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メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット - (2021/04/13 (火) 05:45:04) の編集履歴(バックアップ)


メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット

【めたるぎあそりっどふぉー がんず おぶ ざ ぱとりおっと】

ジャンル タクティカル・エスピオナージ・アクション


対応機種 プレイステーション3
発売元 コナミデジタルエンタテインメント
開発元 コナミデジタルエンタテインメント(小島プロダクション)
発売日 2008年6月12日
定価 通常版:8,800円
スペシャルエディション:9,800円
プレミアムパック:51,800円(全て税込)
廉価版 PlayStation3 the Best:2009年6月18日/3,800円
判定 なし
ポイント ソリッド・スネーク完結編
史上最強レベルのムービーゲー
ファン以外にはオススメしてはいけない
08年GameOfTheYear受賞作
メタルギアシリーズ関連作品リンク


概要

メタルギアソリッドシリーズの4作目。小島監督曰く、ソリッド・スネークを主人公とした最後のシリーズ作品。Act1~Act5の全5章編成。
前評判に違わず、当時のPS3ソフトにおける最高の売り上げを記録し、海外では2008年のGameOfTheYearを受賞する程の評価を得た。
膨大な設定を抱えるメタルギアサーガを無事に完結させたものの、その反面、今までの以上のムービー多用やシリーズ未経験者への不親切さなどから、より人を選ぶ作品にもなってしまった。

通常版以外にも、特典映像ディスクが付いた「スペシャルエディション*1」、特典映像ディスクとオリジナルカラーのPS3本体が同梱された「プレミアムパック」も同時発売された。
2012年8月6日に配信されたパッチでトロフィー機能に対応し、キャッシュデータの一括インストール機能が追加。また、8月上旬よりパッチを適用済みのBest版が順次出荷されている。


評価点

国産PS3ソフト最高レベルのグラフィック

  • 発売は2008年とPS3では前期にあたるが、グラフィックはかなり美しい。
  • Act3の東欧市街地などは、実際に現地で取材を行っており、かなり細部まで作り込まれている。歩き回ってみるのも楽しい。
  • Act4では懐かしのシャドー・モセス島が美麗に復活。
    • 開発チームによると、これでも微妙な出来だとか。

変更された操作系統

  • ボタン配置が今までのシリーズから変更され、普通のTPSと同じような操作方法になった。
    • 例えば、『武器を構えて発砲する』という動作を従来作では□ボタンの押し込み具合で構える・発砲する判別していたため、構えを下ろそうとして発砲してしまった、ということがありがち。本作では構えボタンと発砲ボタンが別になっているので(ホールドアップなどで)構えてすぐに下ろすという動作が行いやすくなっている。
    • 2や3ではボタン一つで行えていた主観カメラへの切り替えは構えボタンを押しながら△ボタンという操作に変更された。ただし、本作では三人称視点でも狙いがつけやすくなっている。

