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Parasite Eve - (2016/12/06 (火) 18:38:51) の編集履歴(バックアップ)


Parasite Eve

【ぱらさいと いう゛】

ジャンル RPG*1
imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 2枚組
発売・開発元 スクウェア
発売日 1998年3月29日
定価 6,800円(税別)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
※ゲームアーカイブス版より付加
配信 ゲームアーカイブス
2010年11月4日/600円(税5%込)
判定 なし
ポイント 移動速度が遅い
一部の初見殺し要素
やりこみ要素は多数
Parasite Eve
PE1 / PE2 / T3B


概要

  • BIOHAZARD?』の大ヒットを受けて作られた、ホラーとRPGを融合させたアクションRPG。
    • プレイヤーはニューヨーク市警の女刑事「アヤ・ブレア」を操作し、襲い来る変異ミトコンドリア生物を銃火器を駆使して撃ち倒す。
  • 原作は瀬名秀明による同名ホラー小説で、世界観は踏襲しているもののほぼ別物と言える。
  • 中古屋のPSコーナーに行けば大抵500円以下で売られている。『FFVII』の大ヒットによりスクウェア(現:スクウェア・エニックス・ホールディングス)が強気の販売攻勢をかけ、デジキューブのコンビニ販売等の要因も相まって大量に出荷されたことが原因である。
    • 『FFVII』や『BIOHAZARD』のようなゲームを期待して買ってしまった人の酷評によって、クソゲーのレッテルを貼られやすい作品。スクウェアバブルといって差し支えなかった当時の状況を考えれば、ある意味ガッカリゲーともいえる。実際下記のように『BIOHAZARD』とは方向性がまったく異なる。

評価点

美麗なムービー

  • ハリウッドのスタッフが関わっていることもあり画質・演出共に当時最高峰のクオリティ。ショッキングなシーンでさえも美しい。
    • グラフィックは力が入っており、『FFVII』同様プリレンダのマップをポリゴンのキャラクターが移動する。3頭身だった『FFVII』と比べると(『FFVIII』に先んじて)8頭身になるなど進歩している。

原作のキーワードをうまく活かしたストーリー

  • 主人公アヤの過去にまつわる因縁や、ネオミトコンドリア生物と人間の中間という自身の存在への葛藤など、見所もある。脇役達も皆キャラクターが立っており、それぞれに見せ場がある。
    • 登場人物に原作のキャラクターは一切登場しない。だが「マエダ」というキャラクターが原作の事件を知っており、今回の事件との共通性を見つけて渡米してきた、という設定で登場。小説を読んでいたプレイヤーならにやりとできる会話がされることもある。
      • この「マエダ」には突っ込みどころのあるシーンがあったりもするが、ネタにされたりなど不評な意見はあまり見られない。
  • 生物の細胞内小器官「ミトコンドリア」が独自に進化、意思を持って人類に反抗したら…というのが共通のテーマである。
    • 本作におけるミトコンドリアの力「パラサイト・エナジー(PE)」の演出は、FFシリーズなどにおける魔法のようなものになっている。原作でも人体発火、移植された臓器を利用して人の体を乗っ取るなど化け物じみた力を発揮しているが、今作では「ビームを出す」「稲妻のようなエネルギー弾を落とす」「動植物のミトコンドリアを操ってモンスターに変える」などかなりゲーム向けにアレンジされている。
    • ホラーだけあり、ネオ・ミトコンドリアの脅威が描かれるシーンではグロテスクな描写が多く生物的な怖さの演出に成功している。

下村陽子女史によるBGM

  • 下村女史が「あえて感情を殺して作曲した」という暗い曲は雰囲気にマッチしており好評。
    • 主人公のテーマ曲「Theme of Aya」は人気が高く、続編『2』や『The 3rd Birthday』でもアレンジされて登場している。
    • さらにボス戦の曲の一つである「Influence of Deep」はオペラ調のボーカル曲で、美しさと盛り上がりを兼ね備えている点も人気。

