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1941 Counter Attack - (2021/05/29 (土) 13:27:56) のソース

*1941 Counter Attack
【いちきゅうよんいち かうんたーあたっく】

|ジャンル|シューティング|~|
|対応機種|アーケード|~|
|使用基板|CPシステム1|~|
|発売・開発元|カプコン|~|
|稼動開始日|1990年2月|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|19シリーズ公式三代目&br()外観は正当進化&br()アドリブ要素減少&br()パターンゲーの色が濃い|~|
|>|>|CENTER:''[[カプコン19シリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
1990年にてカプコンからアーケードにリリースされた縦スクロールシューティング。『[[1942]]』『1943 ミッドウェイ海戦』に次ぐ、19シリーズの公式三代目にあたる((『1943改』は1943(原作)のリメイク作なのでここでは除外している。))。~
今作では太平洋が舞台だった前作と打って変わって、ヨーロッパが舞台となっている。~
当時におけるカプコンの最新基板「CPシステム」により製作され、過去作よりも様々な進化を遂げているのが特徴。~
一人~二人同時プレイ可能。全6ステージ構成。

**主なルール
-1P側は「P-38 ライトニング」、2P側は「モスキート」の各機体操作する事となる(機体セレクトは不可)。僅かではあるが、2P側の方が1P側よりも移動スピードが遅く、ショットなどの攻撃力が高く設定されている。

-レバー + 2ボタンによる操作。レバーにて自機の八方向移動、ボタンは各自、ショットボタンとメガクラッシュボタンに使用する。
--ショットボタンにてショットを発射する。また、ボタンを押しっぱなしにすると画面下部のゲージが上昇し、ゲージ段階に応じた箇所でボタンを離すと「徹甲弾」(いわゆるチャージショット)が放てる。共に使用回数無制限(但し、アイテムによるショット強化時では制限時間があるのでこの限りではない(下記))。
--メガクラッシュボタンを押せば、バイタリティを1消費して画面広範囲に強力な攻撃を放つ「メガクラッシュ」が出せる。バイタリティに関してはルール項目最下記にて。
-ステージによっては壁が設置されている場面がある。これに自機をぶつけると一時的にローリングし、右回り、もしくは左回りにて360度方向にショットを撃つ「スピニングアタック」が出せる。但し、この状態はショットが拡散するので狭い地形で周囲から来る敵を撃つのに有用。自機が壁に当たってもダメージは受けない。
-赤編成機(稀に単独敵の場合もあり)を破壊するとアイテムが出現する。なお、アイテムには時間差で変化するものとしないもの(固定アイテム)がある。以下詳細。
--ショットアイテム系…これを取れば自機のショットを強化でき、チャージショットの性能も変化する。しかし、各ショットには時間制限があり(初回取得で60秒、最大99秒)それが0になると初期ショットに戻ってしまう為、定期的なアイテム入手が重要となる。
---「マシンガン」…攻撃範囲は広くないが連射力に優れたショット。使いやすい安定型。
---「ミサイル」…初期ショットに加え、左右側にミサイルを各自同時で三方向に放つ。攻撃範囲重視型。ミサイルは地形に触れるとそれに沿った動きを行う性質がある。また、耐久力の低い雑魚は貫通する。武器使用時間が切れる状況でなければショット幅の兼ね合いで基本的にミサイルで進むのが定石。
---「スーパーシェル」…攻撃範囲、連射力共に低性能だが、敵貫通能力を持ち攻撃力の高いショット。前方集中型。
--バイタリティアイテム系…バイタリティを回復する。
---「Pow」…バイタリティが1回復。バイタリティゲージ最大時に取ると5万点。
---「弥七」…バイタリティ全回復。バイタリティゲージ最大時に取ると10万点。ステージ中の特定の編隊を全滅で出現。
--オプション系…自機をサポートする補助オプションを付ける。共に次ステージへの引継ぎは不可(そのステージをクリアすれば自動消滅)。
---「サイドファイター」…自機左右各自にサイドファイターを付け、各自自機と同時にショットを放ってくれる。サイドファイターが敵などのダメージを一定回数もらうと消滅してしまう。過去作同様、サイドファイターに敵を体当たりさせた時の敵ダメージはかなり大きい。サイドファイターで敵を破壊するとスコアが2倍になる。装備時に重複して取ると2万点。
---「アフターイメージ」…自機周りに残像型のイメージが付き、自機と同時にショットを放ってくれる。サイドファイターとは違いステージ内で消滅する要因はサイドファイターを取る以外は無い。装備時に重複して取ると2万点。
--スコアアップ系…赤敵機からは出現せず、何もない場所にショットを撃ち込むなどで出現するアイテム。スコアアップの効果で、アイテムにより(イチゴ、樽、うし等)入手スコアに差異がある。
-このゲームには「階級」というランクが存在する。ステージクリア後は殲滅した敵の数に応じて昇進し、昇進すればする程、敵撃破およびアイテム獲得時の入手スコアが増える仕掛けとなっている。((倍率は小数点単位で掛かるが、100点未満は切り捨てとなる。この為、素点100点の敵に倍率が掛かるには最低でも倍率が2倍となる「少佐」以上になる必要がある。))

