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さよならを教えて ~comment te dire adieu~ - (2018/12/02 (日) 22:36:46) の編集履歴(バックアップ)



さよならを教えて ~comment te dire adieu~

【さよならをおしえて こまん・とぅ・でぃーる・あでゅー】

ジャンル ファナティックアドベンチャーノベル

対応機種 Windows 95~Me
販売元 ビジュアルアーツ
開発元 CRAFTWORK
発売日 2001年3月2日
定価 8,800円(税別)
レーティング アダルトゲーム
廉価版 あそBD:2011年12月16日/4,300円(税別)
配信 DLsite専売:2016年1月29日/2,700円(税込)
対応OS:WindowsVista~10
判定 なし
ポイント 伝説のプレミアエロゲー
徹頭徹尾救いがない
壊れていく主人公
CRAFTWORK作品
for elise ~エリーゼのために~ - flowers ~ココロノハナ~
さよならを教えて ~comment te dire adieu~

WARNING!!!!!!!
鬱気味など精神的に不安定な人は真面目に読まないことをお勧めします。


概要

アダルトゲーム史の極北で今も語り継がれている伝説のエロゲー。本ソフトを手がけたCRAFTWORKは他にも異色な作品を発表しているが、その中でも一際異彩を放っている。キャッチコピーは『言葉、男、狂気、少女、さよなら』

  • タイトルは歌手・フランソワーズ・アルディの代表作から取られている。歌の内容は、一方的に別れを宣告されたとおぼしき女性の心情をつづったものであり、決して奇をてらったものではない*1
  • ジャンル名につけられている「ファナティック(fanatic)」とは、「狂信*2・熱狂」という意味である。この時点で既に嫌な予感がした方も多いだろう。そう思えたあなたは正しい。

パッケージの特徴

このゲームのパッケージには、以下のような他のアダルトゲームではお目にかかれない奇妙かつ陰鬱な注意書きが書かれている。

・現実と虚構の区別がつかない方
・生きているのが辛い方
・犯罪行為をする予定のある方
・何かにすがりたい方
・殺人癖のある方
※このソフトには精神的嫌悪感を与える内容が含まれています。上記に該当する方はご遠慮くださるよう、あらかじめお願い申しあげます。
  • CD-ROMの盤面デザインすら狂気を感じさせる。ネガティブな二字熟語が盤面の隅から隅までびっしりと細かく書かれているのだ。
  • ここで嫌な予感がした方も多いだろう。くどいようだがそう思えたあなたは正しい

あらすじ

主人公は女子高に通う教育実習生。彼は学校での生徒や教師との付き合いに精神的な疲れを感じていた。
ある日、彼は美しい天使が異形の怪物に蹂躙される夢を見る。校内の保健医にその夢のことを相談していると、1人の少女が保健室に入ってくる。その少女は彼の見ていた夢の中の天使に酷似していた‥。

キャラクター

登場キャラは以下のとおり。
なお、これ以外の人物は全く登場しない。学園内のはずなのにモブ生徒どころか背景にすら誰もいない。
これは演出ミスではなく、れっきとした理由がある。下のネタバレ部分を参照してほしい。

+ ...
  • 人見広介*3
    • 本作の主人公である教育実習生。だがいまいち臆病で自信がなく、精神的に疲れ気味。本作は上記のとおり彼が奇妙な夢を見るところから始まる。
    • 小さな物事でも奥深く考えてしまう性格で、それを自分一人で抱え込んでしまうため自己嫌悪に陥りやすい。
    • 詳しくは下記になるが、後半になるにつれ彼の行動はプレイヤーでも制御できないほどおかしなものになっていく。
  • 巣鴨睦月
    • 本作のメインヒロイン。主人公が夢で見た天使と酷似している少女。教室に現れる。
    • 主人公は彼女の持つ神聖さに憧れと恐れを感じている。
    • そして物語が進むにつれ彼女の存在は主人公の中でどんどん神に近いものになっていく。
  • 高田望美
    • たばこを吸いに来た屋上で出会える少女。給水タンクの上でいつも下界を眺めている。
    • 快活な印象を与える反面、自殺願望のようなことを呟くことも。
    • 家庭環境に問題があるらしく、父親に暴力を振るわれている模様。
  • 田町まひる
    • 校庭で出会える主人公の幼馴染。内面も外面も幼い。
    • 主人公に最初から友好的で、主人公側もある程度心を許している。そのためか専用BGMが異質なほど明るい。
    • 主人公は過去のとある存在と彼女を重ねるのだが‥‥?
  • 目黒御幸
    • 図書室で司書係を務める少女。生真面目なメガネ娘。
    • 主人公と同じく人付き合いが苦手で、世の中を達観したような見方でとらえている。
    • 会いに行くと大抵勉強しているか本を読んでいるかのどちらか。彼女と話すと様々な方面の雑学を教えてくれる。
  • 上野こより
    • 弓道部室で出会う少女。攻略キャラの中では一番スタイルがいい。
    • つねにほんわかした口調で話すがかなりの毒舌家であり、容赦なく主人公の心を傷つける。
    • 個人ルートでは暴走する主人公に対して唯一反撃に近いことをしてくる*4
  • 大森となえ
    • 保健室の先生。ヘビースモーカーで主人公のよき相談相手。
    • 非攻略キャラだが彼女を攻略したかったという意見も多い。もっとも真実を知ると複雑なものだが‥‥。
  • 高島瀬美奈
    • 学園の教員。となえと同じく非攻略キャラ。主人公の担当教師でもあるが、主人公は彼女のことをかなり苦手としている。
    • 冷酷な印象を与える一方、となえと何かを話していたり主人公の書いた日誌を見て突然泣き崩れるなど謎が多い。