アクション・システム

  • 特殊なアクションを行える場所で画面上にアイコンが表示されるようになった(壁への張り付き、段差を登る、エルードなど)。
  • 横ローリング・バックステップ・ホフクでの転がりなどが追加された。
    • いずれも戦闘時の緊急回避などに使える。転がりはホフク移動に比べて多少カムフラージュ率は劣るものの、体勢を低く保ちつつ素早く移動ができる。
  • 体勢を低く保っての移動(しゃがみ歩き・走り)が可能
    • 前作に比べて、走行時のカムフラージュ率減少量が多くなったため、普通に走っているとカムフラージュ率はマイナスになり、あっという間に発見されてしまうので、うまく利用したい。
    • 以前の作品ではしゃがみ中はホフク移動になるため、その場で遮蔽物に身を隠すぐらいの使い方しかできなかった(ダンボールを装備して移動することで擬似的には可能だった)。
    • 『MGSPW』『MGS3D』など本作以降の作品にも採用された。
  • スナイパーライフルや重火器を装備した状態、主観視点での移動が可能
  • 三人称視点(肩越し視点)では、照準(射撃武器)や着地点の目安(投擲武器)が表示されるようになり、主観カメラを使わなくても扱いやすくなった。
    • また、ライフルや重火器は自動的に構えないようになり、装備すると視界が狭くなるという欠点もある程度解消された。
  • クイックチェンジによるタクティカルリロードが完全に不可能になった(ただしリロード時間の短縮程度なら可能)。
  • 新カムフラージュシステム「オクトカム」
    • 壁に張り付いたり地面に這うなどして1秒程度静止すると、その環境に最適なカムフラージュパターンを読みとり、スニーキングスーツの色彩・質感が変化する。これにより、その場その場で最高のカムフラージュ率を保つことができる。
    • 顔用のオクトカム「フェイスカム」を併用することでさらにカムフラージュ率を高めることも可能。また、お遊び要素として若い頃のスネークやオタコン、雷電といった登場人物の顔を模したフェイスカムも手に入る。
    • 赤外線センサーを搭載した無人機にはステルス迷彩よりオクトカムのほうが有効という設定のため、
    • 前作『MGS3』では時代設定もあり、場所ごとに迷彩服を交換する必要があったが、本システムの導入で遥かにテンポが良くなった。
      • 数は少ないが固定パターンもある。あらゆるダメージを半減、静止していればカムフラ率99%を保つ、前作の仮死薬*2のような効果を持つもの(当然ながら、使用回数無制限)などかなり強力なものもあるので、ご利用は計画的に。
      • ただ、前作のスニーキングスーツやスネーク迷彩のような、どんな場所でも高いカムフラージュ率になるようなものがなく、こまめに読み取りを行う必要がある。
  • 前作は難易度を上げても足音に反応する距離は変わらなかったが、本作では難易度を上げると足音にも敏感になる。
    • 前作では、足音を感知されないためには、歩き移動よりもさらに遅いストーキング移動をする必要があったが、本作ではストーキングは廃止され、歩き移動で足音がしないようになった。
    • 前作では、潜入フェイズなら足音に気づかれて振り向かれてもすぐにアラートにはならなかったが、本作では即座にアラートになる*3。敵が後ろを向いていてもCQCでの強行突破がやりにくくなった。
  • ホールドアップした敵からのアイテム奪取はボディチェックに変更された。立ち状態なら2個、伏せ状態なら4個まで入手できる。
    • 伏せホールドアップのタイミングと有効範囲が調整され、拘束後投げ以外で倒しても行い易くなった。しゃがんでいる敵に行うとそのまま伏せホールドアップになる。

シリーズファンには嬉しいステージやネタ

  • Act4は『MGS』の舞台であるシャドー・モセス島。
    • 10年近く放置されて廃墟と化してはいるものの、PS3の性能でリアルに表現された核廃棄施設を探索する事ができる。更には昔を懐かしむスネークとオタコンの会話や、MGSのセリフが随所で聞ける。
    • 章開始時にはスネークの夢と言う形で、MGS1の施設前のマップをそのままプレイする事ができる。
    • 章のラストにはメタルギアREXも登場し…。
  • ラストバトルはラスボスの体力に応じてMGS1~MGS3のLIFEゲージとBGMが順に再現されるという、シリーズファンには涙ものの演出である。そして最後は本作のタイトル曲をバックに、満身創痍のスネークとラスボスがゲージも何も表示されない画面で決着を付ける…。
  • スナッチャーポリスノーツ等、メタルギアシリーズ以外の小島監督作品に関するものが様々な場面で登場。メタルギアシリーズにとどまらず、氏のこれまでの作品すべての総決算といってもよい。

ストーリー

  • 「これで最後」「シリーズの謎が明らかになる」という宣伝がなされた『MGS3』においてさえも結局謎は残り、エンドロール後に黒幕の通信音声が聞こえるパターンが常態化してきたメタルギアシリーズだが、 本作では正真正銘、ソリッド・スネークの戦いにまつわるすべての謎が明かされる
    • 「愛国者達」に纏わる謎をはじめ、これまでに登場したキャラクターが一体どのような思惑を抱きどう行動してきたのか、そしてそれがどのように世界に影響していったのかが明かされる。
    • 多少強引なうえに矛盾点もないわけではないが、重要な組織・人物・事件の謎から、登場人物一人一人に至るまで、 暗い含みは一切といっていいほど残されない 。ゲームの謎をほぼすべて回収した上、「蛇」を巡る因縁などシリーズの芯ともいえるエピソードが決着し、ソリッド・スネークにも救いがもたらされる。これ以降は『MGR』の雷電などのように、若い世代が新たな戦いを始めるのみとなる。
      • ただ、その矛盾点はやはり無視できないものも含んでいる。これについては問題点の部分も参照。
    • ソリッド・スネークの父親に相当するビッグボスは、声優もスネーク役の大塚明夫氏の実父である大塚周夫氏が演じる等、声優ファンにも嬉しい配役である。