-完全ライフ制で残機は存在しない。自機には「バイタリティ」というゲージがあり、敵ダメージをもらうかメガクラッシュを放つ度にゲージを1メモリ消費する。ゲージが0になってもミスにはならず、その状態でダメージを受けるとゲームオーバー。
--前作『1943(改)』とは違い、時間経過では一切ゲージは減少しない。その変わり、ゲージの表示方式に変更があり、前作の「ダメージにてゲージ内の一定数が減少」ではなく「一律で1メモリ消費」というものになっている。
--ゲーム開始時におけるバイタリティゲージは初期/最大メモリでは3つだが、ステージ中の敵撃墜率により階級を上げることでバイタリティゲージの上限値が増える。ステージ内の敵を全滅させる(撃墜率100%)と”特別昇進”となり階級が一気に3上がる。ステージ1で達成するとゲージが2増えて2面開始時にバイタリティゲージが5で始まる。その代わり撃墜率が低いと”昇進保留”となりゲージが増えない場合がある。また、&bold(){ステージクリアするとバイタリティゲージは完全回復する}ので、ステージクリア時に&bold(){ゲージが0でも次の面で被弾即ゲームオーバー}という状況にはならない。

**評価点
-当時の最新基板にて製作されているだけあって、過去作のそれと比べグラフィック周りなどがより繊細化し、当時における同期のACシューティングの中でも抜群の外観上のクオリティも持つ作品であった。
--また過去作では海戦メインでグラフィックの使い回しが多かったが、本作は陸空海のあらゆるステージ舞台が用意され、非常に多彩なグラフィック使いとなっている。この辺は純粋に正当進化といっていいだろう。
--最新基板の恩威もありBGMのクオリティは過去作と引けを取らない程に高くゲームを盛り上げてくれる。
--PCM音源による派手な敵破壊音もCPS1ならではであり、爽快感に一役買っている。
--通常の縦スクロールと、入り組んだ地形の中を進む斜めスクロールが交互に展開していくステージ演出は、他の縦STGでは見られない斬新さと面白さがある。
-「セミオート連射搭載のショット」「強力なチャージショットによる自機の火力強化」「一定時間で変化するようになったアイテム」「破壊率がステージ中の敵撃墜数の評価値となり、クリア条件でなくなった」など、以下の賛否両論点・問題点はあるものの前作と比べて遊びやすくなった点も存在している。これらの要素は次回作にも引き継がれた。

**賛否両論点
''前作からうって変わって「パターンゲー」の様相が強い''
- 前作『1943』では、「初心者は多少被弾しても回復アイテムを取り続けてリカバリーできる」という遊び方が許される一方で、「上級者は被弾せずに攻撃アイテムを取り続ける」という選択肢の幅があるため、幅広い層に支持を得たが、今作ではPowアイテムの出現数が極めて少ないため、リカバリーできないままミスになってしまうケースが多い。
- パターンゲーにも名作は数多くあるものの、カジュアルにプレイできた前作とは違い、きっちり攻略パターンを見出していかなければ前半ステージの突破も難しいゲームバランスになっている点は前作ファンには賛否が分かれる。
-- 後半ステージの苛烈ぶりは『1943』の方が顕著なため、「パターンさえ組めば難しくはない」というのが現在の評価だが、少なくとも初心者が2~3回遊んで楽しめるバランスとは言い難い。「間口が広く、奥に行くほど厳しくなっていく」前作とは真逆である。
- パターンゲーたりえる要因は下記の通り。

