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ウンジャマ・ラミー - (2022/11/16 (水) 21:00:56) のソース

*ウンジャマ・ラミー
【うんじゃま らみー】
|ジャンル|音楽|CENTER:&amazon(B000069SQL)|
//廉価版の画像は基本的に載せない
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~|
|開発元|七音社|~|
|発売日|1999年3月18日|~|
|定価|6,090円|~|
|プレイ人数|1人~2人|~|
|レーティング|CERO:A(全年齢対象)&br;※ゲームアーカイブスで付与されたレーディングで記載|~|
|廉価版|PlayStation the Best&br;2001年4月21日/2,940円|~|
|~|PS one Books&br;2002年3月28日/1,890円|~|
|配信|ゲームアーカイブス&br;2008年2月27日/600円|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|独自の要素は光るものがある&br()ボリュームや判定に難あり|~|
|>|>|CENTER:''パラッパシリーズ''&br;''[[1>パラッパラッパー]]'' / ''[[2>パラッパラッパー2]]'' / ''ウンジャマ・ラミー''|
|>|>|CENTER:''[[SIEワールドワイド・スタジオ作品]]''|
//記事内でAC特有の仕様について記述されていないのでAC版の表を追加するべきではない
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#contents(fromhere)
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**概要
一風変わった特徴を持つ音ゲー『[[パラッパラッパー]]』シリーズの二作目。~
今回は、普段は気弱で奥手だが、ギターを手にすると途端に積極的になり凄いことをやってのけてしまうギタリスト、ラミーが主人公となっている。~

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**システム
-画面上のガイドに従ってタイミング良くボタンを押し良評価を得られればステージクリア、という点は他の音ゲーと同じだが、この作品は以下の点で差別化が図られている。
--「お手本」の存在
---このゲームではプレイヤーが操作する前に必ず同じメロディを先んじて実演してくれるお手本キャラが存在し、プレイヤーと交互に演奏して曲が進行するという形態をとっている。
--「ストーリー」の存在
---曲を選択→クリアを数回繰り返して最後にスタッフロールといった展開ではなく、この作品は物語としての一連の流れがあり、プレイする曲はストーリー上ラミーが活躍する一場面といった位置づけ。よってプレイする曲の順番は完全固定であり、また曲の前後には話が進展するムービーが入る。
--「アドリブ」の存在
---プレイに対する評価はお手本通りにやっている限りは上から二番目の"GOOD"が限界。一番上の評価である"COOL"をとるためにはお手本のメロディから逸脱して自分なりの「アドリブ」を見せる必要がある。見事COOLに到達するとガイドが消えお手本キャラが退場し、COOLの評価が続く限り自分だけで好き勝手に演奏することができるようになる。
--これらの要素によって他の音ゲーにはない様々な長所、短所が生まれてくることとなる(詳細は後述)。

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**評価点
-曲のインパクトとクオリティ
--上記のお手本というシステムの関係上この作品の曲は例外なく「同じメロディを必ず二回連続させなくてはいけない」という制約を背負っている。前作は「ラップ」というジャンルを用いたので(メロディをあまり必要とせず、似た言葉や語尾が同じ言葉などを繰り返す特徴があるため)この点とは相性が良かった。~
しかし今回はロック、ポップスである。繰り返しの手法自体はこのジャンルでもよく使われるのだが、これは印象に残りやすいというメリットがある反面、多用すると非常に不自然且つくどくなりやすいデメリットも持っている(この作品に至っては多用どころの話ではない)。だが蓋を開けてみれば、どの曲もインパクトは抜群且つ不自然さはほとんどない素晴らしい仕上がりになっている。
--曲自体の出来もさることながら、それぞれが各ステージの展開と非常にマッチしている点も見逃せない。~
「この世に生を受けて早速そのクソガキっぷりを見せつけてくれる赤ちゃんのロックンロール」や、「ここがエンディングと言っていいほど豪華絢爛なラストステージ」など、物語の進行を大いに盛り上げてくれる。