その他

  • クリア後に所持していた武器弾薬にアイテムを引き継いでの2周目プレイが可能。
    • MGS・MGS2とは違い、ユニークアイテム以外も引き継ぐ。
    • ただし、クリア時に高評価を狙う場合は封印しなければならない武器・アイテムもある。
      • クリア時にはプレイ内容に応じた称号が貰える。あまりに内容が酷いと「PIG」「COW」「CHICKEN」といった、明らかに揶揄の意味合いが込められている称号が付けられてしまう。
  • 目立ったバグや不具合は無い。
  • シリーズお馴染みのカムフラージュアイテムとして「ダンボール」だけでなく、MG2に登場した「バケツ」を彷彿とさせる「ドラム缶」が登場。
    • 重量があるが、転がって敵に体当たりすることが可能。この「ドラム缶アタック」はコミカルながら、高難易度の敵でも1発で気絶するほど強力。
      • なお調子に乗って転がり続けると急停止し、嘔吐してしまう。気力が大きく減退し、また隙だらけとなる。
  • 後述されている長いムービーだが、ムービーそのものは良質。  

賛否両論点

多彩な武器

  • 旧作を遥かに上回る合計70種類。
    • オリジナル武器も登場。異様にリロードモーションの凝った種子島や、『ボクらの太陽』の太陽銃などのネタ武器も存在する。
    • SOCOMやM1911A1など過去作で登場した武器も登場する。これらの武器はパスワードを入力することでも入手できる。
      • 『MGS2』のAN94が登場しているのにスパス12が無い、先述のSOCOMがあってファマスが無い、PSG-1が無い代わりに原型モデルであるG3A3と、それを機関銃として改造したHK21が出てくるなど、そのチョイスに首をかしげる武器も多数。
    • ただし、これらの武器は5つまで携行できるが、M4 CUSTOMとOPERATORの2つを外し埋めていた場合、ムービーの度に強制的にそちらに置き換えられてしまう。必然的に使用武器が固定化されてしまい、それらの武器を使う機会がろくに与えられていない。この点は『MGSPW』で改善されている。

「ドレビンショップ」の存在

  • 戦場から回収した武器を武器洗浄人「ドレビン」に渡すことで、武器に応じたDP(ドレビンポイント)が得られる。これを用いて武器・弾薬・アイテムが売買可能なシステム。
    • 本作では各地を転々とするため同種の弾薬を入手し辛い。それを救済するシステムとも言えるが、シリーズの特徴であった「現地調達」の面白さが失われたとも言える*4
    • さらに、弾薬の所持上限数が従来作と比較してかなり多くなっている。EASYではなんと9999発、NORMALでも893発*5
    • 前作ではアイテムボックスから入手していたサプレッサーもDPに糸目を付けなければ上限まで購入できる。そのため、実質的に『MGS』『MGS2』のように使用回数制限はない。また、最も使用頻度が高いと思われる麻酔銃のサプレッサーは使用回数無制限となっている。
    • ボスとの戦闘中にも買えることに不自然さがある*6。一方で、旧作でもボス戦中に弾薬が底を突くとアイテムが周囲に現れることを考えれば、突っ込んだら負けとも言える。ただし弾薬を探してウロウロしている間にやられるということは無くなったため、幾分難易度は下がった。
    • このシステムのおかげで2周目以降の武器・アイテム等引き継ぎプレイがはかどるという意見もある。

旧作ネタの是非

  • 本作は旧作ネタが非常に多い。シリーズ経験者がニヤリとできる要素でもあるのだが、「あまりに多くて食傷気味」「未経験者を置き去りにしている」という意見もある。
    • これだけ長大になったシリーズの謎や小ネタを、本作のみで回収しようとする姿は評価できうるものだが、それに終始すぎた感が否めない。
      結果としてゲーム部分のボリュームが薄くなってしまったため、小ネタを入れるより本編をもっと作り込めという声も多い。
    • 旧作までの謎が明かされる場面は、シリーズを知るファンからすれば嬉しい謎解きだが、知らないファンからすればちんぷんかんぷんである。