笑い声や悲鳴のボイス(SE)がついている

  • ホラー要素を高めるうえで評価点。

戦闘システム

  • 攻撃や補助行動はコマンド選択で行い、攻撃の回避は直接キャラを動かして行うというシステム。
    • 戦略性と簡易なアクション性を融合させた戦闘システムは初心者でもとっつきやすい。慣れた人なら敵の攻撃を予測した回避行動をとるという戦略性がある。
    • 熟練者はあえて攻撃範囲が狭く攻撃動作も遅いクラブを使って苦戦しつつ戦うのも一興。
  • 戦闘はFFシリーズでおなじみのATBに移動の概念を加えたものである。
    • 攻撃を回避しながら射程距離へ移動し、ゲージがたまったら攻撃する。ターゲットと発射弾数の指定やPE(パラサイトエナジー、魔法のようなもの)の発動はコマンド入力で行う。
      • 高レベルになるとキャラの行動中にゲージがたまりきるようになり、武器の攻撃モーション速度が重要になってくる。
    • 特定場所を通過するとエンカウントする「ゾーンエンカウント」であり戦闘が移動時と同じマップで行われるシームレスバトル。戦闘が始まると見えない壁により行動範囲に制限がかかり、その範囲内で敵が配置され戦闘を行う。
  • レベルアップ時にBP(ボーナスポイント)がもらえる。BPはレベルアップまでに倒した敵によって決まるが、アヤが戦闘でダメージを受けているともらえるポイントが減る。
    • メニュー画面でBPを消費することによってアヤのATゲージの増加速度を早くするorアイテム所持数を増やすor任意の武器または防具の能力値を増やすということができる。

やりこみ要素

  • レベルは1に戻ってしまうが、クリア後も武器・防具を持ち越しての周回プレイが可能。
  • 武具を極限まで強化する、ガラクタというアイテムを集めてレア武器と交換するなどやりこみ甲斐がある。
    • 武器・防具の強化システムはどのアイテムのどの能力を伸ばしていくか、どの特殊能力を装着するかといったことをプレイヤーが選択できる自由なシステム。ポイントを貯めこんでこれという武具につぎ込むことも一つの手。伸ばした能力値や特殊能力を「ツール」というアイテムで移動させることもできる。
    • 今ゲームでの銃器・防具は大半が実在の銃器・防具から形式番号や名称を取って使用している。
    • 弾はハンドガンもショットガンもライフルも共通である。例外はロケットランチャーと一部だけ。リアリティはさておきゲーム面では武器の持ち替えがやりやすいため良いシステムだろう。
    • 2周目以降はシナリオを1日進めるごとに大量のBPが配布されるようになる。
  • 更に全77階建ての隠しダンジョン「クライスラー・ビルディング」に挑むことができる。
    • このダンジョンはマップがランダム生成されるため、ローグライクゲームやランダムシャッフルダンジョンとしての楽しみも味わえる。
    • 本編をはるかにしのぐボス達が10階ごとに待ち受けており、上記の武器、防具強化によって攻略する楽しみがある。フロアごとに落ちているアイテムも、本編では手に入らない強力かつ希少なもの。
      • ここで手に入れた武器防具アイテムは一個限りで、失くすと2度と復活しない。各フロアの鍵も同様。倉庫に預けておけば周回プレイ時も引き継ぎが可能。
      • さらにこのダンジョンをクリアすると、続編には繋がらないものの真相が明かされる真エンディングが見られるため、苦労して登る価値はある。
      • 巨大ゴキブリがボスとして登場する。かなりの強敵でもある為ゴキブリが苦手な人は要注意。

キャラクターデザイン

  • 野村哲也デザインのキャラクターの評価はいずれも高い。中でもコケティッシュな美貌が魅力のアヤは現在でも根強い人気がある。
    • そのほかにもグロテスクなクリーチャーたちのデザインも評価されている。
      • ちなみにクリ―チャーは極一部を除き「猫」「蟻」「蠅男」など直球なネーミングになっている。
    • 攻略本『解体真書』などに掲載されているイラストにかなり際どいものがあったり、続編ではシャワーシーンムービー(CMでも使用された)が製作されたりと、セクシーな描写に定評がある。

問題点

移動関連

  • 移動速度が遅い。
    • ベルトコンベアを逆走するような速度でかなり苛立つ。あまりに遅いため今でもこの足の遅さがネタにされている。
    • 移動速度については、戦闘中のみ移動速度とATバーの溜まる速度が速くなるPE「ヘイスト」が中盤から使用できるようになる。ただしヘイスト発動中は防御力が下がる。
  • 方向キーを使うと画面の傾きに応じて動きが補正されるため操作しにくい場面がある。
    • アナログスティックを使えば、アナログスティックを倒した方向に移動してくれる。スティックを2時の方向に入力すれば、画面上でも2時の方向に移動してくれる。
      • この当時アナログスティック付きコントローラーが出回ったばかりで、これを持っていたユーザーは少なかったという時代背景が主な批判理由である。
    • 病院のマップは特に廊下が狭く、角度も見づらく扉の場所が分かりにくい。また、マップが初見である内に電源を落とされるイベントがあるため、復旧させるまでは暗い状態で回ることになる。いっそう分かりにくい。廊下では敵は出現しないのが救い。敵の出現する部屋のマップはちゃんと広い。
  • 全体的にマップ内のオブジェクトを調べる際のボタン受付範囲が狭く、連打しながらまわることになりがちである。
    • たとえばセーブポイントである電話(赤ランプが点滅するので目には付く)も、ボタン受付がどこかわかりにくく、場所を理解するまで電話の側を張り付いてボタンを押して試す作業に。

