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CAPCOM FIGHTING Jam - (2016/04/30 (土) 09:07:32) の編集履歴(バックアップ)


CAPCOM FIGHTING Jam

【かぷこん ふぁいてぃんぐ じゃむ】

ジャンル 対戦格闘アクション


対応機種 アーケード(SYSTEM246)
プレイステーション2
Xbox
発売元・開発元 カプコン
稼動開始日【AC】 2004年10月8日
家庭用 【PS2】2004年12月2日/6,980円
【Xb】2005年6月16日/5,040円
配信 ゲームアーカイブス
2012年12月19日/1,200円(オフライン専用)
判定 なし
ポイント カプコンの格ゲー開発力の低下を示してしまった
家庭用も追加要素もなく手抜き
CAPCOMクロスオーバー関連作品シリーズ


概要

ストリートファイター』『ヴァンパイア』『ウォーザード』からキャラクターを集めた、SNKにおける『KOF』や『ネオジオバトルコロシアム』の様なメーカー内クロスオーバーによるドリームマッチ。
スイッチタッグシステムを採用しているが、基本的には1対1。キャラクター達は古巣作品を再現したシステムで戦うのが特徴。
オリジナルキャラに、製作中止となってしまった『CAPCOM FIGHTING ALL STARS』でデビュー予定だったイングリッドがいる。
カプコン格ゲー集大成のお祭りゲーという触れ込みで、期待度は高かったのだが・・・

参戦キャラクター

ストリートファイターII リュウ、ガイル、ザンギエフ、ベガ、神人豪鬼(隠しボス)
ストリートファイターZERO ガイ、 ローズ、春日野さくら、神月かりん
ストリートファイターIII アレックス、ユン、ユリアン、 春麗
ヴァンパイア デミトリ・マキシモフ、アナカリス、フェリシア、ジェダ・ドーマ、パイロン(ラスボス)
ウォーザード レオ、ムクロ、ヌール、ハウザー
オリジナルキャラ イングリッド(乱入キャラクター)

システム

ボタンは多くのカプコン格ゲーと同様に弱中強のパンチ・キックが用意された6ボタン形式。
次ラウンドでゲージシステムが違うキャラクターに交代した場合、ゲージはそのシステムの最大値の割合分を引き継ぐ(例として最大3本のゲージで2本の状態でラウンドを終え最大2本のキャラに交代した場合、1本+1/3本の状態からスタートする)。

  • ストリートファイターII
    • 時間差起き上がりしかサブシステムがなく、パワーゲージも1本とシンプル。
    • ただし飛び道具を除いた全ての攻撃が空中ガード不能で、攻撃力とスーパーコンボの威力が高い。またスパコンは『ストZERO3』のX-ISMや『カプエス2』のP-GROOVEの様なレベル3固定である。
    • なお、本作の乱入隠しボスのみ例外的に本システムをベースに別のシステムを複数併せ持つ。
  • ストリートファイターZERO
    • 空中ガードとダウン回避が使用可能。パワーゲージは2本で、ZEROカウンター・スーパーコンボ・オリジナルコンボが使える『ZERO3』のZ-ISMとV-ISMを合わせた仕様である。多くの作品で猛威を奮ったオリコンはゲージが長い、オリコン中の削りダメージ低下、オリコン中に攻撃を受けるとゲージが無くなる、といった弱体化が施されている。
    • オリコンが使える代わりにスパコンの性能はシリーズにおけるレベル1~2に抑えられており、各技でばらつきがある。
  • ストリートファイターIII
    • ブロッキング・スーパーキャンセル・リープアタック・ハイジャンプ・ダッシュ・ダウン回避(クイックスタンディング)が使用可能。
    • パワーゲージは2本で、EX必殺技とスーパーアーツが使える。またストIIIシリーズではスーパーアーツは選択する必要があるが、本作では削除されたものを除いて全て使用可能である。
  • ヴァンパイア
    • チェーンコンボ・ガードキャンセル・空中ガード・ダッシュ・ダウン追撃・移動起き上がりが使用可能。
    • パワーゲージは3本で、ES必殺技とEX必殺技が使える。また一度のジャンプで複数回ジャンプ攻撃を出せるのも特徴。
  • ウォーザード
    • アルティメットガード・ハイジャンプ・空中ガード・ダッシュ・ダウン追撃・移動起き上がりが使用可能。パワーゲージは2本で、レベルアップとミスティックブレイクが使える。
    • システム上、ラウンド数が多いほど有利になっており、3ラウンド制と5ラウンド制ではキャラランクに大きな差が出る。
  • イングリッド
    • 回り込み・ハイジャンプ・空中ガード・ダッシュ・移動起き上がりが使用可能。
    • パワーゲージは3本
    • キャンセル移動とスーパーアーツが使える。イングリッドのスーパーアーツはストIIIのものとは異なり、消費するパワーゲージ量が技ごとに設定されている。
    • 彼女はデフォルトキャラでありながら特殊な立ち位置にあり、通常CPU戦には登場しない。条件を満たすと乱入してきて、テーマソング「陽炎」が流れる中で戦うことになる。密かな名曲であるが、現在のところ他の作品では聴けない。