問題点

ストーリー・エンディングに対する評価

+ ネタバレ注意
  • 変異したFOXDIEの暴走を防ぐため、スネークが自殺したかと思ったら踏み止まっており、そこにビッグボスが突然登場。
    そして彼の口からMGS4そしてシリーズの謎が解き明かされる…という展開が唐突すぎるという意見がある。
    • 後述するように、死んだと思われていた登場人物が結局生存したという平和な展開が多く、これにしらけるプレイヤーも多かった。これならば、スネークが自らを抹消して世界を守るという悲壮なエンディングの方が、作品がひきしまり、これらのプレイヤーを納得させられたはずである。また、この時点で本編での決着は一通りついており、別にこういう形で決着をつけなくても(=Act5までの内容でエンディングを迎えても)謎はそんなに残らない。
    • また、そもそもこのシーン自体が長い*7。語られる内容は相応に濃いのだが、既にゲーム部分が終了して最後のムービーパートに入って久しいところからさらに展開するため、うんざりするプレイヤーも多かった。
      • 「自殺して終わる」場合、いくつかの疑問が消化不良のままになってしまう上にスネークは結局愛国者達の掌で足掻き続けただけの人生だったと言う虚しさしか残らず救いのない内容となっていた。愛国者達を完全に消滅させ「MGS」のEDでスネークが望んだ「自分として生きる道」を見いださせてスネークの余生に救いを与えるという役割、ボスの意志についての考察はビッグボスでしか出来なかっただろう。
  • ビッグボスの話を含め、物語の密度についていけないプレイヤーの間では最後まで何が何やらさっぱり理解できないという声もちらほらある。それは物語の理解力の個人差、あるいはゲーム制作側の調整力の問題だが、シリーズファンでこれなのだから、 旧作未経験者はもはや完全においてけぼり である。
  • リボルバー・オセロットは『MGS2』の時点では実際にリキッドに憑依されていたのだが、本作では憑依の原因となっていたリキッドの腕を切り落とし、人工筋肉の義手をつけていることが最後の殴り合いのシーンで確認できる。
    • 自身の憑依体質を逆手に取り、リキッドに憑依されたふりをして愛国者達を騙すための作戦だったのだが、『MGS2』の時からずっと演技をしていたと誤解するプレイヤーもいた。
    • そして、このオセロットの真実を含め、ここでビッグボスが明かす内容は、要は『MG』から本作に至るソリッド・スネークの戦いはすべて、「愛国者達」オリジナルメンバーの戦いに巻き込まれ続けていただけであったということである。*8
      • 要約すれば、MGSシリーズは「愛国者達」と離反したメンバーによる壮大な茶番劇とも言える。シリーズを通してスネークは事情も知らず彼ら(特にオセロット)に振り回され、今作も完全にオセロットの計画のコマとして働かされていたという事実に、プレイヤーによっては ひどい徒労感 を感じる。*9
      • スネークには、ビッグボス達がついに手に入れられなかった真の自由=「フリーダム」を与えられるという救いが最後にもたらされた、とビッグボスは語る。確かにそれ自体には矛盾はなく、綺麗に物語を締めくくっているが、これだけでは徒労感が拭いきれなかったプレイヤーもいる。

史上最長とも言われるムービーの長さ

  • 恐らく世界一ムービーが長いゲーム。その長さはなんと約9時間。ムービーの合間にゲームがある''とまで言われるほど。
    • 特に最終章のAct5は殆どがムービー。潜入パートに至っては最初のマップだけ。
  • しかもそれに反比例してゲームプレイ時間が少なく、ムービーを飛ばした場合10時間程度でクリアできてしまうボリュームの無さ*10
    • ちなみにクリア時にプレイ成績に応じた『称号』が手に入るが、最長の称号にはプレイ時間35時間を求められる。安全地帯で放置でもしない限り無理である*11
  • 評価点に述べたとおり、操作やゲームシステムには非常に意欲的な新要素が多いのだが、そもそもそれを活かせるプレイパート自体が少なすぎる。
  • ムービー中にSTARTボタンを押すことでポーズをかけられるようになったが、ボタン一つでスキップできなくなったという不満もある。
  • スタッフロールがとても長い上にスキップできない。これは前作までも同様だが、本作は称号やトロフィーといったやりこみ要素のコンプリートに最低8周のプレイが必要*12であるため不満が多い。
    • 携帯機作品である『MPO』や『MGSPW』では一度見ればスキップできるようになっている。

テンポの悪さ

  • 老化が進んでいるため仕方ないのだろうが、過去作に比べてスネークの移動速度が遅い。両手武器を装備するとさらに遅くなる。マップも広いので移動に時間がかかる。
  • 全5章編成だが、章が変わるたびに2~3分程度のインストールが必要。2周目以降も。
    • 総インストール容量が推定20GB近くもあり、発売当時はPS3のHD容量が最大60GB(北米では80GB)しかなかったため、分割インストールは仕方なかったのかもしれない。
      • ディスク交換の手間を無くすために1枚に収めたというのに、ディスクを交換するよりも時間がかかってしまうというのは、皮肉な結果である。
    • 2012年8月に配信されたパッチで一括インストールが可能になり、周回時のテンポははるかに良くなった。ただし、インストール容量も10GBと多いため、初期型のPS3ではHDDの換装が必要になるかもしれないので注意。
  • ロードも地味に多い。特に、場面が変わるときに長めのロードが入る。
  • 目立った処理落ちは無いが、フレームレートは30~60の間を絶えず変動する。『MGS2』のように常時60fpsとまではいかなかった。

