS』を生み出すきっかけと足がかりになったことが本作の最大の功績とする意見も多い。
    • バリア波動砲機など、本作では使いづらかった機体がこちらでは強機体となっているケースも多い。該当する機体の能力は単独運用(STG)ではなく他機との連携(SLG)でこそ実力を発揮できるという特性が強いことを実証することになった。
  • しかし2019年に突如「R-TYPE FINAL2」の開発が発表。だが、発表日がよりによって4月1日のエイプリルフールであり、開発元であるグランゼーラの所属スタッフはかつて凝りに凝ったエイプリルフールネタを繰り返していたため、この発表もエイプリルフールネタでは無いのかとファンだけでなくゲームメディアですら真偽不明という事態に。その後グランゼーラの中心人物である九条氏のTwitterと公式Twitterで開発は本当に進んでいる事が公表され、まさかの「STGとしての」R-TYPEが当作発売16年後に復活する事となった。