「ウィザードリィ4 ワードナの逆襲」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

ウィザードリィ4 ワードナの逆襲 - (2015/04/07 (火) 12:32:00) の編集履歴(バックアップ)


Wizardry: The Return of Werdna - The Fourth Scenario

【うぃざーどりぃ ざ りたーん おぶ わーどな ざ ふぉーす しなりお】

ジャンル RPG
対応機種 PC:AppleII、PC/AT、PC-8801、PC-9801、Windows 98/Me/XP
家庭用:PCエンジン スーパーCD-ROM2、プレイステーション
原語版発売・開発元 SIR-TECH
日本語版発売元 【PC88】アスキー
【PCE】ナグザット
【PS】ローカス
【Win】エレクトロニック・アーツ・スクウェア
日本語版開発元 【PC88】フォアチューン
【PCE】アクセス、ナグザット
【PS】ソリトンソフトウェア、サンダーストンジャパン、グラフィティ・ラボ
発売日 【AppleII】1987年11月
【PC88/98】1988年12月15日
【PCE】1994年3月04日
【PS】1999年10月28日
【Win】2002年8月22日
備考 PCE版は『ウィザードリィIII・IV』に収録
PS/Win版は『ウィザードリィ ニューエイジオブリルガミン』に収録
Wizardryシリーズ

概要

Wizardryシリーズの4作目。
1作目のラスボスであるワードナを主人公とし、「魔物を操り地上を目指す」という逆転の発想に基づき、これまでのWIZをクリアしてきたプレイヤーに対する挑戦状として製作された作品である。

  • ちなみに、メイン開発者の一人ロー・アダムスは、パソコン雑誌「ソフトーク」の編集者であり、1作目から製作のバックアップを行ってきた。さらに『ウルティマ』『バーズテイル』の製作にも関わっている。

ストーリー

遥か昔のこと…
ある夜、偉大なる魔術師によって「忘れられし神々の神殿」より「大いなる門」が開け放たれ、神々が地上に降臨。
世界が破滅するかのように思われたが、明け方に何者かによって神々は送還され、「大いなる門」も、偉大なる魔術師も消え去った。
それから数世代の後…「神々の神殿」から「アミュレット」が発見された。
凄まじい力を持つと推測されたアミュレットは、その後長らく歴史の闇に封印されることとなる。

そして更に数千年の時が経った後…1人の王と1人の魔術師が同時期にある巻物を手にする。
それは偉大なる魔術師の弟子によって残された巻物であり、そこにはアミュレットの力について記されていた。
アミュレットが強大な力を持つこと。そしてアミュレットに触れるためには、その強大な力を抑えるための「ミスリル・ガントレット」が必要であること。
あらゆる手段を使ってミスリル・ガントレットの片手分を手に入れた魔術師は神々の神殿に向かったが、アミュレットは既に王に奪われた後であった。

魔術師は王の居場所を突き止め、彼の寝室に転移呪文で侵入。
悪魔の石「ダミアン・ストーン」を置き土産に、アミュレットを盗み出すことに成功した。
激昂した王は、国中にお触れを出す。
『邪悪なる魔術師を倒しアミュレットを取り戻した者に、莫大な恩賞と近衛兵として登用する名誉を授けよう』と。
それから5年後、エルフの忍者「ホークウィンド」が率いる6人の冒険者が、広大な地下迷宮の最深部に潜む魔術師のアジトに踏み入る。
冥界からの客分「ヴァンパイアロード」をもてなしていた最中だった魔術師は、その一瞬の油断ゆえに討たれ、野蛮な冒険者共がアミュレットを剣の先に吊るして持ち帰ろうとする光景を目に焼き付けたまま、その生涯を閉じた。
しかし…魔法を極めた魔術師の肉体は、滅ぶことはなかった。
アミュレットを奪還した王は魔術師が復活することを予期し、アミュレットの力を用いてかつての地下迷宮をさらに複雑な、そして多数の強力な守護者を配置した墳墓へと変化させてしまう。