-魅力的なキャラクター達
--上記のお手本という(ry、一曲につき一人(?)お手本を担当するキャラクターが必要になるのだが、曲のプレイ中に動きを持たせ、またその前後にムービーを挟むことによってこのキャラクターたちがきちんと活躍する場面を与え、没個性という言葉とは無縁な世界を見事に展開している。~
前作から続投のダサくてCOOLなタマネギ先生、ガムか汚物かわからないものをまき散らしながら生命の素晴らしさを説くピラー婦長、猛烈な早口で多くのプレイヤーを苦しめた地獄のアイドル、テリヤキ・ヨーコなど、通しでプレイした人間ならば思い入れがあるキャラはいなかったなどといった言葉は絶対に出ては来ないだろう。
--お手本を担当するキャラクター以外にもセリフはすべてSEのくせになぜか存在感たっぷりのマーさん、古き良き時代の手法で鮮やかな殺人(?)をやってのけるPJなど、どれも個性的な者ばかり。

-プレイ中の多彩な演出。
--このゲーム画面はガイドラインと評価と点数、そして少々のイメージなどといった殺風景なものではない。先ずキャラがこれでもかというほど生き生きと暴れまわる。ボタンを押すたびに笑い、歯を食いしばり、ギターを上げ下げし、屈み、ジャンプし、放水し、赤ちゃんをあやし、操縦桿を引っこ抜き、チェーンソーを振り回すのである(断っておくがこれは音ゲーである)。
--カメラも負けてはいない。各場面の盛り上がりに合わせ、寄せる、引く、縦から横からなめる、と縦横無尽に動き回る。
--曲の進捗や、現時点の評価などでステージ自体も変化を見せ飽きさせない。評価が上がると大歓声が上がったり、逆に下がるとお客さんの数が目に見えて減ったり、飛行機が墜落したり、電撃でお仕置きされたりする。
--非常に地味なところだが、各ステージのLOADING画面も一つ一つが凝っていて遊び心に満ちている。

-痛快なストーリー
--簡単にいえばライブ会場に急いで向かう、唯それだけである。しかしその道中で人(?)命救助あり、爆発大炎上あり、殺人(?)あり、とスラップスティックのお手本のようなハチャメチャな展開が息つく暇もなくプレイヤーを襲う。そしてその解決方法も「ポ〇イにほうれん草」、「ア〇パ〇マン、新しい顔よ!」の流れをくむ様式美的なものなのだが、話が進むにつれそのねじ込み方がどんどん強引になっていき、非常に馬鹿馬鹿しくて痛快である。
--しかしラストステージでは、感動で胸が熱くなった方もいるのではないだろうか。馬鹿一辺倒でない最後の展開もさすがの一言。

-アドリブにより広がるプレイの幅
--音ゲーというのはとかく譜面どおりに正確なタイミングでボタンを押すことのみ要求されそれ以外の余計な行為は許されない、という非常にストイックなプレイスタイルになってしまうもの。しかしアドリブが許され評価されるこの作品はゲーム中に"遊ぶ"行為に非常に寛容であり、同じ曲でも毎回違った楽しみ方ができる。~
特に対戦プレイはアツイ。音ゲーの対戦にありがちな「1ミス=勝負あり」などいう厳しい構図には決してならない仕様なので、お互いギスギスせず最後までモチベーションを高く維持したまま楽しく遊ぶことができる。~
「大胆な演奏により最後の最後で一気に大逆転」、「スタートダッシュで大きく差をつけようとするも大失敗して撃沈」といったドラマティックな展開がありうるのもアドリブがあるからこそ。
--また後述されているように難易度関係にケチがつきがちな作品だが、間違った演奏でもアドリブとみなされOKだったりすることもあり、問題の緩和に一役買っているところもありがたい。