宣伝とのギャップ

  • 「戦場に潜入する」と謳っているが、実際にステージが戦場なのはAct1とAct2だけだったりする。
    • Act3には(レジスタンスを尾行する目的はあるものの)潜入要素が殆どない。変装していれば敵兵に見つかっても問題ないし(前作では変装を見破るキャラがいた)、銃器・CQCも使用できる。制限はステルス迷彩が使えなくなる程度。*13
      • 街には夜間外出禁止令が出されているため、PMCに見つかるとレジスタンスは問答無用で連行されていくが、片手にナイフを持つあからさまな不審者はお咎めなし。それでいいのか、PMC。
    • Act4に至っては、ボス戦以外兵士が出てこない。いるのは最新型のメタルギアである月光と仔月光という無人兵器だけ*14
      • ただし「無人兵器の目を掻い潜って潜入する」というスニーキングミッションには一応なっている。聴覚や視覚は人間の敵に劣るが、警戒態勢になると仔月光が大量に集まってくるので厄介。
      • 無人兵器に有効なチャフグレネードは入手箇所が少なく、ドレビンショップでも販売されていない貴重品となっている。
  • 「戦場というシチュエーションに潜入する」というテーマに則り、プレイヤーの行動如何で兵の感情が変化し、潜入難易度が変化するというシステムがあるのだが、このシステムに至ってはほぼ存在意義がない。そもそも、 ゲーム前半で、このシステムが活用できる戦場ステージが終了する からである。
    • 武装勢力に味方すると「英雄度」というパラメータが上がり、スネークに対して友好的になる。お礼にアイテムを貰えたりするのだが、存在を知られてはいけない潜入作戦なのに顔を晒していいのだろうか。
    • 逆に英雄度が低いと武装勢力からも攻撃される。武装勢力は無線で増援を呼ぶことはないが、ノーアラートで進むなら英雄度を高くしておいた方が楽。
    • また、発売前のインタビューでは「戦場に2つの勢力が存在したとして、どちらに協力するか」といったような、2つの勢力の中でプレイヤーの位置が行動によって変化し、それによって戦場の状況が変化する、と言われていた。
      • 戦場にはPMCと民兵の2つの勢力が存在するが、PMCはナノマシンで感情を制御されているため、いくら協力してもスネークには好意は持たない。感情が変化するのは民兵の方のみである。
    • つまり、隠れながら先に進むより民兵と一緒に戦った方が手っ取り早い。これではステルスアクションの意義が…。

シリーズ未経験者への不親切さ

  • シリーズ未経験者への補足は全くない。そのため本作から初めてMGSをプレイしたユーザーからは、「意味の判らないムービーを長々と見せた挙句、ろくに遊ばせてくれないクソゲー」という声もある。
    • 電撃プレイステーションのレビューでも、この点が真っ先に欠点として挙がっていた。
    • ここまでにも何度か述べているが、シリーズの謎を回収する姿勢が裏目に出てしまっているといえる。
    • 一応発売後に配信された「METAL GEAR SOLID4 DATABASE」という無料DLCで今作までの各種データを確認する事はできた。ただし2012年に配信終了。

小ネタやネタ無線の激減

  • 今までのシリーズ作と比べると、よりシリアスな作風となっており、シリーズ恒例のネタ無線は大幅に少なくなった。そもそも、こちらからコールできるのもオタコンとローズだけと少なく、セーブもメニューから行うように変更されてしまった。
    • 容量がギリギリで小ネタを入れる余裕が無くなってしまった、という説も。

没個性的なボスキャラクター

  • ボスキャラクターであるBB部隊の評判がよろしくない。
    • あまりにも人間離れしたデザインから、MGSの世界観にはそぐわないという批判がある。
    • 旧作のボスキャラクターが概ね個性的だったのに対し、BB部隊は全員同じような容姿と過去を持った女性である。
    • それぞれの暗い過去も、勝利後に無線で簡潔に説明されて終わりである。スネークとの熱い会話などは無い。
    • また、戦闘が終了した後の、本体を表した彼女達との戦闘が意味不明。エロいだけである。
    • ストーリーにも特に大きく関わるわけでも無いからか、後述の小説版ではBB部隊は未登場となっている。
  • 所謂「ラスボス」も、画面を一切見ずに攻撃ボタンを連打しているだけで倒せてしまう。