そして100年後…王の予想した通り、魔術師は蘇った。
再びアミュレットを手にし、世界を手中に収める為に、魔術師は地上を目指す。

特徴

主人公が1作目のラスボス

「自分でキャラを作って冒険する」これまでのシリーズとは違い、主人公がワードナとなっている。
ワードナは魔物を召喚してパーティを組み、ダンジョンの各地に散りばめられた謎を解きながら地上を目指すという特異なゲーム性になっている。

  • なお、ワードナのクラスは魔法使いでシナリオⅠの時点で使用できた僧侶呪文は使用できない。ステータス異常攻撃も呪文抵抗率も失われている。また、神々の恩恵を受けられないようで「HAMAN」「MAHAMAN」は唱えても効果がないなどと呪文面は大幅に弱体化されている。
    • ただし装備品に関してはかなり充実しており、以前まで魔法使いはアクセサリー系やローブしか身に着けるものがなかったが今作では外套、帽子、専用剣等装備できる物が増えている。装備によってクリティカルヒットや呪文抵抗を持つことが可能である。
  • ダンジョンの各地に「魔法陣」が存在しており、ここに入るとワードナがレベルアップしたり、モンスターを召喚することができる。
    • 魔法陣にはレベルが設定されており、そのレベルに応じたモンスター(その魔法陣以下のレベルのモンスターも召喚可能)を3種類呼び出すことができる。
    • 経験値の概念はないため、ワードナのレベルアップは魔法陣に入った時のみ行われる。レベルはこれまでに入った魔法陣の最大値が適用され、飛ばしレベルアップも可能。低いレベルの魔法陣に入っても下がることはない。
  • 冒険者たちとの戦闘に入ると、画面上部にこちら側の戦力、画面下部に冒険者のパラメータが表示される。これは従来のウィザードリィと同じ画面構成であり、あくまでワードナ側はモンスターである、ということを印象付けている。
    なお6人パーティを組んでいる敵との戦闘時にはパーティ名と台詞が追加される。冒険者パーティ名はリーダー名と頭文字を同一にし、韻を踏んでいて凝っている。
    • ワードナ側には前列と後列の概念がないようだし(均等に狙われている模様)、グループ呪文やディスペルで同グループのモンスターが一瞬で壊滅したり、ワードナが戦士の物理攻撃に晒されてアッサリあの世いきなんてことは日常茶飯事である。ワードナ達はたとえ僧侶がいても蘇生呪文は使えないのでゲームオーバーである。
    • 冒険者側にとって脅威であった麻痺やドレイン等のバッドステータスも健在。
      • どんな高レベルの冒険者たちでも不意の一撃で全滅してしまうシビアさがこれまでのWizの魅力であった。今作ではこちらが喰らわせる事が可能で旨く活用すれば強敵にも対処可能…というよりも活用しなければ死あるのみなのだが…
    • そして冒険者達を全滅させた後は戦利品として装備していたアイテムを奪っていく事が可能。
      • アイテムは入手前は不確定名で表示されるが、入手した時点で自動的に識別される。

マルチエンディング制

この時代のRPGとしては珍しく、マルチエンディングが採用されている。

  • 中盤で手に入る3本の剣のうちどれを入手したか、また終盤の選択肢によりエンディングが変化する。それとは別に、特定の手順を踏まないと出現しない真のエンディングもある。また、PS版『ニューエイジオブリルガミン』では新規エンディングも追加された。
    以上に挙げた特徴のため、「このゲームはRPGではなくアドベンチャー、パズルゲームである」と評されることも多い。
    ハマリを防ぐため、セーブ方式も従来のオートセーブ方式ではなく任意の場所でセーブを行える方式に変更された。