武器関連

  • 攻略情報なしではマシンガン系が不遇・ただし知ると強力に
    • 1コマンドでの発射弾数を増やす「連射度」は、合計ダメージは高くなるが、数が増えるほど1発の攻撃力が低下するようになっているため、特に連射度の高いマシンガン系の武器は弾の消費が激しくなり使いづらい。また主人公の攻撃モーションに連射度の分の時間を(ターゲットした敵が死んだ場合はその分は短縮される)要するようになるため敵から攻撃を受けやすくなる。
      • この連射度の仕様についてはゲーム内で説明が無いため解りにくい。
    • マシンガンには、敵をランダムに攻撃する「乱れ撃ち」、状況に関係なく全ての敵を順番に攻撃する「掃射」などの通常プレイにはマイナスな特殊能力がついていることも多い。
      • ただしマシンガンは動作速度が最速でありATB蓄積速度もハンドガンと同等で速い。上記の「連射度」は数の異なる「連射度」、「乱れ撃ち」「掃射」はターゲットの周囲の敵にもダメージを与えることができる「バースト」の有用な特殊能力で上書きすることができる。性能を追求していくと、動作速度という他の武器種類の追随を許さない要素により、理想の武器になる。
  • 恩恵を受けづらい付加属性
    • 一部のグレネードランチャーに付加されている「ヒート」「フリーズ」は弱点を持った敵に1.5倍のダメージを与えられるが、耐性を持った敵を攻撃するとダメージが0.2倍とほとんどなくなってしまう。
    • 「ヒート」「フリーズ」は両方をつけることでこの問題を解決可能(ダメージは1.5倍扱いとなり良い所どり)だが、武器の特殊能力スロットを二つ埋めることに。
    • 同様に「アシッド」も敵を毒状態にできるのだが、ごくわずかにいる耐性を持った敵には銃攻撃自体のダメージが与えられない。
    • 敵を即死させる「サイアナイド」は入手が二周目以降の裏ダンジョンの終盤である。あまりに出番が遅いが、強力なため仕方なしとも。

マエダがくれるアイテム

  • 「マエダ」はお守りをくれることがあるが、これは何の役にも立たないうえ捨てられない。3つ目の「ナリタサン」に至っては預けることすらできない。3つ目はシステム上の理由でアイテム欄を確保するためのものだが。
    • 「マエダ」が対ミトコンドリア生物用として作った「前田ガン」もマエダから受け取ることになるが、最終決戦で弾薬を手に入れるまで最弱の武器(実質SPアイテム)でやはりアイテム欄を無駄に消費してしまう。
      • このマエダがくれるアイテムによってアイテム欄が圧迫されてしまう点は不評。
      • ちなみに続編ではこの改良点を普通の銃器に応用した「44マグナム・マエダスペシャル」なる銃弾が登場する。こちらは高い殺傷力を誇っている。
      • またこれはストーリー面の問題でもあり、終盤でマエダが事前の説明をちゃんとやっていれば(たった一言で足りた)、またこのような不要品をふだん渡していなければ、仲間が後からリスクを負うことを避けられたという点もある。

初見殺し要素が多い

  • 病院の屋上でボスを倒した後の時限イベントはヒントがなく死にやすい。
  • ラスボス戦後の脱出行も即死ポイントが多い。
    • 「セーブしようとすると以前使えた電話が通じなくなっているため、かなり時間をロスしラスボスが目前で危険」「行き止まりの道へ行ってしまうと死亡(展開上マップは初見である)」「逃げる途中で仕掛けを作動させていないと敵を振り切れず死亡」など。
  • ヒントは基本的に無く、死亡したらボス戦からやり直すことになる。さらにラスボスは複数形態あり、ムービーも挟まるため面倒。

周回要素に関する説明が不十分

  • ゲームクリア後にBPが獲得される演出が入り、DISC1に交換するよう指示が出るので二周目があると推定することはできる。
    • タイトル画面が表示されてすぐNEW GAMEの上にEX GAMEが追加される。
  • 隠しダンジョンは全体マップに追加されているが、その説明は全くない。
    • 中身が毎回入るたびに変わるランダムダンジョンであるという説明も存在しないため、知らずにマッピングすると困惑。
    • クライスラービルディングは10階ごとに音楽は変わるが、景色はずっと同じであるため、迷いやすく単調。
  • 一周目から倉庫管理を行う*2「ウェイン」がレアなトレカを見つけたら持ってきてくれと言い、会話選択肢にも「レアトレカコレクション」があるのだが、レアトレカは隠しダンジョンでなければ手に入れることができない。
    • 「トレカ」についてはそれ以前に説明があるが、「レアトレカ」については一周目では全く意味のない台詞である。誤解していろいろ探してしまったプレイヤーもいたかもしれない。
    • 二周目になってからこの説明があるべきだった。またレアトレカコレクションといっても画像が存在するわけではなく、ただの名前の羅列のみ。