ちなみに非攻略キャラのとなえと瀬美奈にも肌色CGはある。

ストーリーの特徴

プレイヤーは教育実習生の主人公を操り、5人のヒロインがいるそれぞれの場所を選択して彼女たちに会いに行く。ゲームの展開は、保健室で保健医と会話→トイレで用を足す→各ヒロイン達と会話→職員室で担当教師と会話→一日終了、という流れでスケジュールをこなす。主人公を操作する時間帯は決まって放課後の夕暮れ時。そのため背景は常に橙一色であり、独特な雰囲気を醸し出している。ある日付まで話を進めたらヒロインを選択して個別ルートに入り、エンディングを迎える。

ところが、ゲームを進めるにつれ、主人公が段々おかしくなっていく。主人公は最初こそ謙虚にヒロイン達と関わっているのだが、ゲームが進むにつれ態度が変化。ヒロインをレイプするのはもちろん、弓矢で貫いたり四肢をもぎ取ったりとやりたい放題。しかし、翌日になるとヒロインが元通りになっており、何事も無かったかのように話しかけてきたりする
また、主人公と同様におかしくなっていくものに「学校のチャイム」がある。最初はただの放課後のチャイムなのだが、日が進む毎に音がおかしくなっていき、最終的にはチャイムどころか音というのもおぞましい何かになる。

※主人公の壊れっぷりの一例
保健室にて「あのコが‥‥天使‥‥なのかい?」と問いかけてきた保健医の先生に対し、以下のような返答の選択肢が出てくる。

『絶対に違う!』
『彼女は天使であって天使ではない』
『それは僕の妄想にすぎない』

が、なんと主人公はどの選択肢を選んでも、

「そうです。あのコが僕の畏敬する天使様なのです」

と答える。これは不具合やミスといった類のものではなく、製作者が意図したものである。

「ヒロインをレイプ」などといった主人公の変貌は、上記のシーンを境に決定的なものになる。以降は崩壊の度合いが加速し、選択肢の内容までおかしくなってくる*5。これらもバグなどではなく、意図的な演出である。
さらにシナリオ終盤になると、学校内の移動先とその風景すら一致しなくなってしまう。もちろんこれも主人公の崩壊具合を示す演出なのだが、当初は製作者の意図が理解できず「背景画の指定ミス」と誤解したプレイヤーも多かった。

とにかく終始一貫して重苦しいストーリーである。「恋人の死」や「裏切り」といったテーマを扱ったゲームなら他にもいろいろあるが、これはそういったものとは違う意味で重いため余計にタチが悪い。また先述の通り、ヒロインが手足をもがれ達磨にされるなど残酷なシーンが非常に多い*6。そしてその先に待っているのは、あまりに救いようがなく、かつ斜め上なエンディング。その突き落としっぷりは未だに語り草になっている。

+ 以下、主人公のこの奇行の理由とエンディングについて(ネタバレ注意)