自重しないパロディ要素

元々パロディが多いシリーズであるが、この作品ではパロディやバカ要素がまったく自重しない。その内容はあまりに多すぎて書ききれないが以下、一例を挙げる。

  • ほぼ確実に戦う冒険者THORIN(トーリン。6人組のリーダー、低レベルながらHP300の司教)を倒すと「MORDORCHARGE(モルドール・チャージ)」なるクレジットカードが高確率で手に入る。実際に金の代わりとして使えるのだが、他人名義であることがバレると…。ちなみに「モルドール」は指輪物語の地名に、「トーリン」はホビットの冒険のドワーフたちのリーダーに由来。
    • 指輪物語やD&Dの登場人物・地名をもじった名前の敵集団も出てくる。一目見ただけでは解りにくい者もいるが。
  • ダンジョン内に「ボルタック商店」の宣伝をする飛行船が飛んでいる。
  • 最強の頭防具は「ADEPT BALDNESS(ハゲのカツラ)」。最強呪文TILTOWAITが飛び交う終盤では、呪文ダメージ80%軽減のこれがあるかどうかで勝率がずいぶん変わる。
  • トレボーの亡霊を成仏させるアイテムが「ST.TREBOR RUMP(聖なるトレボーのケツ)」。しかも100Gで売っている。
  • 後述する「壁が回転するフロア」で閉じ込められた場合、「GETOUT OF JAILFREE(脱獄カード)」なるアイテムを使うとその階の入り口まで戻れるのだが*1、移植作品でのそのカードのイラストはどう見ても「モノポリー」の共同基金カード。
  • 謎解きには複雑なフラグ立てやアイテム回収、このゲームの範囲内に留まらない幅広い知識が求められる。
    • 必要な知識の例としては「BLADE CUSINART'(カシナートの剣)」がミキサー(フードプロセッサー)のパロディであることや、カバラの知識、特に「生命の木・セフィロト」(『新世紀エヴァンゲリオン』のオープニングに一瞬映る約10個の大きな並んだ○とそれを互いに結ぶ直線で構成されたイラスト)など。

次回作以降にもとり入れられた新要素の数々

  • アイテム関連
    • 先に記述したとおりワードナが主人公になった事で魔法使い用の装備品が増加している。これは次回作以降(特に外伝)にも反映され魔法使いが装備できる防具が大幅に追加された。外伝にいたっては魔法使いしか装備できない剣「ウインドソード*2も追加された。
    • マジックアイテムも以前のWizから突出している物が多く、装備すると空を飛べて地面に仕掛けられた罠を回避できるウイングブーツ*3どんな呪いも解いてしまうクレンジングオイル壁を破壊できる手榴弾アイテムがたくさん入る箱等凄いアイテム達である。ここに書かれている物は次回作や外伝等の呪文やイベント等で再現されている。
  • ダンジョン関連
    • ダンジョンを脱出した後は城下町が冒険の舞台という新展開、ランダムでうろつき回って金と引き換えに情報を提供する預言者の存在、フラグ次第で和解と対立どちらも選択できる*4人物たちの登場などこれまで目的に向かって黙々と戦い、探索していた今までのWizに一石を投じている。次回作以降ではより洗練され、情報収集や売買など(もちろん戦闘による殺害も可能)も行えるNPCが登場するようになった。
  • 他要素
    • ワードナが行うモンスター召喚に関しても次回作から呪文の一つとして取り入れられた。#5ではこの呪文がクリアするために必須と極めて重要な呪文となっている。
    • 敵の盗賊が所持アイテムを盗むという技能は以降の作品でも取り入れられ、#5ではNPCとの交渉時にプレイヤー側の盗賊もNPCからアイテムを盗むことが可能になった。
    • これまでは不安定な上にダメージ上限が低い為にシナリオ後半で攻撃呪文の威力不足*5が問題になっていたが今作では帽子や外套等に攻撃呪文のダメージ倍率追加、軽減効果が付与されて終盤でも攻撃呪文による全体攻撃が有効になり、こちらが喰らっても十分耐えられるようになるなど有効な要素であった。しかし今作以降はインフレが進む中、呪文威力に関しては現状維持なのになぜかこの要素が取りいれられる事がなかった・・・