評価点

  • 「お蔵入りになった作品の人気キャラ」であるイングリッドが正式に登場したこと。
    • 『カプコンファイティングオールスターズ』がお披露目された時から可憐な外見から高い前評判を集め、同作の開発中止後もプライズマシンの景品としてフィギュアが出回るなど、公式な登場作品を持たないまま単独での商品展開を見せ、その人気と知名度を受けて、ようやくこの『CFJ』で(3Dから2Dになるという変化はあったものの)公式に格闘ゲームにデビューする事となった。
    • なお、彼女がロリババァ属性を持っていたのは賛否両論となったが、これは元作品から存在していた設定である。
  • 『ウォーザード』の外部出演。ウォーザードはゲームこそ評価が低かったものの、キャラや世界観は一定以上の人気があるにもかかわらず、これまで外部出演の機会にまるで恵まれなかった(タバサがせいぜい)。家庭用移植もないためキャラを拝む機会にも乏しいため、評価点と見ても間違っていないはずである。
    • 後述のように人選など賛否両論点は多いものの、メイン主人公であるレオ、元々プレイアブルキャラではなかったハウザーとヌールの参戦はファンを喜ばせたことは間違いではなく、決して批判点ばかりではない。両者ともに巨大な体躯は健在で、これを操作できる点も見た目のインパクトはある。