ここまで読んで気付いた人も多いだろうが、実は主人公は教育実習生などではなく、精神病患者である。
主人公は教師を目指していたが、受験に失敗し、教師の姉へのコンプレックスや女性への不信感から、元々不安定だった精神がさらに追い詰められ、精神を病んでしまった。主人公が学校だと思っている場所は大学病院の精神病棟であり、嫌っている先輩教師は彼の姉、保健医の女性は担当の精神科医である。放課後の夕暮れ時にしか操作できないのは主人公が精神を病んでいることを暗に示しており、先述した「チャイムの音がおかしくなる」という演出も、主人公の内面世界の崩壊を表している。
そんな主人公の一人称で進む本作の物語は、現実と妄想の境目がひどく曖昧である。
このゲームに出てくる女性は、主人公の姉(高島瀬美奈)と担当医(大森となえ)、メインヒロインの睦月(同じ病院に入院している鬱病患者。夢に現れる天使に酷似している)以外実在しない。他のヒロインは主人公の妄想の中の存在であり、屋上のカラス、ホルマリン漬けの標本、ゴミ捨て場の人形、猫などを女性に見立てて話しかけていた*7。殺したと思ったら生き返っていたり、酷いことをされたにもかかわらず普通に話しかけてきたのもこのためである。
ラストはバッドエンドも含め、更に悲惨な結末を迎える。
個別ルートのエンディングでは、女性全員から「さよなら」を告げられて場面が暗転。精神科医と主人公の姉によって主人公が精神病患者であること、そうなってしまった詳しい理由などが明かされていく。エンドロール後、主人公は保険医だと思い込んでいた精神科医をきちんと認識して話しかけるため、元に戻ったのかと思いきや、今度は自分が見習い医師だと思い込んでしまっている。さらに最後に5人のヒロインたちが主人公を取り巻き「先生!」と呼ぶという、更なる事態の悪化を暗示するかのような1枚絵が表示されて本作は終了する。攻略可能なヒロインは5人いるが、どのヒロインのルートを選んでもエンディングは変わらない。何の救いもないのだが、全てを失った主人公が辿り着いた安住の地がこの結末だった事を思えば、このラストシーンも一概に否定出来ない。そこにこの物語の悲哀がある。
一方バッドエンドは、「叫び暴れる主人公が取り押さえられ、鉄格子窓の病室*8に隔離される(=他人に危害を加える恐れのある末期患者)」という、とことん救われないもの。ちなみにこの結末では、それまで誰もいなかった背景の様子に変化が現れる。
ヒロインの中では唯一実在している睦月。となえと姉の目線からも、主人公と睦月は正常に接していると映る様子であり、睦月ルートでは「彼女と2人でなら元に戻れるのでは?」という希望が見える。しかし、現実から目を逸らし続ける主人公が正面から彼女と向き合うのは、どれほど困難な事だろうか。
そして、エンディングの時点で睦月は既に退院してしまう。皮肉にも、主人公が話しかけてくれた事が退院のきっかけとなった。
また、主人公の崩壊を決定づけたのも彼女であった。主人公は一度だけ精神科医に心を開き悩みを全て打ち明けようとするのだが、その時、睦月と偶然鉢合わせてしまい、「喋ろうとした自分を天使が責めに来た。他言は許されない」と思い込んでしまう*9のである。

しかしこのゲーム、実際の精神医学と比較してみると突っ込み所も多く、現実ならば上記の担当医は恐ろしく無能な人物ということになる。技術が稚拙なうえ、「患者を誘惑する」という倫理的にもありえない行為に及ぶからである*10。これについては「あまりにも純粋すぎる主人公の内面に惹かれて、治療のために自分の体を許してもいいと思ってしまった」という説明もあるのだが、どちらにせよ医者としては失格である(作中で担当医自身が自分は医者失格だと言及しているので、自覚していないわけではない)。「エロゲーだから」と言ってしまえばそれまでだが。
また、主人公を(トラウマの原因の1つである)姉と毎日会わせるというミスを犯している。そんなことをしたら病状が悪化するのは目に見えている。こちらは作中でもミスと見なされているが、担当医がそれを知らないというのはどうなのか。


システム

  • 表示されるテキストを読んで時折出現する選択肢を選んでいく、極めてオーソドックスなサウンドノベル式ADV。
    • メッセージウィンドウは無く、画面全体にテキストが被さるスタイルである。
  • 舞台の5箇所それぞれに1人ずつ、5人のヒロインがいる。彼女たちの居場所は常に変わらず、そこを訪れれば問題なく親交が深まる。ゲーム終盤、ターニングポイントとなる選択肢でその時最も親しいヒロインを指名すれば、そのまま正規終了を迎える。
    • 選択肢でルートが分岐するケースもほとんどなく、特に攻略が必要となるほどの関門はない。なお、個別ルート選択までに3人まで同時進行が可能。
  • 演出が少々変わっている。
    • 攻略ヒロインの5人は、キャラ立ち絵にポーズや表情の変化が無い。その代わり、感情表現描写として「キャラの目元の素描風イラスト」がカットインする。
    • CGは大胆な部分拡大を多用する。そのため初見のCGは全貌がわからず、特にグロテスク描写を含むCGはプレイヤーを不安な気持ちにさせる。尚、見たいかどうかは別だが、回想モードでならCGの全体図を見やすい。
    • テキストの表示方法にも工夫があり、表示位置を不規則にしたり、文字列で画面を埋め尽くしたり、強制字送りでテンポを速めたりといったシーンはインパクトが強い。
  • ボリュームは少なめである。各ヒロインの個別ルートも結末を左右するほどの違いはなく、部分変化程度に留まる。