問題点

シリーズ中最高クラスの難易度

上記の通りこのゲームは「マニアへの挑戦状」的な位置付けの作品となっている。
そのため前述した雑学の知識はもちろんのこと、ウィザードリィに関する知識も求められる。

  • ゲーム開始直後、いきなり小部屋に閉じ込められている。しかもレベル0、HP1、呪文不可能という驚きの能力値。小部屋の中には魔法陣が1つあるだけで、入るとレベル1、HP10、魔術師レベル1呪文使用回数9になって*6選択した3種類のモンスターを召喚できるがこの後どうしたらいいかは全くのノーヒント。
    • 正解は「LVL 1 PRIESTを召喚するモンスターの中に含め、小部屋をうろうろして戦闘になるのを待ってMILWA(明かりの呪文)を唱えてもらう」というもの。ここまでに既に「隠し扉は明かりがないと見えない*7」という今までのウィザードリィの知識が必要。また戦闘中でないとモンスターは呪文を唱えないし、モンスターの行動はランダムなのでなかなか唱えてくれないことも多い。
    • 閉鎖空間のはずなのに転移呪文も使えないような低レベル冒険者とエンカウントするということからひょっとして隠し扉かと気付くかもしれないが、気づいても上記の解決策に思い当たるのは困難。戦闘中にわざわざ明りの呪文なんて非効率な行動はこれまでの作品で誰もやらなかっただろう。閉鎖空間に冒険者が出るのもゲーム内仕様と流す人もいるだろう。
    • さすがに理不尽と製作者側も感じていたのか、AppleII、および国産PC版の初回版にはここのヒントを記した封筒が同封されていた。
  • 恐ろしいのは、この程度の謎解きはほんの序の口にしかすぎないという事である。
    この後も「フロア一面がほぼ対人地雷で埋め尽くされている」*8 「「壁が」複雑に回転して進み方を間違えると閉じ込められる」*9などの奇天烈なフロアが多い。各種フラグ立てにしても選択肢を間違うと即死なものも多い。
    • そうでなくてもダンジョン内には狂王トレボーの亡霊が未ださまよっており、同じフロア内を長時間うろ付いているとトレボーにつかまり強制的に冥界へ連れていかれて即死。これを回避するためにはフロア移動を行うかセーブしたデータのロードを行うかのいずれかで回避可能だが、その場合フロアに固定配置されている敵も復活するためこれまた状況によっては詰む。
      • 完全に回避するためにはあるアイテムを用いて除霊する必要があるのだが、そのアイテムを入手できるのはゲームも後半に入ってから。
  • そして未だに「RPG史上最凶のダンジョン」として名高いのが地下1~3階、通称「コズミック・キューブ」。
    • この階層では上下構造が一定でない。例えば地下2階で落とし穴に落ちても、落ちた先が地下1階である、などは日常茶飯事。さらにダークゾーンや回転床、落とし穴、テレポーターが満載。上下構造が一定でないこともあって適当に歩けばすぐに迷子になる事は間違いない。
    • 敵冒険者の強さも異常で、前作までならばもはややり込みに近いLvのキャラ*10があたり前のように出現しワードナの命を奪っていく。Lvマックスで最強モンスター軍団を引き連れていても安心は出来ない。
      • さらに嫌がらせのように低レベル魔法陣が各所に設置してある。魔法陣のレベルは入るまで分からず、踏んでしまうと低レベルモンスターを再召喚しなければならない*11ため、強力な冒険者だらけのこの階層では死に直結する。*12
    • しかもクリアするためにはこのコズミックキューブを完全にマッピングしなければならない。というのもマッピングすることでラスボス撃破のヒントが現れる仕掛けになっており、そのヒントがないと絶対に倒せない。攻略本などのネタバレに頼りたくない人は気合を入れて歩き回る必要がある。
    • 出口付近までたどり着いたとしても、それまでに手に入るとあるアイテムを所持していなければ最後の壁が破れずに詰む。シナリオクリアに必要なアイテムをこの階層に出現する冒険者が多数所持している(ドロップはランダム)のも辛い要素。1度地上に出てしまえばMALOR(転移呪文)が自由に使用可能になるため、だいぶ楽にはなるのだが…。