問題点

  • 新キャラクター・イングリッドが面白味に欠ける。
    • 鳴り物入りで登場したイングリッドは肝心の性能が最弱クラスで使い甲斐のないキャラになってしまった。
      • 攻撃力・防御力共に最弱クラスに加えて技性能自体も微妙なものが多い。本来なら強力な当身投げも「体が小さい(=当身の判定まで小さく攻撃を受け止めにくい)」「発動が派手で見切られやすい」ため非常に使い辛い。さらにコンボ性能が非常に低く、得意な間合いが中距離での差し合いである等の理由により、チマチマとした戦いを強いられることになる。
  • 出場キャラや作品の選別が微妙。登場キャラクター数が21人とクロスオーバーにしてはかなり少ない上、参戦作品の都合上半分以上が『ストリートファイターシリーズ』のキャラクターであり、偏りが激しい。
    • 開発者が「過去のVSシリーズに出てなかったキャラを出したかった」という旨の発言をしているが、『ウォーザード』で主人公のタバサやタオ、敵キャラにしても人気の高いブレイドではなく、知名度も人気も低いヌールやハウザーが登場しているなど、開発者の発言を踏まえた上でも気になる人選がある*1
    • 他のシリーズから参戦したキャラも、人数のためかケンやサガット、モリガンといった人気キャラが背景のみの登場となってしまっているのには首をかしげる人も多い。
      • ただし、これらの人気キャラはリュウやデミトリと戦法や操作感がダブっているので参戦してても微妙だったと言う声もある。
    • 格闘ゲームのシリーズから参戦する事になっているためか、『VS.シリーズ』に出場していた、ロックマンやストライダー飛竜などのキャラクター・作品*2や、3D格闘ゲームなどからの出場が一切無いのもオールスター感や人数からくるボリュームに欠けている。
      • 後述の通り、「作品ごとにシステムが違う」関係上、ドット絵を流用しても参戦は無理難題だったとは言える。3D格闘ゲームに至っては新しくドットを用意する手間もかかるため参戦は更に難しかったと思われる。
      • とはいえ、『スターグラディエイター』のハヤトはマヴカプ2、『ジャスティス学園』の鑑恭介はカプエス2でそれぞれドット化されていた他、『サイバーボッツ』のジン・サオトメはマヴカプシリーズにおいては生身で戦った事がある為、「せめてこの三人だけでも出せば良かったのでは」といった意見も少なからずある。
    • デミトリ、アレックス、レオは各作品の「主人公」であるにもかかわらず、カプコン製ゲームの外部出張に恵まれていなかったため、この点に関しては評価できるといえる*3
  • キャラクターのグラフィックはイングリッド(とザンギエフなどの一部)を除き過去作品の使い回しばかりで目新しさが無い。
    • 特にヴァンパイアキャラはドット絵が粗すぎて浮いており、本作も例外ではなく、他近年の作品では特に顕著。*4滑らかな動きのストIIIキャラやウォーザードキャラと比較すると顕著。
  • システムが各ゲームキャラごとにばらばらでまとまりに欠ける上、ゲージシステムが複数あるのに『ストZERO3』や『カプエス2』の様な選択制ではない。
    • しかもストリートファイター所属キャラに顕著で、特に複数シリーズに出演しているキャラだと固定される時点で疑問が残る。
      • 特に春麗はシステムが出展作品の『II』でなく『III』仕様の為に、『III』を遊んでいないプレイヤーからは遊びにくいと指摘される。また使い勝手が違いすぎて、『III』出身のプレイヤーからも不評。
  • ヴァンパイアのシステムが圧倒的に有利で、それゆえにヴァンパイアキャラが強い(特にジェダは最強キャラと名高い)。
    • ガードキャンセルと移動起き上がりが凶悪な防御能力を誇る。その割にゲージが豊富で一発があり、ゲージが無くてもチェーンコンボからの追い打ちで最低限の火力が保障されている。
      • ジェダ、アナカリスに至っては空中動作が豊富でガード方向が常人では判別不能。
    • なお、ストIIのキャラクターはシステムが非常に少ないが、代わりに攻撃力が非常に高い上にほぼ全ての技が空中ガード不能と言う形でバランスがとられているため、ヴァンパイア(強すぎ)とイングリッド(弱すぎ)以外は比較的システムバランスは取れている。システム格差よりもむしろ、キャラクター間の格差の方が大きい(特に、同じストZEROキャラなのに4強の一人であるかりんと最下層であるさくらの格差が顕著)。
  • ジェダが強すぎてバランスも非常に悪い。キャラ同士の相性もかなりの差がある(ザンギエフ:ジェダ、レオや、ガイル:アナカリス、デミトリなど。左が不利)。よってジェダを筆頭に、かりん、アナカリス、ユリアンなどの相性に恵まれた強キャラを使わないと最終的には勝てなくなる。
    • 闘劇で行われた本作の大会の使用キャラもバラけているように見えるが、実際に使われていたキャラは上記の4キャラがほとんどであった。
  • 隠しキャラの一人である神人豪鬼は、元々『CAPCOM VS SNK 2』に登場したキャラで「豪鬼自身が持つ殺意の波動とルガール(SNKキャラ)の持つオロチの力が混じり合った半暴走状態」という設定であったが、SNKが関わっていない今作での設定は不明。「普通の豪鬼を出せばよかったのでは?」という声も多い。
  • このような出来になってしまった最大の理由は『カプエス2』以降、カプコン社内において「2D格闘ゲームはすでに古く、ドット作成が苦痛」と非難の声が上がり、『ヴァンパイア』シリーズや『ストリートファイター』シリーズのプロデューサーであり中心的存在だった船水紀孝氏をはじめとした開発陣が抜け*5、残った僅かなスタッフにより本作が開発されたのが原因とされている。
  • エンディングは過去作のようなストーリー仕立てでなく、台詞の無いコミック調のイラストが流れるだけという味気ないもの。
    • イラストのクオリティは高いが殆どはゲーム本編と無関係。イングリッドのエンディングについては台詞がないせいで非常に意味が分かりづらい。
    • 尚、エンディングに限ってはガロンやリリス、東風やダンテ等といった豪華な面子が出て来る。
      • しかもパイロンのエンディングは、ケンやタオ、ビクトルやダッドリー等といった本作に出演できなかったキャラ達がパイロンに挑んでいるという、自虐的にとれるものになっている。