評価点

シナリオ

  • イレギュラーなテーマを扱ったシナリオということもあって、文章のそこここに「意味不明さ」「不自然さ」を感じさせる表現を多用している。しかし伏線の張り方や文体・言葉遣いなどは丁寧で、意外と読みやすい。
    • 展開や結末も理解しやすく、一度エンディングにたどり着けば演出や選択肢の意図に気付けるだろう。
    • ネタバレの項で上述したように、結末を知った後でプレイすると新たに気付けることもあり、奥深さも兼ね備えている。
  • 主人公の内面の葛藤などを表した迫真の描写
    • 多かれ少なかれ一般人もコンプレックスや劣等感はある。これらを丁寧に描写しているため、ついうっかり共感してしまい、「こんな鬱まみれの作品に同調してしまうなんて自分はもうダメなんだ‥」とならないよう、くれぐれもパッケージの注意書きにはきちんと目を通しておくこと。

BGM

  • さっぽろももこが作曲。作品内容との一体感がよく出ているとされ、高く評価される傾向にある。
  • 数自体は少なめで、イベントの内容に応じて細かく曲を変えるような演出法は使われていない。各ヒロインごとのテーマ曲はそれぞれの性格に合わせた個性的なものだが、通常BGMは黄昏時らしくスローテンポ。淡々と繰り返される人見青年のけだるい一日を象徴するかのごとく、いつも同じ曲が流れている。
  • エンディング曲の「『さよならを教えて ~comment te dire adieu~』 原詞:長岡建蔵 訳詞:さっぽろももこ 作曲:さっぽろももこ 編曲:高瀬一矢(I've) 歌:MELL(I've)」は、美声の女性ボーカル、退廃的な歌詞、重々しい伴奏のバランスが作品の雰囲気にほどよく調和した、人気のある曲である。ちなみにボーカルのMELLは後にブラックラグーンの「Red fraction」などを歌う人で、高瀬一矢は『Kanon』の「Last regrets」,「風の辿り着く場所」や『AIR』の「鳥の詩」の編曲も手掛けた。I'veは当時業界で最も勢いのある音楽グループで、ゲームのパッケージには「I've sound」のロゴがあしらわれてる。

その他

  • 上述したように類を見ない演出が用いられており、それがしっかりとシナリオに生かされている。
    • 主人公が見ているものがプレイヤーにも伝わり、共感しやすい。
    • 容赦の無いエログロに関しても、エロゲーという媒体を活用していると言える。

賛否両論点

アダルトゲームとしての実用性

  • 基本的には期待できないものと考えていい。やらしくないのではなく、シチュエーションが特殊すぎることと、初見のプレイヤーにとっては不整合なシーンの繋ぎ方をしていることがその理由である。
    • なんの気なしにヒロインに会いに行くつもりで場所を選択したら、暗転から復帰直後にいきなりアダルトシーンが始まった、しかもその内容が猟奇的なものだったら‥‥ただあっけに取られるしかないのが普通だろう。

問題点

  • セーブはテキスト表示中に行う。移動先や選択肢を選ぶシーンではセーブできない。
    • テキストADVを遊ぶにあたり「むしろそこでセーブしたい」というポイントに限って対応していない。システム周り全般は、同時期のADVと比較すると不便な方だろう。
    • 代替措置(?)として、セーブ不能になるポイントの一歩手前で、文頭に「∴」記号が表示される。また、既読スキップもそこで一時停止する。
    • あそBDでは移動先などの選択肢でもセーブが可能となった。
    • DL版ではどこでもセーブできるようになり、改善されている。
  • 状況は限られるが進行不能バグがある。
    • 修正パッチで対応された。現在でも「名和桜」というサイトで修正パッチをDL可能。

総評

尖った表現を躊躇しない18禁ゲーム全般の中にあっても、従来のゲームとは明らかに一線を画した作品。一人の悩める男の日常を描いた学園物であるかのような物語の中にそれとなく不安定な非現実感を織り交ぜる手法で、作品世界に読み手を強く引き込んでくる。
いちADV作品としてはかなり簡略化されたシンプルな構成をしている上に、プレイ環境も快適とはいいがたい。しかしその強烈な内容に衝撃を受けたプレイヤーは多く、今なお熱心なファンが存在する。