  • 戦闘バランスもかなり厳しい。
    • 強力なモンスターを引き連れることができるとは言え、ワードナが死んでしまえば即ゲームオーバーとなる。集中攻撃や呪文の波状攻撃を受ければスペランカーほどでないにしろすぐ死ぬ。
      • ワードナがLv10までしか成長せず(もちろん他のwizのLv10魔術師よりはるかに強いが)、敵の一階層ごとの強さの上昇が段違いのために階層突破直後、魔法陣発見前に新階層の敵に遭遇して即死なんて事もザラ。*13
    • 召喚されたモンスターの能力が表示されない。更に新モンスターも登場したのでどれを選べばよいか解りにくい。前述の難易度の高さはそのLvでの適正モンスターを選んだ場合の難易度である。
      • モンスターの種類は多いが殆どは役立たずなので、間違ったモンスター選びをすれば死あるのみ。さらに、モンスターによって最大出現数まで違うため、その点も考慮しつつ最大限に戦闘効果を発揮できるよう選ばなければならない。ただしゲーム内では具体的な戦闘能力も最大出現数も全くわからない。魔法陣を何度も踏み直して最大出現数を類推することはできるが…
      • 特に、Lv6で今作初登場の「MASTER/DRAGON」が罠クラスの酷さ。強力なドラゴンタイプのモンスター…かと思いきや、実際は「ドラゴン」の称号を持つ自称マスタークラスの中レベル忍者である。他にも称号持ちのニンジャ(「MASTER/WESTWIND」「MASTER/SUMMER」等)が他のLvでも登場するが、その大層な肩書きに見合うほどの実力は持ち合わせていない。
    • よしんば適正なモンスターを召喚できても戦闘中に勝手に行動する為に思うように戦えない。なお勝手な行動とは明らかに意味の無い(明かりの呪文*14、自分だけ対象の防御魔法)呪文連発敵前逃亡と言った物も含まれる。
    • 敵の盗賊はこちらの所持アイテムを盗むという、今までのシリーズではなかった荒業を繰り出してくる。しかも重要アイテムだろうがお構いなしに対象としてくる。倉庫の役割を果たすアイテム「ブラックボックス」を盗まれた状態で後戻りできない場所でそのままセーブしてしまうと完全に詰む。
    • ラスボス「ホークウィンド」はこちらの猛烈な攻撃をすべて無効化し、こちらを完全に無視して昼寝をする、戦闘中に寿司を注文するなどやりたい放題したあげくワードナを神への生贄に捧げてしまう。倒すには、とある事が必要である。
      • なおこの「ホークウィンド」は作者ロー・アダムスの分身にあたるキャラクターであり、『ウルティマ』や『バーズテイル』にも同一人物が出現する(作中でもこれらの作品の都市名である「スカラ・ブレイ」出身だと明言される)。
  • 謎解きのヒントも抽象じみたものが多く、そのものズバリなヒントはまず出現しない。
    • 「地獄の門」を開けるヒントをある敵パーティが遭遇時につぶやくが、その敵パーティーと遭遇した時に地獄の門を開けてない場合は手遅れで、ゲームクリア不可能である。やり直すしかない。
    • 前述のカシナートの剣やカバラのような、日本人には馴染みが薄い要素が多いのも、日本で受け入れられ辛い点に繋がっている。
      • 本作では「薬を調合するためにカシナートの剣が必要」というシーンがあるが、カシナートの剣の形に関する説明はシリーズ中何処にもない。事情を知らない日本人だと「なんでカシナートの剣じゃないとダメなんだ?」という事態に。*15
    • シリアスな部分でもキリスト教やカバラ等に深い知識がないと理解できない部分が多い。言うまでもないが発売当時はカバラを下敷きとしたメジャーな創作作品(アニメ『エヴァンゲリオン』やゲーム『真・女神転生II』等)など出ていない。日本で当時カバラを知っていたのは余程の占い・オカルトマニアぐらいだろうと思われる。そもそも、そのカバラの知識も何処で要求されるのかは説明されない。