まとめ

格闘ゲームの第一人者であったカプコンの格闘ゲームの製作能力、ドット絵製作能力が著しく低下していた事が露見してしまった。 有名人プレイヤーもあって闘劇本選は盛り上がりを見せたが、予選の方はなんと人数割れを起こしていた。結局闘劇が終わると共に本作もゲーセンから撤去されていった。 これ以降カプコンは新作の2D格ゲーを出していない(開発元は違うがあの戦国陸上を除いて…)。3Dでは一応出しているが殆ど全てが外注である。もはやカプコンには2D格闘ゲー製作のノウハウは無いのかもしれない。

2004年12月2日にはPS2、2005年6月16日にはXboxへの移植版が発売されている。
しかし、おまけ要素等がない適当な移植であり、昔のカプコンではあり得ない程のやっつけ仕事っぷり。
一応、AC版では使用不可だったボスであるパイロンと神人豪鬼が使用可能になっている(当然プレイヤー仕様は弱体化している)が、オマケはその程度。
そのおかげで、PS2版では発売からそんなに経たずに新品1,980円のワゴンになったお店もあった。
制作側の熱の低さ、愛のなさがユーザーにモロに伝わってしまい、メインユーザーであろう本作の元作品にハマっていた世代にそっぽを向かれてしまった作品であった。

余談

  • イングリッドと同じく『カプコンファイティングオールスターズ』の登場キャラとしてお披露目されていたD.Dとルークはイングリッドとは違い、このまま闇に埋もれてしまうのではないかと思われていたが、スマホアプリ『オトレンジャー』で遂に陽の目を浴びることとなった(ただし彼らの配信から僅か10ヶ月でサービスそのものが終了)。
    • 今となっては、「誰?」「イングリッドのオマケ」程度の扱いではあるが、あのまま見捨てられなかっただけ、良しとしておこう。
  • 誤植で有名なゲーメストの「ザンギュラのスーパーウリアッ上(正:ザンギエフのスーパーラリアット)」が、カプコン開発者が気に入ったのか、今作のミッドナイトブリスを食らった女体化ザンギエフに「ザンギュラちゃん」と命名している。
  • リュウのブリスで変化する女の子はアニメ映画『ストリートファイターII MOVIE』を見ないと解らないネタである。他にもかりんやローズのブリス化した姿は、ある漫画のパロディネタであったりなど、なかなか手が込んでいる。
  • ミッドナイトブリスで女性化されたキャラグラは受けが良かったのか、幾つかが後にフィギュア化されている。
  • あまり評価の芳しくなかった本作ではあるが「『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』をPS2に移植するきっかけになったのは本作の製作」という意外な功績がある。
    • PS2互換基板で作られ、そちらへの移植も当初から決まっていたであろう本作の制作によって、不可能であると思われていた「ストIIIのキャラアニメーションのPS2への移植」がほぼそのまま実現できたため。