無理のある設定とやりすぎな演出

+ ネタバレ注意
  • 旧作との整合をとるために、無理矢理感のある設定や、後付ゆえの矛盾が存在している。
    • スネークはCQC*15を使えるが、今まで使わなかったという設定が少々強引すぎる。
    • 『MGS』で名前だけ出てきたクラーク博士と『MGS3』のパラメディックが同一人物であることが明かされるのだが、旧作の発言と矛盾している。
      • パラメディックは女性であるはずなのに、『MGS』にてナオミから「」と呼ばれている。ちなみに小説版MGSでは「彼女」に訂正されている。
      • 後のシリーズではクラーク博士は経歴不明で滅多に人前に出ない事で有名と語られている。
  • アメリカを影から支配する謎の組織「愛国者達」の正体が、『MGS3』に登場したキャラクター達だったという真相*16も、「狭い人間関係で完結してしまった」としてスケールダウンを感じさせる事となった。
    • 『MGS2』では、そのトップに立つ12人が100年前に死んでいたなど、得体の知れなさを押し出して描写されていたのに、本作であっさりと偽情報だったとして流されてしまう。
    • 特に、『MGS2』に登場したA.I.は「愛国者達」が手に入れた新たな力の1つのように表現されていたが、本作ではこのA.I.自体が「愛国者達」なるA.I.ネットワークの根幹をなすものであったことが明かされる。この事実も同様であろう。
  • 本作発売と同時に、全作分の資料集である『METAL GEAR SOLID4 DATE BASE』がPSストアから無料配信され(現在は配信終了。)、さらに『MGS2 バンドデシネ』*17も発売されたが、これらも細かい部分で相互に矛盾しあっており、結局何が真実なのか分からない。
  • 演出面にもやりすぎな部分や不自然な点が見受けられる。
    • 代表的なものは、戦闘の最中に愛の告白とキスをするメリルとジョニー重大な話をしているナオミのパンツを覗こうとするスネークなどが挙げられる。
    • 劇中で雷電がスネークの身代わりになり巨大戦艦に押しつぶされるのだが、その際に誰がどう見ても死亡したと思われるような演出が入る。しかし、その直後のムービーのスネークとオタコンの「雷電は?」「一命は取り留めたが到底参戦は無理だ。休ませてあげよう」という会話で生きていることがアッサリ告げられる。プレイヤーからすると肩すかしを食らった気分になる。
      • 雷電は「あのまま死亡する」か「死亡したと見せかけてスネークの危機に再登場する」方が良かったのではという意見が当然ある。
      • 実際、この後でスネークのピンチに駆けつけるシーンがある。前述の会話が無かった方がプレイヤーに与える衝撃が大きかった事だろう。
      • 新たなタイトルの主人公たりえるキャラクターなのだからもちろん殺すわけにはいかなかったのだろうが……。
    • これに加えて、エンディングの項目で述べたスネークの最期など、全体として人の生死が少ない。過酷な戦場の様子が序盤から繰り返し描写されるにもかかわらず、「実は生きていた」「やっぱり死んでなかった」といった形で重要キャラクターが生き残るという展開が、作品を弛緩させてしまっている。
  • 別の点から見た指摘として、「無理に本作で決着させなくてもよかったんじゃないか?」と言われる事がある。
    • 多数存在する矛盾や粗、無理矢理な描写、後述する全体的な描写不足を見ても、「広げ過ぎた風呂敷を無理矢理畳んだ」という印象が強い。
      風呂敷を広げ過ぎたが故にムービーで強引・長々と説明せざるを得ず、結果ディスクの容量を食い、ボリュームが激減、未経験者へ配慮も無し…これでは本末転倒だろう。
      発売当時から「本作である程度話を終わらせてMGS5で決着させる、というやり方でもよかったのでは」という意見は結構な頻度で出ていた。小島監督が退社した今となってはどうしようもない事ではあるが…。
  • 小島監督が前に出過ぎ。
    • 作中、「コジマ・カミナンデス」という像が登場する。無論、制作者である小島監督のことを言っているのだが、「やりすぎ」「自画自賛も度が過ぎる」等といった批判の声もちらほらしている。
      • ちなみにこのネタは『MGSPW』でも登場人物の名前や無線で再度使われている。
    • 兵士役でカメオ出演していたり、隠し要素として彼の「久夛良木さああん!*18」という絶叫が収録されていたり……。特に、兵士役としては終盤で結構な量のセリフを担当するのだが、お世辞にも演技が上手いとは言えない上にあまり存在意義がない。

