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ミュータントナイト - (2023/08/17 (木) 06:22:46) のソース

*ミュータントナイト
【みゅーたんとないと】
|ジャンル|アクション|
|対応機種|アーケード|
|販売元|ユウビス(カワクス)|
|開発元|UPL|
|稼動開始日|1987年|
|配信|アーケードアーカイブス/838円(税込)&br()【PS4】2017年2月16日&br()【Switch】2021年12月30日 |
|判定|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|
//判定を変更する際は判定変更議論をしてください。
|ポイント|癖の強いデザインセンス&br()調整不足を思わせるような超絶難易度|
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#contents(fromhere)
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**特徴
UPL製作の2Dアクションゲーム。キャラクターデザインから音楽、システムに至るまで、どこか異様な雰囲気で統一された作風が特徴である。

**ゲーム概要
-任意スクロール(主に横)の2Dアクションゲーム。主人公「ミュートロンくん」((インストラクションカードや起動直後の画面で確認できる正式名称。起動直後の画面では英数フォントしかないため「MUTRON-KUN」表記。))を操り、各面のゴールを目指すのが目的。
--8方向1レバー2ボタン式。残機制+戻り復活で、敵や敵弾との接触は即ミスとなる。
--道中にある出口に接触する事でステージクリアとなる。
--道中に出現するアイテムを入手すると様々な効果を発揮する。無敵になったり分身したりと効果は様々。
---攻撃用アイテムの効果には時間制限がある。ミスしたりステージクリアしてもアイテム効果時間内ならばアイテムの効果は引き継がれる。
---また、ごく一部のみだが永続パワーアップアイテムも存在。28面にある「6000点のピンク色のアイテム」が該当し、ミュートロンくんの歩行速度(しゃがみ移動モーション除く)が若干上がる。この永続パワーアップアイテムは単なる得点アイテムと外見上区別がつかない。
---また、小型化しショットの射程が短くなるが、分身効果をもたらすアイテムもある。が、時間制限が過ぎるとやはり単体になり、小型化したままになる。また、小型化するだけの完全マイナスアイテムもある。
--ジャンプボタンが連打による空中浮遊を中心とした操作になっている。空中にいる状態でジャンプボタンを押す事で再ジャンプする事ができる。
---ジャンプを繰り返すと徐々に一回ごとの浮遊高度が低下。ある程度浮遊を繰り返していると着地した際にミュートロンくんが息切れを起こし硬直してしまう。

-1周31面構成の、3周エンド。93面クリアでゲーム終了という長丁場である。
--1周目終了時には演出は何も無く、「2周目終了時にスタッフロールが流れた後に3周目が始まる」仕様のためエンドレスのゲームと誤解される事が多いが、3周目が正真正銘の最後である。
---最終面である93面(3周目31面)をクリアすると、再度スタッフロールが流れるが、スタッフロールの最後に小さいミュートロンくん達が人文字で描いた「END」が表示された後ランキング画面へ遷移しゲームが終了する。

**問題点
-自機の「ミュートロンくん」のデザインをはじめ、敵キャラや背景のデザインがかなり人を選ぶ。
--ミュートロンくんは白い餅のような体をしているが、青く巨大な単眼だけでできた頭部。外見は完全な非人間型エイリアンである。
--同様に、敵キャラクターも概ね無機質なのだが生物的でもあるためなんとも言えない薄気味悪いデザインが多い。グロテスクさはないのだが、見るものを不安にさせる。
--背景も抽象画や騙し絵のようなサイケデリックなものが中心。
---これらのデザインセンスは、次作『[[アトミックロボキッド]]』にてさらに加速する。

-仕様や敵配置の練り込み不足が原因で理不尽な点が多々あり、''3周ALLどころか1周クリアさえ困難を極める''有様。
--自機性能の割りに敵の数が多い・接触判定が大きい・素早い敵ばかり、という点がまず基本的な難度を相当高めている。
--トラップのような意地の悪い敵の配置や、抜けられるか運次第の無限沸き敵の配置が各周中盤から散見される。
---例1:18面ゴール間際、「地面から出現した瞬間放物線を描いて体当たりする敵」がランダムに無限沸きする場所に飛び降りる場面。
---例2:25面は、ジャンプボタンを猛連打して敵の猛攻を回避しながら上に上に登っていく場面が2回もあるゲーム中屈指の難所。

-1周目でさえ理不尽に難しいが、''遅くとも2周目からゲームバランスが完全に破綻しはじめる''点が拍車をかけている。
--内部的なランクの影響なのか1周目後半で発生する場合もあるが、''「遅くとも2周目1面(32面)以降、ほぼ全ての敵が自機狙い破壊可能弾を撃つようになる」''という変更が発生するため、ただでさえ凄まじい高難度なのが余計に理不尽に難しくなる。ファンタジーゾーンのように「撃つ直前に光る」といった工夫や「至近距離からは撃ってこない」などという事は特に無く、至近距離から突然撃ちまくってくるという事などザラ。
---正直、この変更は取ってつけたような感が否めない。1周目がかろうじてノーコンティニュークリアできた程度では、前述の意地悪な敵配置の面が理不尽に強化されているせいで地獄を見ることは間違い無いだろう。
--3周目は、2周目よりさらに高頻度で弾を撃ってくるようになる。
--現時点で3周を1クレジットクリアの達成者が世界で3人しかいないことからも難易度の高さがうかがえる。

-そもそも31面×全3周という凄まじい長さも、プレイヤーの労力、回転率両面から言って問題である。((参考までに同社の『忍者くん 阿修羅ノ章』は31面×全2周、『アトミックロボキッド』は全20面))((他社作品を例に挙げると、ナムコの超絶倫人ベラボーマンは全31面の1周エンドである。))
--上記に挙げたような人を選ぶ奇怪な世界観のゲームを延々と100面近くやらされるのはさすがにキツイ。

**評価点
-素直に可愛らしいとは言えないミュートロンくんだが、動作一つ一つが非常に細かく丁寧に描かれており仕草も愛嬌がある。

**総評
他社で絶対に出せないようなUPLのゲームデザイン。慣れてくればキャラクターも含めて愛着が湧いてくるだろう。~
が、たいていの場合デザインに慣れる云々以前にその独特な仕様と非常に高い基本難度、中盤以降の理不尽な難度にくじけてしまうのは必至であり、プレイヤーに「次こそは」と良い意味で奮起を促して粘らせる要素に乏しすぎる点が非常に惜しい作品であった。

//長らく移植されなかったこと・基板出荷枚数が少ない(4桁未満とも言われる)・それなりに人気があり手放す人が少ない等の理由から、本作の真価を知りえる人が殆どいないのは悲しい事でもある。~

**家庭用移植
-プレイステーション4版 (2017年2月16日)
-Nintendo Switch版(2021年12月30日)
--ハムスターの「アーケードアーカイブス」シリーズの作品として配信。アーケード版稼動開始から30年越しの初の家庭用移植。

**その後の展開
-本作が持つ空気、無機質なキャラクター、サイケデリックな背景デザインは後継作『アトミックロボキッド』に色濃く受け継がれる。
--そちらでは本作および『忍者くん 阿修羅ノ章』をさらに昇華したような練られた基本仕様とゲームバランスが発揮されており完成度が高い作品に進化を遂げている。
--また、『アトミックロボキッド』はPCエンジンおよびメガドライブに移植されている(前者『アトミックロボキッド スペシャル』は良アレンジ・後者は良移植)ので、そちらから体験して雰囲気を掴んでみるという手もある。~
『ミュータントナイト』と併せ、雰囲気がプレイヤーに合えば長く記憶に残るゲームとなるはずだ。