総評

今までのシリーズに比べ明らかに異端であるこの作品は、そのあまりの難度の高さから「受け入れられた」とは言い難い。
しかし、コメディ要素をふんだんに盛り込みつつも、単純な善悪という括りを離れたストーリー展開(特に真エンド)は決して悪くないなど。様々な反面教師とすべき点を持つ作品である。
極悪な難易度ではあるが、単純に「クソゲー」と割り切るには惜しい点があるのも事実である。

余談

  • 敵冒険者はほとんどが一般公募及びサーテック社に修理のために送られてきたソフトのデータに登録されていた冒険者が元ネタのキャラクターである。
    • Wizardryシリーズに限らないが、プレイヤーキャラクターはモンスターに比べて非常に強力な為、能力値には大きなデチューンが施されている。指輪物語やD&D(特にドラゴンランス)の影響を受けたキャラが多いのもそのためだろうか?
    • ラスボスの前座であり、作中最強のパーティである「ソフトークオールスターズ-1」はロー・アダムスの所属していた雑誌「ソフトーク」の編集者である。日本で言うなら「ファミ通」の編集者がラスボスとして出てきたようなものか。もっとも、ラスボスが作者(創造主)と言うのは良くあるメタフィクションである。ちなみに「-1」と言うのは、前述のホークウインド(ロー・アダムス)が抜けた5人パーティのため。
  • シリーズを移植してきたアスキーも、#4だけは家庭用ハードに移植しなかった。マニアックすぎて高いライセンス料に見合った費用対セールスが得られるか微妙だったこと、高難易度かつゲーム性の違いが大きすぎることなどの理由から(当時チビッコが購買層の中心だった)家庭用のマーケットに受け入れられるか甚だ疑問だったからである。他にプレゼンテーションで「パロディ要素満載の本作はシリアス重視の日本人に受け入れられないだろう」という判断が下ったともいわれている。
  • 家庭用の移植はPCエンジン版(担当はナグザット)と、PS版『ウィザードリィ ニューエイジリルガミン』(#4と#5のカップリング移植。担当はローカス)の2つだけである。両社に共通しているのは万人向けゲームとしてのオリジナルの「味付け」がなされている点である。
    • PCエンジン版は召喚したモンスターが成長するという独自要素を持っており、オリジナルとは違った楽しみがある。「レベル3のレベル1プリースト」などといった、わけのわからないモンスターが誕生するのはご愛嬌。
      • 通常の召喚魔法陣に加えてEXCHANGE CIRCLEが追加され、アイテムを捧げてストックを貯めておくとワードナのHPを回復したりモンスターの補充をすることができるようになった。
      • なお、ワードナの成長も魔法陣によるものに加えて通常の経験値加算方式でも成長する様になった。また#4以外にも共通するPCエンジン独自の仕様としてレベル3魔術師呪文であったMOLITOがレベル2になっているのでレベル2魔術師呪文を使えるモンスターの価値が急上昇、僧侶の単体攻撃呪文BADIOSやBADIALがオリジナルと比べて2倍の乱数を取れる(DIOSやDIALはそのままだが)、本来#5にあった単体に強力な魔術師呪文TZALIKが使用可能などプレイしやすくなっている。また地下10階だけなぜかランダム敵のHPが2倍になっているが大した難易度上昇感はない。
      • 特定手段でないと倒せないはずのホークウインドに何故かレベルドレイン攻撃が効き、限界まで吸い尽くせば倒せてしまう。仕様ミスだろうか。