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**賛否両論点
-人を選ぶキャラクターデザイン
--良く言えばコミカルでおしゃれ。悪く言えばバタ臭い。
//気持ち悪いはさすがに主観的すぎ。
--主人公のラミーを見れば分かるが、カートゥーン色の強いデザインやキャラクター性そのものを含め、個性の強いキャラクターが多いので人を選ぶ。
--世界観も独特なので万人向けとはいかない。

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**問題点
-ボリュームに欠ける
--おそらく&bold(){この作品における最大の欠点}であり、構造問題と呼ぶべき根の深い問題である。
--このゲームは全7ステージ。つまり7曲である。これは音ゲーというジャンルでは絶望的な数であることが分かるであろう。しかし困ったことに、この数は「ストーリーを追う」という意味では丁度いい塩梅である。~
下手にボリュームを増やせば、クリアまでの道のりが冗長になってしまい、一本道であることもさらに足を引っ張る。さらに一曲につきキャラクターを一人(?)追加しなくてはならず、作曲も上記の制約がかかっているため、困難を極める。~
つまり他の音ゲーにはないこれらの要素が「ボリュームを増やす」という方向にとことん向いていないのである。
---一応擁護しておくとクリア後には前作の主人公であるパラッパでプレイするモードや2P協力・対戦プレイなどが解禁される。これらはすべて前作にはなかったものであり、またストーリーに絡まないおまけの部分でボリュームアップを図っていることから、製作所側はこの問題を十分に意識し、解決に腐心したであろうことがうかがえる。

-1ステージごとの難易度の上昇が著しい
--これはいわば「段数の少ない階段」である。ゲームであるからには最終的にある程度のレベルをプレイヤーに要求するのは当然だが、曲の数が足りないが故に一つ一つの差が激しくなってしまうのである。よって、「前のステージまでは楽勝すぎて練習にもならない、次のステージは難しすぎて手も足も出ない」という事態が非常に起こりやすい。~
また、他の音ゲーならちょっと他の曲に浮気して気分転換とスキルアップを図ることもできるが、この作品は数が少ないうえに一本道、さらにストーリーの先を見たいというモチベーションもマイナスに働いてそういったことがほぼできない。

-アドリブ、COOL、点数周りの問題
--このゲームには、他の音ゲーと同じように点数表示がある。アドリブによる評価COOLについてはすでに述べたが、これは当然GOODより点数が高い。何が悪いかというと、アドリブであるが故にCOOLに至るための道がプレイヤーに明確に示されていないのである。よって、ひたすら高得点を狙うというプレイが非常にやりづらい。
--ゲームである以上、やはりボタンを押さないよりは沢山押す方が点数が高くなりやすく、「あえてそこに音をおかないアドリブ」がなかなか評価されづらい傾向にある。よって頑張って自分なりに素敵なアレンジを施しても、適当にボタンを押しているだけのプレイに簡単に負けてしまうことが往々にある。極端な話、曲がスタートしてから単一のボタンをただ連打しているだけで超高評価でクリア、ということも可能。
--お手本が退場してしまう点も人によってはマイナスになるだろう。画面の演出も変化に乏しいものになってしまうので、曲の雰囲気が損なわれてしまい、プレイが味気なく感じられてしまう。

-お手本があまり役に立たない
--前作と違って今回はお手本はボーカル、プレイヤーはギターという割り当てなので、同じメロディではあるがお手本を聞いただけではタイミングをとりづらいことが多々あり、難しくなるにつれ結局は画面のガイドラインにすべてを頼るプレイになりがち。