その他

  • エンカウント率が極端。
    • 一度エンカウントしたゾーンでの出現率は大幅に下がる(同じ場所で累計三度以上敵を全滅させると最低の約10%に低下)ため、経験値稼ぎがしづらい。また判定が画面内で一度だけのためエンカウントしない場合は一度画面を切り替えて戻ってこないといけない。
    • だが意図した経験値稼ぎをしなくてもクリアできるバランスではあるとされる。
    • 戦闘システムで説明した通り、特定の場所に差し掛かるとエンカウントする。逃走しても前の場所に戻されてしまい、差し掛かればエンカウントする。一度目(そのマップでまだ敵を全滅させたことがない)はエンカウント率が100%のため、逃げても進むためには必ず全滅させないといけない。ただし一部の場所はエンカウントゾーンを回避して進むことも出来る。
      • これを逆手にとって「ガラクタ」を集める方法も確立されている。
  • 当時のゲームとしては普通であるが、ムービースキップ機能がない。
    • スタートボタンは常にポーズの役割である。前述の即死イベントのためやり直すことも多く、そのたびに飛ばせないムービーを延々見なければならず、やり直す際のテンポが悪い。このことは周回プレイ時についても当てはまる。
    • 続編ではムービー、イベントスキップ機能が導入されている。
  • 全編を通してアイテムがよく手に入るのだが、特に序盤は総アイテムストック数が少ない(アヤのレベルに依存する)ため、アイテムがかさばりやすい。
    • アイテムを預けることができる倉庫があるのだが、預け過ぎると進行不能になる等のバグが発生してしまうので要注意。
  • 上記の通り、二周目以降のエクストラダンジョンの最上階で真のラスボスを倒す事でトゥルーエンディングを見られる。
    • 続編には繋がらないが、アヤの物語が完結を迎えるハッピーエンドである。
    • …のはいいのだが、本編のストーリー的にはまだ途中であり、正規のラスボスを放置してそのままにしてはいないか?という疑念が。例えこの後で倒しに向かったとしても、普通の人間になったアヤでは発火してしまうかもしれない。銃撃で倒せる相手ではあるのだが。

総評

良作と呼ぶには及ばないものの、飛びぬけたクソ要素も無いアクションRPG。
シナリオや音楽、主人公アヤの魅力に魅せられた人も多く、ファンからはとても愛されている作品であるといえる。

現在なら上記のようにかなりの安値で購入可能だが、豊富なやりこみ要素で値段以上には楽しめるだろう。


余談

  • 主人公の アヤ ・ブレアの名前はプロデューサーの坂口博信の娘の名前にちなんで付けられた。
    • またゲームの発売当時、その娘のアヤのコスプレ姿がファミ通のグラビアに載せられた。
      旧スクウェアスタッフの公私混同を象徴するエピソードとして知られる。

関連作品

  • 翌年末には、同じくPSで続編『Parasite Eve II』が発売された。
    • アクションアドベンチャーにジャンルが変更され、発売当時は『BIOHAZARD』らしくなってしまったとの批判をするものもいたが、現在ではアクション性の高さや周回プレイによる深いやりこみ要素などが評価されている。
  • 2010年12月にはPSPで第3作『The 3rd Birthday』が発売された*3
    • 時系列の繋がったれっきとした続編だが、タイトルから「パラサイト・イヴ」が取れている通り、前2作のようなミトコンドリアをテーマとした作品ではなくなり、ホラー要素のない純粋なアクションRPGとなっている。「オーバーダイブ」など前作までと異なる独自のシステムによるアクション性は評価された一方、鳥山求氏執筆のシナリオの評判は散々で、両極端な評価を与えられている。
    • それに伴なってか前作・前々作の『Parasite Eve』『Parasite Eve II』が、PlayStation Storeのゲームアーカイブスにて配信された。価格も安いので、続編とあわせてプレイしてみるのもいいだろう。
  • 月刊誌『ファミ通ブロス』(現在は廃刊)では天野シロ氏によってギャグ要素の強い本作の漫画が数回連載された。
    • 以後、同氏はスクウェア作品の漫画やイラストを多く手掛けることとなる。
  • チョコボレーシング』にはアヤが隠しキャラとしてゲスト出演。
    • ただし、レースゲームであるため実際に操作できるのはパトカーであり、アヤ自身が顔出しで登場することはない。