    • PS版『ニューエイジオブリルガミン』には、オリジナル版とアレンジ版が収録されている。アレンジ版では多くのメッセージが変更され理不尽な謎解きが解消された他、システム面の変更、周回プレイによる召喚モンスターの追加、オートマップが任意で利用可能*16、図鑑の搭載など様々な変更点が加えられている。入手難易度も考えるとこれから#4をプレイしたいならこれがおすすめ。
      • ただし、一部版権関わる部分のあからさまな変名、特定条件で登場するとあるパーティの削除*17、一部冒険者の台詞が変な翻訳になっている、独特だったエンディングがアレンジでは一般的なものになっている点は賛否両論。
  • スタジオベントスタッフ所属するライター、手塚一郎により小説化された。当時の日本におけるウィザードリィの需要に応じて、作中のギャグやパロディ要素を徹底的に排除している。そのため作中のプロットのみを流用したエログロホラー小説とも言うべき作品に仕上がっている。
    • 氏によると「ゲームとしては大嫌いだが、設定だけは好み」との事。後に「あなたはこの作品を何も理解していない!」という怒りの投書も受け取ったそうだが、手塚本人は「あくまで個人の解釈の問題」としている。
    • #4は「カシナートの剣はフードプロセッサのように刃が回転する武器」等の、古典Wizardry世界観における基本設定が攻略に密接している為、完全に無視する以外に日本人向けの作品として成立させようがなかった、と言う説もある。
  • ゲームアーツに所属のライター、竹内誠の執筆した短編集『ウィザードリィ異聞 続々リルガミン冒険奇譚*18』内の一篇『魔法の護符』としても、本作の概要が収録されている。短編なので要所中の要所に限った描写ではあるが、シリーズ中における本作の位置付けと物語の大筋だけは理解できる。
    • 裏を返すとネタバレであるため、気になる人はプレイ前に読んでしまわないよう注意。
      • ログアウト冒険文庫の絶版している現在、おそらく本書を手に入れる方が難易度は高いが。
    • 当『冒険奇譚』シリーズに収録されている短編の大半は、リルガミンを舞台とした軽い小話。いわば二次創作の短編集といった位置付けで、有名なアイテムにまつわる変わった逸話や、冒険者たちの普段の生活や迷宮探索の流儀、人間関係などが描かれている。
      そんな小話の中に紛れて、#2のクライマックスを少し捻った視点から切り抜いた『ダイヤモンドの騎士の帰還』*19や、同じく#3の山場を別の視点から描写する『まどろみの竜』*20、そして本作が元ネタである『魔法の護符』など、本編そのものの要所を抜粋したような挿話もいくつか混じっていた。
      • 簡易とはいえ、筋書きがストレートな形態でほぼ丸ごと書かれているのは『魔法の護符』のみ。当時の日本であまりなじみのなかったエピソードなので、シリーズのファンに対し概要だけでも紹介しておく意図があったのだろうと思われる。
  • I&IVの舞台であるトレボー城塞とII&III&Vの舞台であるリルガミンは別個のものとして考えられていたが、上記からもわかるように次第に同一視されるようになった。
  • Wizardryのその後の展開の項に記述。
  • FC版『女神転生』は擬似3Dダンジョン、モンスターを仲間とするシステムなど本作の影響を強く受けている…と誤解されることが多いが、FC版『女神転生』の発売は1987年9月11日、こちらのAppleII版の発売は1987年11月であり、時期的に一致しない。
    • とは言え、FC版『女神転生』がウィザードリィ(シナリオ1)の影響を強く受けているのは事実であり、当時の女神転生の製作者も認めている。