-他所のリズムゲー以上に判定が厳しい。&bold(){この作品のもう一つの大きな問題点}。
--ビートマニアくらいの感覚で譜面通りにキーを打っていても成功しない。当時の雑誌における投稿レビューでもよくこの点が挙げられていた。&br()前作経験者からは概ね「難しくなった」と評価されており、中には「判定がおかしいんじゃないですか」というものまであった。&br()とにかくこれくらいシビアなのである。
--ファミ通で掲載されたみずしな孝之氏の漫画『いい電子』の第5話にて、''「オレは毎回ここしかないタイミングでボタンを押しているのに、判定が上がったり下がったりする曖昧さが大嫌いだー」''と怒るネタがあった。
---また、担当編集者の石井氏が「ウンジャマなんてボタン適当に押してりゃ自然とできますよ!」とも言っている。
--ちなみにこのゲームにはAWFUL、BAD、GOOD、COOLという状態のランクがあり、ランクが低い状態で演奏すれば簡単に上のランクになり、上のランクで演奏している時は簡単に下のランクに落とされる。仮に同じ程度の演奏をしたとしてもラミーの状態によって評価が変わってしまう。
--また、判定の仕様について、ボタンを押すタイミングが誤っている場合に、どの音がどれだけズレているかを視覚的に判断する術が無い。シリーズが共通して抱える問題点でもある。
---ガイドと曲に若干のズレがあるようで、テレビ画面に合わせてボタンを押すと上手く演奏できなくなる。
---前作でもほぼ同様の仕様だったが2で改善。

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**総評
『[[beatmania>beatmaniaシリーズ]]』『[[太鼓の達人>太鼓の達人シリーズ]]』などに代表されるいわゆる"今日の"音ゲーとは一線を画した独自の魅力をもちながらも、それらが音ゲーにあって然るべき要素をも奪ってしまっているという非常に惜しいゲームである。~

当時はそのボリュームの少なさから値段に見合う価値が見出せるかどうかが難しかったのだが、現在はPS3/PSPのゲームアーカイブスで安価で提供されている。~
安く手軽にプレイでき、味わいつくすのにさほど時間もかからないこの作品は、すべてを味わうのに膨大な時間を費やさなくてはならないようなゲームが当たり前になった今の時代だからこそお勧めできるゲームといえるかもしれない。

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**余談
-ゲーム内容がなかなかはっちゃけている作品だがマニュアルの文章も負けず劣らず遊びまくっている。特筆すべきはQ&A。以下その例:

> Q.ときどきステージが始まる前のロード画面のチョコレートの中に、△とかLとか×とかボタンのマークが書いてあるのですが、あれは何か意味があるのでしょうか?~
A.マジで?ホントだ!ぜんぜん気がつかなかった!(後略)

じつはこれはゲーム画面に変化をもたらす隠しコマンドのヒントとなっている。しかしこんな答え方では気づくはずもない。~

> Q.どうしてもクリアできませんお金はいくらでも払うのでなんかいい方法を教えてください。~
A.お金はいいです。そんなことより心を満たしてくれる何かがほしいです。具体的には愛とか''小切手''とか。(後略)


-2012年11月20日に北米で発売された(日本では2013年1月31日)『[[プレイステーション オールスター・バトルロイヤル>プレイステーション オールスター・バトルロイヤル]]』にパラッパラッパーシリーズが参戦している。~
そのおかげで今作の主人公ラミーも出演を果たした。''背景エフェクトの一部として。''
--ちなみにラミーはアニメ『パラッパラッパー』にも端役として登場している。''2秒間だけだが。''そもそも登場していないジョー・チンやマーさんなどに比べればマシなのかもしれないが。

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**移植

-''AC『ウンジャマ・ラミー NOW!!』''(1999年)
--アーケードへの逆輸入版。開発はナムコ。
--こちらはコナミの『[[GUITARFREAKS>GuitarFreaks & DrumManiaシリーズ]]』のように、専用のギター型コントローラーで操作する大型筐体ゲームになっている。使用基板はPS互換基板であるSYSTEM12。
--20世紀当時ならともかく、令和の現在は現存する筐体は無い。超大型筐体で汎用性も0のため、当時も設置数はそこそこだったとは思われる。地球上にもう1台も無い可能性が高いが、個人所有のマニアが居る可能性は否定できない。

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