''四方八方から容赦なく襲いかかる攻撃''
- 『19』シリーズを特徴づける要素ではあるものの、これでもかというほどに多数の敵が画面後方や下方横方向から登場し、弾をばらまいてくる。
-- 左方から、右方から、といった一箇所からの出現であれば、逆側に寄れば対処可能だが、場所によっては複数箇所から同時に登場することもあり、後方に下がっているだけでも被弾してしまうことも。
---例を挙げると5面道中には敵出現が少し間を置いて、画面全体から雑魚が自機を囲むように出現する箇所がある。しかしそのような場所はほんの一部なので覚えていればメガクラッシュなしでも対処可能。その直後に弥七編隊も出る。
- 画面後方に向かって攻撃する方法がほとんど存在しない(一部の攻撃で後方に飛ぶ攻撃もあるが主力にはなりえない)ため、やり過ごして下方から撃つのが基本的な対処方法となるが、そうしている間に第二陣が後方から現れることもある。
- 前方から飛んできた際に撃ち漏らすと、画面外に飛び去っていかずに、後方でUターンする敵もいるため、避けることに精一杯の初心者はなおのこと囲まれやすいが、それが出るのは後半面なのでプレイを重ねていれば普通に対処ができるだろう。
- STGにおいて、進行方向の後ろ側から敵が現れるというレベルデザインは、適度であればゲームに刺激を与えるスパイスになりえるが、本作では明らかに過剰であり、大きなストレス要因となってしまっている。
- 出現パターンを覚え、事前に敵を減らしておくことで対処可能なため、何度もプレイすることが肝要である。

''「地形」を大きくフィーチャーしたステージデザイン''
- これまでのシリーズ作では登場しなかったが、『沙羅曼蛇』や『ドラゴンスピリット』のような当たり判定を持った「壁」がステージに登場する。
- ステージギミックとしてゲームの深みを増す要素ではあるものの、下記のような問題も併発している。
-- 緻密な書き込みのグラフィックスのおかげで、背景と壁の区別が非常につきづらい。
--- 壁のあるゲームでは、背景は単色であったり、単純なパターンで描かれていることが多いが、前述の通り、本作では壁も背景も同様の描き込みがされていることが仇になっている。しかし通過出来ない地形はショットが止まるので余程目が悪くなければ普通に判別可能。
--移動範囲が大きく限られてしまう狭まった地形が多く、縦STGに慣れている人ほど不満に感じるだろう。この時代は地形に寄る移動制限のあるSTGが多かったが、地形に当たってもミスにならない今作はある意味親切とも言える。
-- 壁に設置されている砲台が多く、横方向に攻撃できる手段が少ない上に避けられる範囲も狭いため、撃ち漏らしがあるとあっという間に窮地に陥る。ちなみにサブショットのミサイルは地形を這う動きをするので、如何にミサイルを保持するかが攻略に置いて重要である。
---壁に接触しての回転ショットで攻撃する手段もあるが、ショットが大きく散らばるので離れた位置から狙って破壊することは難しいが敵弾の発射には周期があるのである程度近寄ってローリングすれば普通に破壊できる。
--- 『イメージファイト』のようにオプションの向きを変えられれば印象も変わったと思うが…

''自機の当たり判定の大きさとバイタリティ制前提から来る被弾前提のレベルデザイン''
- 『BATSUGUN』『首領蜂』などの、いわゆる「弾幕系」登場以前のSTGであり、当たり判定はほぼ自機の見た目通りである。
- それだけで言えば前作と変わりはないが、至近距離から広範囲に弾をばらまかれるケースが増しており、見た目の印象以上に隙間を抜けることが難しい。
- 1回の被弾で即ミスとなるSTGであれば、必ず避けられるポイントが想定された敵配置となっていることがほとんどだが、バイタリティ制であるがゆえに、完璧なパターンを組まない限りは半ば被弾することが避けられないようなバランスになっている。((エンディングのスタッフロールでは、開発スタッフ(?)によるダイジェストのデモが流れるが、これがことごとく被弾しており、バランス調整を放棄しているようにも見えなくもないのはただの主観であり、大抵のゲームのデモなどでも人工無能的な動きで被弾しまくっているのが大多数である。))