なにぶん、現実と非現実の境目を曖昧にした作風とグロテスク表現の存在から、パッケージに大々的な注意書きのなされた作品である。触れてみる際は自己責任で、また絶対に「ネタ要素の話題性ありき」で甘く考える事の無いように注意。


余談

  • なんと作中にスーパーマリオの話題があろうことか「実名で」出てくる。要約すると「マリオは、幻覚キノコや大麻の花で大きくなったり火を出す妄想をしている。助けるべきお姫様も本当にいるのかどうか‥‥」というもので、知る人ぞ知る伝説のネタとなっている。
    • 「ヒロインを助けなければならない」と勝手に思い込む主人公をなだめる文脈で放たれたセリフなのだが、やはりというべきか、結果として主人公の妄想を深めるだけで通じることはなかった。
    • 素晴らしき日々~不連続存在~』では本作のこのシーンをネタにした台詞がある。
+ 詳しくはこちらを。
  • スタッフロールは黒い背景に赤字の明朝体というカラーリング。それまでの引き締まった雰囲気を継続させる演出も含まれている。
    • スタッフロール内の「協力」欄に「上野公園にいたおじさん」という謎の人物が書かれている。目黒御幸ルートで出てくる「宇宙は薔薇に似ている‥‥」の台詞などが、そのおじさんの話を参考にしているらしい。
    • 「上野公園にいたおじさん」に限らず、職種がはっきりしない「協力」欄に書かれた人物は多い。
  • 本作と同じくらい狂気じみたゲームとしては、『ドラッグ オン ドラグーン』がある。
    • エロゲーではないが、狂っている度合いは本作とタメを張る。

プレミア化・再販

  • プレミアが付き、6~7万円以上の値段が付くことさえある。
    • 箱が特殊な構造のため、開封時に傷つきやすい。そのため、美品や新品は特に高値。
  • 2010年10月7日、Twitterにて本作の脚本家の長岡建蔵氏からDLの許可が下り、再販が決定
  • 2011年12月16日にBD-PGで再版された
    • 一部の表現に修正が入っているため、オリジナル版所持者からの評価は低め。
    • それでも売れ行きは非常によかったらしく、長岡建蔵氏はBD-PG版の利益で借金を完済したことをTwitterで発言している。
      • しかし再販から時間が経つにつれ、廉価版まで値上がりした。
  • 2016年1月29日にDLsiteで2,700円で独占販売開始。ようやく安価でのプレイが可能となった。
    • Vista以降10までの最新OSに対応している他、バックログやバックログからのロードなどの新機能が追加されている。
  • 設定資料集やテレホンカード等の関連商品も、軒並みプレミア化している。
    • 設定資料集はとらのあなでPDFファイルを購入できたが、『とらのあなダウンロードストア』サービス終了に伴い購入不可に。
    • しかしこちらもDLsiteで1,620円で独占販売された。

CRAFTWORKに関して

  • 本作を製作したCRAFTWORKの作品にはクセの強いものが多く、代表作には『for elise ~エリーゼのために~』と『flowers ~ココロノハナ~』があり、開発に協力したものには『地獄SEEK』がある。
    • この中で一般エロゲーマー(?)向けの作品は『ココロノハナ』のみで、『エリーゼ』は恋煩いに悩んだ男性が妄想に心身を支配される話、『地獄SEEK』は地獄の鬼が罪人の女性に責め苦を与えるというぶっ飛んだ話である。
    • 『エリーゼ』に関しては登場したヒロイン全員が主人公に殺される上、恋煩いの相手以外に愛は全く無いので『さよなら』以上に救いがない、と見るプレイヤーもいるらしい。
  • その後CRAFTWORKは実質上の倒産状態に陥り、本作を最後に新作は発売されなかった。というか、もともと「赤字覚悟・利益度外視」で生産していたらしく、実際パッケージ裏には「最狂最悪最高最期の物語」「断末魔」など、「これで最後」と言わんばかりの宣伝文句が載っていた。そこまでして出したかったのだろうか‥‥。ある意味、その執念もすさまじい。
  • 三大電波ゲーと呼ばれる『ジサツのための101の方法』とも若干ながら関わりが有る。
    • 理由としては、CRAFTWORKと公爵(デューク)との間で交流が有り、また『ジサツ』のシナリオライターである山田おろち氏の名前が原画集に確認されている為でも有る。こちらもまた、狂気染みた展開が多い作品では有るが。
    • なお本作のサブライターは『終ノ空』『書淫、或いは失われた夢の物語。』『ジサツのための101の方法』を三大アレゲーと評している。