全体的な描写不足

  • 『MGS2』にて登場したメタルギアRAYの開発理由は、「メタルギアREXのデータ流出によって世界中に拡散したメタルギアの亜種を駆逐する」というものであった。本作は『MGS2』の5年後を舞台にしており、世界各地の戦場を転々とすると宣伝されていたため、未だ見ぬ「メタルギアの亜種」たちに出会えるのではないかと多くのプレイヤーが期待していた。
    • しかし、本作に登場するメタルギアは月光・RAY・REXの三種類のみ。「世界各地の戦場」も実質2ヵ国であり、亜種は確認できず。結果的に設定倒れとなってしまった。
    • 補足しておくと、メタルギアは本来「核戦略の中核を担うモノ」であり、扱いとしては戦略爆撃機や戦略原潜と同じなので、所有できる勢力が登場しないのはある意味仕方ないとも言える。
  • ナオミとオタコンの関係が、事前に匂わせるような描写もなくいきなり始まるので唐突に感じる。
  • 『MGS2』から5年後を舞台にしているが、ゲーム開始時のスネーク達の置かれている状況が分かりづらい。
    • 「フィランソロピーはどうなった?」「雷電は何をしてたんだ?」等々。
    • 特に雷電については、トラウマ、サイボーグ化した理由、サニーを助け出した経緯などが一切説明されてないので、プレイヤーは置いてけぼりを食らってしまった。
      • 本来ならこの空白を埋める『メタルギアソリッド ライジング』という作品が作られるはずだったのだが、開発トラブルの末に「本作の数年後の物語」に変更されてしまい、語られることはもはやなくなってしまった。
  • 小島監督は本作を「スネークのサーガ」と語っているが、前述のとおり今作は今までのシリーズの謎の種明かしに焦点がおかれているため、その中心から外れているスネークは若干蚊帳の外。

声優の変更

  • ヴァンプの声優が『MGS2』の置鮎龍太郎氏から塚本晋也氏に変更されている。
    • 元々は『MGS2』の時点でヴァンプの声優は塚本氏が担当するはずだったのだが、諸事情により出演できなくなり置鮎氏が急遽代役を務めたとのこと。
      • つまり厳密には「声優を変更した」のではなく、「本来の声優に戻した」だけなのだが、事情を知らないユーザーからは「何で変えたの?」と思われてしまった。
    • そもそも『MGS2』で【ヴァンプ=置鮎氏】と認知されたのだから、わざわざ変える必要があったのだろうか?
    • 後に発売された『MGS2バンドデシネ』でもヴァンプの声は置鮎氏が続投しており、ますます塚本氏に変えた意義が分からない。
    • 塚本氏は映画監督であり小島監督の友人である。つまり、 コネ友情出演 と考えられる。
      • しかし、そのようなケースは端役に留めておくのが普通である*19。ヴァンプのような重要な役での起用に加え、本職でない声優の起用、となれば批判されるのは当然だろう。
      • 演技力は悪くないが、声質も置鮎氏とは大きく異なっており、違和感も大きい。
  • ジョニーの声優が旧作の今村直樹氏から福山潤氏に変更されており、『MGS』及び『MGS2』の経験者からは不満の声があった。
    • こちらはヴァンプとは違い、変更された理由は不明(今村氏の都合がつかなかった可能性もある)。憎めない下っ端兵としてちょい役を演じてきた前シリーズまでと違い、今作ではガッツリシナリオにかかわってくる上に見せ場も相応にある。
      • 今までの長年の下っ端ネタキャラが報われた形になるのだが、「その扱いは違うだろう」とちょい役としての彼の活躍を期待していたユーザーの声も見られた。
    • 声優に性格が変わっていることや主にアキバと呼ばれることから、旧作のジョニー佐々木ではないと考える人が多かったため、同一人物と判明してから当惑したプレイヤーも多い。
    • 『MGS3』ではジョニーの祖父が登場しており、声優も今村氏が担当するなどのこだわりを見せただけに、余計に変更した理由が謎である。
  • 英語版ではあるが、リキッド・オセロットの声優がリキッド・スネークを担当していたカム・クラーク氏では無く、リボルバー・オセロットの声優であるパトリック・ジマーマン氏に変更されている。リキッドじゃない。
    • 日本版では、オセロットの意識が覚醒したと思われる状態でもリキッドの声のままである。ただこれは、オセロット役の戸谷公次氏が本作発売前の2006年に亡くなってしまっているためどうしようもなかった問題であるが。*20