**問題点
-前述の通り、難易度は過去作『1942』『1943』より上昇しており「アドリブで何とかなる」ようなバランスは消え失せてしまった。
-まず、難易度上昇の要因の一つとして挙げられるのが、「''油断していると即効でなくなってしまうバイタリティの問題''」がある。
--そもそも本作のバイタリティゲージは「元のメモリがあまりにも少ない」「ダメージだけではなくメガクラッシュ使用でも消費してしまう」という環境であり、さらには「ダメージ後の無敵時間が短い」とい厳しい仕様となっている。
--また、時間によるバイタリティ消費がなくなった代償として、''過去作よりもアイテムも出現比率がかなり減ってしまった''という新たな問題があり、これのせいで風前の灯になってしまうと、もうどうしようもない状況に陥りやすい。
--全滅させると弥七を出す編隊は5機が横一列に出現し、画面上部を2度往復した後は画面上部に飛び去ってしまうという、対処しづらい行動パターンである。特に2面では中央の1機がボスに重なってしまうため、意識しないと倒し損ねることのほうが多くなる((バイタリティ残量があればメガクラッシュを使って強制的に編隊を倒してから弥七を取るという方法で一応対処は可能。))。

**総評
外観上は間違いなく進化しており、19シリーズの人気ナンバリングタイトルになるポテンシャルは持っていたが、同年には『パロディウスだ!』や『雷電』といった注目作が稼動していた事もあり、あまり注目されずマイナー寄りのタイトルとなってしまった感は否めない。

次回作の『[[19XX>19XX THE WAR AGAINST DESTINY]]』は劇的なまでにマイルドな調整がなされ、プレイヤーを問わない傑作シューティングとしての評価を得ている。また、その続編『[[1944>1944 THE LOOP MASTER]]』のゲームデザインは本作の影響を幾分か受けているという説がある(メモリゲージ制によるバイタリテイなど)。

&bold(){※このゲームの問題点と賛否両論を書いている人は、明らかにこのゲームを嫌いな人が主観で書いている模様なのでカプコンアーケードスタジアムで実際にプレイして真偽を確かめることをおすすめします。ちなみに90年当時の中学2年生でも普通にプレイを繰り返せば余裕でクリアできた程度の難易度です。自分が出来ないものを大げさに高難易度や問題として祭り上げるのはいい年の人間のする事とはとても思えません。}

**余談
-海外版は日本版と仕様の違いが多い。特に目立つ部分としては
--ステージ順が異なる(日本版における2→3→1→4→5→6の順)。またステージ開始時の攻撃目標表示が復活している
--全体的に自機の火力が上がっており、溜め撃ちの溜め時間も短くなっている
--ミサイル装備時の正面のショットが目に見えて派手になっている
--メガクラッシュが宙返りせずに正面へ螺旋状に爆風を飛ばすようになっている
--アイテムを出す敵が増えており、Powの出現数も増えている。ただし一部の弥七を出す編隊から出現するのが青いPow(ライフ2メモリ回復)になっていたり、ライフゲージの上限が4ゲージまでしか増えない

…といった具合になっている。

**家庭用移植
-PCエンジン スーパーグラフィックス版(1991年8月23日、ハドソン)
--5本しか存在しないスーパーグラフィックス専用ソフトであり、SG最後のソフトでもある。画面レイアウトの変更(縦長→横長)こそあるものの移植度はハード性能も相まってか非常に高く、二人同時プレイも可能となっている。
--すでにSG末期だった事もあって出荷数が少なく、今はプレミアが発生し入手困難。それ以前にハード自体が稀少なため、ソフトだけ手に入れてもどうしようもない問題があるが…。バーチャルコンソールなどにも今現在未配信。
--余談だが、同年のPCEにナグザットから『[[1943改]]』がリリースされており、1991年に同じPCEにて19シリーズの移植が2本発売された事になる。

-国産ではないが、海外版プレイステーション・ポータブルソフト『CAPCOM CLASSICS COLLECTION Remixed』にもほぼ完全移植のAC版が収録されている。通販などで割と容易に入手可能な他、国産のPSP本体でも起動可能。

-Nintendo Switch カプコンアーケードスタジアム(2021年2月18日)
--1941が晴れて現行機に移植された。画面回転モードもあるのでアーケードそのままの感覚でプレイ可能。海外版も収録されている。
--どこでもセーブ機能に加えて巻き戻し機能が搭載されており、パターン要素の強い本作の反復練習にはうってつけである。