イベント類

  • 連打イベントは旧作と同様に健在。だが本作は連打しなければならない時間が非常に長い上に移動もしなければならないため、プレイヤーの指とコントローラのボタンに旧作以上に負荷が掛かる事になった。
  • 最初から始めると暫く架空のテレビ番組を見る羽目になる。勿論スキップは出来ない。ちなみにボタンで番組変更が出来る。
    • 番組はジャンル問わず色々とあり(クッキングや動物番組等)メタルギアシリーズとは関係ないもの。番組終了後に、PMCのCMが放送される。
    • これが、「戦争」が経済活動として日常化した作品世界を表現している他、ストーリーを暗喩している*21のだが、初見時のプレイヤーにとっては意味が解らない上にグロいだけであった。
      • ちなみに、英語版でスネークの声を担当しているデヴィッド・ヘイター氏の他、やっぱり小島監督もちょっとだけ出演している。

総評

2008年GameOfTheYear受賞は伊達ではなく、PS3のハード性能を存分に活かした丁寧で緻密なゲームデザインは圧巻である。
ある程度の描写不足や展開への賛否はあれども、『メタルギアソリッド』という難解な一大シリーズに一応の決着をしっかりつけた点も、ファンにとっては快いだろう。

ただ一方で、一部の過剰な演出や突飛な設定、さらにはムービーの多用シリーズ初心者への不親切さなどは決して無視できないマイナスポイントである。
特にムービーの多用については、そういった作風を理解しつつも追従してきた古参ファンにすら、同様の苦言を呈されてしまった事態はやはりいただけない。
「ムービーゲー」は本作を表現するものとしてよく使われる名称であるが、それが単なる特徴を捉えた名称ではなく、欠点を揶揄するものであることは明らかである。

とはいえシリーズファンならば押さえておいて決して損は無い集大成的な作品なので、欠点を把握したうえでソリッド・スネーク最後の戦いを体験して欲しい。
シリーズ初心者は、一本で4作(PS3版は5作)を収録した『メタルギアソリッド HD エディション』や、PS3のみとなるが本作を含めた全てのメタルギアサーガが収録された『レガシーコレクション』などで十分に予習してから本作をプレイしてはどうだろうか。


余談

  • 本作以降、『インテグラル』『サブスタンス』『サブシスタンス』に相当する所謂完全版が発売されていない。
  • 『メタルギアソリッド ポータブル オプス +』には本作に先駆けてオールド・スネークがユニークキャラクターとして登場している。
  • コラボアイテムとして『リゲイン』と『iPod』とユービーアイソフトのゲームである『ASSASSIN'S CREED』の服装が登場。『リゲイン』はコラボCMまで作られた。
    • 前者は回復アイテムとして、後者はスネークのスペシャルコスチュームとして使用できる。
    • 『iPod』では歴代小島秀夫作品のBGMだけでなく、攻略ポイントやマップの見どころを紹介するMGS4ツアーや制作秘話など盛りだくさんの内容となっている『Guns of the HIDECHAN! radio.』(DLCとして無料配信)を視聴できる。
  • 本作は後に同じ小島秀夫作品『Castlevania: Lord of Shadow』の特別版で半ば抱き合わせと言うべきセットで再販された。
  • 本作を原作としたタッチシューティングゲームであるiOSアプリ「Metal Gear Solid Touch」が過去に配信された。スマートフォン向けゲーム創成期の作品であるため、2017年現在の最新ゲームと比べると非常に見劣りする。
  • 伊藤計劃による小説版も発売されている。
    • MGSの有名ファンサイトの管理人であり、かつ「小島原理主義者」を自称するほどの小島監督作品ファンであった氏の作品だけあって、ゲームのノベライズとしては非常に良質。
      • また、SF界で非常に高い評価と注目を集めた作家ではあるが、デビュー後早期に亡くなってしまっており、氏唯一のゲームノベライズ作品、数少ない長編の1つとしても貴重な作品である。
    • 本編で抜きにされていた歴代シリーズの説明やマニアックな小ネタの追加から、評価は高い。
    • 本編でいきなり使えるようになっていたCQCへのフォローや、ゲーム中では全く分からないリキッド・オセロットの右腕についても言及されている。
    • ちなみに、氏のオリジナル長編『虐殺器官』は、本作と非常に似た描写が多く、「SENSE」を巡る物語としてある程度共通してもいる。本作を遊んだ人はこちらを読んで損はない。